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2025年8月4日月曜日

ロッキードがSPY-7レーダーアンテナを日本に初納入(Naval News) — 次期大型艦ASEVの建造は着実に進んでいるようです。


日本が2027年と2028年に就役させるイージスシステム搭載艦2隻に搭載する

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ニュージャージー州ムーアズタウンにあるロッキード社の製造試験施設で、SPY-7(V)1レーダーが準備され、吊り上げられている(写真提供:ロッキード・マーティン)。


ッキード・マーティンは日本の将来のイージスシステム搭載艦(ASEV)に搭載されるSPY-7(V)1レーダー・アンテナ4基の最初のシップセットを防衛省に引き渡したと発表した。

 同社のマルチドメイン・コンバット・ソリューション担当副社長チャンドラ・マーシャルは声明の中で、「最初のASEVに搭載する全アンテナを予定通りに納入できたことは、SPY-7レーダーの成熟度と拡張性、生産能力を示すと同時に、システム統合におけるロッキード・マーチンの献身と専門知識を実証するものです」と述べた。

 日本は弾道ミサイル防衛に特化した2隻を取得する計画で、2027年度と2028年度の就役を予定している。

 日本に加え、ロッキードはカナダとスペインとも、水上艦船にSPY-7レーダーを搭載する契約を結んでいる。カナダでは、イロコイ級駆逐艦とハリファックス級フリゲート艦の後継となるリバー級駆逐艦に搭載される予定だ。一方、スペイン軍はF-110級フリゲート艦用にSPY-7を購入する。

 レーダー・アンテナは日本政府に受け入れられたが、ロッキードが「ニュージャージー州ムーアズタウンにある製造テストセンターで、4つのアンテナすべての完全なシステム統合とテスト」を終えるまで、装備品は米国に留まる。

 日本政府は近年、ますます攻撃的になる中国を前に防衛費増額に舵を切り、12月には過去最高となる8兆7000億円(551億ドル)の予算を承認した。

 最近では、ピート・ヘグセス国防長官が3月のインド太平洋歴訪で、日本をはじめとするアジアの同盟国を称賛し、トランプ政権が今後この地域を優先すると約束した。その際、ヘグセスは日米合同軍事司令部の「アップグレード」も発表し、国防総省は東京だけでなく横田基地の司令部にも人員を追加すると述べた。

 しかし、ドナルド・トランプ大統領は本日、日本を含むこの地域の国々からの輸入品に25%の課税を行う意向を発表した。これによりアメリカの軍事パートナーや同盟国との間に経済的緊張が生み出されている。■


Lockheed delivers first SPY-7 radar antennas to Japan

Japan plans to commission its two Aegis System Equipped Vessels in 2027 and 2028.

By   Justin Katz

on July 07, 2025 at 4:13 PM

https://breakingdefense.com/2025/07/lockheed-delivers-first-spy-7-radar-antennas-to-japan/


2025年3月7日金曜日

日本のスーパー駆逐艦ASEVの詳細が海外展示会で明らかになりました(Naval News)―PLANの055型を上回る艦容は巡洋艦とすべきで、海自はそろそろ護衛艦という欺く用語を廃止すべきではないでしょうか

 Japan ASEV Super Destroyer 1IDEX2025のロッキード・マーチン・ブースに展示されたASEV駆逐艦のスケールモデル。

Japan ASEV Super DestroyerJapan ASEV Super DestroyerJapan ASEV Super Destroyer


Japan’s MoD Unveils Latest Image Of ASEV





ブダビで開催されたIDEX25で、ロッキード・マーチンは日本が建造を進める先進的な大型ステルス誘導ミサイル駆逐艦(ASEV)の模型を初めて展示し、同艦の最終構成で新たな詳細が明らかになった。


 弾道ミサイル防衛(BMD)に特化したこのステルス誘導ミサイル護衛艦は、米海軍のズムウォルト級を除き世界の駆逐艦で最大となり、海上自衛隊(JMSDF)のいわゆる "スーパー護衛艦 "の構成に関する興味深い詳細が明らかになった。中国のレンハイ級(055型)180メートル巡洋艦を凌ぐ性能と大きさを持つASEVは、海上自衛隊が誇る象徴になりそうだ。

 海上自衛隊の将来のイージスシステム搭載艦(ASEV)は米海軍のズムウォルト級に勝るとも劣らない極めて大型のステルス誘導ミサイル駆逐艦でその模型がIDEX2025で展示された。

 防衛省によると、ASEVは全長190メートル、全幅25メートル、標準排水量1万2000トン(満載排水量は1万4000トンを超える可能性がある)。これに対し、海上自衛隊の最新型「まや」型駆逐艦は全長170メートル、全幅21メートル、標準排水量8,200トンである。また、ASEVは、米海軍の最新型アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の重さである。

 スペインのアルバロ・デ・バザン(F100)級対空駆逐艦や、その派生型であるオーストラリア海軍のホバート級と同様の構成だ。 

 さらに、日本の現行イージス駆逐艦8隻(こんごう級、あたご級、まや級)に搭載されているAN/SPY-1レーダーシステムと異なり、新型艦には、より先進的なAESA多機能レーダーAN/SPY-7が搭載される。AN/SPY-7はカナダのリバー級護衛艦やスペインのF-110フリゲート艦にも搭載されることが決まっている、

