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6月, 2022の投稿を表示しています

イスラエルを軸にした中東湾岸の取り組みは歴史を塗り替えるか。イランの脅威を前にゆるやかな集団安全保障体制が生まれる可能性が出てきた。

  Elta Systems ベ ニー・ガンツ Benny Gantz イスラエル国防相が中東防空同盟 Middle East Air Defense Alliance (MEAD)と呼ばれる新しい地域共同防空ネットワークの存在を 6月20日 発表したが、参加国、協定の規模など詳細はほとんど明らかにしていない。 イランのミサイルやドローンの脅威に対抗するため、イスラエル製センサーを自国領土に設置する希望がある国々と協議を続けているようだ。 イスラエルとサウジアラビア、カタール、エジプト、アラブ首長国連邦、バーレーン、ヨルダンを結ぶ同協定の策定を支援する原動力は米中央軍CENTCOMだった。イスラエルは現在、エジプト、ヨルダン、UAE、バーレーンと外交関係を結んでいるが、サウジアラビアとカタールとは国交がない。 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、このグループの最初の公式会合はエジプトのリゾート地シャルムエルシェイクで行われた。イスラエル国防軍の参謀長アビブ・コハヴィ中将 Lt. Gen. Aviv Kohavi がサウジ軍参謀長ファイヤド・ビン・ハメド・アル・ルワイリ大将 Gen. Fayyadh bin Hamed Al Ruwaili と出席したという。(米中央軍の広報担当者はWSJに対し、「地域協力を強化し、わが軍と地域のパートナーを守るための統合的な防空・ミサイル防衛アーキテクチャを開発する確固たる約束を維持している」とだけ述べた)。 イスラエルの防衛関係者によると、協定は作業部会がまとめる途中だが、一般的なアイデアは、参加国が配備するすべての早期警戒センサーをつなぐ統一通信システムを構築するねらいがあるという。このシステムはCENTCOMが監督し、武装UAVや弾道ミサイル、巡航ミサイルなどの空からの脅威をリアルタイムで早期警告できるようになる。 協定が正式になれば、イスラエル製の長距離早期警戒レーダーを購入する国も出るだろう。イスラエル軍との関係が歴史的に緊張してきた各国に、イスラエルの防衛技術が入り込むわけで、状況によっては、イランの脅威よりもセンサーでエルサレムに送られるデータを気にする国もあらわれるかもしれない。(検討中のセンサーの種類は不明だが、情報筋によれば、イスラエルの Elta が開発した長距離システムが選択肢の一つだという)。 Br

ウクライナ戦の最新状況「現地時間6月29日現在) 焦点はリシチャンスクに。ウクライナ軍には厳しい状況が続く

  ロ シアのウクライナ侵攻が始まり126日目の水曜日、ウクライナ軍はリシチャンスク周辺でロシアの攻勢を鈍らせようとしている。 リシチャンスクをめぐる戦い   週末にセベロドネツクを占領して以来、ロシア軍は隣のリシチャンスクに向かい前進している。戦闘は主に市の南部と南西部の郊外で行われている。ロシア軍の進攻はウクライナ軍を局所的に包囲しようとしており、ウクライナ軍はロシア軍にできるだけ大きな犠牲を与えながら、再び秩序ある撤退を選択する可能性を示唆している。 The situation in the Donbas where the Russian forces are advancing toward Lysychansk. (ISW) 南方戦線では、ケルソン近郊でウクライナ軍の反攻が続いている。火曜日には、ウクライナ軍がケルソン北部の集落2つを奪還したと報じられた。南部でのウクライナ攻勢は、ドンバスでのロシア軍攻勢と類似している。前進は遅く、慎重で、敵の防御陣地に阻まれている。ロシア軍は南部で防衛を行い、兵員と装備の強化を続けている。 北側のハリコフ近辺では、両陣営は依然として陣取り合戦を続けており、大きな収穫はない。ロシア軍は主に、ドンバス地方を南下するロシア軍への補給線から、ウクライナ軍を砲撃圏外に追いやろうとしている。 ロシア軍の損失 ウクライナ軍は毎日、ロシア軍の死傷者数を発表している。これらの数字は公式の数字であり、個別に検証されたものではない。 しかし、西側の情報機関の評価と独立した報道は、ウクライナの主張する犠牲者の数をある程度裏付けている。例えば、オープンソースの情報研究ページ「オリックス」は、約800台のロシア戦車を破壊または捕獲したことを視覚的に検証しており、この評価は英国国防省によって確認されている。 The battlefield as of June 29. (UK MoD) ウクライナの主その他張のほとんどについても、同様に独立した検証が存在する。米国防総省は、ロシア軍が1,000両以上の戦車、数十機の戦闘機やヘリコプターを含むあらゆる種類の戦闘車両数千台を失ったことを認めた。 さらに、西側情報機関の関係者を引用した最近の報道では、ロシア軍はこれまでの戦争で最大2万人の死者を出したという。 実際の数字を確認するのは、現地にいない限り非常

