スキップしてメイン コンテンツに移動

Know Your Enemy: 日本の防衛力増強は軍国主義の復活だというお決まりの文句。ここで言う世界や近隣諸国ってどこのこと?

 Know Your Enemy第三回目も中国で、防衛力増強に舵を切った日本への公然たる非難ですが、お決まり文句の近隣諸国とは実は中国自体のことですよね。(当面、T2でも同じ記事を投稿していきます。ご了承下さい)

新ブログ Know Your Enemy https://knowyourenemy2022.blogspot.com/


 

今回のポイント:自らの軍事力の急拡大が日本の行動を変えた背景には目をつむり、単純に日本の防衛力増強=軍国主義復活と火をあおり、国際社会にアピールする。その間に既成事実を積み上げ、手遅れの状況を作る。一方で強い日本の出現は困る。

   

https/globalfirepower.com

 

国際社会は日本の無鉄砲に冷水を浴びせるべき 環球時報社説

 

米世論は、日本の防衛に関する最近の動きに注目を強めている。ここ数十年で最大の「軍事」改革を日本が完了しつつあると考えるアナリストが増えている。米メディアには、「日本の軍事力は、アジア太平洋の軍事パターンを覆すほど強いのか?」と問うものも出てきた。日本が第二次世界大戦後の「平和主義」を脱却しつつあるとの報道もある。報道の真意はともかく、地域諸国の警戒に値する重要な問題だと提起しているのは確かだ。

 

過去数十年間、日本は防衛分野で「控えめ」かつ「抑制的」な印象を国際社会に与えてきたが、これは日本が「ハローキティ」であることを意味するものではない。アメリカの一部メディアによると、日本のよく訓練され、よく装備された自衛隊は、世界で最も強力な軍隊の一つであるという。Global Firepower Index (GPI)で、日本は総合軍事力で世界第5位にランクされている。

 

ロシア・ウクライナ戦争の勃発は、日本国内の右翼勢力の「再軍国主義化」の野望を誘発した。日曜日、岸田文雄首相含む日本の与野党指導者がテレビで、原子力潜水艦の取得を検討すべきかを議論した。直前に、自民党から5年以内に防衛費のGDP比率を1%から2%に引き上げる提案が出た。日本は「不安」を喧伝し強調してきた。このことで日本の近隣諸国は戸惑い、不安になっている。経済発展から軍拡へ国家の重心を移してきた日本は、東アジアの平和と安定に対し最大の隠れた危険勢力になりつつある。

 

その過程で、ワシントンの放漫主義は、日本の右翼政治家に非現実的な幻想を許してきた。防衛の抜本的な転換を求める日本の動きを前に、ホワイトハウスのカート・キャンベル・インド太平洋政策調整官は、何の懸念も示していない。キャンベルは日本を「責任ある国」と評し、「遠い過去の記憶は現代の懸念を生んでいない」と述べた。ここからワシントンが日本の軍国主義を束ねてきた縄を解こうと身を乗り出す様子が見える。中国封じ込めの輪を作るために日本を利用する功利的な考え方が、地域のリスクや結果に対する懸念を圧倒している。

 

ワシントンによる全体的な作戦を考えれば、日本の右翼勢力の本当の危険性は見えなくなる。日本は世界で唯一、第二次世界大戦における侵略の歴史を公然と否定しているが、米国は自らの地政学的利得のため日本の野心へ支持を与え続けてきた。日本が中国に対し頻繁に吠え、必要であれば噛みつく能力を維持させるが、自信をもって日本を支配下に置くことを望んでいるのである。つまり、アメリカは日本が地政学的な衝突で粉々になろうが知ったことではなく、一方で日本はアメリカの身勝手さを利用して、軍事・政治上の制約を完全に解き放ち、目的を達成しようと考えており、これが危険な企てにつながっているのである。

 

現在、日本の政界全体に明晰な頭脳が不在の傾向がある。ほとんどすべての政党が、防衛力増強の必要性を主張し、「敵地攻撃」を主張する声がある。このようなシナリオは、第二次世界大戦後、一度も登場したことがない。日本社会全体の思想傾向は戦前とは大きく変化しており、軍国主義を復活させる土壌は十分ではないものの、危機を利用して、極端な主張者を刺激し、社会の制約を突破しようとする可能性は無視できない。特に、ワシントンは、世界の世論を脅かす日本の「再軍国主義化」の火を消すと同時に、日本に米国の地政学的競争の最前線に立つイニシアチブを与えている。

 

日米が何を言おうと、日本が行っているのは、地域の軍拡競争を再燃させ、地域の平和で安定した環境を崩壊させることである。歴史の傷跡は人々の心に鮮明に残っており、本当の危機が静かに迫っている。日本の軍国主義復活を防ぐためにも、地域の安全保障上のジレンマを回避するためにも、国際社会は日本の無鉄砲さに冷や水を浴びせる必要がある。■

 

 

International society should throw cold water on Japan’s foolhardiness: Global Times editorial

By Global Times

Published: Jun 21, 2022 01:08 AM

https://www.globaltimes.cn/page/202206/1268610.shtml

 


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...