スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

2022の投稿を表示しています

米海軍の原子力潜水艦部隊は水中戦など軽視してきた分野で実力をふたたび涵養できるか

    米海軍は、原子力潜水艦の運用と安全性で卓越した能力を手に入れたが、水中戦と航海術を犠牲にしてきた   米海軍の原子力潜水艦は、深刻な紛争になればディーゼル電気潜水艦と対戦する可能性があり、両形式の戦闘能力を比較することが不可欠だと思われる。潜水艦の技術的な優位性(ハード面)を比較することは有効だが、乗組員の相対的な能力(ソフト面)は無視できない。   米海軍潜水艦の士官は全員、原子力推進システムエンジニアとして訓練される。海軍原子力推進学校で6カ月、その後、稼働中の原子力炉で6カ月と米国で最も厳しい学習プログラムとして広く知られている。  原子力訓練が終了すると、士官は12週間の潜水艦士官基礎課程に入り、潜水艦の運用、航海、水中戦の訓練を受ける。   潜水艦に残るためには、原子力推進主任技師の資格を取得し、原子力推進技師と戦闘員の両方の能力を維持する必要がある。この結果、士官は原子力推進システムの訓練(操作と負傷者対応)に時間の半分(あるいはそれ以上)を費やし、乗組員体は艦上演習の半分(おそらくそれ以上)を推進システム損傷対応訓練に費やすことになる。米海軍は原子力システムの安全性を非常に重視している。  しかし、このような原子力運用と安全に関する訓練が航海や戦闘の訓練時間を奪ってしまう。海底環境での作業は、科学と同じくらい芸術的だ。海洋の塩分、水温、海底の輪郭、音の伝搬、ソナー操作、武器設定、戦闘情報システムなどを理解するには、非常に高いスキルが必要で、それ自体がフルタイムの仕事となる。このような環境での活動に不備があれば、平時の作戦でも深刻な結果を招き、戦時だとはるかに悪い結果を招く。  原子力工学と潜水艦戦の戦術と航法の両方の能力を維持するには、どうすればよいのか。実際の戦時シナリオ米海軍は原子力の運用と安全性において卓越した能力を手に入れたが、水中戦と航海術の能力を犠牲にしていると申し上げたい。  これは、すべての米軍潜水艦将校にとってフラストレーションのたまるジレンマであり、潜水艦部隊の保持問題に大きく関与している。米国が潜水艦艦隊を拡大しようとするなら、訓練済み人材の離脱を減らす必要がある。  プロフェッショナルたるもの、1)自分のスキルに見合った十分な報酬を得たい、2)自分の仕事をうまくやり遂げたい、と思うものだ。海軍は、年次ボーナスで前者の問題

2023年の展望① 次の大規模紛争の発生地点はどこか

  (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Justin McTaggart)   2 022年、世界は大国間戦争へ冷戦終結後でもっとも近づいた。   ロシアはウクライナへ本格侵攻を開始し、即座に制裁とキーウへの軍事支援の組み合わせを生んだ。春までに、米国と同盟国は、ロシア兵士の死、ロシアの軍事設備の破壊、ロシア経済の長期的な悪化を招く政策を進めていた。この戦争は世界にも波及し、これまで静かにくすぶっていた紛争の利害関係を劇的に増大させた。  以下、「第三次世界大戦」が発生する危険性が最も高い5地点だ。    ウクライナ ウクライナ戦争が膠着状態に陥ったことで、ロシアが低迷する戦況を立て直すため核兵器を使用する懸念は夏よりは減少したように思われる。しかし、エスカレートの懸念は依然残っている。ロシアが進展しないことで、プーチン政権の安定が脅かされ、モスクワが危険な選択を考えるようになる可能性がある。長期的な継戦能力への懸念のため、キーウに膠着状態を打破するため危険な手段を取らせるかもしれない。   NATOへの戦争拡大はありえないが可能性はある。ロシアの核兵器使用は考えられないが、まったく不可能というわけでもない。  バイデン政権とヨーロッパ同盟国はエスカレーションのリスクに細心の注意を払っているものの、ワシントンがすべてのカードを握っているわけではない。キーウとモスクワのいずれかが、より広範な紛争、すなわち第三次世界大戦に発展しかねない紛争のリスクを受け入れるかもしれない。   台湾 台湾と中国の間で戦争が直ちに起こる懸念は、中国の壊滅的な伝染病の影響で、ここ数ヶ月わずかながら薄れてきている。しかし、両岸の緊張が依然大きいことに疑いの余地はない。バイデン政権が台湾防衛で危険な修辞的立場を取るのを厭わないのは、ワシントンが中国の攻撃の見通しに対し真の懸念を抱いていることを示している。同時に、こうした発言(およびナンシー・ペロシ下院議長の台北訪問のような賢明でない演出)は、中国のエスカレーションを誘発する危険性がある。  中国の紛争準備は誰の目にも明らかであるため、戦争の警告を受けると信じるに足る理由がある。しかし、最終的に米国や日本も巻き込んだ大国間戦争になる可能性が高い。   ギリシャ-

