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2025年12月15日月曜日

ニュークリアエナジーナウ – EUがポーランド初の原子力発電所に公式援助を承認など(The National Interest)

 

世界では原子力発電の利用が熱を帯びているのがわかります。日本では再活用の動きがありますが、ほとんどの原子炉は活用を封じられたままです

2025年12月12日

著者:エミリー・デイ


ニュークリアエナジーナウ は、技術、外交、業界動向、地政学など、原子力エナジーに関する最新動向を追跡します


VCサマー原子力発電所の完成が大きな経済効果をもたらす可能性

プライスウォーターハウスクーパース(PwC)がウェスチングハウス向けに作成した新しい報告書によると、VCサマー原子力発電所(サウスカロライナ州)の完成は、同州および米国経済に多大な経済効果をもたらす。報告書によると、2基のAP1000ユニットの完成は、建設期間中にサウスカロライナ州の経済を73億ドル押し上げ、稼働後は同州の国内総生産(GDP)に年間16億ドルを加える見込みだ。製造、エンジニアリング、設置の段階を含む7年間に、このプロジェクトは平均7,300人の雇用を支え、国のGDPに合計で約138億ドルの貢献をするだろう。発電所の稼働期間(最低80年と予想される)の間に、同発電所は州経済に 1,300億ドルの追加収益をもたらすだろう。これは、2024年時点で約 2,660 億ドルの GDP を誇る同州にとって、経済的に非常に有意義な貢献である。

2017 年、ウェスチングハウスが 破産を申請したため、同発電所の建設は中断された。しかし、今年初め、同州の電力会社サンティー・クーパーが、同原発の完成に関心のある企業提案を募集し始めたことで、プロジェクトは息吹を取り戻した。ジョージア州のヴォグル原子力発電所で AP1000 原子炉が稼働しており、その建設から得られた教訓も生かされていることから、VCサマーは、米国で次に完成する大規模原子力プロジェクトとして有望な候補と見なされるようになってきている。

EUがポーランド初の原子力発電所への援助を承認

欧州委員会は、ポーランド初の原子力発電所に対する国家援助パッケージを承認し、この公的支援は欧州連合(EU)の競争規則に準拠していると結論付けた。欧州委員会の承認の一環として、ポーランドは、差額契約(CfD)の期間を 60 年から 40 年に短縮し、発電所の出力の少なくとも 70%を公開電力市場で販売することを約束するなど、援助構造を改訂した。ポーランドは2022年、計画中のルビアトヴォ=コパリノ原子力発電所向けにウェスティングハウスのAP1000原子炉技術を選定。ウェスティングハウス、ベクテル、国営開発会社ポーランド原子力発電所(PEJ)は2023年に納入契約を締結した。このプロジェクトの総費用は約470億ドルと見込まれ、2033年までに最初の原子炉を稼働させることを目標としている。プロジェクトは、国による出資、政府保証付き融資、長期的な収益安定化を図る双方向差額決済契約(CfD)によって支援される。

ポーランドが原子力エナジーを推進する決定は、二つの目的を反映している。化石燃料の使用を減らすことと、ロシア依存を減らすことでエナジー安全保障を強化することだ。2024年時点で、化石燃料はポーランドのエナジー構成の大部分を占め、石炭と石油がそれぞれ約33%、天然ガスが17.6%を占めている。一方でポーランドはロシアからのエナジー依存の削減で大きな進展を遂げている。10年前にはエナジー輸入の84%がロシア産だったが、2025年までにロシア産石油・ガスの輸入を段階的に廃止した。ワルシャワはEU内での主導的立場も確立し、ハンガリーやスロバキアなど他加盟国に対しロシアエナジー購入の中止を促している。

ブラジルがウラン生産拡大へ

2024年にブラジル国営企業インダストリアス・ヌクレアレス・ド・ブラジル(INB)がウラン探査を再開すると発表したのに続き、ブラジルは国営開発銀行(BNDES)を通じ、プロ・ウラニオ計画への民間パートナー参加を模索している。このプログラムは、鉱石生産量を増やし、アングラ1号機およびアングラ2号機の原子力発電所への供給を保証するとともに、余剰分を輸出すること、そして下流の燃料サイクルサービスにおける従来、転換および濃縮サービスにおいて役割を果たしてきたロシアへの依存度を低減することを目的としている。BNDESは、パートナーシップの提供プロセスおよび選定プロセスを構築する。

