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岸田平和ビジョンを発表。一方、日本周辺でのロシア軍の動きを警戒する自衛隊、安全保障環境は流動的だ

 


Newsweek

 

田文雄首相は、シンガポールで国際戦略研究所が主催のシャングリラ対話で講演し、インド太平洋地域での日本の役割に関し戦略構想を発表した。

 

 

岸田平和ビジョン

 岸田首相は、この戦略を「岸田平和ビジョン」と呼び、自由で開かれたインド太平洋に新たな展開をもたらす、ルールに基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化する、日米同盟強化に伴う日本の防衛力の高度強化により安全保障を向上させる、その他の安全保障協力の強化を図るを、5本柱として掲げるとした。また、核兵器のない世界に向け現実的な取り組みの推進、国連安保理の改革に伴う国連機能の強化、経済安全保障などの新たな政策分野での国際協力の強化など、自由で開かれた国際秩序に向けた新たな展開をもたらすとした。

 日本は対立ではなく対話による安定した国際秩序を築くと約束する一方で、「ルールを守らず、武力や脅しで他国の平和と安全を踏みにじる存在」の出現に備えなければならないと岸田首相は述べた。そのような事態を防ぐため、日本は抑止力・対処力を強化しなければならないとした。

 日本周囲の状況が厳しさを増す中、岸田首相は、日本政府は新たな国家安全保障戦略を年末に発表すると述べた。今後5年以内に日本の防衛力を強化し、防衛予算の大幅な増額を確保する決意を述べた。また、反撃能力の獲得を含むいかなる選択肢も日本は排除しないと述べたが、平和愛好国の姿勢は変えておらず、いかなる取り組みも憲法と国際法に従い行っていくことを強調した。

 岸田首相は、ウクライナを侵攻中のロシアを批判し、日本がキエフを支援し、ロシアに制裁を加えると改めて表明した。首相は、今日のウクライナ情勢は明日の東アジア情勢になり得ると警告し、オブラートに包んだ一撃を中国に加えた。中国を名指しさえしなかったが、東シナ海や南シナ海での紛争や、台湾をめぐる緊張に触れた。東シナ海では、国際法違反の一方的な現状変更の試みが続いているとした。

 質疑応答では、岸田首相は友好的な姿勢を見せた。岸田首相は、人民解放軍の何磊中将 Lt. Gen. He Leiから日中関係のビジョンについて質問を受け、日中関係は日中両国だけでなく、地域や国際社会にも重要であると述べた。岸田は責任ある行動をとり、建設的な関係を築くよう中国に呼びかけた。また、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返し、国連安保理決議に反し、核・ミサイル活動を強化しようとしていると指摘した。岸田首相は、それらの行動は「国際社会に対する明確かつ深刻な挑戦」とした。

 岸田首相は講演で、安全保障と経済の両面でインド太平洋各国を強化する日本の計画的な取り組みも語った。安全保障面では、巡視船の供与、海上法執行能力の強化、防衛装備品の提供や技術移転などを予定する。シンガポールは、日本と防衛装備品・技術移転協定を締結する国の一つ。

 

米中国防トップ会談

これに先立ち、ロイド・オースティン米国防長官は、シャングリラ対話と並行し、中国の魏鳳和国防相Gen. Wei Fengheと会談し、米中防衛関係について協議した。国防総省のニュースリリースによると、会談は30分の予定だったが、1時間弱続き、両名は主に台湾を話題にという。また、ロシアのウクライナ侵攻、北東アジアの問題、北朝鮮も話題となった。

 「オースティンとウェイ両名は、両軍の危機管理の必要性について協議した。オースティンは中国人民解放軍に対し、危機コミュニケーションと危機管理メカニズムにより積極的に参加するよう促した」と米国防総省は発表し、米国防省高官はウェイが「応えてくれた」と指摘した。

 中国国防部はこの会談について声明を発表し、その中で、中国は米国との健全で安定した主要国関係の確立を望んでいると述べ、米国は中国の発展と成長を合理的にとらえ、中国を攻撃・中傷せず、封じ込め・抑圧しようとせず、中国の内政に干渉せず、中国の利益を損なわなければならないと述べた。

 「安定した軍同士の関係は、二国間関係の発展に極めて重要であり、両軍は衝突や対立を避けるべきである」との声明を発表した。

 米国防総省は台湾について、「長官は台湾関係法の文言も読み上げ、台湾海峡の平和と安定が米国にとって『重大な懸念』であるという部分を強調した」と発表した。

「オースティンはウェイに、米国は同法が求める防衛的性格の武器を台湾に提供し続けると伝えた。また、この法律には、『米国は、台湾住民の安全を脅かす、いかなる武力行使にも抵抗できる能力を維持する』との文言も含まれている」と同関係者は続けた。

 魏鳳和は、台湾は離脱した省であり、米中関係の基礎はアメリカの「一つの中国」政策に根ざすとの北京の姿勢を繰り返した。魏は、米国が台北へ武器売却を続けることは、「中国の主権と安全保障の利益を損なう」と付け加えたと声明にある。

 

今週の日本周辺でのロシアの動き

防衛省統合幕僚監部(JSO)の報道発表によると、ロシア艦船が日本近海の国際水域で航行した。情報収集艦プリバルティカRFS Pribaltica(80)は同日午前7時、宗谷岬の北15キロの海域を西へ航行するのを目撃された。その後、ラ・ペルーズ海峡(宗谷海峡)を東に航行した。同発表によると、同艦は5月にラペルーズ海峡を西に航行していた。海上自衛隊八戸航空基地(青森県)に所属する第2航空集団のP-3Cオリオン海上哨戒機(MPA)が、ロシア艦を監視した。

 海上保安庁発表によると、プリバルティカは南下し、木曜日に北海道の奥尻島の南南西約90キロメートルを南東に航行しているのが確認された。同発表によると、同艦はその後、北海道と本州の間にある太平洋の津軽海峡を航行した。海上自衛隊の多用途支援艦「すおう」(AMS-4302)とミサイル艇「わかたか」(PG-825)、海上自衛隊八戸航空基地(青森県)に所属する第2航空集団のP-3CオリオンMPAがロシア船舶を監視した。

 金曜日、海上保安庁は、北海道根室半島の南東約170キロの海域で、ロシア海軍の駆逐艦1とフリゲート4が航行するのを発見した。駆逐艦「マーシャル・シャポシニコフ」、コルベット「RFSソベルシェヌイ」(333)、「RFSグロムキー」(335)、「RFSグレミャーシチー」(337)、「ロシア連邦の英雄アルダー・シデンツァポフ」(339)だと船体番号で特定されたと発表された。海上自衛隊の駆逐艦「ゆうだち」(DD-103)がロシア艦船を監視していたと発表にある。

 岸信夫防衛相は金曜日の記者会見で、ロシア国防省からロシア太平洋艦隊が6月3日から太平洋と千島列島近海で艦船40隻以上と航空機約20機を含む大規模演習を実施すると公表していたのを明らかにした。今回の艦船5隻は同演習に関連したものと防衛省は見ている。岸防衛相は、ロシアがウクライナ侵攻とあわせ極東で同時行動する能力を誇示しようとしていると防衛省は考え、ロシアの活動を引き続き監視していくと述べた。■

 

Japanese PM Kishida Lays Out Indo-Pacific Strategy in Shangri-La Speech - USNI News

By: Dzirhan Mahadzir

June 10, 2022 3:12 PM


コメント

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