 ASEVは、艦橋上部にレーダー・パネルが搭載される日本初のイージス艦となる。 大きなAN/SPY-7レーダーパネルとマスト上のAN/SPQ-9Bレーダーに注目。巨大なレーダーパネルの前方、艦橋の上にはAN/SPG-62 FCRがあり、マストの両側には電子戦用のAN/SLQ-32(V)6モジュールがある。

 現行の日本のイージス駆逐艦と同様に、この艦は3つのAN/SPG-62 Xバンド・レーダー照射器を装備し、主にセミアクティブ・レーダー・ホーミングを利用した防空ミサイルによる最終迎撃のために目標を指定する。マストにはAN/SPQ-9Bレーダーも搭載され、水平距離スキャンを行いながら、低空飛行する対艦巡航ミサイル(ASCM)、地表の脅威、低速の航空機、UAV、ヘリコプターを同時に自動探知・追尾することができる。さらに、ASEVは、表面電子戦改良プログラム(SEWIP)ブロック2 AN/SLQ-32(V)6モジュール(およびマスト上のSEWIPブロック1B3 HGHSレーダーアンテナ・レドーム)を搭載している。 模型では船体搭載型ソナー(HMS)も見える。

 兵装では、日本のイージス艦で初めて、前部VLSは後部VLSと同じセル数(前部64セル(8×8)、後部64セル(8×8))を備え、合計128セルとなる。これらのセルには、SM-3やSM-6地対空ミサイル(SAM)のほか、巡航ミサイルや極超音速兵器などの高度な脅威に対抗するための将来の滑空位相迎撃ミサイル(GPI)、島嶼防衛作戦で敵の脅威範囲外から地上目標を長距離攻撃するトマホーク巡航ミサイルが搭載される。128セルを搭載する日本のASEVは、韓国の世宗大王級と並んで、中国の055型巡洋艦の16セル、最新の170メートル級「まや」型護衛艦の32セルを上回り、現在世界で最多のVLSセルを搭載する。

 もうひとつの注目すべき点は、Mk46 30mm砲ウェポンシステム(GWS)に似ていると思われる、小型砲塔が2基、艦の中部にあることだ。これらの砲塔は、日本の駆逐艦として初となる遠隔兵器システム(RWS)の可能性もある。これまでの設計とは異なり、ファンネルの間にある2基の4連装12式対艦ミサイルランチャーは、側面構造物で部分的に囲まれており、ミサイル発射のため上面だけが露出している。

 艦尾のAN/SPG-62 Xバンド・レーダー照射器、64セルVLS、後部ファランクスCIWS、ツイン・ヘリコプター格納庫を紹介するASEVモデルのリアビュー。 Mk46 30mm GWSに似ていると思われる2基の小型砲塔にも注目。

 艦首のMk45 Mod4 127mm(5インチ)/62艦砲と、艦橋の前方と艦尾のヘリコプター格納庫の上に配置された2基のファランクス・ブロック1B CIWSを含む。 日本が最新の艦艇でも、RAMやSeaRAMシステムでなく、ファランクスCIWSに頼っているのは印象的だ。魚雷発射用のハッチは見えない。格納庫はSH-60ヘリコプター2機を収容できる。


ASEV駆逐艦計画の背景

Japan ASEV

海上自衛隊のまや型DDG(ミサイルを発射している)、米海軍のDDG51フライトIIIと並走する2隻のASEVのイメージ図。 ロッキード・マーチンのイメージ。


2020年12月、日本政府は閣議で、ミサイル迎撃ミサイル発射後に落下した部品が人口密集地を直撃する可能性があるとの懸念から、安倍晋三政権時代の2020年6月に中止された陸上イージス・アショア弾道ミサイル防衛システム2基の代替案として、ASEV2隻を導入すると決定した。

 ASEVは、主に北朝鮮による弾道ミサイル攻撃の脅威から日本を守ることを目的としている。防衛省は、ロフテッド軌道で発射された弾道ミサイルを迎撃するためには、極めて高い迎撃能力を持つASEVが必要だと強調している 海上自衛隊は2027年度中にASEV初号艦を受領し、翌2号艦は2028年度に引き渡される予定だ

 東京では、ASEVのコスト上昇に懸念が高まっている。 現在、防衛省はASEV2隻の取得費用を7839億円(52億3000万ドル)、1隻あたり約3920億円(26億2000万ドル)と見積もっている。これは、防衛省が2020年の導入を決めた際に想定していた1隻あたり約2400億円(16億ドル)の約1.6倍に相当する。防衛省は値上げの理由として、円安と物価上昇の影響を挙げている。このうち、AN/SPY-7(V)1レーダーアンテナの取得契約価格は約350億円(23.4億ドル)、イージスシステムの取得契約価格は約1,382億円(9.23億ドル)である。

 直近では、防衛省は2025年度4月からのASEV2隻取得関連経費として865億円(5億7800万ドル)を確保し、具体的には、実証試験を含む各種試験準備に係る経費に言及している。

 防衛省は、ASEV2隻に搭載するSPY-7レーダーは、既存のSPY-1レーダーの5倍の追尾能力を持ち、ロフテッド軌道の弾道ミサイルだけでなく、弾道ミサイル複数が同時発射されても対応できると強調している。

 防衛省は、2032年以降にASEVに搭載される予定の改良型12式SSM(艦船発射型)、トマホーク巡航ミサイル、高出力レーザーシステムをASEVに装備する計画だ。 それ意外に防衛省は、ASEV2隻とその他イージス艦に、極超音速ミサイルを撃ち落とす特別設計の次世代ミサイル防衛システム滑空位相迎撃ミサイル(GPI)を搭載する。■