ブラジルはウラン資源を約21万トン保有しており、世界トップ10の埋蔵量国の一つである。ポコス・デ・カルダス、ラゴア・レアル、サンタ・キテリアの3大鉱床を有するが、稼働中の鉱山はINBが運営するラゴア・レアルのみである。ウラン生産拡大の動きは、長期延期中のアングラ3号計画を含む将来需要増への期待を反映している。世界的に原子力発電への関心が高まる中、ウラン価格が過去10年の平均を上回る水準で推移していることも背景にある。■

著者について:エミリー・デイ

エミリー・デイは、地政学、原子力エナジー、国際安全保障を専門とする経験豊富な研究者、ライター、編集者である。彼女はザ・ナショナル・インタレストの「エナジー・ワールド」および「テックランド」の副編集長であり、ロングビュー・グローバル・アドバイザーズの上級研究員として、公益事業、リスク、持続可能性、技術に特化したグローバルな政治・経済動向に関する洞察を提供している。以前はグローバル・セキュリティ・パートナーシップのデラ・ラッタ・エナジー・グローバル安全保障フェローを務めていた。


Nuclear Energy Now – EU Clears State Aid for Poland’s First Nuclear Power Plant

December 12, 2025

By: Emily Day

https://nationalinterest.org/blog/energy-world/nuclear-energy-now-eu-clears-state-aid-for-polands-first-nuclear-power-plant


