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2019年10月14日月曜日

第三次大戦はこの場所から始まる: 世界は危険な場所になってきた


When World War III Happens, It Will Start In One Of These 5 Places

第三次世界大戦はこの5地点から始まる
Diplomacy is needed to calm these conflicts.
外交努力で武力衝突を回避できるか
October 12, 2019  Topic: Security  Region: World  Blog Brand: The Buzz  Tags: World War IIWorldWar IIIMilitaryTechnologyHistory

Key point: The flashpoints for future conflict already exist.引火点はもう存在している

1945年以来大国間の武力衝突は回避されてきたが、米ソ両国では数回にわたり冷戦下で危機に近づいたのも事実だ。ベルリンの壁が崩壊し20年が経過した今は超大国の交戦は事実上想像しがたい事態だ。だが中国の軍事力が増加しており、ロシアが国際秩序の受け入れをあからさまに拒否する中、大国間の軍事衝突が再度想定されるようになっている。
TNIは将来予測をここ数年続けているが2019年の現在、最も危険度が高い引火点となる地域はどこか。

南シナ海:
南シナ海(SCS)は米中両国の貿易戦争の影に隠れている。今のところ両国の対立は関税や貿易制裁の域にとどまっている。米国、カナダは中国技術系企業ファーウェイ幹部の逮捕で事態をエスカレートさせ、中国はカナダ国民や米企業への制裁で対抗した。
米中両国は貿易戦争はSCSでの対立にからめられていない。しかし、両国関係が今後悪化すれば、一方が経済行為、言葉の応酬、法的措置の枠を超える決定をしないとは限らない。仮に米中両国が通商関係を停止すれば(この関係こそ今までの世界的な経済成長の基本条件であった)、大きなリスクとなり直接武力衝突が避けられなくなる。そうなるとSCSが両国が相まみえる舞台になる可能性がある。

ウクライナ:
アゾフ海への回廊部分でウクライナ哨戒艇に実弾が発射され、海上で衝突されたあげく乗組員が抑留された事件の記憶は新しい。きっかけがロシアだったのか、ウクライナだったのかは別にしても海上事件がここ数年間の危機状況を再点火したのは事実だ。ウクライナ政府が戒厳令を敷いたのは同国内の不安定さを象徴している。
ロシアにはウクライナの選挙前に既成事実を妨害する意図はないようだ。ウクライナ政府には現状が変更されても対応する能力が欠如している。これから実施される占拠で基本条件が変わることはないだろうが、不確定性は増えるはずだ。ロシアと米国間の緊張関係が続いていることから、小規模の変動でも難しいバランスを崩すきっかけになりかねず、東欧が混乱に陥る可能性がある。

ペルシア湾:
延々と続く中東地区の政治軍事両面の危機状況から退屈で単調な状況が生まれている。イランへの経済圧力がこれから増加する。米国がより強硬な貿易制裁をとるためで、サウジアラビアがイエメンでの作戦を継続しているが一向に終息の気配はない。シリア内戦は米ロ両国がそれぞれの支持勢力や代理勢力を通じ介入し小規模ながら長く続く状況になっている。
だがゆっくりとはいえ、対立が再度拡大する可能性がある。政治的混乱がイランで続けば地域大で不安定になり、イランはもっと強硬策に走ったり、自らの敵を照準に入れるかも知れない。クルド、トルコ、シリア、イラクの間に緊張が高まればいつあからさまな武力衝突に展開しても不思議はない。又サウジアラビア国王がリスク甘受の姿勢を再び見せていることから同王国内が不安程になるとの観測もあり、いったん安定が失われば米中ロの対決に発展しかねない。

朝鮮半島:
朝鮮半島の緊張が下がってきたのは疑う余地がない。これは金正恩が核、弾道ミサイルのテストを中止したこと、ドナルド・トランプ大統領が北朝鮮への対決姿勢を緩和したことが大きい。その意味で平和継続への甘い期待が1990年代中頃に比べ格段に高くなっている。
だが落とし穴が残る。大統領は北朝鮮との合意に自らの威信をかけているが、当の北朝鮮は核兵器、弾道ミサイルの製造中止というもっとも重要な点ではまったく実行していない。大統領の補佐官には根本的な食い違いを不快に思っている。トランプが金につらくあたれば、合意内容の履行を妨げる行為が政権内に生まれれば、金がトランプに厳しい対応をすれば、米朝関係は急速に悪化する。さらに中国、日本ともに南朝鮮との関係が悪化しており、核武装した北朝鮮への受け止め方でも両国に温度差がある。つまり朝鮮半島の情勢は楽観的な見通しの逆でやはり危険なまま、さらに危険はましているということだ。

