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2026年7月25日土曜日

安定したドイツを前提とした安全保障環境は9月の地方選挙結果で崩壊しかねない―右派ポピュリズムを抑制しようとしてきた既存勢力が事態を却って悪化させたといってよい

 

ドイツの戦後コンセンサスが崩壊中

Why Germany’s Postwar Consensus Is Failing


https://nationalinterest.org/feature/why-germanys-postwar-consensus-is-failing

ドイツの既成政治勢力にとって9月の州議会選挙は右派ポピュリズムを食い止める最後の試金石となるかもしれない

去10年間で英国はブレグジットを決定し、ドナルド・トランプは2度にわたり大統領選に勝利し、欧州全土でポピュリスト政党が台頭した。ドイツだけは、その影響を受けていないように見えた。従来型政党が政権を維持し、他の民主主義諸国を再編しつつある勢力からドイツは隔離されているように見えた。西側諸国が自らの政治的伝統と抱える複雑な関係を見守る者たちにとって、ドイツは自由民主主義が持ちこたえられるという最後の安心材料であった。しかし、その安心感は崩れ始めている。

今年9月、ザクセン=アンハルト州、メクレンブルク=フォアポンメルン州、ベルリンの有権者は、ドイツ再統一以来最も重要な州議会選挙となる可能性のある投票を行う。ワシントンにとって、その重要性は単なる得票数の集計をはるかに超える。欧州最大の経済大国で、NATOにとって不可欠な大陸の要、欧州における米国にとって最も重要なパートナーであるドイツは、大西洋横断同盟に直接の影響を及ぼす政治的変容の真っ只中にある。

「ドイツのための選択肢」(AfD)は、6月の全国世論調査で約29%の支持率を獲得し、現在首位に立っている。ドイツ東部では、同党が支配的な勢力となっている。しかし、真の焦点は単に一つの政党の台頭だけではない。それは、冷戦後のドイツを支配してきた戦後のコンセンサスが、徐々に崩壊しつつあるという事実である。

9月の選挙は、ドイツの支配層がこの動きを依然として封じ込めることができるかどうかを問う、最初の実質的な試金石となるだろう。それは、長らく西側世界の安定の最後の砦と見なされてきたドイツが、民主主義世界の多くを変容させてきたのと同じ試練に、ついに直面したことを示すかもしれない。

戦後を通じて、ドイツの政治は異例なほど安定した基盤の上に成り立っていた。権力はキリスト教民主同盟と社会民主党の間で交代し、これら二つの幅広い支持層を抱える政党は、合わせてしばしば得票率60%を優に超える勢力を誇っていた。選挙によって誰が政権を握るかは決まったが、制度そのものの根底にある前提に異議が唱えられることはめったになかった。合意形成、穏健さ、そして漸進的な変化――これらが、再統一後の数十年にわたるドイツの政治を特徴づけてきた。その時代は終わりを迎えつつある。

ドイツの伝統的な与党が衰退し始めたのは、AfDの台頭によるものではない。この右派・民族主義政党が政治勢力として台頭する以前から、すでにその衰退は着実に進行していた。選挙を重ねるごとに、CDU/CSUとSPDは支持基盤を失い、一方、小政党は着実に支持を拡大していった。連立交渉は困難を極め、政権の安定性は低下し、有権者たちは選挙が依然として有意義な変化をもたらすのかどうかを疑問視し始めた。

この危機を生み出したのはAfDではない。同党はそれを巧みに利用したのだ。西側諸国に見られる多くのポピュリスト運動と同様、この政党が勢力を伸ばしたのは、長年にわたり蓄積されてきた不満に声を与えたからである。その台頭は、突発的な断絶というよりは、ドイツの支配層に対するより根深い信頼喪失が顕在化したものだった。

その不満の背景にある経済状況は、決して抽象的なものではない。何十年にもわたり、産業力と完全雇用の代名詞であったドイツは、今、痛ましい清算の過程にある。フォルクスワーゲン――ドイツの経済奇跡の象徴――は、自動車メーカーとしての歴史上、最も深刻な危機に直面しているかもしれない。同社は、世界中で最大14万人の雇用に影響を及ぼす抜本的な再編を進めており、ドイツ国内だけで5万人の人員削減が行われる見込みだ。ドイツ国内の4つの工場では、新型車の生産が行われない可能性もある。何百万人ものドイツ人にとって、これは単なる統計上の数字ではない。それは、彼らの人生を形作ってきた「確実性」の終焉なのである。

