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2018年12月13日木曜日

☆第6世代世代機の姿を大胆に想像してみた




The F-22 and F-35 Will Be Obsolete: What Will a Sixth-Generation Fighter Look Like? F-22やF-35を旧式化させる第6世代戦闘機はどんな形になるのか

It could be a game-changer. Here's why. 戦闘の様相を一変させる可能性がある。


by Sebastien Roblin
December 11, 2018  Topic: Security Blog Brand: The Buzz  Tags: 6th Generation FighterMilitaryTechnologyWorldF-22F-35


国が開発し配備した第5世代戦闘機F-35ライトニングなどは今日の安全保障環境の根本要素であるが、数カ国.が第6世代機開発でその先に進もうとしているのも事実だ。

研究開発のペースが進んでいるが実戦体験が背景にあるわけではなく次世代機開発に数十年間が必要との予測がある中で開発に今から着手するに越したことはない。
第6世代機開発の動きは二分でき、まず米国はステルス戦闘機を開発済みであるのに対し、第5世代機開発を断念あるいは飛ばして開発する国があり、時間節約効果とともに一気に次世代技術に飛びつこうとしている。

後者にフランス、ドイツ、英国があり第6世代機FCAS及びテンペストの開発初期段階にある。ロシアはSu-57ステルス機開発は断念し第6世代機構想MiG-41迎撃機に焦点を移そうとしている。日本は国産第6世代F-3ステルス機をめざしていたが海外設計が原型の第5世代機開発に落ち着く可能性を秘めている。

米国には現在プロジェクトが二種類あり、うち空軍の「侵攻制空戦闘機」は超長距離ステルス機でステルス爆撃機の援護機で、海軍にはFX-XXがある。ボーイングロッキード・マーティンノースロップ・グラマンが第6世代機構想をそれぞれ公表している。

三番手がインド、中国で第4、第5世代戦闘機の技術要素の確保をめざしている。

ステルス性能と視界外対応ミサイル
第6世代機は構想こそ多様だが大部分が同様の技術を採用する。第5世代機での重要性能二種類が第6世代機でも重要視される。ステルス性能と長距離ミサイルだ。費用対効果に優れる防空装備にS-400などがあり、空域を広く防衛する。そのためステルス機には「接近阻止領域拒否」の空域に進入し安全な距離から敵防空網を排除する性能が求められる。さらにステルス機は非ステルス機との空中戦で大幅に有利だ。

そのためレーダー断面積を少なくしつつレーダー吸収塗装が必要になるが第6世代機ではこれだけでは不十分だ。高性能センサー技術の前にステルス機体構造も将来脆弱になるとの声がある。またステルス機体構造の進化はエイビオニクスや兵装に比べ遅い。したがってジャミング、電子戦、赤外線による敵防空網への対策が重要性を増していくだろう。

視界外射程ミサイルがカギを握るのは現在同様だ。AIM-120Dのような高性能ミサイルは100マイル先の標的を撃破できるが、相手が機動性に富む戦闘機の場合には命中率を上げるため実際にはもっと接近する必要がある。ただし、ラムジェット推進式高速空対空ミサイルの英メテオや中国のPL-15の出現で今後の戦闘ではより遠距離で敵を狙う必要が生まれるだろう。

大威力を発揮する「X線視界」パイロット用ヘルメット
F-35は高性能ヘルメット搭載画面で先陣を切り、状況認識力を大幅に上げた。主要計器情報を同時に表示しミサイル照準もヘルメット搭載の画面上で行える。(ただしミサイルのくだりは以前に実用化済み技術である)まだ未解決問題が残るもののこうしたヘルメットが将来の戦闘機で標準装備となるのは疑いなく、操縦席計器の一部に代わりそうだ。音声指示インターフェースも戦闘機パイロットの負担軽減につながりそうだ。

機体大型化と高効率エンジンの採用
陸上基地や空母がミサイル攻撃の前に脆弱になっているため、軍用機に従来より長い飛行性能が必要だ。また搭載兵装も増やす必要がある。視程範囲内ドッグファイトは今後は減る予想の空軍が多いため、操縦性より高速域の維持と搭載ペイロード増を重視してよいとの姿勢が見える。
こうした設計上の要求は高性能適応型g変動サイクルエンジンで実現しそうだ。飛行中に作動仕様を変更し高速飛行性能をターボジェットで確保するか、高バイパス比ターボファンで燃料効率を重視した低速飛行か自由変更できるエンジンのことだ。