2013年6月7日金曜日

ブラジル戦闘機商談はボーイングが勝者になりそう

Brazil Closer To Boeing On Jets Deal After Biden Visit

By Brian Winter/Reuters

aviationweek.com June 05, 2013 
Credit: Boeing

ブラジルがボーイングF-18選定に近づいており、開発途上国の次期戦闘機選びの中でも最注目されていた案件はジョー・バイデン副大統領U.S. Vice President Joe Bidenのブラジル訪問を契機に決着しそうだ。
  1. バイデン副大統領は5月31日ジルマ・ルソフ大統領President Dilma Rousseff 会談し、ボーイングによる高度技術移転を米議会が承認すると確約している。
  2. ボーイング案は36機合計40億ドル規模で追加発注も含めるとさらに規模が増えそうだ。これだけの規模なので米国および欧州防衛産業が受注をめぐりしのぎを削ってきたわけだ。
  3. 選定に最後まで残ったのは他にフランスのダッソーエイビエーションSAおよびスウェーデンのサーブABだった。
  4. ルソフ大統領はまだ最終決定しておらず、公表予定も不明であると同国関係者は強調。
  5. . しかし同時にルソフ大統領からバイデン副大統領へのコメントおよび直近の出来事を勘案するとボーイング有利と見られ、次回ルソフ大統領の公式訪米(10 月)以前に最終決定となる公算が大。「もしボーイング受注となればバイデン副大統領の功績は大きいと見られるでしょう」とブラジル政府筋は語る。
  6. ルソフ大統領がボーイング案で懸念しているのは米議会が安全保障を理由に技術移転にまったをかけることだ。ブラジルは対米友好関係を維持しているものの、イラン他米国と対立する国家との関係で米議会関係者に苛立ちを覚えさせている。
  7. ルソフ大統領の政治的立場は現実重視の左翼で技術移転はエンブラエル含む国内防衛産業の基盤強化にとって重要と見ており、支払う費用以上の価値があるとしている。金曜日の会談でも大統領が最初に言及した話題がジェット戦闘機購入および大統領自身が技術移転を重視している点だったという。
  8. バイデン副大統領は議会が確実に本案件を支持するとの全面的約束こそしなかったが、自身の30年にわたる上院議員としての経験から大統領の懸念材料をひとつずつ説明していたったという。
  9. バイデン副大統領は上院内民主党議員は戦略的防衛装備売却問題でオバマ大統領案に反対したことはなく、ジョン・マケイン議員率いる共和党勢力も大部分がブラジル向け販売に支持の立場を表明していると説明。
  10. 国防予算削減の中で今回のように米国企業を助ける効果の野ある商談への反対姿勢は議員間で減ってきているとも副大統領が説明している。
  11. 戦略的に難易度が高い中東のような対象国への防衛装備売却には議会が待ったをかけた例が複数あるが、平和かつ民主主義が機能しえている南アメリカのような地域では問題がないとも発言。
  12. これに対しルソフ大統領からバイデン副大統領に対しボーイング有利になる「心強い」発言に感謝する旨の発言があったという。
  13. 以上の内容について確認を求められたホワイトハウスからは「私的会話についていちいちコメントしないが、一般論として米国はボーイング入札内容を強く支援する」との関係者発言が出ている。
  14. ブ ラジルの決定にハンディとなるのは戦闘機選定が先送りにされてきたことだ。ブラジル空軍の旧式ミラージュ戦闘機の後継機えらびが始まったのは1990年代 で、ルソフ大統領の前任は2009年にダッソーを選ぶ、と公式発言している。ただし予算問題や選挙をにらんだ動向など各種の理由によりその後の政権は決断 をしてこなかった。そのため企業幹部の中にはかれこれ10年もブラジルを相手に自社の売り込みに懸命になってきた一方で半ば冗談気味にブラジルは本当は戦 闘機を購入するつもりはないのではと嘯く向きもある。
  15. にもかかわらず今後こそルソフ大統領が今年中に決定を発表すると考えら得る理由があり、ボーイングが商談をものにすると考えられる。
  16. ブラジル軍部からはミラージュの保守維持は今年以降大変困難になるとの声があり、2014年に大統領再選を狙うルソフには経済の行方が微妙な時期に大規模支出決定を公表するなら来年まで待てないはずだ。
  17. ルソフ大統領は今回の商談をブラジルの戦略的な位置づけを今後数十年にわたり決定するものと位置づけており、これをバイデン会談で繰り返し発言しているという。
  18. . シリア問題など米国の意向とは逆の発言もあるものの、ルソフ大統領は米国とのいっそう緊密な協力関係を求めており、米国からの閣僚・大物議員の繰り返し訪 問を受けたのち、オバマ大統領からの公式訪問招待を受諾した。実現するとブラジル大統領の訪米は20年間ではじめてとなる。
  19. 米国の側では2月にエンブラエルを選定し空軍向け軽攻撃機材20機の契約を交付している。ブラジルの視点ではこれはF-18購入の必要条件だった。
  20. フランスはブラジルと潜水艦建造で合意しており、戦闘機選定で外れると潜水艦技術移転でも消極的になるかもしれないと関係筋は見る。
  21. フ ランスとスウェーデンからは世界貿易機関事務局長へのブラジル候補選出に反対する動きがあると伝えら得れたが、ブラジルは「そんなこともありますが、戦闘 機選定にすべて関係してくるでしょうね。大規模支出だからこそ正しい相手を選びたいのです」との関係者発言が出ている。■   