しかし、その不満の源泉は経済的圧力だけではない。決定的な転換点は2015年に訪れた。アンゲラ・メルケル首相が数十万人の移民を受け入れると決定したことで、ドイツの政治は一変し、その影響は今日に至るまで続いている。支持者たちはこの政策を人道上の必要性として捉えた。一方、批判派は、主権国家の最も基本的な責務の一つである「誰が国に入国できるか」という決定権を、政府が放棄した証拠だと見なした。

この議論に対する立場がどうであれ、その結果については異論を唱えるのは難しい。何百万人ものドイツ人は、この問題を単なる移民問題以上のものと捉えた。メルケル首相は、国民のアイデンティティ、主権、そして国の将来の姿に影響を及ぼす決定を、実質的な国民の同意なしに行っていたのだ。かつては単一の政策に集中していた不信感は、次第に支配層そのものへの不信へと広がっていった。AfDは、単にその変化の最大の受益者となったに過ぎない。

当初は共通通貨に反対するユーロ懐疑派の運動として結成された同党は、移民危機を機に、ドイツの支配層がもはや自分たちを代表していないと信じる有権者たちの主要な受け皿として、自らを再定義した。多くの観測筋が一時的な抗議票として一蹴したものは、はるかに持続的なものだと判明した。移民問題が反乱の引き金となったかもしれないが、長年にわたる経済停滞、エネルギー価格の高騰、公的機関への信頼の低下、そして歴代政権への不満が、その動きを支え続けてきたのである。同党の継続的な台頭は、単にその政策への支持を示すだけでなく、戦後期の大部分においてドイツを統治してきた政党に対する不満の高まりを反映している。

ドイツの政治エリート層は、この変容に対応して、後に「ファイアウォール」、すなわちBrandmauerとして知られるようになった仕組みを構築した。AfDとの協力を拒否することは、当初は例外的な措置として提示された。それは、憲法の主流から外れていると見なされた政党に対する一時的な防護策として説明されていた。しかし時が経つにつれ、この「ファイアウォール」は戦術的な決定から、ドイツ政治そのものの組織原理へと変貌を遂げた。

ほとんどの民主主義国家では、選挙での成功は政党の政権獲得の可能性を高める。しかしドイツでは、その逆がますます現実のものとなりつつある。AfDが勢力を拡大すればするほど、他のすべての主要政党は、同党を政権から締め出す決意を強めてきた。現在の世論調査によると、ドイツ有権者の3人に1人近くが、他のすべての主要政党が連立を拒否している政党を支持することになる。

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長年にわたり、その戦略は持続可能に見えた。AfDは孤立したままであり、広範な反AfD連合が引き続き議会で過半数を占めていた。今日、そうした前提を維持することはますます困難になっている。ドイツの未来が垣間見えるのは東部州だ。再統一から30年以上が経過した今も、東ドイツの投票傾向は西ドイツと異なっている。アナリストたちは、分断を経済的要因、人口動態、あるいは共産主義支配の残存影響で説明することが多い。これらの要因は重要とはいえ、もはやこの地域の政治的軌跡を説明するには不十分である。

東ドイツでは、ポピュリスト的な潮流が比較的早い段階で顕在化した。既成政党への幻滅、中央集権的な権威への懐疑、そしてポピュリスト的な代替勢力への支持――いずれも、西側へ広がるはるか以前から、旧共産主義国家であった東ドイツで高い水準に達していた。東ドイツの中心地ザクセン=アンハルト州では、AfDの支持率が現在40パーセント前後と、他のどの政党よりも大きくリードしている。

現在の世論調査が正確であることが証明されれば、AfDは同州で支配的な政党として台頭することになるだろう。AfDを除外したあらゆる連立案は、根本的に異なる政策を掲げる政党が、ただ一つの最優先目的――選挙の勝者が権力を行使するのを阻止すること――のために団結することを必要とする。