無人操縦が基本仕様になる
これまで将来の空軍では無人機が中心になるといわれてきた。一方で無人機技術は大幅に進歩し、各国がパイロット不要の戦闘機開発を模索しはじめている。予算やリスク低減もあるが同時に価値観の問題もある。例として米海軍パイロット集団が圧力をかけステルス攻撃型無人機を給油機に変更させている。
第6世代機構想は有人無人双方で運用可能な選択型機材をめざしている。ただし、これでは高額な訓練費用が依然として必要となる欠点が残る。だが選択可能なら完全無人機部隊への移行による急激なショックが回避できるし、短期的には軍指導部もパイロットを犠牲にせずに高リスクミッション実施が可能となる。

陸海空宇宙の友軍とのセンサー融合
F-35の中核的技術革新としてセンサーデータをデータリンク介し友軍と共有する能力がある。これで「全体像」を生成し、ステルス機は敵を回避し友軍部隊は有利な地点に進出しミサイルを遠距離で発射しつつ自らのレーダーを作動させる必要がなくなる。

この戦術を使えば戦力増強効果になるので、センサー融合や協調交戦能力は第6世代機で標準となり、融合機能は衛星や無人機を介しさらに深化するのではないか。

サイバー戦、サイバーセキュリティ
センサー融合、有人操縦選択型とは第6世代機がデータリンクとネットワークに大きく依存することになり、その分ジャミングやネットワーク侵入に脆弱になることを意味する。地上配備の補給網ではF-35にALISがあり、効率面で大きな向上が期待できるが、地上機体もサイバー攻撃の前に脆弱となる。

そのため第6世代機のエイビオニクスは電子攻撃やサイバー攻撃からの回復力が求められる。だが同時に敵に同様の攻撃を与える能力も必要だ。例として空軍はネットワーク侵入でデータパッケージ(ウイルス)を置く能力のテストを繰り返し行っており、海軍が戦闘機に搭載する次世代ジャマーがまさしくこの性能を実現する。

人工知能
.一つ問題なのはセンサー、通信、兵装それぞれシステムが複雑化しヒトの頭脳の処理能力を超えてきたことだ。パイロットには機体操縦の必要がある。第四世代機では後席ウェポンシステム士官が助けてくれた。第5世代ステルス機はすべて単座機だ。

そこで各国の空軍がAI技術に注目し、複雑な操作を任せパイロットに必要な情報を整理したかたちで提示させようとしている。さらにAIと機械学習で無人機の管理が可能となろう。


無人機、無人機大量投入の技術
2016年10月、F/A-18スーパーホーネット2機でパーディックス無人機計103機を運用する試験がチャイナレイクで実施された。AIの助けを借り各無人機はイナゴの大群のように目標地点に殺到した。ひとつひとつは小型で安価だが大群をなすと恐ろしい兵器になることを実証してみせた。


将来戦力の予見で安価かつ消耗品扱いの無人機多数をネットワーク接続で運用すれば敵の防御が困難になるとの意見がある。ただし第6世代戦闘機では、大型かつ高性能無人機をセンサー偵察機や攻撃機あるいはおとりとして運用する可能性の方が高い。

指向性エネルギー兵器
敵無人機が大群で向かってきたら、あるいはミサイル、旧式機でも多数が対抗してくれば高性能ステルス機を圧倒する可能性がある。この対抗策として指向性エネルギー兵器 Directed Energy Weapons (DEWs) があり、電力供給さえ十分ならレーザーや高周波を迅速かつ正確に弾薬制約なしに照射できる。


米空軍ではDEWの機内搭載に3つの形式を想定している。低出力レーザーで敵センサーやシーカーを妨害・破壊する、中程度出力で空対空ミサイルを破壊し、高出力で機体や地上標的の破壊をめざすことだ。
第6世代戦闘機はまだ構想段階であり、費用規模が巨大になる予想の一方で現行の第5世代機の問題解決に忙殺されているのが現状だ。今後必要となる要素技術のレーザー・協調攻撃・無人運用はすでに開発が進んでいるものの、機体搭載にまとめるには相当の課題が残っている。


第6世代機の実用化は最短でも2030年代で、2040年代になってもおかしくない。航空戦の概念がそれまでにさらに変化する可能性もある。



Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

Image: Screenshot. U.S. Air Force.