予測不可能な地域?
米陸軍大学校の大佐が問題の本質をうまく言い表している。「米国は朝鮮戦争以後の戦闘状況をすべて誤って予測してしまった。第三次大戦も例外ではないだろう」 大国は外交、軍事、政治の持てる力を自らが考える最重要な状況に集中投下する傾向がある。重要とされない武力衝突には関心が示されないことから、逆にこれが気づかないうちに深刻な対立に発展する可能性がある。破壊的な結果を呼ぶ衝突はバルト海、アゼルバイジャン、カシミール高原、はてはヴェネズエラでも発生の可能性があるが、関心を払う余裕があるのは米中ロのみだ。第三次大戦が勃発するとすれば、まったく予想外の場所からかもしれない。

結論:
世界は一年前より危険な場所になっているのか。おそらく、そうではないが、米中両国間の関係悪化が今後の前兆となる。引火点は時とともに変化する。米軍事力の優位性が揺らぐ結果、世界秩序も動揺すると近未来の世界はこれまでより危険度が高まりそうだ。■
Robert Farley, a frequent contributor to TNI, is a Visiting Professor at the United States Army War College. The views expressed are those of the author and do not necessarily reflect the official policy or position of the Department of the Army, Department of Defense, or the U.S. Government. This first appeared at the beginning of the year.

2017年2月9日木曜日

★2040年の世界:中国から首位を奪う国は日本だ



ちょっと歯切れの悪い論調でもあるのですが、フリードマンの前著では中国を100年後の大国としてはまったく想定しなかったことを思い出す必要があります。海洋大国としての日本の将来についてはもっと楽観的になって良いのではないでしょうか。そのためにも国内に残るしがらみをひとつひとつ検討して本当に維持する価値があるか見極める必要があります。保守とはなんでも昔通りに守ることにこだわることではないはずです。皆さんはどう思いますか。

Asia's superpower in 2040 won't be China

  1. 日本が2040年までに東アジアの主導権を握る大国に上り詰める。これがGeopolitical Futures(GPF)による物議をかもす予測の一部だ。
  2. GPFが中国に消極的なことはよく知られている。またこの見方に同意しない向きがあるだろうが、当社の理由付けには納得してもらえると思う。中国はこれから深刻な問題に直面し、中国共産党の支配力が衰える。
  3. 日本が超大国になる可能性は一見少ない。人口は中国の十分の一にすぎず、高齢化しつつ減少中だ。日本の負債総額は対国内総生産比で229%にのぼる。
  4. そんな日本があと25年もすると東アジア最大国になるとはどういうことだろうか。
  5. 出発点は日中両国の経済構造の違いだ。
  6. 分析を進めると両国の強み弱みがはっきりとし、当社の予測が一層正確に見えてくる。

中国経済を地域別に見ると
  1. 下の地図では中国は4地帯に分け、それぞれのGDP構成比を示した。データは中国国家統計局のものである。中国はこの区分で各地方の経済動向を把握する。(数字が政治的思惑で操作されている可能性が高いことを忘れてはならない)
ChinaMauldin Economics
  1. この地図から中国経済のいびつさと弱点が見える。
  2. 東部の沿海地方が中国経済の半分以上に相当する。中部、西部はそれぞれ2割ほどの国富を形成する。ただもっと詳しく見る必要がある。
  3. 西部は国土の半分以上だが経済規模は東部の半分に満たない。また中部と同程度の経済産出成果を示すが、中部は西部の半分に満たない面積だ。
  4. 東北部は例外のようだ。GDPではわずか8%だが、経済は重工業中心で中国が内需拡大で輸出依存を減らすと大きな影響を受ける。この意味は何か。
中国最大の弱みは国内貧困だ
  1. 最大の経済上の弱みであり、最大の敵となりうるのが貧困だ。地域間の経済格差は世界の多くの国に見られるが、中国ほど大きい例はない。
  2. この問題の根本に国土規模がある。
  3. 1981年ではおよそ10億人が一日3.1米ドル(2011年の購買力平価換算)以下で暮らしていた。世界銀行の最新データでは2010年に3.6億人に低下している。これ自体は大きな成果だが問題はそれで終わりではない。
  4. 中国の経済成長はこの30年間通じ目を見張る規模だったが、ここに来て成長は鈍化し、その中で3.6億人はまだ絶望的な貧困生活を余儀なくされている。
  5. つまり中国の経済成長を享受したのは沿海部で、その他国土とは別だと地図は示す。

