ソ連軍4機を撃墜したが作戦を極秘扱いにされていた海軍パイロットに名誉勲章受章の可能性がでてきた(Task & Purpose)
事後点検で自機F9F-5パンサーには263発の銃弾痕が確認された。
2025年12月8日 午後3時52分 EST 公開
1952年にソ連のMiG-15戦闘機4機を撃墜した伝説の海軍航空士官ロイス・ウィリアムズは、軍人や退役軍人が名誉勲章を授与されやすくする法案のきっかけとなった。写真は米国海軍協会と議会名誉勲章協会提供。
海軍史上最長の空中戦で4機撃墜を記録して70年以上経った今年、ロイス・ウィリアムズに名誉勲章がついに授与されそうだ。
議会は妥協案の国防授権法の条文を公開した。これは年次防衛政策法案で、支出計画と目標を定めるものだ。今年の予算は過去最高の9010億ドルである。この大規模な国防予算法案の中に、第591条が盛り込まれている。同条項は「朝鮮戦争中の勇猛な行為」に対して、ウィリアムズの海軍十字章を名誉勲章に格上げするものである。
その行為とは、7機のソ連製MiG-15と35分間にわたる空中戦をほぼ単独で戦い抜いたことだ。ウィリアムズの功績にもかかわらず、この戦闘は長年極秘扱いにされていた。
1952年11月18日、当時海軍中尉だったウィリアムズはグラマンF9F-5パンサーでその日2度目の任務に就いた。日本海上空で他の3機の戦闘機と共に飛行中、ソ連空軍の戦闘機7機が突如現れた。米軍機2機は機械的トラブルで空母へ帰還を余儀なくされ、ソ連機が接近する中、ウィリアムズと彼のウィングマンだけが空に残された。接近したソ連機に対し、ウィリアムズはF9Fの機関銃を連射し命中させた。1機のMiGが墜落し、ウィリアムズの僚機はそれを追撃するため離脱した。ウィリアムズは今や単独で、自機より高性能なジェット機を操る6人のソ連パイロットと対峙することになった。
35分間にわたり、ウィリアムズはパンサーを旋回させながら機体をくねらせ、ミグの照準に捉えられないよう回避した。彼は素早く2機目のソ連機を撃墜し、限られた弾薬で通過射撃を続けるため機動性を駆使した。3機目を撃墜。さらに別の機体を大破させ、最終的に撃墜に追い込んだ。
「あの瞬間、俺は任務を遂行する戦闘機パイロットだった」とウィリアムズは2022年に本誌に語った。「持てる弾を撃ち尽くしただけだ」。
やがて弾薬が尽き、離脱を余儀なくされた。海軍機動部隊へ帰還する途中——当初は味方艦艇から誤認射撃を受けた(敵機が圧倒的に多かったためだ)——何とか着艦に成功した。事後点検でパンサーに263発の銃弾痕が確認された。奇跡的にウィリアムズと機体は生き延びた。
この日の激しい空中戦での活躍により、ウィリアムズは銀星章を授与された。しかし彼の行動は隠蔽された。公式記録では敵機1機撃墜・1機損傷とされた。米ソ緊張を悪化させる恐れがあったためである。ベトナムでの作戦や艦艇指揮を含むその後の軍歴においても、記録は変更されず、真実は闇に葬られた。退役大佐となったウィリアムズの真実が明るみに出たのは、21世紀に入ってからのことだった。
10年以上にわたり、退役海軍少将ドニファン・シェルトンや議員ら支援者によるウィリアムズへの名誉勲章授与運動が続いた。3年前の2022年12月、当時のカルロス・デル・トロ海軍長官は彼の銀星章を海軍十字章に格上げし、「ウィリアムズは高リスク任務で明らかに顕著な功績を挙げ、正当な評価に値する」と述べた。ウィリアムズは2023年1月にこの勲章を受章した。
本年提出された国防費法案の条文は、現在100歳のウィリアムズへの名誉勲章授与を承認し、授与に関する時効を免除する内容となっている。
法案の採決は今月中に予定されている。■
寄稿編集者
ニコラス・スレイトンはTask & Purposeの寄稿編集者である。速報記事に加え、歴史・難破船・軍による未確認異常現象(旧称UFO)の調査について執筆している。
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Published Dec 8, 2025 3:52 PM EST
https://taskandpurpose.com/history/medal-of-honor-royce-williams-ndaa/