ラベル CBARS の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル CBARS の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年1月11日木曜日

ボーイングMQ-25をセントルイスで撮影に成功、機体の特徴が判明

新しい機体が好きな人にはたまらないでしょうね。離陸前にこの機体に目が行き、慌ててカメラを使ったようで写真は粗いものがありますが、十分特徴が分かります。本人の興奮が伝わってくる写真ではありませんか。ただし、せっかく分析しても米海軍に採用されなかったおしまいですけどね。同機は別の形に進化する可能性もあるのではないでしょうか。


Exclusive: New Photos Of Boeing's MQ-25 Tanker Drone On The Ramp In St. Louis ボーイングMQ-25無人給油機をセントルイスで激写

The images give us our first view of the entire aircraft, as well as a sense of its overall scale. 同機の全体像が初めて明らかになったのと機体の大きさもわかる


JEREMY MCGOUGH
 BY TYLER ROGOWAY JANUARY 9, 2018
ボーイングMQ-25スティングレイ空母搭載無人空中給油システム(CBARS)の進展はこれまでお伝えしている通りだ。機体正面の写真一枚が2017年12月19日に公開されその後ボーイングは短い映像でいろいろな角度で撮影したショットを慎重に編集して公開した。この映像で重要な点も分かったが同機の全体像はうかがい知れなかったし、機体の大きさも推定できなかった。今回読者の一人が同機の全体像が提供され、これまで不明だった大きさの感覚もわかってきた。
 ジェレミー・マクガウはセントルイスのランバートフィールドを今朝離陸する途中でボーイングディフェンスの広大な工場前のエプロン上に奇妙な機体に気づいた。早速数枚をスナップ撮影しこちらに送ってくれ機体がボーイングのMQ-25スティングレイなのか自信がもてず判別を求めてきた。ジェレミーの推定は正しかった。これこそボーイングファントムワークスのCBARS無人機であり、解像度が低いが写真で同機を全く新しい角度で見ることができた。
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH

早速写真からわかることをまとめてみよう。
1)機体に通常の空気取り入れ口がない。後部も滑らかな表面になっているのは以前の推理通り整流化された空気取り入れ口が機体上部についているためだ。
2)主翼は長く薄く、巡航時、滞空時のフライトレベルに合わせ効率を追求したようだ。写真に人物も写っているのでMQ-25は主翼長はおよそ24フィート、胴体幅は10フィートで翼幅は58フィートと推定できるが大雑把な推測で実物と誤差が10フィートもあるかもしれないが、全体像はつかめる。比較するとF/A-18スーパーホーネットの翼幅が48フィートあまりである。F-14トムキャットは64フィートでE-2ホークアイは81フィートだ。MQ-25の全高は10フィートほどだろう。
3)機体後部をはじめて目にすることができた。排気口は平面状になっている。この特徴だと赤外線放出を減らせるがV字翼と合わせて排気の様子を見えにくくする。推力偏向装置が採用されているかは不明。それがあれば着艦速度を落として空母に戻れるし、発艦して滞空時間を延長し、給油時に機体を安定させることも可能だ。
4)前回お伝えしたようにMQ-25は低視認性の特徴を有する機体となっており、将来の発展型に含みを持たせているが、すべては海軍が採用した場合の話だ。またノースロップのタシットブルーに通じる構成になっているが、同時にRQ-4グローバルホークや競合相手ジェネラルアトミックスのプレデターC/アヴェンジャー無人機を原型とするCBARS提案でも同様だ。だが各機よりボーイングのクワイエットバードははるか前の1960年代に生まれている。今回のMQ-25は中高度中距離medium-altitude/medium-endurance (MAME)無人機として給油任務以外に多用な任務をこなせるだろう。
BOEING
ボーイングのクワイエットバードはタシットブルーやロッキードのハブブルー実証機より10年も前に生まれており、MQ-25にもその影響がみられる。
だがなぜ本日同機が公衆の目に触れる場所に出されたのかまったくわからない。エンジンを運転したのかタキシ―テストがはじまるのか、それとも意図があって写真撮影を許したのか。ボーイングはCBARS選定で採用されないのであれば試作機は飛行させる予定はないと言っているが選定ではまず一社選定して試作機製造させてから量産決定することになっている。

写真を見て他にわかることがあればぜひ教えてもらいたい。■

2018年1月5日金曜日

ボーイングのMQ-25試作機がステルス仕様になっている理由がある


Why Does Boeing's MQ-25 Prototype Look So Stealthy?