2017年7月31日月曜日

★★米陸軍の考える次期主力戦車の姿


米陸軍は将来の戦闘を市街地戦が中心と見ており、取り回しの良い小型戦車を望んでいるようですが、結局あれもこれもと装備性能を追加すると重量級車両にあなってしまうのですね。エイブラムズが70トン超ですか、日本の10式は44トンということですから相当の差がありますね。艦艇や航空機と同様に今後の装備では発電容量がカギになるということでしょうか。

Vitaly V. Kuzmin - http://www.vitalykuzmin.net/?q=node/604

Milley’s Future Tank: Railguns, Robotics & Ultra-Light Armor ミリ―参謀総長の考える将来の戦車はレイルガン、ロボット工学、超軽量装甲を搭載


上写真 ロシアの新型T-14アルマータ戦車。モスクワの軍事パレードで。
NATIONAL PRESS CLUB: 戦車は時代遅れになるどころかこれからも必要だ。米国は1980年代からM1エイブラムズを稼働中だがどんな戦車が必要で、どれだけの時間の猶予がるのか。本日当地で陸軍参謀総長段階的改良でなく一気に技術革新を狙うと述べているが、新型戦車開発は長時間がかかると言いたいのだろう。
Sydney J. Freedberg Jr. photoマーク・ミリー大将
  1. 「機械化車両もかつての騎兵隊や恐竜と同じ道をたどるのか。そうは思わない。ただし自信が持てないのでこの問いを続ける」
  2. 「現在の戦車は堅牢かつ優秀だ」とM1を評した。「だが機械科歩兵部隊や戦車の基本となる新型地上車両プラットフォームが必要だ。今後25年ほどは各種車両に相当の役目が期待される」
  3. 「どんな技術が導入されるのか」とミリー大将は続けた。「まずアクティブ防御装備として電子ジャマー装置やミニミサイルで対戦車兵器を遮る。乗員数も自動砲塔の採用で減らす」となるとロシアの新型T-14アルマータと同じ発想だ。ミリー大将は米陸軍は同戦車をくわしく研究中という。「技術研究の中心は素材で、装甲そのものだ。大幅軽量化しても同じ装甲性能を実現する素材があれば画期的な技術突破口になる」
http://www.raytheon.com/capabilities/products/aps/レイセオンのQuick Kill アクティブ防御技術
  1. 「研究開発課題は他にもたくさんある」とミリー大将は述べた。たしかにそうだが陸軍や業界関係者と話すと「突破口」になる技術革新があと少しで実現すると見る向きは皆無だ。装甲材料で中程度の改良は研究中だが装甲重量を画期的に軽減する根本的な革新は見あたらない。
  2. すべての車両で重量が増える傾向だ。M1戦車が登場した1980年の重量は60トンで当時のソ連対戦車砲のほとんどに十分だったが、その後70トン近くに増えている。歩兵戦闘車両M2ブラッドレイは25トンだったが今や40トンで、BAEからは45トン型提案もある。ブラッドレイ後継車両の地上戦闘車両構想は84トンまで大型化したが予算不足の陸軍がキャンセルした。
M1エイブラムス戦車、イラクにて
  1. 陸軍は軽量車両に目を向けているが、記者が話した専門家は軽装甲を信用していない。かわりに以前なら異端といわれたトレードオフを検討している。たとえば空挺部隊用に空中投下可能な軽量戦車、あるいはブラッドレイ後継車両に現行の半分の歩兵搭載能力を与えることだ。
  2. 小型化すれば軽量化も実現し狭い市街地での取り回し性能も手に入る。ミリー大将含む陸軍上層部は将来の戦闘は市街地が舞台にすることが増えると見ているのでこれは重要な性能になる。モスルは究極の将来の小規模戦闘の姿と受け止められた。2004年のファルージャ、2008年のサドルシティでは戦車で奪回に成功したが歩兵部隊と特殊部隊との密接な連携がカギだったとミリー大将は述べた。
Army photoレーザーを搭載したストライカー。5キロワットで無人機を撃墜するのが目的だが大出力なら車両を走行不能にできる
  1. ミリー参謀総長は軽量防御を最上位の優先事項に上げるが、同時に二つの技術で装甲車両を革命的に変えるとする。一つがレイルガン含む電動兵器で電磁石で固体金属のかたまりを超音速に加速する。もう一つはレーザーで光速でエネルギーを放射する。「運動エネルギーに火薬を使う弾薬は5世紀にわたり使われている」とミリーは指摘するが、火力に別の選択肢も着実に実現しつつある。
ロッキードのATHENAレーザーで走行不能になった車両
  1. 今のところレーザー、レイルガンはともに防御兵器としての開発が主で無人機や巡航ミサイルを迅速かつ安価に撃墜する方法として注目されている。空軍特殊作戦軍団は150キロワット級レーザー砲をAC-130ガンシップに搭載し音をたてずに敵地上の車両の重要部品を焼きつぶそうとしている。今は大型機にしか搭載できない攻撃用レーザーが将来の大型地上車両に搭載される日が遠いとは限らない。
  2. もう一つの画期的な技術革新としてミリー大将があげるのが「ロボット工学の革命」だ。地上は空中や海より航行制御が困難とミリー大将は指摘したうえで、地上ロボットの登場は無人機や無人艇より遅れるが、「ゆくゆくは広範囲にロボットの導入が実現するはず」と述べた。小型で消耗品扱いの偵察ロボットが中心で、センサーまたは兵器を積み、歩兵隊の先陣を進む。ミリーは未来の戦車は運用人員を減らすため自動化を大幅に採用すると見るが選択的に完全無人自律運用にすることも視野に入るという。
  3. 「今後開発する各車両では無人有人運用の切り替えが当然となり指揮官はスイッチ一つでロボット車両にすることが可能となるでしょう」
  4. 将来の戦闘ロボット開発にはまだ多くの検討が必要だ。人工知能で戦車運用を任せられるほど発達すれば、戦闘はAIにさせて乗員は安全な本国に残れば生命の危険はなくなる。戦車内部に人間が不要となれはAIに目標を捕捉させて攻撃を任せられるのか。ペンタゴンの現在の方針では「絶対不可」であるが、ロボットが人間から「発射」命令(あるいは思考)を待つ間にそこまで慎重な態度を取らない敵勢力が先に攻撃するかもしれない。陸軍には検討すべき課題が山積しているが、国家の検討課題でもある。■