法的には、そのような取り決めに非民主的な点はない。しかし実際には、選挙での支持率と政権運営能力との格差が広がるにつれ、その維持は困難になっていく。

ある時点で、ある政党を孤立させるために設計された「防火壁」は、その目的を中心にシステム全体を再構築し始める。

これこそが、今日のドイツが直面しているパラドックスである。AfDが強大になればなるほど、その「防火壁」は擁護者たちにとって不可欠なものに見えてくる。しかし、その「防火壁」を強化する選挙が行われるたびに、AfDの中心的な主張――何百万人ものドイツ人が「変革」を求めて投票しても、決してそれを実現できない――もまた強まっていくのである。

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相がキリスト教民主同盟(CDU)の党首に復帰した際、保守派は、彼がCDUの衰退を食い止める最後の希望であると信じていた。前任のアンゲラ・メルケルとは異なり、メルツは保守路線を明確に約束した。国境管理の復活、経済の再生、そして10年にわたる迷走からの脱却である。彼のメッセージは明快だった。中道路線を放棄することなく、AfDに流れた有権者を取り戻せる、というものだった。

それはもっともらしい戦略だった。多くの観測筋は、AfDへの支持が、より根本的な政治的再編ではなく、メルケルへの不満を反映したものだと想定していた。CDUが再び保守的な統治の言語を話し始めれば、抗議票を投じた有権者たちは戻ってくるはずだった。

その想定は今、最初の重大な試練に直面している。全国レベルでは、CDUはAfDに6パーセントポイント差をつけられている。ザクセン=アンハルト州では、キリスト教民主同盟の得票率はAfDの半分強にとどまると予測されている。かつては連邦共和国の制度的基盤として自らを位置づけ、コンラート・アデナウアーやヘルムート・コールの本拠地であった政党が、今やかつての基準と見なしていた得票率の半分に達することさえ苦戦している。

メルツ氏は、党のレトリックを変えることは、失った信頼を取り戻すことよりも容易であることに気づくかもしれない。CDUを見限った有権者たちは、必ずしも同じ党の「少し保守的なバージョン」を待っているわけではない。多くの有権者は、CDUがもはや信頼できない支配層と不可分のものであると結論づけているようだ。もし選挙結果が現在の世論調査を裏付けるものとなれば、ドイツの危機はメルケル氏の遺産に対する反発だけで説明できるものではない。9月の選挙は、ドイツの伝統的な中道右派が依然として国民の不満を吸収する能力を保持しているのか、それともその役割が恒久的に別の政党に移ったのかを検証することになるだろう。

より広く見れば、ドイツは西側諸国の民主主義が直面している問題を浮き彫りにしている。与党は、過去の時代に築かれた制度を維持しつつ、いつまで国民の信頼を失い続けられるのか? 有権者のうち、規模が大きくかつ増加傾向にある層を権力から排除し続けることが、いつから民主主義そのものへの信頼を損ない始めるのか?さらに、自由民主主義が外部の敵を打ち負かすことができるかという問題はさておき、自国民からの忠誠心を依然として勝ち取ることができるのだろうか?

戦後の大半において、ドイツは独自のカテゴリーに位置づけられているように見えた。その歴史は、特定の責任を課すとともに、ナショナリズムや自由主義的秩序への反乱の匂いがするあらゆるものに対して、特別な警戒心を強いていた。その例外性は有用な面もあった。しかし、代償も伴っていた。他の国々では公然と議論されていた問題が、ドイツでは長年にわたり抑圧されてきた。「9月」の出来事は、それらの問題が決して解決されていなかったことを示唆している。それらはただ、その時を待っていただけだったのだ。

これらすべてが、「9月」に並外れた重みを与えている。世論調査の結果が正しければ、AfDはザクセン=アンハルト州で、既存政党が同州で数十年間経験したことのない大差で勝利することになる。10年前にはかろうじて5%の得票率の壁を突破しただけの政党が、200万人以上の人口を抱える州で支配的な勢力となる可能性が高いのだ。