Japan’s ASEV Super Destroyer: Fresh Details Unveiled

  • Published on 06/03/2025

  • By Dimitris Mitsopoulos


https://www.navalnews.com/naval-news/2025/03/japans-asev-super-destroyer-fresh-details-unveiled/


2025年2月2日日曜日

日本のイージス駆逐艦向けスタンダードミサイル6売却を米国が承認(The Aviationist)


Japan SM-6 FMS

2014年6月27日、アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦USSジョン・ポール・ジョーンズ(DDG53)がスタンダード・ミサイル-6(SM-6)を試射した (画像クレジット:USN/Courtesy Photo)


日本が米国製含む装備品の大規模増強を行っている中で、SM-6は弾道ミサイルの脅威に対する戦略的能力の象徴となる


国務省は、太平洋におけるBMD(弾道ミサイル防衛)の一環として、日本に9億ドル相当のSM-6ブロックI(Standard Missile-6 Block I)150基の売却を承認したと、2025年1月31日にDSCA(国防安全保障協力局)が発表した。SM-6は、海上自衛隊のイージスシステム(AWS)艦に配備することができ、「日本と地元の同盟国陸上部隊を守り、インド太平洋地域における統合的な航空ミサイル防衛への日本の貢献を大幅に向上させる」とDSCAが説明している。9億ドルの内訳はスタンダードミサイル-6ブロックIミサイル150発と関連機器・サービスだ。SM-6の単価は400万~800万ドルで製造元はRTXだ。

 FMS(Foreign Military Sale)の他の品目には、MK 21 Mod 3 VLS(Vertical Launch System)キャニスター、部品、サポート、テスト、ハンドリング機器が含まれる。日本は、F-35B、AGM-158 JASSM、F-15Jイーグルのアップグレード、AIM-120 AMRAAMsを含む米国の兵器で大規模な軍備増強の過程にあるが、SM-6購入は、北朝鮮(そしてある程度は中国)の弾道ミサイル兵器の増加に対抗するための戦略的能力を表している。

 「この売却案は、インド太平洋地域の政治的安定と経済的進歩の原動力である主要同盟国の安全保障を向上させることにより、米国の外交政策目標と国家安全保障目標を支援するものである」とDSCAは付け加えた。 

 SM-6の新たな重要性は、米海軍が同ミサイルの空中発射バージョンAIM-174Bの取得を進めている事実からもわかる。AIM-174BがVFA-192「ゴールデン・ドラゴンズ」とVX-9「ヴァンパイア」飛行隊のF/A-18Eスーパーホーネットに搭載されていることが、The Aviationistが大々的に報じている。

 米海軍とMDA(ミサイル防衛局)は、太平洋で定期的にBMD演習を実施している。直近の演習はパシフィック・ドラゴン24で、2024年7月から8月にかけて実施され、新型のIAMD-T(統合防空ミサイル・ターゲット)が初めて使用された。

 豪州も太平洋における広範なミサイル防衛活動のパートナーでもある。 同じPD-24演習で、オーストラリア海軍(RAN)の艦船HMASシドニーが2024年8月初旬、SM-6を初めて試射した。


日本のイージス艦とSM-6搭載ASEV

現在、海上自衛隊は合計8隻のイージス駆逐艦を運用している。ここには1990年代に就役し、2007年から2010年にかけてイージス・システムをアップグレードされたこんごう級4隻、2007年から2008年に引き渡され、2019年にイージス・システムをアップグレードされたあたご級2隻の、2020年と2021年に就役したまや級2隻が含まれる。

 海上自衛隊が建造中の2隻のASEV(イージスシステム搭載艦)が完成すると日本のBMD(弾道ミサイル防衛)対応艦隊が10隻になり、弾道ミサイル攻撃に対する強力な盾として注目されている。コンセプト・デザインは2024年7月に防衛省の予算文書に掲載され、1隻目は2028年3月までに、もう1隻は1年後の2029年に就役する予定だ。これら2隻のASEVには、ロッキード・マーティンのSPY-7レーダーが搭載される。SPY-7レーダーは日本向けイージス・アショアBMDシステムのためのものであったが、2020年に中止された。

 ロッキード・マーティンは2024年4月4日、ASEVを想定した初のライブ・トラックのデモンストレーションに成功したと発表した。SPY-7レーダーはAN/SPY-7(V)1とも呼ばれ、"戦術的なハードウェアとソフトウェアシステムが宇宙空間の物体を追跡する"。同社によると、試射で "レーダーシステムの成熟度を検証し、包括的テストの始まりとなった"。

 2025年1月15日、ロッキード・マーティンは海上自衛隊のASEV用レーダーアンテナAN/SPY-7(V)1の1号機を防衛省に納入したと発表した。 アンテナはその後、ニュージャージー州ムーアズタウンにあるプロダクション・テスト・センター(PTC-2)でASEV戦闘システムとの最終的な統合が行われた。


 建造中のASEVは、まや級の96個のMk.41 VLSセル(前部64個、後部32個)に対し、VLS(垂直発射システム)セル128個を搭載する。主要な能力はSM-6ミサイルとSM-3ブロックIIIAで、どちらも艦首、主砲の後ろに配置される。 ASEVはまた、現在開発中の日本の将来のHGV(極超音速滑空機)や、アップグレードされた12式SSMを発射することも検討されている。