ボーイングMQ-25試作機がステルス設計になっているのはなぜなのか


Jan 3, 2018 by Graham Warwick in Ares


ボーイングがツイッターで短いビデオを公開し自社資金開発の米海軍MQ-25スティングレイ競作での同社機材をちらりと見せているが、空母運用無人給油機がここまでステルス機の仕様になっていることに疑問が生まれている。
                            
Credit: Boeing
その答えは空母搭載空中給油システム(CBARS)の要求水準に長い時間をかけてきた海軍にあるのだろう。ただボーイング案にはステルス機の歴史で画期敵だったノースロップの1980年作のタシットブルー実証機を思わせるものがある。
12月に一部示された画像でも空気取入れ口の位置はどこなのかと疑問が呈されていた。想像図には機体上に空気取入れ口があり、ジェネラルアトミックスのアヴェンジャーに類似していた。だがそうした取入れ口は以後発表された画像には見当たらない。
Credit: Boeing

最新の映像では取入れ口が見あがらない。実際にないようだ。試作機では上部に黒線があり中に「ジェット取入れ口危険」の注意書きが入っている。つまりボーイングのMQ-25案の取入れ口は機体上部に埋め込まれており、完全に一体型しており、タシットブルーとも似ている。
Credit: Boeing
タシットブルーはDARPAと米空軍向けに製造されステルス機の設計として表面にカーブをつけて、ロッキードのハヴブルーやF-117のような角ばった表面と異なる。タシットブルーで培った設計技術がB-2ステルス爆撃機の滑らかな表面につながった。
タシットブルーでも機体上部にステルスを意識した形状で空気取入れ口があったが、かなり苦労したようで、フライトテスト要員はC-130を同機の前に駐機してエンジン後流で同機エンジンの始動をしていた。また取入れ口ダクトには分流板をつけていた。
Credit: U.S. Army Force Museum
U.S. Army Force Museum
タシットブルーのエンジン二基はV字尾翼の間の細いノズルを排気口にしていた。ボーイングMQ-25も同様なようだ。タシットブルーの主翼、尾翼には角度はついておらず、ボーイング機でも同じようだ。ボーイングの設計案では機体外周部にチャインを走らせているがステルス機特有の設計だ。
どうしてなのか。ステルスだけが海軍のCBARS要求内容ではない。かつてはステルスが前面に立っていた。CBARSの前身の無人空母搭載偵察攻撃(UCLASS)構想の際だ。だが長く激しい議論の末にUCLASSは内容が薄められ無人給油機になりステルスの要求は取り下げられた。
ノースロップ・グラマンは無尾翼で全翼機形状のX-47BをUCLASSの前身としてすでに製造している。ステルス性能が要求水準から消えたのはX-47Bが原因かもしれない。
ボーイングのMQ-25案にステルス性能がついているのはUCLASS時代の名残でそのま真敏検討を重ねCBARSの要求にこたえるものとしたためだろう。ボーイングもスティングレイが実施に空母艦上で給油機としての運用がはじまれば偵察攻撃機に進化させるのは必至と見てステルス性能を残したのだろう。
Credit: Boeing

もう一つステルスの影響が見えるのは映像に拘束フックが見えることで完全に機体引き込み式になっている。だがボーイングのファントムワークスがあるセントルイスでロールアウトした試作機ではのこぎりの歯状のフック一部が見当たらず、ステルス性能を重視していることがわかる。
もうひとつ注目すべき点がある。ボーイングMQ-25試作機には機首にデータ集商用のセンサー三点がついているが、機体と一体化されておらずノースロップのステルス形状のX-47Bと異なる配置だ。また機首下にはカメラと思しきものがあり地上要員が離着艦時に状況を把握するためのものと思われる。
Credit: Boeing

主降着装置は前方に引き込む方式で主翼も折り畳み式で主要付け根上部のバルジにヒンジと作動機構が入っているのだろう。また主翼前にたての結合部がついているがその理由は全く不明だ。■