ワシントンにとっての含意は具体的だ。国内の政治危機に翻弄されるドイツは、NATOの東部戦線を確実に支えることも、ウクライナへの支援を維持することも、ロシアへのエナジー依存に断固として抵抗することもできなくなる。同盟は長きにわたり、安定し、外向きなベルリンを前提としてきた。その前提がもはや保証されていない。

根本的な疑問が未解決のままである。それは、ドイツがAfDを封じ込められるかどうかではなく、AfDが必要を生んだ状況に対処できるかどうかという点だ。それこそが、あらゆる西側民主主義国が最終的に直面せざるを得ない問いである。ドイツは、単に時間が尽きてしまった最新の事例に過ぎない。■

著者について:フィリップ・ガシュパル

フィリップ・ガシュパルは、ボスニア・ヘルツェゴビナにルーツを持つクロアチア系の政治顧問兼評論家である。戦略的コミュニケーション、国際的なポジショニング、保守派ネットワークを専門としている。ドイツや国際的なメディア、および旧ユーゴスラビア全域の様々なメディアに定期的に寄稿している。また、旧ユーゴスラビア地域における文学翻訳の調整も行っている。以前は『The European Conservative』にも寄稿していた。

2026年5月22日金曜日

イラン戦争で米欧の戦略的同盟が崩壊する姿を我々は見させられているのだろうか

 French President Emmanuel Macron, Italian Prime Minister Giorgia Meloni, British Prime Minister Keir Starmer, and German chancellor Friedrich Merz, arrive at the Elysee Palace to talk about navigation in the Strait of Hormuz, on April 17, 2026.

2026年4月17日、ホルムズ海峡の航行問題について協議するため、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、イタリアのジョルジア・メローニ首相、英国のキア・スターマー首相、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相がエリゼ宮に到着した。Jeanne Accorsini/Sipa - WPA Pool/Getty Images

欧州大陸はワシントンに頼るべきではないと学びつつある

  • Defense One 

  • ファラ・N・ジャンペンシルベニア大学上級講師

  • 2026年5月19日 午後2時45分(米国東部時間)

2026年2月28日に米国とイスラエルによるイランへの攻撃が始まって数日後、スペインのペドロ・サンチェス首相は、70年以上にわたり米軍が駐留してきたロタ海軍基地とモロン空軍基地の使用を米軍に拒否した。

「我々は主権国家であり、違法な戦争には加担したくない」とサンチェスは述べた。これに対し、ドナルド・トランプ米大統領はスペインに対する全面的な貿易禁輸措置をちらつかせて応じた。

数週間後、トランプの欧州における最も親密な同盟国で彼の2回目の就任式に招待された唯一のEU首脳イタリアのジョルジア・メローニ首相が、ワシントンとの決別を公然と表明した。

「意見が合わない時は、そう言わなければならない」と彼女は述べた。「そして今回、我々は同意しない」。その後、ローマは南イタリアの基地での米軍爆撃機への給油を拒否した。

これらは些細な外交上の摩擦ではない。同盟政治と核安全保障の研究者として、筆者は戦術的な意見の相違よりはるかに大きなものを見ている。イラン戦争による最も重大な犠牲者は、テヘランにいるわけではないかもしれない。それは同盟国としての米国の信頼性であり、それとともに、大西洋横断同盟そのものかもしれない。

イラクとの比較は誤解を招く

米国とイスラエルによるイランへの空爆は、欧州同盟国との事前の協議が事実上一切ないまま実行された。トランプ政権は、NATO加盟国を戦略的意思決定の参加者としてではなく、徴用されるべき、あるいは支援を拒否した場合には懲罰の対象となる後方支援のインフラとして扱った。

欧州各国政府は、米国との関係が最も深い国々でさえ、作戦への参加を拒否した。これに対しトランプ政権は、スペインへの禁輸措置の脅しや、ドイツからの米軍5,000人の撤退をもって応じた。