 また、SM-6(水上攻撃用に調整されている)とトマホークLACM(陸上攻撃巡航ミサイル)は、タイフォン・システムと呼ばれる米陸軍のMDTF(多領域任務部隊)の構成要素のひとつであることも重要だ。もうひとつは、LRHW(長距離極超音速兵器)とロッキード・マーティンのPrSM(精密打撃ミサイル)だ。

 日本のSM-6が水上攻撃や対艦攻撃に再利用されるかどうかを言うのは時期尚早だが、デンマークのボーンホルム島での米陸軍のSM-6訓練が海上戦域で行われ、バルト海のロシアが潜在的な標的であることを示唆していることを考えると、その可能性も否定できない。

 レイセオンが開発したSM-6 Blk IとBlk IAは、地対空ミサイルシステムの進化版で、SRBMに対する海上ベースの終末弾道ミサイル防衛能力を提供する。このミサイルは、発射後のセミアクティブなレーダーシーカーと終末段階でのアクティブシーカーによるデュアルモード誘導を備えている。この兵器はまた、艦艇のAWSからコースの中間更新を受信し、自律的な終末段階は艦からもサポートされる。


グアムからの弾道ミサイル防衛

SM-6は移動する艦艇から使用することができるが、米軍の主要施設を抱えるグアムのような静止的も、弾道ミサイルへ迎撃ミサイルを発射するハブとして使用することができる。この取り組みで、2024年12月10日にグアムで初の弾道ミサイル防衛の実戦テストが行われた。SM-3はMk.41 VLS(垂直発射システム)の傾斜可能なバージョンから発射された。

 SPY-7シリーズのレーダーは、アラスカのLRDR(長距離識別レーダー)から派生したもので、米国の地上配備ミッドコース防衛ABM(対弾道ミサイル)システムの一部だ。SPY-7の技術は、スペインのF-110フリゲートとカナダの水上戦闘機プログラムにも提供されているが、ロッキードは当時、「LRDRとSPY-7のために開発された同様の技術は、将来グアムで利用されるかもしれない」と述べていた。


U.S. Approves Standard Missile-6 Sale for Japan’s Aegis Destroyers

Published on: February 1, 2025 at 10:11 PM

 Parth Satam

https://theaviationist.com/2025/02/01/standard-missile-6-fms-japan/


2024年10月3日木曜日

イージス・アショアに代わる大型イージス・システム艦2隻の建造契約が9月に交付されていた(Naval News)―目となるレーダーがSPY7になるのか、SPY6かで水面下の駆け引きが始まっている

 Japan MoD signs contracts to build two ASEVs with MHI and JMU

Drawing of ASEV (Japanese MoD image)



日本の防衛省は2024年9月18日、海上自衛隊のイージスシステム搭載艦(ASEV)2隻の建造契約を三菱重工業とジャパンマリンユナイテッドと個別に締結したと発表した。 


 三菱重工業は8月23日、約1397億円(9億8000万ドル)で1隻目の建造を契約し、JMUは9月18日、約1324億円(9億3000万ドル)で2隻目の建造を契約したと、同省の防衛装備庁(ATLA)の関係者が19日、本誌に語った。「契約金額の違いは、購入部品の違いによるもので、艦の仕様や性能に違いはありません。それぞれ2027年度と2028年度に就役する予定です」。 

 ASEVの建造が本格化するなか、ロッキード・マーチンは9月10日、Naval Newsの2人を含む日本人記者4人を、米ニュージャージー州ムーアズタウンにあるロータリー・アンド・ミッション・システムズ(RMS)事業部に招いた。 

 RMS事業部は、シコースキー社のヘリコプターの製造や、海上・陸上ミサイル防衛システムなどの設計・製造・サポートを行っている。 

 日本との関係では、この施設は「30年以上にわたり日本のすべてのイージス艦プログラムの開発、統合、製造、テストをサポートしてきた実績がある」と同社は述べている。 

 今回、ロッキード・マーチンが日本人ジャーナリストを招聘した狙いは何だったのだろうか? 目的は主に3つあったようだ: 

  • SPY-7レーダーを搭載したASEV計画の順調な進捗ぶりをアピールする

  • 退役迫るこんごう級イージス艦の後継艦へのSPY-7レーダーの採用を促進する

  •  新型VLS Mk.70 PDS(ペイロード・デリバリー・システム)や陸上配備型迎撃ミサイルPAC-3MSEのイージス艦への統合といった新装備をアピールすること、だ。

 1点目については、日本がASEV計画に至るまでにどのような紆余曲折を経てきたかを理解する必要がある。 

 2020年12月、日本政府は陸上型弾道ミサイル防衛システム「イージス・アショア」の代替案として、2隻のASEVを導入することを閣議決定した。 

 そして、イージスシステムの "目"となるのは、ロッキード・マーチンが 「世界最先端の多機能レーダー」と呼ぶSPY-7だ。 


MK 70ペイロード・デリバリー・システム(ロッキード・マーチン) 


 同社はSPY-7の生産が2027年と2028年に就役するASEVのスケジュールに沿って順調に進んでいることを強調した。ロッキード・マーチンがSPY-7レーダーの高性能と拡張性を熱心にアピールしたのには、前述した2つ目の大きなポイントがある。 日本では、退役が近い「こんごう」級イージス艦の後継艦が、RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)のSPY-6レーダーを採用するか、ロッキード・マーチンのSPY-7レーダーを採用するかが注目されており、今後1、2年が販売活動のピークだ。 

