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ウクライナからのA-10供与要請が開戦直後に米国に出ていた。ペンタゴンは応じなかったが、実現していれば....

 


 

Ukraine Asked For 100 A-10 Warthogs Just Weeks After Russia’s Invasion

USAF

 

オースティン国防長官は、ウクライナからのA-10型100機提供の要請を、非現実的とし、同機は脆弱と却下していた

 

 

クライナのオレクシー・レズニコフOleksii Reznikov国防相は、ロシアによる2月の全面侵攻から数週間後に、ロイド・オースティン国防長官に、地上攻撃機A-10ウォートグ100機を直接要請していたと語っている。その際、オースティンは、要求は実現不可能であるばかりか、ロシア防空網に危険なほど脆弱であるとし、あからさまに拒否したと言う。

 レズニコフのコメントは、ワシントン・ポストが本日未明に掲載した、過去8ヶ月にわたるウクライナ軍向け米軍援助の規模、範囲、展開に関する詳細記事の一部で、全文を読む価値がある。この間、ウクライナに送る兵器システムやその他装備に関するアメリカ政府の立場は大きく変化し、最近は地対空ミサイルシステムのペイトリオット砲台を譲渡する決定をしたが、アメリカ当局者は固定翼戦闘機の送付には慎重なままだ。

 レズニコフは、3月下旬のオースティンとの会談でA-10を要請した理由について、「大量の爆弾を運搬できるし、(ロシアの)戦車隊にも使える」とワシントンポストに語っている。  ウォートグは、30mm GAU-8/A アベンジャー回転バレル砲に加え、8本の翼下パイロンと中央胴体下の3本のパイロンに、各種ミサイル、精密誘導爆弾、「ダム」爆弾、ロケット弾、その他を搭載できる。

 

30mmGAU-8/Aアヴェンジャー回転バレル砲を発射する地上攻撃機A-10ウォートグ。 USAF

 

 

3月、首都キエフの北西40マイルの道路でロシアの大規模な機械化部隊が停滞しているのが明らかになるや、米国では議員を含め、ウクライナへのA-10送付を支持する国民が急増した。戦車や重装甲車、大砲など支援車両でいっぱいの隊列は極めて脆弱に見えたため、ウクライナ軍の攻撃をどう支援できるかが議論されていた。

 レズニコフは、「ウクライナ政府は、公開情報をもとに、100機のA-10が余剰であると結論づけた」という。この情報は、アリゾナ州のデービスモンサン空軍基地に保管中機材である可能性が高い。

 11月時点で、49機のA-10Aと51機のA-10Cの合計100機のウォートグがボーンヤードに保管されていた。しかし、機体の多く、特にA型は、長年にわたりスペアパーツとりで共食いしてきたため、飛行不可能な状態だ。アメリカ空軍は、A-10Cを281機保有し、現役飛行隊と空軍予備軍、空軍州兵部隊に配属されている。ウォートグは1984年で生産終了している。

 

 

ボーンヤードのA-10。 USAF / J.M. Eddins Jr

 

 レズニコフによれば、オースティンはウクライナのウォートグ要請を「不可能」「意味がない」と一蹴し、同機はロシア防空の「格好のターゲット」になると述べたという。

 レズニコフは、「理解できた。合理的だ。私はOKを出した」。

 その後、ソ連時代の戦闘機を派遣する可能性について、各国当局者が非常に公に悩んだが、どれも実現していない。米国と同盟国協力国は、ウクライナ空軍が保有中の戦闘機を支援するため予備部品を送ってきた。この支援は、数カ月の激戦の後も空軍運用を続けるのに役立っている。

 米軍はまた、ウクライナのMiG-29フルクラムとSu-27フランカー戦闘機にAGM-88高速対レーダーミサイル(HARM)を搭載することにも大きく貢献した。これによって、ウクライナ戦闘機はロシア防空体制と交戦するため重要な追加能力を手に入れた。今週、米国防総省はウクライナ軍に「精密空中弾」を譲渡する計画を発表した。報告によれば、GPS利用の統合直接攻撃弾(JDAM)誘導キットを装着した爆弾になるという。

 レズニコフ含むウクライナ当局が3月以降、A-10の要請を再検討したかどうかは不明だ。7月、アスペン安全保障フォーラムで質問に答えたフランク・ケンドール米空軍長官は、ウクライナにウォートグを送ることは可能だと示唆したが、9月にその発言を撤回した。

 ケンドール発言後の7月には、レズニコフの顧問ユーリイ・サクYuriy Sakが、ウクライナ空軍はA-10ではなく、米国製F-16バイパー戦闘機など、高性能の多用途戦闘機を必要としている、と発言していた。彼は、ウォートグでは「爆撃機やミサイルを止めない」、「ロシアのジェット戦闘機や対空防衛の標的になる だけだ」と明言している。

 本日のワシントン・ポスト記事には、米国当局はウクライナのMQ-1C正式要請も否定したとある。

 8月には、ウクライナ軍のメンバーが、市販のコンピュータ、ソフトウェア、バーチャルリアリティヘッドセットなど周辺機器を使って、A-10シミュレータのトレーニングセンターを設立したとの報告があった。しかし、米空軍第355訓練飛行隊のA-10パイロット向けの低コスト訓練に倣ったこの事業が、どの程度正式なかは当時は明らかでなかった。その時点で、ウクライナ空軍にウォートグを提供する案が活発に議論されている兆候はなかった。

 欧米の固定翼戦闘機のウクライナ供与に対するアメリカ政府の長年の立場は、当面変わらないようだ。米国政府関係者は、このような輸送はワシントンとモスクワの間の直接的な緊張を激化させる深刻なリスクとなり、さらに長期訓練が必要でウクライナ軍に潜在的な利益以上の負担を課すことになると主張してきた。

 また、このような航空機がロシアの奥深くを攻撃を行う可能性など、その他の問題も要因に考えられる。バイデン政権は、モスクワとの摩擦が大きくなることを恐れ、慎重である。

 さらに、米空軍はA-10を5年以内に完全に退役させる計画の一環として、A-10削減を積極的に推進中だ。老朽化した戦闘機は、現在ウクライナで行われているような高度な通常戦闘に適さないというのが理由だ。議会は、数十年にわたり阻止してきたが、今やこの案を承認している。

 

飛行中のA-10  USAF

 

 

 A-10売却で、ウクライナや他国への譲渡が新たな議論になるかはわからない。しかし、ウクライナ空軍が現在使用中のソ連時代の地上攻撃機Su-25フロッグフットに代わる、高度かつ生存性の高い機体を提供できる。また、A-10に搭載される弾薬によっては、スタンドオフ攻撃プラットフォームとして使用することも可能だ。

 いずれにせよ、現在のウクライナ紛争は、最終的に同国空軍がソ連時代の戦闘機から近代的な西側タイプへの移行するにつながり、プロセスは遅かれ早かれ開始されるべきというコンセンサスが形成されてきた。

 レズニコフのワシントンポストインタビューや、3月以降の米・ウクライナ当局者のコメントから、ウクライナ空軍の再編成計画にA-10ウォートッグが含まれる可能性はますます低くなっているようだ。■

 

Ukraine Asked For 100 A-10 Warthogs Just Weeks After Russia's Invasion

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED DEC 23, 2022 3:43 PM

THE WAR ZONE


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