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第三次大戦はこの場所から始まる: 世界は危険な場所になってきた


When World War III Happens, It Will Start In One Of These 5 Places

第三次世界大戦はこの5地点から始まる
Diplomacy is needed to calm these conflicts.
外交努力で武力衝突を回避できるか
October 12, 2019  Topic: Security  Region: World  Blog Brand: The Buzz  Tags: World War IIWorldWar IIIMilitaryTechnologyHistory

Key point: The flashpoints for future conflict already exist.引火点はもう存在している

1945年以来大国間の武力衝突は回避されてきたが、米ソ両国では数回にわたり冷戦下で危機に近づいたのも事実だ。ベルリンの壁が崩壊し20年が経過した今は超大国の交戦は事実上想像しがたい事態だ。だが中国の軍事力が増加しており、ロシアが国際秩序の受け入れをあからさまに拒否する中、大国間の軍事衝突が再度想定されるようになっている。
TNIは将来予測をここ数年続けているが2019年の現在、最も危険度が高い引火点となる地域はどこか。

南シナ海:
南シナ海(SCS)は米中両国の貿易戦争の影に隠れている。今のところ両国の対立は関税や貿易制裁の域にとどまっている。米国、カナダは中国技術系企業ファーウェイ幹部の逮捕で事態をエスカレートさせ、中国はカナダ国民や米企業への制裁で対抗した。
米中両国は貿易戦争はSCSでの対立にからめられていない。しかし、両国関係が今後悪化すれば、一方が経済行為、言葉の応酬、法的措置の枠を超える決定をしないとは限らない。仮に米中両国が通商関係を停止すれば(この関係こそ今までの世界的な経済成長の基本条件であった)、大きなリスクとなり直接武力衝突が避けられなくなる。そうなるとSCSが両国が相まみえる舞台になる可能性がある。

ウクライナ:
アゾフ海への回廊部分でウクライナ哨戒艇に実弾が発射され、海上で衝突されたあげく乗組員が抑留された事件の記憶は新しい。きっかけがロシアだったのか、ウクライナだったのかは別にしても海上事件がここ数年間の危機状況を再点火したのは事実だ。ウクライナ政府が戒厳令を敷いたのは同国内の不安定さを象徴している。
ロシアにはウクライナの選挙前に既成事実を妨害する意図はないようだ。ウクライナ政府には現状が変更されても対応する能力が欠如している。これから実施される占拠で基本条件が変わることはないだろうが、不確定性は増えるはずだ。ロシアと米国間の緊張関係が続いていることから、小規模の変動でも難しいバランスを崩すきっかけになりかねず、東欧が混乱に陥る可能性がある。

ペルシア湾:
延々と続く中東地区の政治軍事両面の危機状況から退屈で単調な状況が生まれている。イランへの経済圧力がこれから増加する。米国がより強硬な貿易制裁をとるためで、サウジアラビアがイエメンでの作戦を継続しているが一向に終息の気配はない。シリア内戦は米ロ両国がそれぞれの支持勢力や代理勢力を通じ介入し小規模ながら長く続く状況になっている。
だがゆっくりとはいえ、対立が再度拡大する可能性がある。政治的混乱がイランで続けば地域大で不安定になり、イランはもっと強硬策に走ったり、自らの敵を照準に入れるかも知れない。クルド、トルコ、シリア、イラクの間に緊張が高まればいつあからさまな武力衝突に展開しても不思議はない。又サウジアラビア国王がリスク甘受の姿勢を再び見せていることから同王国内が不安程になるとの観測もあり、いったん安定が失われば米中ロの対決に発展しかねない。

朝鮮半島:
朝鮮半島の緊張が下がってきたのは疑う余地がない。これは金正恩が核、弾道ミサイルのテストを中止したこと、ドナルド・トランプ大統領が北朝鮮への対決姿勢を緩和したことが大きい。その意味で平和継続への甘い期待が1990年代中頃に比べ格段に高くなっている。
だが落とし穴が残る。大統領は北朝鮮との合意に自らの威信をかけているが、当の北朝鮮は核兵器、弾道ミサイルの製造中止というもっとも重要な点ではまったく実行していない。大統領の補佐官には根本的な食い違いを不快に思っている。トランプが金につらくあたれば、合意内容の履行を妨げる行為が政権内に生まれれば、金がトランプに厳しい対応をすれば、米朝関係は急速に悪化する。さらに中国、日本ともに南朝鮮との関係が悪化しており、核武装した北朝鮮への受け止め方でも両国に温度差がある。つまり朝鮮半島の情勢は楽観的な見通しの逆でやはり危険なまま、さらに危険はましているということだ。

予測不可能な地域?
米陸軍大学校の大佐が問題の本質をうまく言い表している。「米国は朝鮮戦争以後の戦闘状況をすべて誤って予測してしまった。第三次大戦も例外ではないだろう」 大国は外交、軍事、政治の持てる力を自らが考える最重要な状況に集中投下する傾向がある。重要とされない武力衝突には関心が示されないことから、逆にこれが気づかないうちに深刻な対立に発展する可能性がある。破壊的な結果を呼ぶ衝突はバルト海、アゼルバイジャン、カシミール高原、はてはヴェネズエラでも発生の可能性があるが、関心を払う余裕があるのは米中ロのみだ。第三次大戦が勃発するとすれば、まったく予想外の場所からかもしれない。

結論:
世界は一年前より危険な場所になっているのか。おそらく、そうではないが、米中両国間の関係悪化が今後の前兆となる。引火点は時とともに変化する。米軍事力の優位性が揺らぐ結果、世界秩序も動揺すると近未来の世界はこれまでより危険度が高まりそうだ。■
Robert Farley, a frequent contributor to TNI, is a Visiting Professor at the United States Army War College. The views expressed are those of the author and do not necessarily reflect the official policy or position of the Department of the Army, Department of Defense, or the U.S. Government. This first appeared at the beginning of the year.

コメント

  1. ぼたんのちから2019年10月15日 10:30

    Farley教授は、第3次世界大戦の契機と成り得る地域を4つと、それ以外に予測できないどこかの計5地域を述べているが、もっと重要で危険な国があるのではなかろうか。
    それは台湾であり、習は、台湾の中国併合に関し、武力奪取の可能性を常に述べ、「中華の復興」の最終目標の一つが台湾「開放」であり、さらに空軍やミサイルのみならず、海軍の空母・駆逐艦と強襲揚陸艦の著しい増強は、ごく近い将来、危険なレベルになるだろう。
    中国の台湾侵攻は、同時に米軍の介入となり、米中戦争は、容易に第3次世界大戦に突入する可能性が高いと推測する。
    もちろん、米国が退嬰的な政策を採り、台湾から手を引けば世界大戦にならないかもしれない。しかし、この行為は米国の覇権の放棄を意味し、増長した中国は、さらに周辺国のみならず、世界中に手を出すだろう。そうなればより深刻な世界大戦の引き金になる可能性がある。
    Farley教授のあげた5地域と台湾が異なるのは、5地域は米国がうまく介入すれば、リスクを低下でき、戦争が起きたとしても限定的にすることが可能であるのに対し、台湾のリスクのかなりの部分が中国の意向によるものであり、米国のコントロールが効かず、台湾侵攻は、即座に台中全面戦争となり、米中戦争が始まるとことだ。
    このように考えるとFarley教授が台湾を外したのは、中国の台湾武力解放が口先だけと考えてのことだろう。この認識が正しいかどうかは、近い将来、恐らく10~20年後に回答が出る。

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