2013年5月13日月曜日

F/A-18生産を2020年まで維持しようとするボーイングは商魂たくましく拡販に走っています

Boeing Aims To Keep Building F/A-18 Jets Through 2020

By Andrea Shalal-Esa/Reuters

aviationweek.com May 10, 2013
Credit: U.S. Air Force photo/Capt. Shannon Collins

.ボーイングはスーパーホーネットおよびその電子攻撃機版の生産を2020年まで継続する意向だ。ただし、海外販売が200機超となり、米海軍向け追加販売が150機となることを条件としている。
  1. 同社副社長(F/A-18 ・EA-18担当)マイケル・ギボンズMichael Gibbonsが議会関係者にシミュレーター、展示物、記念品を満載したトレーラーで同機販売に熱を入れている。
  2. 同副社長の役割は2014年度予算内でEA-18G21機分の予算を守り、スーパーホーネットの優位性を強調することであり、ボーイングは同機の改良によりロッキード・マーティンの第五世代機F-35への優位性を確保しようとしている。
  3. .F/A-18 はボーイングが生産する唯一の戦闘機であり、同社はF-35の生産遅延と費用超過につけこんで、F/A-18 の販売を増やそうとしている。ただし、F/A-18 生産が縮小となることで販売拡大はいっそう緊急性を帯びてきた。
  4. 「ボーイングにとって今年が分かれ目でしょう。」と語るのは国防コンサルタントのジム・マカリースJim McAleeseでスーパーホーネット調達の予定が海軍にないことから同社は拡販に必死になっているのだという。
  5. ボーイング支持派の議員からF/A-18の調達を海軍に求める予算案が繰り返し出ており、海軍はもっと戦闘機が必要でF-35の配備までのつなぎが必要だという。
  6. ギボンズからは海軍がF-35の二飛行隊を就役させるかわりにスーパーホーネット二飛行隊を配備することの優位性を議会関係者に理解させようとしている。
  7. 「当 地では議会関係者の皆さんが航空問題に詳しくない方も含めスーパーホーネットがなぜ次世代機になれるのか、なぜ購入可能価格の選択肢になるのか、を特に予 算状況が厳しい環境でご理解いただこうとしています」とし、新しいタッチスクリーン式のコックピットディスプレイを議会関係者に試してもらったという。
  8. 海 軍はスーパーホーネットの単座E型と副座F型を2000年から使用中。ボーイングは同機を原型ホーネットの「改良版」として前回の国防予算削減の際に予算 確保に走ったが、専門家に言わせればスーパーホーネットは実質的に別機体だとし、主翼が拡大し、機体延長で燃料搭載量を増やし強力なエンジンに換装してい るからだ。
  9. 海軍との契約終了は2015年中ごろだが、スーパーホーネットおよびグラウラーの生産はオーストラリアがグラウラー追加導入を発表したことで2016年までは続きそうだ。オーストラリア発注は確定というものの、ボーイングの期待数の半分しかなかった。
  10. そこでボーイングが売り込み先で有望と見ているのがブラジル、マレーシア、中東諸国(同社は国名の特定を拒否)で、ボーイングがこの数年間にデモ飛行を精力的に行っている。アナリストの中にはクウェートほか数カ国と販売契約締結を今年上半期に成約しそうだという。
  11. さらにF-35導入を見直そうという各国に対してF/A-18データを提供している。カナダ(35機導入希望)、デンマーク(30機希望)が該当。
  12. ギ ボンズとしては合計で200機を越える海外受注を期待してブラジルの35機整備では十分訴求力ありと見ている。ブラジルの決定は第3四半期と見られる。こ の数年間のボーイングはブラジルで存在感を増しており、ブラジルの航空機メーカーエンブラエルSAほかの企業と提携関係を樹立している。
  13. ボー イングからブラジルほかの国に持ちかけているのは8から9百万ドル規模のスーパーホーネット性能改修でタッチスクリーンコックピットディスプレーの大型 化、ミサイル追跡機能、推力20%増のエンジン、新設計燃料タンク、機体をレーダー探知しにくくする機内搭載兵装ポッドをまとめて提供しようというもの だ。
  14. 主 サプライヤーであるノースロップ・グラマンはボーイングと共同で自社予算で原型機を製造中で、レーダー探知性能が本当に下がることを実証する。この機は性 能向上型スーパーホーネットAdvanced Super Hornet と呼称され、「スーパーデューパーホーネット」と揶揄する向きもあり、今年夏あるいは初秋に海軍試験場に持ち込むとギブソンは言う。
  15. .ボーイングは海軍向けに75ないし100機の追加販売をもくろみ、運用コストが現役機体の中では最小と強調している。そうなるとスーパーホーネット組立てラインを2020年あるいはその先まで維持できる見ている。
  16. ボー イングは同機の時間当たり運用コストは$16,000でF-35よりはるかに低いとし、調達費用もずっと低いという。ロッキードとペンタゴンからはF- 35の生産価格はこれから下がってくると主張し、提供する性能の水準が高いこととして電子戦・ジャミング能力やレーダーに探知されにくい特徴があると強調 している。「ボーイングは海軍がカ艦載型F-35が高価過ぎて導入をあきらめることを期待しているのでしょう」とロッキードとつながりが強いコンサルタン トであるローレン・トンプソンLoren Thompsonは見ている。