 現在、海上自衛隊は「こんごう級」4隻、「あたご級」2隻、「まや級」2隻の計8隻のイージス艦を保有している。このうち、こんごう級の1番艦「こんごう」は2024年3月現在で31歳、2番艦「きりしま」は29歳、3番艦「みょうこう」は28歳、4番艦「ちょうかい」は26歳である。 

 海上自衛隊の駆逐艦では、旧ヘリコプター駆逐艦「ひえい」が36年4ヶ月と最長だった。 

 2022年12月に閣議決定された防衛力整備計画では、現在の8隻より2隻多い10隻のイージス艦を取得することになっている。防衛省は2025年度予算の概算要求に、老朽化したこんごう級イージス艦の後継艦を検討するための技術研究費として33億円を盛り込んだ。 

 DDG(X)と呼ばれる後継艦は、SPY-6になるのかSPY-7になるのか。  米海軍は2033年までにSPY-6を7種類65隻(DDGフライトIII、DDGフライトIIA、CVN-74、CVN-79、LHA-8、LPD-29、FFG-62)に搭載する予定である。 

 今後の米海軍との相互運用性を考えると、イージスシステム搭載艦に SPY-7 が採用されても、SPY-6 の方が良いという意見が強い。 これに対しロッキード・マーチンは、「SPY-7レーダーは他のSPYレーダー・システムと完全な相互運用性があり、IAMD(統合防空ミサイル)能力を提供する」と主張している。 

 「こんごう」級後継艦のレーダー選定は、日本企業にも大きな影響を与えそうだ。 三菱電機は2024年7月、SPY-6の主力製品である電源装置の納入契約をRTXと結んだと発表した。 海上自衛隊がSPY-6を採用すれば、その受注が増えることが予想される。 

 一方、ロッキード・マーチン社は「将来の艦船に搭載するSPY-7レーダーの維持・製造について、日本の産業界と積極的に協議している」としている。 

 このことは、三菱重工業などにライセンス生産を認めるなど、同社が競争に勝つ機会を見出す可能性があることを示唆している。 

 3つ目のポイントは、コンテナ型のMk.70 PDS VLSなどの新防衛装備の推進だ。 同社は5月、ニューメキシコ州にある米陸軍のホワイトサンズ・ミサイル発射場で、Mk.70コンテナ発射プラットフォームからPAC-3 MSEミサイルを発射し、飛行中の巡航ミサイルの迎撃に成功したと発表した。 

 このテストは、仮想化されたイージス兵器システムを使ってPAC-3 MSEを発射し、実際の標的を迎撃した初めての例である。 

 一方、日本は従来のPAC3を改良し、防護範囲を2倍以上に拡大したPAC-3 MSEを配備している。 

 同社によると、垂直発射システムPAC-3 MSEのキャニスターにはミサイルが1発収納でき、既存のすべてのMk.41システムに取り付けることができる。 ロッキード・マーチンは「PAC-3 MSEをイージス兵器システムに統合することで強化されたIAMD能力を提供する」と述べている。 このことは、同社が現在、海上自衛隊のイージス艦への販売を検討していることを示唆している。■


Japan MoD signs contracts to build two ASEVs with MHI and JMU

On September 18, 2024, the Japanese Ministry of Defense announced that it has signed contracts to build two Aegis System Equipped Vessels (ASEV) for the Japan Maritime Self-Defense Force with Mitsubishi Heavy Industries and Japan Marine United, separately.

Kosuke Takahashi  02 Oct 2024


https://www.navalnews.com/naval-news/2024/10/japan-mod-signs-contracts-to-build-two-asevs-with-mhi-and-jmu/


2024年8月31日土曜日

過去最大の防衛予算になった 令和7年度概算要求に見る海上自衛隊の調達内容―FFMは拡大型となりFFGに近づく (Naval News)

 





衛省は8月30日、2025年度の防衛予算として、新型FMM3隻の建造などが盛り込み過去最大の591億ドル(8兆5000億円)を要求した。。 


衛予算概算要求は財務省に送付され、12月の決定に向け検討されるが、中国、北朝鮮、ロシアによる軍事的脅威の高まりに対抗するため、統合防空ミサイル防衛(IAMD)システムとスタンドオフ防衛能力の強化を求めている。 

海上領域に関する概算要求は以下の通り。

 

新型FMM3隻の建造(22億ドル) 

New FFM

現行の「もがみ」級と比較した新型FMM。三菱重工


 防衛省は、「新型FFM」と呼ばれる3隻の新型多機能フリゲート艦を建造するため、3140億円(22億ドル)を要求した。新型艦は、基本的に海上自衛隊の「もがみ」級マルチロール・フリゲートを改良したものである。防衛省はこれまで、毎年「もがみ」級FFM2隻か「新型FFM」2隻分の予算しか確保してこなかったため、1年間に新型FFM3隻分の建造費を要求するのは非常に異例。具体的には、防衛省は現在の2023年度まで合計12隻の「もがみ」級フリゲート艦を調達する予算を確保しており、今回は2024年から2028年まで12隻の新型FFMを建造する予算を獲得する計画だ。防衛省がわずか5年で12隻の新クラスを調達するというのは、非常にハイペースだ。これは、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増し、政府が短期間で海軍力強化の取り組みを強化せざるを得ないことを反映している。 