NATOサミットであきらかになったこと。欧州米軍プレゼンスの強化。中国への警戒。二カ国加盟手続きの開始。安全保障はグローバルにリンクしていることを証明。

  「ステップアップする。ステップアップしている」「NATOがこれまで以上に必要とされ、これまで同様に重要であることを証明している」(ジョー・バイデン大統領) 。 N ATOは、スウェーデンとフィンランドに加盟の道を開き、新しい戦略的概念を同盟に導入し、米国がヨーロッパでのプレゼンスを劇的に変化させる様子を目にしている。 ほんの数カ月前まで、不可能とは言わないまでも、あり得ないと思われていたことが次々と起こっている。なんといっても、ロシアによる2月のウクライナ侵攻が、同盟の刷新に拍車をかけている。マドリード・サミットで各国首脳はこれを強調した。 「プーチン大統領がヨーロッパの平和を打ち砕き、ルールに基づく秩序の根幹を攻撃している今、米国と同盟国は歩み寄ろうとしている」。ジョー・バイデン米国大統領はサミットで「我々は歩み寄る」と述べた。「NATOはかつてないほど必要とされており、かつてないほど重要であることを証明している。 米国は本日、ポーランドに第5軍団本部前方司令部、陸軍駐屯地司令部、現地支援大隊からなる常駐部隊を創設することを皮切りに、大陸全体で兵力を増強すると発表した。国防総省は声明で、これを「NATOの東側における初の米軍部隊常駐」とし、「機甲旅団戦闘チーム、戦闘航空旅団、師団司令部」を含むポーランドでのローテーション部隊への支援を継続する。 国防次官補(国際安全保障担当)のセレステ・ワランダー Celeste Wallander  は記者会見で、ポーランドへの移転について「安全保障環境の変化と、米国が東側諸国への存在、訓練、活動、支援を、二国間およびNATO戦闘群(前方8カ国にある戦闘群)を通じ維持する長期能力が必要だという認識からの重大決定だ」と述べた。 その他の戦力態勢の変更は以下の通り。 ルーマニア: 米国は旅団戦闘チームのローテーションを派遣し、「2022年1月の態勢と比較して、東側陣地に旅団を追加維持する」予定。 バルト海沿岸地域: エストニア、ラトビア、リトアニアは長年、自国への常駐を希望していたが、米国はポーランドのような常駐は確約はしなかったものの、ローテーション配備を「強化」すると約束した。 スペイン: ロタに駐留する米駆逐艦を6隻に増やす。 英国: レイケンヒース空軍基地に F-35 を 2 個飛行隊配備する。 ドイツ: 米国は「防空砲

米陸軍が久しぶりに調達する軽戦車(といっても38トン)をジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズが受注成功。どんな仕様なのか