2017年12月20日水曜日

ボーイングが12月19日に発表したのはMQ-25海軍向け無人給油機だった

Boeing Unveils Prototype For The Navy's MQ-25 Drone Tanker

Competition ボーイングが海軍MQ-25無人給油機競合への自社提案を発表

After teasing the reveal on social media, we finally get our first peak at the

company's clean-sheet, aircraft carrier-borne, unmanned tanker design.ソーシャルメディアでのもったいぶった発表は完全新型空母搭載無人給油機と判明


BOEING

めいたツイッター投稿で好奇心を刺激してくれたボーイングの謎の機体の正体は米海軍向けMQ-25スティングレイ無人給油機案と判明した。同社はジェネラルアトミックスに次いで同事業参画をめざす二番目の企業となった。
 2017年12月19日、ボーイングが新型無人機をファントムワークス作品として発表した。ファントムワークスは極秘機材の担当部門でロッキード・マーティンのスカンクワークスに相当する。同社はこの機体の社内呼称等を発表していない。これでMQ-25参入を表明しながら機体発表していないのはロッキード・マーティンだけとなった。MQ-25はCBARS(空母搭載空中給油システム)としても知られるが当初はUCLASS(無人空母運用空中監視攻撃機事業)だったが経緯があり変更されたもの。
 ボーイングのファントムワークスで給油機をまとめるドン・ギャディスDon Gaddisは「ボーイングは空母搭載機を海軍に90年にわたり納入しています」と述べ、「技術製造開発契約を交付いただければフライトテストを実施できる状態です」と声明文を発表した。
View image on Twitter
Revealed and ready! #BoeingMQ25 #UAS future @USNavy tanker will extend the range of combat aircraft from the flight deck to the fight!
 ボーイングによれば同機は機能状態にあるが飛行していない。地上エンジンテストに次いで艦上公試を2018年早々に行いたいという。米海軍は競合各社の作品の提示期限を2018年1月3日に定めている。
 今回公開の機体には同社が以前発表の構想図と共通点が少ない。降着装置は空母運用を想定してると分かり、ステルス性能の要求はないが、機体形状は低視認性の特徴が見られるもののステルス特化ではないようだ。また今回発表の試作機には下のUCLASS想像図と同じ絵図が使われていることに注目だ。
 ボーイング公開の写真に見られる空気取り入れ口は小さく謎が残る。視覚上の錯覚なのか意図的に小さいのか、あるいは大きな取り入れ口が別にあるのだろう
BOEING

 総合するとボーイングのMQ-25提案はジェネラルアトミックスのシーアヴェンジャー構想と類似している。後者はプレデターC/アヴェンジャー無人機を原型とする。両社案はV字型尾翼をつけ、機体背部に空気取り入れ口があることで共通している。
GENERAL ATOMICS

 ジェネラルアトミックス提案のシーアヴェンジャーは原型のプレデターC/アヴェンジャーを燃料搭載トラックに改装している。ロッキードの構想は不明だがおそらく相当の内容になるだろう。

 ボーイング機に今後のミッション追加を想定した拡張余地があるか不明で、センサー搭載機や通信中継機、少量兵装を搭載する機体などが想定される。このためには機体内部に格納スペースや開口部が必要となる。米海軍はレーダー搭載スペースは少なくとも必要としているようだ。

 その点で機首降着装置のすぐ後ろに見える腹部ベイが比較的大きいように見える。ただし大型のアクセスパネルなのかペイロード搭載用の空間になるのか判断できない。
BOEING
 主降着装置の背後にもアクセス部分またはベイがあるようだ。この空間にミッション装備を搭載できるか、兵装庫に転用できるのか不明だ。

ボーイングに詳細情報や写真の提示を求めたが、同社からは来年まではこれ以上公開する内容はないと言ってきた。ボーイングには高性能無人航空システムで過小評価された過去がある。

 同社はすでに15年以上前に半自律的かつネットワーク化された無人戦闘航空機(UCAV)を誕生させた(少なくとも公表されている範囲で)実績があり自社費用でこれを発展させていたがUSAFはまるでこの画期的な性能が存在しないかのごとくふるまっていた。MQ-25契約自体は当初こそ多大な利益をもたらさないが、受注すれば未来の航空戦闘に大きな足場を確保できる。

 だが極秘の世界で飛ぶ機体については不明のままになっていることに注目すべきだ。ロッキード・マーティンのスカンクワークスがこれまでの高性能無人機技術を応用した機体を提示してジェネラルアトミックス、ボーイングともに驚愕する事態も考えられる。 