 標準排水量4,800トンの新フリゲート級は、標準排水量3,900トンの「もがみ」級より大きくなる。防衛省は、新クラスの乗組員数は「もがみ」クラスと同じ90人にとどまると発表した。 

 防衛省は、新FFMは、長距離ミサイルの運用能力向上、対潜能力の強化、各種海上作戦のためのより優れた能力を備えると述べた。 

 具体的には、12式地対艦ミサイル(SSM)の改良型である艦上発射型と、新型の艦対空誘導弾(または単にA-SAM)が、新クラスのFFMに搭載される。

 優れた対空能力と索敵能力を備える新型FFMは、FFG(誘導ミサイル・フリゲート)に近づく可能性がある。 


12式SSMの艦上発射型改良型の取得(1億1760万ドル) 


防衛省は12式SSMの長距離艦上発射型改良型の量産を2025年度開始する。 


イージスシステム搭載艦ASEVの各種試験準備(5億5850万ドル)

ASEV rendering

ASEVのレンダリング。ロッキード・マーチンのイメージ 

 

 イージスシステム搭載艦2隻の取得関連費用として、防衛省は808億円(5億5,850万ドル)を要求した。具体的には、実証試験を含む様々な試験の準備に関連する費用について言及した。 

 ASEVは、弾道ミサイル防衛(BMD)システムの代替となるもので、ミサイル迎撃ミサイルから落下した部品が日本上空の人口密集地を直撃する可能性があるとの懸念から、陸上イージス・アショア安倍晋三政権下の2020年6月に中止された。 

 防衛省は、新型艦は全長190メートル、幅25メートル、標準排水量1万2000トンになると説明した。これに対し、「まや」型護衛艦2隻は全長170メートル、全幅21メートル、標準排水量8,200トンである。 

 海上自衛隊は2027年度中にASEV1番艦を受領し、翌年度に2番艦が引き渡される。


いずも型ヘリ空母の改造(1240万ドル) 

ロッキード・マーチンF-35B戦闘機の運用が可能な空母への改造を継続するため、約18億円を要求した。いずも型ヘリ空母「いずも」と「かが」の軽空母化は、太平洋への進出が著しい中国軍に対する抑止力強化が目的だ。両艦の改修は、5年ごとに実施される大規模な定期検査の機会を利用して2回ずつ行われており、2024年度は、「いずも」の2回目改修として、2023年度の「かが」に続いて、飛行甲板の艦首部を台形から正方形に改修する。 

 「かが」の来年度(2025年度)予算は要求されていない。同艦は2023年度に1回目改修が完了している。防衛省によると、「いずも」の改修は2027年度、「かが」改修は2028年度に完了する予定である。 


各種輸送艦の取得(140.5百万ドル) 

離島、特に鹿児島から沖縄まで、南西に台湾まで延びる約1,200kmに及ぶ日本の南西諸島列島への海上輸送能力を強化するため、防衛省は来年度中に、中型輸送艦1隻、小型輸送艦1隻、機動支援艦(MSV)1隻を調達する。

 新型輸送艦を運用するため、2025年3月に海上自衛隊呉基地に陸・海・空統合の「海上輸送部隊」(仮称)を新設する。防衛省によると、同部隊には3軍から約100名が参加する。 


潜水艦発射ミサイルの取得(2080万ドル)

潜水艦の魚雷発射管から発射できる長距離巡航ミサイルの取得のため、30億円を要求した。防衛省は2023年度から、この対艦・対地攻撃ミサイルをスタンドオフ防衛能力の一部として開発してきた。2023年4月、同ミサイルの開発契約を三菱重工業と締結したと発表した。防衛省は海上自衛隊の最新型「たいげい」型潜水艦に搭載される予定であると説明した。 


艦載小型無人偵察機の取得(2560万ドル) 

艦載小型無人偵察機の取得に37億円(2560万ドル)を要求し、水上艦艇の偵察・情報収集能力を向上させるため、艦載小型無人航空機(UAV)を取得する。 


水中発射VLSの研究(2億760万ドル) 

防衛省は、潜水艦に搭載可能な垂直発射システムの研究を実施するため、300億円(2億760万ドル)を要求した。これにより、発射プラットフォームをさらに多様化し、海中での優位性を獲得することを目指す。 


新イージス艦の研究(2280万ドル)

退役したこんごう型イージス護衛艦の後継艦を検討するための技術調査を行うため、防衛省は33億円を要求した。


船舶搭載レーザーシステムの研究(1億3,200万ドル) 

防衛省は、大量の小型無人航空機からの新たな脅威に対処できる、艦艇搭載型の高出力レーザーシステムの研究に191億円(1億3,200万ドル)を要求した。


Japan requests largest-ever defense budget for fiscal year 2025


https://www.navalnews.com/naval-news/2024/08/japan-requests-largest-ever-defense-budget-for-fiscal-year-2025/


2024年6月3日月曜日

日本の次期イージス・システム搭載大型艦ASEVにロールスロイスMT30ガスタービンエンジンの採用が決定

 ASEV rendering

ASEV rendering. Lockheed Martin image.