2016年10月4日火曜日

★★日本が2030年代供用開始を狙う無人ウィングマン構想を発表



自動車で自動運転(自律運転ではありません)が意外に早く実現しそうで、航空機へも波及して装備庁が考えるロードマップは加速化されるのではないでしょうか。ただし、機体やエンジンの技術開発が追いつかないとアンバランスな機体になってしまいますから結局2030年代まで待つ必要があるのかもしれません。

Aviation Week & Space Technology

Unmanned Wingmen For Japan’s Piloted Force Planned For 2030s

Japan lays out a plan for pilotless combat aircraft to help fighters
Sep 23, 2016 Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology


無人ウィングマン構想

  1. 人工知能には航空戦闘での機体操縦は攻撃任務より難易度が高い。このため自律飛行可能な軍用機開発を目指す各国は対地攻撃任務から着手するのが普通だ。
  2. だが日本人にとって無人機による攻撃はあまりにも乱暴に聞こえるので、同国の防衛企画部門は一気に空対空の自動化を提案しているのだろう。この課題を実現すべく、有人戦闘機とともに飛行し、支援する高性能無人機の提案が浮上している。パイロットの指示を前提とする。機体は戦闘支援無人機またの名を無人ウィングマンと呼ばれ、まずセンサー搭載機材として前方を飛行し、その後攻撃任務を実施するはずだ。
  3. 機体はファミリー構成で2030年代に登場するとの技術ロードマップを防衛省の外局である防衛装備庁(ATLA)が発表した。防衛省は以前にも無人ウィングマン構想を検討していたが、今回はさらに前進させている。ロードマップには弾道ミサイル防衛用の機材も2030年代に供用開始するとある。
  4. 構想では無人機を五種類に分類し、まず二型式が最も簡単な構造で小型で運搬可能な見通し線外の通信用で日本はすでに供用中だ。三番目はまだ完成していないが、衛星通信の中継用の機材で米国にはジェネラルアトミックスMQ-1、MQ-9やノースロップ・グラマンQ-4の各種がこの任務を実施している。その後に控えるのが無人戦闘航空機で最後に長時間飛行用の軽量機や太陽光動力機がある。
  5. ATLAはこの内第三種と第四種に資源を集中配分するとし、優先順位がミサイル防衛と航空戦闘にあることがわかる。
  6. 同庁はこのうちBMD用途の無人機が武装するか明らかにしていない。むしろセンサー搭載機として2007年にテスト済みのエアボスシステムから赤外線探知機を派生させるようだ。ATLA作成のロードマップでは高高度長時間運用の機材に典型的な機体構造を示しており、極端に細い主翼とプロペラ推進式双発構造のようで、ボーイングが1980年代末に開発したコンドルに類似している。センサーは機首上部のタレットに搭載している。
  7. 防衛省技術研究本部(TRDI)が無人ウィングマン構想を検討開始してから少なくとも6年経過している。同本部はその後、2040年代に供用開始で、提国産新型戦闘機F-3の性能向上型と一緒に運用するとしていた。F-3初期型は2030年ごろに供用開始の見込みだ。
  8. ATLAは「高度自律飛行技術による無人ウィングマンがF-3で利用可能となるのは15年から20年後」と見ているが、2035年より前には実用化にならないだろう。と言うのは同庁が技術実証を2029年から2033年になるとの見込みを出しているからだ。F-3に無人ウィングマンとの共同運用に向けた改修が必要となる。
  9. 無人ウィングマンの最初の型式はセンサー機だろう。ATLA発表の概念図では戦闘機の前方を飛行し、データリンクを確立するとしている。この実現は15年から20年後だろう。
Japanese defense ministry concept of unmanned wingmen aircraft
防衛省が想定する無人ウィングマン編隊は敵ミサイルをおびき出し、敵標的を探知する Source: Japanese Defense Ministry

  1. 20年以上先に二番目の機種が同じ機体とエンジンを共有し武装運用可能な機体として登場するだろう。また20年後にはセンサー搭載型は敵ミサイルを吸収するスポンジの役目を果たすはずだ。センサー搭載型のウィングマンは敵ミサイルの価格を上回るので、敵ミサイルの命中を受けることは受け入れがたい。ATLAはスポンジ任務で敵攻撃を不調に終わらす構想で機体操縦制御とともに電磁対抗措置を活用する。
  2. ATLAは無人ウィングマンの構想図を二通り公表している。一つは広胴で主翼が胴体と一体化されており、45度から50度の後退角がつく。もう一つの構想図は全長が細長く、後退角は60度と高速機のようだが、機首近くについたポッドで抗力が大きく、ステルス性は乏しいようだ。レーダー搭載ポッドだろう。これは明らかにセンサー搭載専用機材だ。
  3. これに対し無人ウィングマンはF-3パイロットが制御しつつ、単独戦術行動が可能となるだろう。パイロットはおそらく一般的な指示で探査あるいは攻撃すべき場所を与えると無人機が自動的に最適行動をとるのだろう。また有人機では不可能な仕事もこなすと防衛装備庁は説明しており、人体が耐えられない高G操縦で敵ミサイル攻撃に対応できる。
  4. 探査から攻撃、さらに回避行動まで取らせるのは日本国外での無人機の発展と同様で人工知能技術の向上で飛行行動の選択肢の広がりを期待しているのだろう。
Japanese defense ministry concept of unmanned aircraft for ballistic missile defense.
弾道ミサイル探知用の無人機は2030年代に実用化されるとみられる。 Source: Japanese Defense Ministry