諸刃の剣

  1. 中国の人口は世界最大で国土面積は世界四番目だ。これが国力の源泉だが両刃の剣にもなる。
  2. 大規模な軍の整備には有利だ。広大な国土と厳しい地理条件で敵国の侵入を阻みながら大量の人員を動員できるのは他国にない特徴だ。
  3. 他方、国内治安維持に投入する労力が人民解放軍整備を上回っている。漢族が少数の地方多数での支配を維持する必要が生まれているが、地方には自治を求める声が根強い。また国境警備に多大な負担をしている。
  4. 中国は大陸国家としては強力だが、世界規模の海軍国になったことはない。つねに内乱と外部勢力からの支配を恐れてきた。では日本はどうなのか。

日本国内の富の分布状況

  1. 下図を見てもらいたい。日本でも富の集中が一部地域に見られる。中国と同様に日本でもデータが地域別にまとめられる。
JapanMauldin Economics
  1. 本州5地区が日本経済の87%を構成する。(関東地区が43%に相当する)地図からGDPで18%を生み出す東京都の突出度がわかる。
  2. さらに2012年OECDデータから東京広域圏のGDPは都市として世界最大の1.48兆ドルであることがわかる。(第二位はソウルだったが半分未満の規模)つまり東京が日本のGDP全体の三分の一を占めることになる。

日本の優位性

  1. 中国と違うのは日本の富が格差が少ないまま全国に広く分布していることだ。端的に言えば13億の中国に対して1.273億の日本の違いだ。
  2. だが単純に規模の差だけではない。中国で不利なのは規模の大きさから生まれた多様性だ。中国のような内陸部沿海部の格差問題は日本には存在しない。
  3. 中国では沿海部各省を内陸部と比較すると大きな差が歴然だ。東京が全国の一人あたり所得3.1百万円より突出しているとは言え生活費が高いことも原因だ。たしかに日本国内にも豊かさの格差はあるものの、中国のような大きな格差はない。

日本の課題

  1. 日本の弱点は食料及び原材料の輸入依存度だ。食物自給率はカロリー換算で2015年は39%しかなかった。製品価格では66%だった。

  2. エネルギーでも輸入依存は同じで、第2次大戦への参戦理由の一つが原油輸送路の確保にあったのは明らかだ。
  3. 現在の日本もエネルギー輸入依存では変わらない。2011年の福島原発事故の前でもエネルギー供給の輸入依存度は80%近かった。2012年以降は91%近くまで上がっている。(米エネルギー情報局まとめ)
  4. 日本の大問題は人口構成だと主張する向きがある。たしかに高齢化は進行中だが、中国でも同様である。ヨーロッパ主要国も直面する問題は共通している。だが日本には選択肢がある。
  5. 日本は人工知能分野への支出が世界最大級である。自動化、ロボット工学でも同様で生産性の維持を図っている。また日本社会に同質性志向があり、外国人には比較的冷たい傾向があるが、深刻な状況から移民政策で大きな転換を迫られる事態が来るかもしれない。
  6. 広範なアジア太平洋地域から日本は必要な労働力を確保する可能性がある。

そうなると日中を比較すると

  1. 日本は国土面積では世界第62位で、人口では11位だが、だからといって日本が地域大国の座につけないわけではない。
  2. 中国と違い、日本に国境を接する敵国はない。中国と違い、日本政府には全国規模で統治効果を心配する必要はない。
  3. また地域間で格差も心配する必要がない。日本には経済の高成長から低成長を平穏に変化させた実績もある。
  4. 日本が持つ弱点から強力な海軍力の整備が実現し、海洋通商路の保護が目標になった。また通商路の保護に当たる米国と緊密な同盟関係を整備してきた。
  5. 端的に言えば、中国はきわめて強い国であるのは事実だ。本稿では中国の経済問題が政治課題につながると示唆したつもりだ。
  6. いまのところ日本は精彩を欠いているが、その重要性は増えていく。日本に関する発言を当社が増やしていくのは日本がアジア太平洋で主導的な立場につくのと比例するはずである。■
Read the original article on Mauldin Economics. Copyright 2017.
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