日本のイージスシステム搭載艦(ASEV)の動力源として、ロールスロイスが世界初のツインMT30搭載ハイブリッド電気機械推進システムを供給することが決まった


ロールスロイスプレスリリースより


MT30 GTのユニークな出力密度により海上自衛隊の駆逐艦が求める最高速度の要件を満たす。

 最新世代の舶用ガスタービン技術の利点としては、従来型エンジンと比較して艦上でのメンテナンス作業が大幅に減り、乗組員数の削減が容易となる。

 「海上自衛隊艦艇にMT30がこれまでも採用されており、日本との長きにわたる良好な関係をさらに強化することになります。

 「ロールス・ロイスは、海軍推進技術の最前線に立ち続け、日本の駆逐艦計画に世界初のツインMT30ハイブリッド配置を提供できることを誇りに思います。

 「MT30は、FFMフリゲートを含む、世界で最も先進的なプラットフォーム多数に動力を供給しています。その動力と推進力により、造船会社やシステム設計者は、新たなオプションや選択肢、将来性を備えた能力を得ることができます。私たちは、日本との関係を継続し、MT30の世界的な普及を期待しています」。(サム・キャメロン、ロールス・ロイス防衛担当上級副社長)

 川崎重工KHIが、MT30を "コンパクト・パッケージ・エンジン筐体"とに組み立てて、試験を行い、推進システム全体の試験も実施する。   MT30は、実用化済み舶用ガスタービンの中で世界で最も出力密度が高く、最小限のスペースで高出力を実現しながら、将来の運航出力需要にも対応する。MT30は、機械式、ハイブリッド式、一体型電気式など、考えられるすべての推進配置で稼働しており、また用途に応じてウォータージェット、可変ピッチプロペラ、固定ピッチプロペラに動力を供給するために選択されている。

 同じ地域で、MT30は韓国の大邱級、蔚山級フリゲート艦、オーストラリアのハンター級フリゲート艦にも採用されており、その恩恵は米国の太平洋地域でも活用されている。ロールスロイスの目標は、今後10年以内に、MT30が環太平洋地域で主流となることで、MT30の継続的な性能のみならず、その成功を可能にした強力な協力体制と経験の証でもある、と同社は見解を発表している。■


Rolls Royce MT30 selected to power Japan’s ASEV - Naval News


Naval News Staff  31 May 2024





2024年4月4日木曜日

日本の次期大型イージス艦ASEVに搭載予定のSPY-7レーダーが大気圏外目標追尾捕捉能力の実証に成功。2隻の大型艦は2028-2029年にそれぞれ就役予定。

 日本の新ミサイル防衛艦のレーダー、重要な宇宙追跡テストに合格


先が楽しみですね。大型艦となるASEVには護衛艦艇も随行し、いわば打撃群となるのでは。(本ブログでは護衛艦という言葉は使っておりません。DDなので駆逐艦としておりますのでご了承ください)The War Zone記事からのご紹介です。



次期イージス戦闘システム艦は、トマホーク巡航ミサイルも搭載し、乗組員の訓練が先行して始まっている


本が建造するイージスシステム搭載艦(ASEV)用の新型レーダーAN/SPY-7(V)1は、大気圏外の目標を追尾する能力を実証した。ASEVにとって非常に重要な能力である。ASEVにはSM-3対ミサイル迎撃ミサイルが搭載され、弾道ミサイルが飛翔途中で宇宙空間を通過する際に、弾道ミサイルを破壊するように設計されている。巡洋艦に近いASEVは単なるミサイル防衛プラットフォームにとどまらない艦艇となり、日本の要員はトマホーク巡航ミサイル運用の訓練を開始したばかりだ。

 米ミサイル防衛庁(MDA)は本日未明、AN/SPY-7(V)1の試験成功を発表したが、実際の試験は3月28日に行われていた。今回使用されたレーダーは、ロッキード・マーチンのニュージャージー州ムーアズタウンにある製造テストセンターに設置された。MDAによれば、海上自衛隊(JMSDF)の代表と米海軍のイージス艦技術代表も立ち会った。排水量1万2000トンのASEV2隻は、第二次世界大戦後、日本最大の水上戦闘艦となる予定で、それぞれ2028年と2029年に就役する予定だ。建造単価は約27億ドルと予想されている。

 MDAのリリースによると、「追跡イベントの間、...SPY-7レーダーの戦術的なハードウェアとソフトウェアは、宇宙空間で物体を検出し、追跡し、さらに処理するためAWS(イージスウェポンシステム)にデータを渡した」。"物体 "が何であったかは不明である。

 AN/SPY-7(V)1は、米国のAN/SPY-7長距離識別レーダー(LRDR)を縮小したもので、アラスカのクリア宇宙軍基地に設置されている地上型早期警戒レーダーが原型だ。米軍と議会は、LRDR由来の別のレーダーをハワイに設置する計画について、何年にもわたって行ったり来たりしてきた。LRDRは窒化ガリウム(GaN)ベースのアクティブ電子走査アレイ設計で、先進的な軍用レーダーで一般的になりつつあるGaNの使用は、効率と信頼性の向上に役立っている。

 LRDRとAN/SPY-7(V)1はいずれも、富士通が供給するGaNコンポーネントを搭載した、小さなソリッド・ステート・レーダー(SSR)の「ビルディング・ブロック」(LRDRの場合は数千)から成るモジュール設計だ。レイセオンのAN/SPY-6シリーズも、コンセプトはほぼ同様である。

