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意味のない「勝利」でロシアに本当の苦しみが訪れる。威信のため戦い続けるプーチンはベトナム戦当時の米指導部を思わせる。

 

クライナ戦争が5ヶ月目に入り、侵攻に伴う巨額費用を正当化できるだけの勝利がロシアにあるのか、ますます見えなくなってきた。征服には対価が必要で、そうでなければ戦争は非合理的だ。しかし、わずか数カ月ながら、戦争の費用対効果を分析すると、ロシアにとってマイナスであり、悪化傾向にあるのは明らかだ。しかし、ロシアのプーチン大統領は和平交渉に無関心だ。単に威信のため、つまりロシアが大国であると証明するために、戦争を戦っているように見える。ロシアが大国であるという主張そのものをこの戦争が破壊しているのだから、皮肉だ。

壊滅させての征服が報われることはない

ウクライナ東部で、ロシアはやっと前進を始めた。領土を征服しつつある。ロシアが独立国と主張しているドンバス地方のルハンスクとドネツクを完全制圧の一歩前まで来ているようだ。また、ロシアはウクライナの海岸の大部分を支配している。プーチンは一種の「勝利」宣言が間もなく可能になるかもしれない。

しかし、これは最も基本的で鈍感な形の成功に過ぎない。ロシアが以前より少し多くの領土を支配するようになったのは事実であり、世界の土地空間が無限ではないため、領土支配はゼロサムゲームとなる。ロシアは現在、2月時点より多くの領土を支配しており、これはある種の成功だ。しかし、勝利はそれ以外では非常に限定的なものだ。

ロシアはウクライナを迅速に撃破し、場合によっては同国の大部分を占領すると期待していた。しかし、その代わりに獲得した領土は狭く、反撃に弱い。そして、征服した領土が荒廃している。ロシアは容赦なく空爆と砲撃で占領地を叩いている。物理的なインフラは破壊され、住民は殺されるか追いやられた。

これらの征服地を占領するには、反乱を防ぐために大規模な軍隊や警察が必要となるため、費用がかかるだろう。(ウクライナはナチスとソビエトに対する抵抗の温床であった)これらの空間から経済的価値を引き出すための復興にも費用がかかるだろう。世界の大半の国は、これらの征服地をロシアの領土と認めないだろう。投資や貿易はほとんど行われない。また、インフラが破壊されているため、ビジネスも阻害される。経済的に生産性の高い人々が、このような紛争が絶えない地域に移り住むこともない。年寄りや体の弱い人しか残らないだろう。

こうした征服地の存続には、すぐにロシア政府補助金が必要となる。これは、その他ロシアの「凍結された紛争」でも見られるパターンだ。費用と負担に直結する。これでは持続可能な拡大モデルではないし、対価を支払う征服でもない。

このように費用のかかる征服に加え、戦争がもたらす広範な経済的影響がある。侵略によって、ロシアは何十年も西側経済から孤立することになる。たとえガスの購入が最終的に再開されたとしても、西側諸国はロシアとの関係を徐々に断ち切っていく。欧米企業は戻ってこない。制裁措置は長引き、欧米の銀行へのアクセスはIMFなどの国際金融機関へのアクセスとあわせ急激に低下し、レジャーや教育のため欧米を訪れることは非常に難しくなり、重要な輸入品や技術は断たれ、中国依存度が急上昇する。今は実感がまだ湧かないが、中期的にはロシアの成長率は著しく低下し、頭脳流出を深刻になる。プーチンが政権を握ったままでは、ロシアはソ連並みに世界から孤立することになる。

威信のため戦争とはひどい考えだ

上に述べたように、今回の戦争はロシアにとって大失敗だ。ロシアの砲撃で空間が破壊され、その結果、未承認の征服として政治経済的に行き詰まると考えると、領土獲得の価値は低く、おそらくマイナスであろう。このような現実から、ロシアは戦争を止めるべきであり、この点についてクレムリンに異論もあるようだ。

しかし、プーチンは、戦争はもはや特定の価値ある征服のためではなく、それ自体のための勝利であることを示唆して、進めている。これは戦争をする理由としてはひどすぎる。物質的なコストバランスを無視し、名声のための勝利を追求すれば、勝ち目のない泥沼に陥ることは証明済みだ。ベトナム戦争後期のアメリカの論理に非常に近い。

ベトナム戦争では、アメリカの国家安全保障機関の多くが、妥当なコストで戦争に勝つことはできないと認識し、例えば、北ベトナムに侵攻するか核攻撃することなしでは戦争に勝てないと理解していた。ヘンリー・キッシンジャーは、1966年時点でこのように考えていたようだ。しかし、リンドン・ジョンソン大統領は、戦争に負けた最初のアメリカ大統領になりたくなかったし、後継者であるリチャード・ニクソン大統領は、つかみどころのない「名誉ある平和」を望んでいた。アメリカの信用は危機に瀕していた。

戦い続ける理由は、循環論理の中で、米国がすでに戦争状態にあったからとされた。勝利するのが重要であり、物質的、戦略的な目標を明確にできなかった。ジョンソンもニクソンも、戦争にどっぷりつかり、抜け出せないでいた。国内で大きな政治的緊張を生み、海外で同盟国を遠ざけ、経済問題に火をつけ、1970年代の問題の原因となった。

プーチンはこのジレンマに陥っているのだろう。戦争を始めたのは本人だ。勝敗は自分に跳ね返る。そして、膠着状態に陥れば、ロシアの大国としての認識が損なわれる可能性がある。戦争そのものが、ロシアの軍事力の不十分さとロシア経済にコストを蓄積させることによって、大国としてのロシアの主張を弱体化させるからだ。

米国が信頼性を高めるためベトナムで戦い続けたように、プーチンもウクライナで戦い続けることになりそうだ。戦争の物質的コストは、彼には無関係であい、最終的に悪化の一途になるだけだろう。■

The Ukraine War Is Bleeding Russia Dry - 19FortyFive

ByRobert KellyPublished23 hours ago

Dr. Robert E. Kelly (@Robert_E_Kelly; website) is a professor of international relations in the Department of Political Science at Pusan National University. Dr. Kelly is a 1945 Contributing Editor as well.


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