「米国は決して忘れない!!!」トランプは2026年3月31日、Truth Socialにこう投稿した

ワシントンでは、これを2003年の再来と見なすのが常だった。当時、フランスとドイツはイラク戦争に反対した。2003年1月、ドナルド・ラムズフェルド国防長官は、フランスとドイツを「旧ヨーロッパ」と一蹴し、ポーランド、チェコ、ハンガリーを含むポスト共産主義の「新ヨーロッパ」に接近を図った。

一見、この類似点は説得力がある。中東での米国による一方的な戦争、欧州の参加拒否、そして大西洋を挟んだ非難合戦。

しかし、この比較は隠れているものの方が多い。2003年、米国は欧州を連合に加えたがっていた。ジョージ・W・ブッシュ政権は国連の承認を求め、同盟国を懐柔し、欧州の拒否を対処すべき問題として扱った。

2026年、トランプ政権は欧州の関与をそもそも望んでいない。同政権は同盟国をただ乗りと見なし、経済的強制で威嚇している。同盟国の躊躇を交渉の材料ではなく、報復の理由として扱っているのだ。

より根本的な違いは構造的だ。2003年当時、大西洋横断同盟は依然として、集団防衛、自由貿易、そして国際的なルールに基づく秩序への共通のコミットメントの上に成り立っていた。

今日、トランプ政権は、NATO、ロシア・ウクライナ戦争、あるいは貿易や移民を規律するルールに関しても、従来米国を欧州のパートナーと結びつけてきたコミットメントを共有していない。

2003年のイラク戦争をめぐる意見の相違を覆い隠し、ニコラ・サルコジ大統領が2009年までにフランスをNATOの指揮下へ再統合することを可能にした共有された価値観は、もはや修復の役割を果たすには存在しない。

2026年4月、ハンガリーにおけるヴィクトル・オルバーンの16年にわたる支配が崩壊したことで、トランプは主要な欧州諸国政府の中に、真剣な政治的同盟国を失った。

真の先例はスエズである

より示唆に富む先例は、さらに過去に遡る。1956年、英国とフランスは、イスラエルと連携し、スエズ運河をめぐってエジプトと戦争状態に突入したが、その計画をアイゼンハワー政権から隠蔽していた。これに対しワシントンは、英ポンドを暴落させると脅し、ロンドンとパリを屈辱的な撤退へと追い込んだ。

この危機は、英国がもはや独立した大国ではないことを受け入れた瞬間として記憶されている

しかし、そのより重要な遺産は戦略的なものであった。スエズ危機は、ヨーロッパの米国への依存の深さを露呈させた。その屈辱が、シャルル・ド・ゴールによる独立したフランスの核抑止力の追求を後押しした。また、この危機は欧州統合を加速させ、真の戦略的自律性の実現が世代を超えたプロジェクトとなるという認識を植え付けた。

イラン戦争は、その教訓の条件を逆転させている。1956年、欧州諸国はワシントンから独立して行動することはできないと学んだ。2026年、彼らはワシントンの同意が得られるとは限らないこと、そして米国が彼ら抜きで、彼らの公言した利益に反し、経済的犠牲を強いる形で行動することを学んでいる。

パターンは同じだ。米国への依存は持続不可能であり、自律的な能力はもはやオプションではない。変わったのは、欧州が今や財政的、経済的、軍事的手段を、かつては考えもしなかったような方法で活用する意思を持っているという点だ。

EUによるウクライナへの900億ユーロの共同融資は、自律的な欧州の戦略的姿勢を示している。米国による関税措置に対してEUの「反強制」貿易措置を発動する議論や、フランスの核戦力拡大、抑止力の「欧州化」の提案も同様である。

こうした戦略的姿勢については数十年にわたり議論されてきた。イランとの対立が、それらを現実のものとしている。

これはまだ欧州の戦略的自立とは言えない。欧州は依然として、米国の防空、衛星能力、情報に軍事的に依存している。

例えば、ホルムズ海峡の封鎖は、米国の液化天然ガス、ロシアのパイプライン、中東の炭化水素、そして中国が支配する再生可能エネルギーのサプライチェーンをめぐる、不快なエナジーの現実と向き合うことを強いている。エナジー安全保障への利用可能な道筋のいずれも、信頼できるパートナーを経由するものではない。