 一般に、モジュール構成のレーダーは、柔軟性や弾力性の向上など、各種利点を提供する。個々のコンポーネントは、基本的にそれぞれがレーダーである。また、何らかの理由でブロック1つ失っても、残りのアレイが機能しなくなることはない。

 日本の防衛省がこれまでに示したレンダリング図に基づくと、ASEVに搭載されるAN/SPY-7(V)1には、4つの固定面アンテナ・アレイが含まれ、未知の数のSSRが艦橋上部の大きな上部構造の周囲に配置される。

 防衛省は以前、ASEV にこのレーダーを採用することで、こんごう級駆逐艦のレーダー更新計画に影響する可能性があると指摘していた。こんごう級駆逐艦に搭載されている主要レーダーはAN/SPY-1の一種で、イージス戦闘システム用に開発された第一世代のレーダーだ。

 AN/SPY-7(V)1は、特に宇宙空間で目標を追跡する能力があり、ASEVの弾道ミサイル防衛任務に不可欠だ。ASEVには垂直発射システム(VLS)が128セル搭載され、その一部には地球大気圏外の標的を攻撃できるSM-3迎撃ミサイルが搭載される。最新型のSM-3ブロックIIAは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)だけでなく、その他弾道ミサイルの飛行のミッドコースセグメントに対応できる。SM-3はまた、対衛星能力も実証ずみだ。


An infographic with details about the different variants of SM-3. <em>MDA</em>

An infographic with details about the different variants of SM-3. MDA


 ASEVのVLSセルの一部には、SM-6シリーズのミサイルも搭載される。SM-6は、飛行の最終段階で、新型の極超音速兵器を含む、各種脅威と交戦する能力がある。SM-6は多目的な兵器で、地表の標的に対しても使用できる。特に、イランの支援を受けたイエメンのフーシ派武装勢力が、紅海やその周辺にいる外国の軍艦や商船に対する作戦の一環として、対艦弾道ミサイルを定期的に使用するようになった結果、軍艦が局地的な弾道ミサイル防衛能力を持つ必要性が、ここ数カ月で前面に出てきた。

 ASEVは当初、日本がイージス・アショアを国内に建設する計画を中止したため、その穴を埋める弾道ミサイル防衛プラットフォームとして想定されていたが、現在ではより多目的な艦船へ進化している。SM-6が提供する地対地攻撃能力に加えて、これらの艦船は米国製トマホーク巡航ミサイルと12式対艦巡航ミサイルを搭載することができる。艦首には5インチ砲も設置される。

 また、主に無人偵察機に対して使用する高エネルギーレーザー指向性エネルギー兵器を搭載する計画もある。無人航空機が船舶や陸上の標的にもたらす脅威は、ウクライナ戦争やフーシの対艦作戦によって、現実味を帯びてきている。つい昨日も、イラクでイランの支援を受けた民兵が、港に停泊中のイスラエル軍艦を狙ったかのような長距離ドローン攻撃を行った。

 トマホーク導入は海上自衛隊にとって特に重要な意味があり、これらのミサイルはASEVだけでなく、こんごう、あたご、まや級にも搭載される。日本当局は1月、米国の対外軍事販売(FMS)プログラムを通じて、ブロックIV型とブロックV型を混合した約400基のトマホークを購入する計画を推進するための申し出受諾書(LOA)に署名した。木原稔防衛相は先週、米海軍の協力を得て、日本側要員がトマホーク兵器システムの訓練を開始したと発表したばかりだ。

 現在の予想では、日本は2025年度から2027年度の間にトマホークを引き渡される。これは、北朝鮮による脅威の増大や、中国とロシアの軍事協力の増大など、地域的・世界的な安全保障への配慮によるものだと防衛省は述べている。これを念頭に置いて、中国のWZ-7無人偵察機が最近、日本海上空を初めて飛行したことが注目に値する。同機は北朝鮮かロシアの領空を通過して日本海を往復したようだ。

 トマホークは、陸上と海上の標的を攻撃することができるミサイルの一種で、日本にこれまでなかった長距離攻撃能力を与える。このミサイルを使えば、ASEVやその他の日本の艦艇は、1000マイル以上離れた目標を攻撃することができる。その結果、北朝鮮、中国、ロシアを含む、新たな標的を潜在的な危険にさらすことができるようになる。東京の当局者は、表向きは「日本を侵略する勢力を早期に、遠くから混乱させ、打ち負かす」能力に重点を置く日本のスタンドオフ防衛戦略を支えるため不可欠なものだと考えている。

 ASEVは主に日本本土を襲来する脅威から守るために配備され、弾道ミサイル防衛任務を遂行する海上自衛隊のその他イージス艦の需要を減らし、別の任務に回すのに役立つ。ASEVを2隻保有することで、日本は少なくとも1隻のASEVを常時配備可能になる。

 イージスのおかげで、ASEVはセンサー・データを日本の大規模な統合航空・ミサイル・ネットワーク、ひいては米国のネットワークに供給することもできる。このように、将来この2隻を取得することは、ミサイル防衛のカバー範囲という点で、両国に大きな恩恵となる。

 いずれにせよ、高性能レーダーとトマホーク巡航ミサイルを含む多様な兵器を備えた日本の将来のASEV2隻は、10年以内に重要なミサイル防衛と長距離攻撃の双方を提供することになりそうだ。


Radar For Japan's New Missile Defense Ships Passes Critical Space Object Tracking Test

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED APR 2, 2024 2:12 PM EDT