  US Army     米陸軍が久しぶりに軽戦車を採用した。これは機動防護火力車両として知られ、軽歩兵に装甲火力支援を提供する 。   冷 戦以来初めて、米陸軍は新型軽戦車を取得し、実戦配備するこ。本日、 ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ が機動性保護火力(MPF)プログラム Mobile Protected Firepower program の競作に勝利し、最大11億4000万ドルの契約を交付すると陸軍が発表した。       今回のMPF契約は、96台の初期低速生産発注に対応するもの。陸軍は、MPFの初期ロット26台で、2023年12月に一号車を引き渡し、2025年までに最初の部隊が完全装備できるよう期待している。陸軍は合計504両の新型軽戦車を購入する計画で、大部分が2035年末までに納入される。この数字に、 ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ (GDLS)が試験用に供給ずみの試作車が含まれているかどうかは不明。 General Dynamics Land Systems (GDLS)のMPF(Mobile Protected Firepower)プログラム競作への参加車両  GDLS   GDLSのMPFは、この秋ワシントンDCで開催される米国陸軍協会の年次総会で正式名称が発表される予定ですが、同社のグリフィン IIがベースになっています。主武装は105mm砲で、デモ車両の120mm砲と異なり、M1エイブラムス戦車を流用した砲塔に搭載される。火器管制システムは、M1A2のSEPv3(System Enhanced Package Version 3)を流用している。   グリフィンIIは、オーストリア・スペインのASCOD装甲車シリーズから派生したもので、英国陸軍で問題となったエイジャックス歩兵戦闘車のベースにもなっている。また、GDLSは、ブラッドレー戦闘車の後継車両を目指す陸軍のOMFV( Optionally Manned Fighting Vehicle )計画に、グリフィンIIIを候補として提示している。   陸軍の調達・兵站・技術担当ダグ・ブッシュ次官補 Doug Bush は、「MPFプログラムは、兵士のタッチポイントを利用した競争的で迅速なプロトタイプ完成という陸軍の要求に正面から応えたものです」と声明で述べていま

現実のマーベリックは朝鮮戦争でソ連MiG4機を撃墜したものの、政治影響を考慮して秘匿されてきた....

あなたの知らない戦史シリーズ(7)   朝鮮戦争で、ロイス・ウィリアムズ海軍大尉はソ連戦闘機7機と正面から戦い、生き残っただけでなく、撃墜数機を確認し戦場を後にした。 (Task & Purpose photo composite/Wikimedia Commons/U.S. Navy via Twitter).   ありえないドッグファイトは何十年も隠蔽されてきたが、伝説になっている。     朝 鮮戦争中の1952年11月18日、ロイス・ウィリアムズ海軍大尉は、所属する飛行隊VF-781の他の3人のパイロットと、日本海の荒れた空に空母USSオリスカニーから発進した。朝鮮戦争で海軍は25万回以上の出撃を行ったが、冷戦時代の緊迫した政治環境のため数十年間隠蔽されてきた戦闘は空中戦の偉業となった。   この作戦でウィリアムズは、当時最新鋭のジェット戦闘機でソ連空軍のパイロット7名と対戦し、3機撃墜を確認、1機撃墜確実が後に撃墜確認された。ウィリアムズは海軍の要請でこの事件を伏せていたが、現在、当日の行動に対し名誉勲章授与の取り組みが進められている。『トップガン マーベリック』が興行収入記録を更新し話題になっているが、これは実在したマーベリックと、ありえないようなドッグファイトの物語である。   オリスカニーは任務部隊77の一員として、北朝鮮の兵站センターを攻撃していた。その日の標的は、中国、北朝鮮、そして当時のソビエト連邦の国境が交わる鴨緑江に沿った会寧(フェリオン)市だった。そのため、各国領空を侵犯する可能性があり、危険な爆撃任務となった。   ウィリアムズはこの日2回目の任務で、グラマンF9F-5パンサーで戦闘空中哨戒として飛行していた。   1952年7月4日、北朝鮮沖で作戦中のタスクフォース77の艦艇の上を飛ぶアメリカ海軍グラマンF9F-2パンサー(戦闘機隊24(VF-24)「コルセア」所属)。 (Wikimedia Commons)   「雲を抜けると互いにランデブーし始めた」。 ウィリアムズはタスク&パーパスのインタビューで、「その時、戦闘情報センターから北からボギーが来ていると聞いた」。と回想している。   高度12,000フィート以上で雲の上に出たウィリアムズは、上空に7つの飛行機雲を発見した。MiG-15だった。   アメリカ空軍のF-86に