フランスとドイツは、統合をどのように進めるべきかについて、ほぼすべての詳細において依然として意見が一致していない。しかし、自律のための政治的条件――すなわち、戦略的意思決定の共有においてもはやワシントンを信頼できないという欧州共通の認識――は、過去のいかなる危機も生み出せなかった形で結晶化した。

1945年からの「大西洋横断協定」は、米国の安全保障上の保証と引き換えに、欧州が世界戦略で従属的な立場をとると定めていた。2003年のイラク戦争はその協定にひびを入れ、トランプ政権第一期は協定に亀裂を生じさせ、イラン戦争はそれを完全に破綻させた。

これに取って代わるものは、新たなパートナーシップではない。それは、時として利害が重なりつつも、戦略的展望がますます乖離しつつある二つの大国間の並行関係となるだろう。

1956年、欧州は自らがワシントンにどれほど依存しているかを学んだ。2026年、欧州はその依存がもはや持続不可能となったことを学びつつある。■

ペンシルベニア大学およびパリ政治学院(Sciences Po)の国際関係学プログラムに在籍する学生、エレニ・ロムタティゼが本記事の執筆に協力した。

Why the Iran war is breaking the US‑European strategic alliance

The continent is learning that it must not count on Washington.

By Farah N. Jan

Senior Lecturer, University of Pennsylvania

May 19, 2026 02:45 PM ET

2025年9月15日月曜日

欧州は米国抜きで実行力のある欧州防衛が可能なのだろうか(The National Interest)

 欧州にとって唯一の選択肢は戦略的自律体制の確立だ(The National Intterest)

欧州が独自に安全保障体制を構築するのは困難だが、ロシアを抑止する上で他の選択肢は存在しない

州は転換点に立っている。ドナルド・トランプ大統領がウォロディミル・ゼレンスキー大統領にロシアに有利な和平案を受け入れるよう強要するか、あるいは紛争から完全に手を引くかに関わらず、欧州の指導者たち安全保障の保証人として米国に頼ることはもはやできなくなった。各国は安全保障関係が断たれないことを期待して、トランプを褒め称え続け、議会指導者に働きかけ続けることもできる。あるいは、米国の後ろ盾なしに、好戦的なロシアから自らを守る計画を立てることもできる。

1949年以来世界の安定を支えてきた大西洋関係は、貿易と安全保障の面でほころびを見せている。トランプをなだめ、欧州における米国の存在感を維持するため、欧州連合(EU)は7月に米国との一方的な貿易協定に合意した。この協定では、EUの米国向け輸出品の大半に対する関税を15%に上限設定(現行の1.5%から大幅引き上げ)する代わりに、米国産工業製品の関税撤廃と農産物の優遇市場アクセスを認める。フランスのフランソワ・バイル首相はこれを「屈服」の行為と呼んだ。トランプ大統領のNATOの集団安全保障へのコミットメントを確保するため、欧州同盟国は1カ月前のハーグサミットで、2035年までに国防費をGDPの5%に引き上げることで合意した。

しかしトランプ大統領の予測不可能さを考慮すれば、欧州同盟国は大統領の貿易・財政要求が変更されない保証はない。確かにトランプ大統領は欧州同盟国が負担するウクライナへの新たな武器供与を承認し、8月29日のキーウ空爆などロシアによる都市への執拗な爆撃に激怒している。しかしトランプ政権及び多くの国民が中国をより大きな脅威と見なしている現状を踏まえれば、こうした支援がウクライナや欧州同盟国を防衛する持続的な意思の表れだと結論づけるのは軽率である。

大統領はその驚くべき一貫性のなさを8月15日のアラスカでのプーチン大統領との首脳会談で露呈した。事前に要求していた停戦も、停戦が実現しなかった場合のロシアへの「深刻な結果」という警告も、いずれも達成されなかった。また、欧州の指導者たちが求めていたウクライナへの安全保障も会談では得られなかった。