  1. Saabは選択式に有人操縦となるグリペンE/Fが現在の高度維持自動機能や自動航法から「基本航空移動性能」や離着陸まで自動化できるように進展するとの技術推移の姿を公表している。その後に同戦闘機は自律運用で基本飛行制御をこなし、編隊長(有人機)から一定の位置を維持したまま飛行できるようになる。この考えは日本が無人ウィングマンにセンサー任務を期待するのと同じだ。
  2. 次の段階にはSaabはローリングやルーピングのような高等操縦、さらに編隊長に合わせた戦術旋回飛行があるとしている。そして最終段階は最も困難な視程外戦闘で例としてクランキングやパンピングがある。日本も無人機による敵機攻撃や敵ミサイルをおびき寄せ回避する想定で同様の飛行性能を想定しているはずだ。
  3. 無人ウィングマンの動力、推進系の研究は2019年度(平成31年度)から始まる。日本がねらう技術は高びんしょう性、メタ素材(天然には存在しない特性)によるステルス性、機体の変形技術とバイスタティック方式レーダーだろう。
  4. このレーダー技術では送信機と受信する機体は別になるが、防衛装備庁は具体的な運用方法を述べていない。可能性としてはセンサー任務のウィングマンが発信し攻撃任務のウィングマンが受信役にまわるのだろう。有人機が受信するか、無人機の後方から安全に発信して無人機に気づかれないように接近させ敵撃墜を狙うことも可能だろう。
  5. F-3の作戦行動半径は無人ウィングマン機をはるかに上回りそうだ。センサー任務の無人機は大型機になるだろうが、運用上は戦闘空域の近隣で運用させるか、空中発射とすればよい。ATLAは2011年にジェット推進式無人機の開発を完了したと述べており、空中発射式で滑走路に着陸できるとしていた。F-15Jは二機を搭載でき、各機は自重750キロだ。
  6. 別の方法は空中給油をミッションごとに数回繰り返すことだ。疲労を覚えるパイロットがいないことで無人機は戦闘空域に何回も往復移動して短時間しか戦闘空域に留まれない欠点を補うのだろう。
  7. F-3構想の最新版は2014年に改定され長距離飛行と大武装を重視する一方で機敏な操縦性は犠牲にしている。
  8. F-15から発射する無人偵察機は富士重工業が製造し、日本では同社が無人機では主導的なメーカーだ。無人ウィングマンの製造でも同社が有利な立場になるとみられる。対抗する三菱重工業が戦闘機の製造では高い知見を有する。■


2016年4月6日水曜日

人体強化兵士、人工知能兵器の可能性について国防副長官の見解は....


 
この話題は以前からお伝えしていますが、背景には西側とは異なる倫理観を持つロシア、中国が人体改造を行っているのではとの危惧があるのでしょうね。それとは別に文中で指摘されているような生物兵器による食糧生産の妨害や水資源の汚染という現実的な課題もあるのでしょう。遺伝子操作とまでいかなくてもエクソスケルトンのような補装具が現実のものとなっている今、軍の兵力が人体の限界から解放される日が近づいているのかもしれません。一方でAIの進展が今後の戦場をどう変えるのかが注目されます。
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By COLIN CLARK on March 30, 2016 at 5:37 PM