 ボーイングのMQ-25提案やCBARS事業の進展では今後も随時お知らせする。海軍初の高性能空母搭載無人機は要求内容が引き下げられ空母航空戦力の無人機化が減速されてしまったが、今後の戦略戦術両面で大きな意味を有することは事実である。■

Contact the authors: jtrevithickpr@gmail.com and tyler@thedrive.com

2017年2月13日月曜日

米海軍の艦載UAVの方向性はどうなっているのか


ペンタゴンと海軍の構想が噛み合わず、結局攻撃機になるはずだった無人機が給油機になりましたが、海軍はこれには満足せず、かつてのUCLASSの機能縮小版を期待しているということですか。一機種で全てを期待すると大変なことになるのはわかっているはずで、本当は専用機材を整備したいが懐事情からそうはいかないのでしょうね。中途半端な機体にならないよう祈るばかりです。ペイロードを期待すれば既存型機体、ステルスを重視すれば全翼機でしょうかね。期待しましょう。

Navy Moves Ahead On Carrier-based Drone

Feb 7, 2017 Lara Seligman | Aviation Week & Space Technology

X-47B Unmanned Combat Air System demonstrator
米海軍はX-47B無人戦闘航空システムを空母ジョージ・H・W・ブッシュで2013年に実証している。 Credit: U.S. Navy

高性能装備を敵対勢力が開発中のため米空母は敵海岸線からさらに遠い地点からの運用を迫られるとして、米海軍は無人給油機を空母に配備し航空隊の飛行距離を伸ばそうとしている。
  1. 海軍はUAVの空母運用を模索して構想は何度となく途中で変更されてきた。偵察攻撃用だったはずのUAVが結局給油機に落ち着いた。
  2. ペンタゴンは同機の実現にやっと動きはじめそうだ。これまで空母運用空中給油システム(CBARS)またはMQ-25の主任務を空母航空隊への空中給油と想定してきた。ここに来て海軍関係者からCBARSに同時に情報収集監視偵察(ISR)も副次ミッションとして盛り込みたいとの発言が出てきた。
  3. 「同機は将来の空母航空隊に不可欠な要素となり、空母の作戦能力を引き上げる効果を生む」とMQ-25開発を担当するボー・デュアルテ大佐が言う。
  4. その目標に向けて、海軍は4社に昨年契約を交付している。ボーイングロッキード・マーティンノースロップ・グラマンジェネラル・アトミックスに構想案取りまとめを発注しており、その先の技術製造開発段階の提案要求(RFP)への対応を期待する。RFPは今夏にも出て契約決定は2018年の想定。
  5. ドナルド・トランプ大統領からは国防費増額の構えが示されており、軍の即応体制の引き上げが期待される中、海軍は新型機開発を急ぐよう圧力を受けそうだ。ジョン・マケイン上院議員(共・アリゾナ)からはMQ-25開発を急ぐよう注文が出ており、5年以内の初期作戦能力獲得の国防構想白書を発表している。
  6. 「敵側が長距離高性能防空体制を整備する中で長距離飛行可能な新機材が空母航空隊に必要なのであり、敵防空網を突破し、攻撃・情報収集できる機体が必要だ」とマケイン議員は白書で持論を展開している。2月6日時点で海軍は白書に回答を寄せていない。
  7. だが無人空中給油・ISR兼用構想には問題がある。給油機と偵察機では設計要素が相反し、ISR機は高高度を長時間飛行する必要があるため、長い主翼と効率のよいエンジン性能が不可欠だ。ISR機が大量の燃料を機内搭載しないのは機体重量を増やさないためだ。これに対して給油機は大量の燃料を搭載し空母航空隊のニーズを満たし、エンジンも大型するはずだ。
  8. 海軍航空部門の立案部門は産業界とともに「スウィートスポット」をMQ-25で見つけて両方のミッションを実施できないかを模索しているとマイク・シューメーカー中将(海軍航空部隊司令)が昨年明らかにしている。
  9. もう一つの問題は将来の作戦環境を想定してどこまでステルス性をMQ-25に求めるかだ。ペンタゴン最上層部は生存性を中核性能にしなかったが、海軍は同機が脆弱にならないよう既存の「機体形状」を流用できないか検討中だとシューメーカー中将が明らかにしている。
  10. 中将は特定のメーカー名を口にしていないが、MQ-25の基本に活用できる設計構想はすでにあるとする。海軍は以前の無人空母運用型監視攻撃機材(UCLASS)構想で上記4社が提出していた内容を検討することになりそうだ。
  11. MQ-25を巡る各社の競合は最終的にジェネラルアトミックスやボーイングが提案した主翼胴体尾翼を備えた既存型あるいは無尾翼全翼機型のロッキードとノースロップ案のいずれかにおちつくだろう。
  12. シューメーカー中将は海軍がMQ-25のステルス形状を検討するのは確かとだけ述べており、給油機を敵領空に前方配備すれば脆弱性が露呈すると主張。
  13. 「空中給油任務の実施方法を見れば、他の機材より前方に送る必要があるのがわかる。MQ-25を単独で送り込んでも残存性は期待できない。送り込む以上簡単に撃墜されないようにしなくては」
  14. シューメーカー中将は「ステルスと給油機機能はMQ-25では両立しない」が「まず給油用UAVとして投入し、その後残存性のある攻撃機に進化させられる」と言う。
  15. 給油機の武装化は比較的容易だ。燃料の内部搭載用スペースを兵装用に転換すればよい。全翼機形状になった場合は最初からステルス性を考慮したことになり、レーダー吸収剤を施せば残存性が高まる。■