日本が建造を目指す次期イージス艦ASEVsは主に北朝鮮を視野に日本海で展開する構想。米国から注目が集まる

  Japan Ministry of Defense イージス・アショア陸上施設2箇所の建造を中止した日本はミサイル防衛専用艦を建造し、レーダーと迎撃能力を強化し配備する   防 衛省は12月23日、2023年度予算で概算要求を発表し、弾道ミサイル防衛(BMD)艦関連で新しい内容が含まれている。日本政府は、特に好戦的な北朝鮮の弾道ミサイルへ効果の高い防御手段として、中止されたイージス・アショアBMD施設の代わりとなる専用艦2隻を建造する。発表には、新級艦船に求める内容を示す、公式コンセプトアートが含まれている。 Naval NewsとUSNI NewsのSam LaGroneがまっさきに報告しているが、防衛省(MoD)は予算要求で、現在の多任務イージス搭載駆逐艦を別任務に活用できるようイージスシステム搭載艦 Aegis system-equipped vessels(ASEV)2隻の建造の必要性を強調している。また、弾道ミサイルに加え、極超音速兵器の脅威にも対応可能な実用性と能力を備えた艦艇の開発を優先すると強調している。 2022年11月18日、ソウル駅で、北朝鮮のミサイル発射実験のニュースを見る男性。Credit: ANTHONY WALLACE/AFP via Getty Images Credit: ANTHONY WALLACE/AFP via Getty Images 日本の陸上イージス・アショア構想は、施設2箇所で、弾道ミサイルから包括的に防衛する構想だったが、予算、技術、レーダー照射の健康への影響への国民の反発で、2020年に正式に中止とされた。ASEVは日本のミサイル防衛の懸念に、その大体としてより柔軟で間違いなく生存可能な解決策として導入される。 将来のASEVの仕様の詳細はまだ不明で、MoD報告書は具体的な数値を含んでいない。しかし、The War Zoneは過去に、艦の最終的な大きさの一般的なアイデアを伝えた日本の地元ニュースアウトレットを引用して伝えている。日本経済新聞は、ASEVは全長約690フィート、幅約130フィートになる見込みと報じている。 他の報道では、ASEVは日本のまや級のイージス駆逐艦にもっと近いものになると示唆されている。日本経済新聞のASEVに関するデータと比較すれば、まや級より全長が100フィート以上大きく、幅は57