Terminator army Credit: Warner Bros.Terminator army Credit: Warner Bros.
WASHINGTON: 米軍上層部は遺伝子操作による人体強化および人工知能を備えたマシンの二つが一番悩ましい政策内容だと認めている。
  1. 国防副長官ボブ・ワークはこの問題を把握しており、米国は人工知能兵器やその他自動化装備による殺傷は認めないと語っている。ただし人体の遺伝子操作を米軍が実施するかについては言葉を濁し、「実施すれば物議をかもすだろう」とだけ述べた。
  2. ワシントンポストの人気コラムニスト、デイヴィッド・イグナシウスから敵がロボットに強力な威力を与えることを躊躇しないとしたら米国はどう対抗するのかと聞かれたワーク副長官は「人体機能支援」と「人体機能強化」の違いを説明することであいまいな答えに終始した。前者はコンピュータやセンサーで人体機能を引き上げること、後者は遺伝子改良された人体のことだという。「今のところ、人体機能支援の範囲で考えている」とワークは答えた。
  3. DARPAの案件をチェックすれば、生物工学部などで最先端のプロジェクトがあり、改良型人体につながる要素が見えてくるはずだ。
  4. たとえばDARPAによる複雑環境下での生体頑強度実現 Biological Robustness in Complex Settings (BRICS) 研究の主眼は以下の通りとしている。
  5. 「各種技術と技法を開発し、遺伝物質の迅速な処理、合成、操作を行うことで、合成生物学の熟成化加速に成功した。合成生物学の応用分野にはオンデマンドによる新薬、燃料、表面塗装剤で生物学的生産を行い、微生物レベルの操作でヒトの健康維持、疾病の予防あるいは治療を可能にすることが考えられる
  6. 「もし上述の応用が実現すれば、生体上の頑健度や工学操作した生体の安定度が実現する一方で生体の安全の維持向上につながる。本事業は技術開発を促進し、工学操作した生命体の安全な応用での前提条件を形成することであるが、国防総省が関心を有する全領域での応用が必要で、まずは実験室の制御された条件において成立させる」
  7. 遺伝子工学が浮上してきたのは米国にとって生物兵器が最上位の脅威になっているからだろう (国内の農業生産が目標となるのか、国民あるいは水資源が狙われる可能性がある) 敵のこのような攻撃に対して人員を防護するためには反作用薬や遺伝子強化を組み込んだ特効薬の素早い生産が必要になる。
  8. もちろん補装具を開発すれば今以上の体力や耐久力、スピードを有するヒトを遺伝子操作がなくても実現できる。
  9. ワーク副長官の発言のに先立ち統合参謀本部副議長ポール・セルヴァ大将は映画ターミネーター問題 the Terminator Conundrumと発言している。
  10. 記者はセルヴァ大将にこの問題を1月に尋ねており、本人はこう言っていた。
  11. 「どこで一線を超えるのか、だれがまず一線を超えるのか」とセルヴァ大将は人体へのマイクロエレクトロニクス埋込みの可能性について述べている。「人体改造はどの時点で許されるか。まただれがこれを一番早く実施するのか。これは本当に困難な倫理上の問題だ」と国際的な議論が必要だとし、本人は明らかにジュネーブ条約の改正あるいは追加または全く新しい国際合意の形成を考えていた。
  12. ボブ・ワーク副長官はそんな議論を歓迎しそうだ。■