トランプとプーチンの親しげな冗談交じりのやり取りが示すように、この首脳会談はロシアと米国の間の接近が深まっていることを明らかにした。プーチンは約束も譲歩も一切しなかった。戦場でもトランプとの交渉でも、時間が味方だと確信しているからだ。実際、合意の功績を主張したいトランプは、戦争終結の責任をゼレンスキーに押し付けている。これはおそらく、ロシアが軍事的に支配していないドンバス地域の約20%を譲歩することを意味する。

クリミアとドンバスでの領土的獲得は、プーチンにウクライナでの成功を他地域で再現する勇気を与えるだろう。プーチンの目標は常に、1991年にソ連が失った帝国を再建することだからだ。モルドバは次の標的となり得る。ロシア語を話す住民が「保護」を必要としているという同じ口実が存在するからだ。バルト三国のいずれかが標的となる可能性もあるが、直接攻撃はNATOの集団防衛条項(第5条)発動を招く。同条項は加盟国への攻撃を全加盟国への攻撃と定義している。より広範には、プーチンはスロバキアやハンガリーなど、モスクワとの関係正常化を図るNATO加盟国への影響力拡大を図るかもしれない。

欧州の同盟国は、政府支出の3分の1を防衛に充てているる敵対国の脅威を認識していないわけではない。NATOのマルク・ルッテ事務総長は同盟国に対し、ロシアが2030年までに欧州への攻撃を開始する可能性があると警告している。しかし欧州諸国は心理的に準備が整っていない。

NATOの東側国を除けば、大半の同盟国はリスク回避的だ。意図せず米国を欧州から切り離す措置を恐れている。EU安全保障研究所の分析官が指摘したように、同盟国が再軍備を進めれば進めるほど、「米国政策立案者に撤退の口実を与えることになる」。さらに、台頭するポピュリズムを恐れる政治指導者たちは、ロシアとの軍事衝突の可能性について国民を準備させていない。

欧州の戦略的自律性への支持は近年高まっているものの、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が指摘したように、同盟国は敵対国が恐れる効率的な戦闘部隊を配備できる段階には程遠い。防衛予算は拡大しているが、欧州各国は自国産業を優先している。その結果、複数の型式の戦車や榴弾砲が調達されており、相互運用性を阻害し、協調的な戦闘部隊の構築を妨げている。同様の分断がEUの国際貿易競争力を阻害している点は、元欧州中央銀行総裁マリオ・ドラギの2024年9月報告書でも指摘されている。

独立した防衛力を構築するには、欧州指導者らは狭隘な利己主義を捨て、開発国を問わず最も効果的な兵器システムに注力すべきだ。これらのシステムを共同運用すれば調達コスト削減につながる。ブリュッセルのシンクタンク「ブルーゲル」によれば、バルト三国におけるロシアの攻撃を阻止するには、最低でも1400両の戦車と30万人の歩兵が必要とされる。

欧州はまた、高強度紛争に対応可能な共通戦闘機、空中給油能力、空中電子戦、情報収集能力といった航空戦力の不足を克服する必要がある。これらの分野では現在、米国への依存度が極めて高い。ミサイル防衛システム、目標捕捉用衛星画像、戦時における複雑な軍事編成に必要な指揮統制システムについても同様だ。

冷戦終結時に外交専門家の一部は独立した欧州安全保障機構の創設を提唱した。しかし欧州でも米国同様、軍事費削減と社会プログラムへの資金投入を望む声が強く、実現には至らなかった。同盟国側の米国との切り離しへの懸念と、米国側の欧州における主導的役割維持の意向が、決定的な要因であった。

それから約35年後、ロシアの拡張主義が再燃する中、欧州はもはや安全ではない。また、米国の防衛へのコミットメントを確信を持って頼ることもできない。欧州が自由で民主的なままであるためには、この二つの現実に対応し、独自の防衛能力に頼らざるを得ない。■



Strategic Autonomy Is Europe’s Only Choice

September 6, 2025

By: Hugh De Santis

https://nationalinterest.org/feature/strategic-autonomy-is-europes-only-choice

著者について:ヒュー・デ・サンティス

ヒュー・デ・サンティスはジョージ・シュルツ国務長官の政策企画スタッフにおいて、NATO及び戦略的軍備管理を担当した。後にカーネギー国際平和財団で欧州安全保障プロジェクトを統括した。