2016年2月24日水曜日

無人艦載給油機CBARSは攻撃機に進化するのか、それとも?



米海軍の次代機としてあれほど期待されたUCLASSが葬られ、代わりにタンカー構想が出てきましたが、この機体が同時に長距離攻撃任務にも使えるのでしょうか。あるいは実は別のプロジェクトがブラックの世界で進行しているのでしょうか。期待だけがふくらんでいきますが、その結果はあと数年すれば明らかになるでしょう。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

CBARS Drone Under OSD Review; Can A Tanker Become A Bomber?

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on February 19, 2016 at 1:58 PM
WASHINGTON: 米海軍の新型無人空中給油機CBARS構想を国防長官官房が精査中であるとBreaking Defense がつきとめた。
  1. 何を精査内容しているのかはわからないが先立つUCLASS構想の偵察攻撃無人機と重なる点がある。UCLASSも同じく長官官房が一年以上検討して結局中止に追い込み、そのためCBARS構想が浮上したのだ。今度の事業も同じ運命をたどらないと誰も断言できない。
  2. 前回の論点は要求性能だった。UCLASS空母運用空中偵察攻撃無人機の主任務は偵察なのか、比較的安全な空域を低速で飛行しそこそこの兵装を搭載するのか。あるいは攻撃に特化させ、防御固い敵地を長距離侵攻する重武装機なのかで論議が続いた。
  3. 後味の悪い論争の応酬が長官官房、海軍、議会の間で続き、2017年度予算ではどちらも否決された。かわりにそこまで大胆な性能を求めず、安価な空母搭載空中給油システムとしてCBARSが生まれた。CBARSの主任務はタンカーだが海軍によれば偵察能力と「限定的攻撃」能力も備えるいう。これでは偵察を主任務と想定したUCLASSに限りなく近いように聞こえる。
  4. そこでペンタゴン関係者にCBARSが想定する内容の説明を求めたが、きわめて丁寧にコメントはだれもできないというのだ。少なくとも官房による精査が終わるまでは。このことから証明はできないが、長官官房の誰かも同じ質問をしていると思われる。CBARSはUCLASSの軽量版なのか全く新しい構想なのか。
  5. 要求性能を正しく設定するのは不可欠だ。話を聞いた海軍航空関係のベテラン二名とも無人給油機は攻撃機にゆくゆくは進化するとみている。ただし今必要とされる空中給油だけが要求性能となれば二者択一式にCBARSがその他任務をこなす可能性が犠牲になる。
  6. 「無人給油機には長距離攻撃機に発展できる余地を残しておくべきでしょう」と語るのはジェリー・ヘンドリックス退役海軍大佐、現在は新しいアメリカの安全保障を考えるセンターに所属している。「発展可能性を残せばそれでいいと思います」
  7. 爆撃機転用は可能なはず、とヘンドリックスは言う。CBARSが別ミッション実施も前提に製造されれば。つまり目標への飛行途中で給油する「ミッションタンカー」にするのであり、空母周囲を飛行して単に給油を与えるだけの「リカバリータンカー」にしなければよい。「これまで20年の給油機は皆このタイプだった。他任務もこなせるタンカーはなかった」
  8. 「ミッションタンカーとして他機と一緒に戦闘空域へ飛ぶ機体になれば、遠隔地の敵空域でも空中給油は必要ですし、とくにS-400の脅威を考慮しなければ」とヘンドリックスは言う。高性能ミサイルが接近拒否領域否定の防空体制に配備されていることからその必要が痛感されるはずだ。このため比較的高性能の機体として兵装を燃料の代わりに積み、新型エイビオニクスとステルス塗装があれば爆撃機として運用できる。