2022年、米海軍の一年

アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦USSスプルーアンス(DDG-111)の乗組員が、2022年6月4日ミッドウェー海戦への敬意を表す式典で、電子攻撃飛行隊(VAQ)133の「ウィザード」所属のEA-18Gグローラー2機がフライバイする中、国歌斉唱し国旗へ敬礼した。 US Navy Photo この記事は、2022年の米海軍トップストーリーを振り返るシリーズの一部。 今 年の米海軍はインド太平洋地域でのプレゼンス重視と、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、欧州での継続的な抑止任務の必要性とのバランスを取ろうとした。 ロシアがウクライナ侵攻を続ける中、米第6艦隊の安定したプレゼンスにより、海軍艦艇は今年、域内全体でNATOや他のヨーロッパ同盟国と演習や作戦行動を行った。 また、今年は戦争の影響もあり、中東での空母運用と一線を画す年となった。 新型空母USSジェラルド・R・フォード Gerald R. Ford (CVN-78)は、初の運用ストレステストに出港し、搭載する新システムを駆使し大西洋全域の同盟国やパートナーと訓練を行い、初めて海外寄港した。 整備面では、海軍は依然として潜水艦整備の滞りに苦労しており、ヴァージニア州ニューポートニューズ造船所ではUSSジョージ・ワシントン(CVN-73)の供用期間中燃料補給とオーバーホールは予定より19ヶ月近く遅れている。 ニミッツ級空母USSカール・ヴィンソン(CVN-70)とUSSニミッツ(CVN-68)が2022年2月13日に太平洋を航行した。米海軍写真 インド太平洋 海軍は今年もインド太平洋地域で空母プレゼンスを維持した。 2021年初め、USSカール・ヴィンソン(CVN-70)は西太平洋で活動していた。同空母は、海軍向けF-35CライトニングII共用打撃戦闘機とCMV-22Bオスプレイを搭載した第5世代空母航空団として、インド太平洋へ展開した。 1月下旬に南シナ海での作戦行動中、ヴィンソン搭載の航空団のF-35Cがランプストライクで甲板端に乗り上げた。パイロットは無事脱出し、その後、海軍の引き揚げ作業員が南シナ海でF-35Cを回収した。 「事故が起こったとき、我々は着陸する必要のある航空機を追加空輸していた。そのため、訓練が再開できた。ワイヤー4本をすべて交換しなければならず、飛行甲板の全員(航空団員も含めて)が緊

歴史に残る機体(35)EA-6プラウラーはグラマン艦載機最後を飾り、文字通り縁の下の力持ちとなった電子支援機材として重宝された。

  歴史に残る機材32 グラマンA-6イントルーダーの系譜は、60年にわたる供用を経て終焉を迎えた E A-6Bプラウラーは、同型機の最後の運用者となった海兵隊が正式に退役させた。米海軍が同機を2015年7月に退役させて、終焉の日はじわじわと近づいていた。プラウラーの退場は、 グラマン のA-6イントルーダー・ファミリーの60年にわたる信じられないほど成功した実績の終わりを意味する。 すべてはYA2F-1に始まり、推力ベクトルノズルと、設計時(1950年代)には高度なコンピュータシステムを備えた、非常に野心的な空母艦載攻撃機だった。同機は1960年に初飛行し、その後A-6イントルーダーへ改良された。同機は、非常に大量の爆弾を搭載し、悪天候や夜間でも超低空飛行で敵地深くまで侵攻する、信じられないほどの攻撃力と正確さを備えた核搭載可能攻撃機であった。A-6は1963年に就役し、10年間ベトナムで戦い、その後、リビア、イラクなどで活躍した グラマンと海軍は、このイントルーダーから、敵防空レーダーを妨害するイントルーダーの電子戦型EA-6Aを短期間で誕生させた。この機体はわずか28機しか製造されず、1963年に初飛行した。しかし、コンセプトは成功し、ベトナムの危険な空で苦労して学んだ教訓も手伝い、4人乗りEA-6Bイントルーダーの再設計につながった。1968年に初飛行、1971年に就役した空母搭載可能な電子戦専用ジェット機である EA-6A prototype., USN EA-6Bは海軍と米海兵隊で48年間にわたり活躍し、その性能と必要性は増す一方だった。1998年に米空軍のEF-111レイヴンが退役すると、EA-6Bはアメリカの空軍力での電子戦支援で唯一の機体となり、同機以外には空軍のEC-130Hコンパス・コールが限られた能力を提供するだけだった。  EA-6A and EA-6B side by side. , USN 時代が進むにつれて、プラウラーの技はより多くなっていった。プラウラーはAGM-88高速対レーダーミサイル(HARM)を発射し防空体制制圧を支援し、ALQ-99ジャミングポッドで電子妨害支援も可能になった。EA-6Bの電子戦装備は、通信システムの妨害にも使用され、プラウラー・コミュニティは、イラクとアフガニスタンのアメリカ軍と同盟軍の地上部隊に恐怖をも