2016年3月1日火曜日

★米海軍研究部門が明かした新技術開発の最新状況



大脳生理学、学習機能、認知科学と来ましたか。電子技術と医学が融合していくようです。その先には全く違う戦争の在り方が待っているのでしょうか。指向性エネルギー兵器は相当の進展を示していることがうかがえますが、人工知能も同様のようですね。やはり軍用技術が民生技術をリードする形になるのか、民生と軍用の境目がなくなるのか、今後も注目です。
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ONR Winter to Congress: Navy Making Progress on Developing High-Energy Laser Weapons

By: John Grady
February 25, 2016 9:33 AM

高エネルギーレーザー兵器が「大きく進展を示している」と海軍研究部門トップが下院軍事委員会新規脅威対応戦力整備小委員会で2月24日に証言している。

  1. マシアス・ウィンター少将は各軍と国防総省が緊密に連携し効率よく作業が進展していると述べた。ただし、海中での指向性エネルギー利用など海軍特有の課題があると認めた。
  2. 冒頭声明で少将は「技術、戦術を戦略に結び付けることが必須」と海軍での研究内容の性格を述べた。高エネルギーレーザー兵器の例では30キロワット級を150キロワットに拡大する作業が海軍と海兵隊向けに進行中と紹介している。
  3. 海軍は国防高等研究プロジェクト庁と共同で無人水中艇、水上艇を開発中でこれが委員会の関心を呼んだ。DARPA長官アラティ・プラバカーが概要を紹介し、ウィンター少将は無人水中艇をサンディエゴからサンフランシスコまで今年中に試験航行させると述べている。
  4. 国防次官補スティーブン・ウェルビー(研究技術開発担当)は一連の作業をペンタゴンが進める「第三相殺」戦略の一部と述べ、米国の優位性を維持するのが目的と説明した。第三相殺戦略は米国の将来の戦闘能力の「目標」であり、「米国が優位性を維持していく」ことだと述べた。
  5. ウェルビーはこれからの20年間を展望すると「まだよちよち歩きだが根本的な変化」が無人装備の自律運用能力で実現すると発言。
  6. ウィンター少将は自律運用に関し、「今はまだ初歩段階」と述べたが、「大脳生理学に基づく学習機能のモデル化」に期待し、認知人工知能の実用化が近づいていると述べた。
  7. プラバカール長官は「社会行動への理解が根本的に変わる」と予見し、武力紛争の認識自体が変わると述べた。
  8. ウェルビーは「生物学を技術に応用し」製造方法や無限のエネルギー供給など国防総省が「波を乗りこなす」努力を目指していると語った。■