  9. 「マッハ0.8で45千フィートを飛行できれば攻撃機と一緒に行動できる」とF/A-18E/FスーパーホーネットやF-35C共用打撃戦闘機を想定し、ヘンドリックスは見る。逆にCBARSが低性能偵察機になれば、攻撃任務実施は無理だろう。
  10. CBARSが将来の爆撃機の原型になるためには機体形状をクリーンにまとめておく必要がある。とくに搭載燃料は全部機内搭載とし、主翼にタンクを下げることは避ける。これでステルスを実現できるし、エンジン回りの設計は特に慎重にし、熱放射から赤外線探知される事態を防がないといけない。
  11. これまでの空軍の給油機は格好のレーダー標的で、民間機が原型のためだった。現在、一部F-18をミッションタンカーに転用しているが、ステルス性はない。
  12. CBARSを爆撃機に転用する前提だとタンカー性能が犠牲となり単価も高くなる。このため前海軍次官ボブ・マーティネッジ(戦略予算評価センター)は楽観視できないという。
  13. 「理論上はCBARSは侵攻型偵察攻撃機に進化する機体にできるでしょう」とマーティネッジは記者に電子メールで回答。「ただし、そのためにはタンカーの形状と推進系は攻撃機とほぼ同様に設定する必要があり、タンカーミッションが犠牲になります。これでは海軍提案と逆方向になります」「タンカーミッションに特化させれば主翼は高アスペクト比にし、主翼胴体から尾翼の形状、高効率エンジンが露出されることになり、これではステルス攻撃機には進化できません」
  14. 新型艦載給油機は二重の意味で有用だ。まずスーパーホーネットが給油任務から解放され、航空隊全体の運用距離が延びる。だがマーティネッジは「CBARSで解決できない問題がある。攻撃有効距離が不足しており、新しいネットワーク型のIADS(統合防空システムズ)を前に生存性が不足する問題だ。喫緊の課題は空母の作戦戦略上の威力を維持するためにも長距離侵攻可能な偵察攻撃機の確保だ」
  15. マーティネッジの推すのは「A-X」だろう。攻撃ミッションを主とする艦載機にはかつてはA-6イントルーダーがあった。無人機を一番要求が厳しい長距離攻撃任務用に設計しておけば、給油機にも転用できるはずだ。またCBARSを給油任務中心に定義したのちにステルス攻撃機型を別個準備するより費用は安くつくはずだ。開発期間も短縮できるとマーティネッジは言う。「A-Xを先に進めれば、その設計と技術内容から空母用給油機型をCBARSより先に公試、配備できるはず」
  16. マーティネッジが言う先行作業とは極秘の長距離空母運用型ステルス攻撃機のことかもしれない。この機体については今のところ誰も内容を知らないが、マーティネッジとCSBAで同僚のブライアン・クラークが予算の出どころをつきとめている。
  17. 「機体開発計画が別にあるか不明ですが、2016年度国防予算を見ると、議会が300百万ドルの追加予算をUCLASSに認めているのがわかります。これに対して海軍は同年度にUCLASS/CBARSに135百万ドルしか使うあてがないとして予算要求していました。DoDが別の300百万ドルを2016年度からどう使うつもりなのか見えてきません」
  18. もしペンタゴンが今もステルス長距離艦載爆撃機をブラック予算であるいはCBARSを進化させる形で構想しているとすれば、議会の有力筋には吉報だろう。議会は中国、ロシア、イランに対抗するには高性能が不可欠とみている。もし単なるタンカーを作れば、議会から鋭い質問が出てくるはずだ。■