2026年10月3日土曜日

エリア512類似した航空機試験施設が中国北西部で規模を拡大するプロジェクトが進行中

 China is rapidly expanding a secretive airbase in the northwest of the country at Lop Nur that is akin to America’s top-secret Area 51.

ロプノール空軍基地にある4つの新しい大型格納庫。写真 © 2026 Planet Labs Inc. 全著作権所有。許可を得て転載。

中国の「エリア51」が大規模拡張中

Massive Expansion At China’s ‘Area 51’

この人里離れた飛行試験基地で建設が急ピッチで進められており、新しい大型格納庫からは、特定の種類の航空機が配備される可能性があることが示唆されている

中華人民共和国(PRC)は、同国北西部にある秘密の空軍基地を急速に拡張中で。同基地は、アメリカの極秘試験場エリア51に類似している。施設は実験用プラットフォームや次世代戦闘機の試験に使用されており、16,400フィートという世界最長の滑走路の一つを備える。ここ数年で、この施設は比較的質素で人里離れた滑走路から、広大な中国人民解放軍(PLA)の飛行試験センターへ変貌を遂げており、建設が鈍化する兆候は全く見られない。建設は加速しており、最新の特徴の一つが大きな関心を集めている。

2026年8月27日にPlanet Labsが撮影した衛星画像は、この拡張工事の規模と範囲を高解像度の詳細で捉えている。

The facility is used to test experimental platforms and next-generation combat aircraft, sporting one of the longest runways in the world at 16,400 feet. It has transformed from a relatively austere and remote airstrip into an increasingly sprawling People's Liberation Army (PLA) flight-test center over the past few years, and there is no sign that construction will slow anytime soon.

TWZ/IAN ELLIS-JONES WITH DAMIEN SYMON (高解像度)

この施設は、中国北西部の不毛で乾燥した新疆ウイグル自治区にある、悪名高いロプノール核実験場近くに位置している。ロプノールは中国が核兵器の主要な実験施設として利用しており、1964年にコードネーム「プロジェクト596」と呼ばれる初の核装置を爆発させ、世界第5番目の核保有国となった場所でもある。

The base is located near the infamous Lop Nur Nuclear Test Base in the desolate, arid Xinjiang autonomous region of northwestern China.

中国北西部・新疆地区にあるロプノール空軍基地の位置。写真:Google Earth

昨年、本誌は、中国の第6世代ステルス戦闘機の2つの設計案であるJ-36とJ-XDSを、それぞれの製造元成都と瀋陽の拠点飛行場から遠く離れた同基地で初めて確認した。施設は、先進的な空中戦闘技術の開発を支援する以前、2020年当時から軍事宇宙開発の取り組みや試験用の再利用型宇宙機の開発に関与していた。当時、この場所は3.1マイル長の滑走路と小さな格納庫、点在する数台の車両があるに過ぎなかった。

Bird's-eye view of the flight-test facility back in 2020 before the major expansion began.

2020年当時のロプノール空軍基地。写真 © 2026 Planet Labs Inc. All rights reserved. 許可を得て転載。

2023年には、メインエプロンが大幅に拡張され、新しい大型格納庫が追加された。2025年には、拡張工事により、メインランプエリアの両側に新たな格納庫が追加された。各格納庫は、戦術用固定翼機向けに最適化されているようだった。これらの施設が完成して間もなく、第6世代戦闘機が2機現れた。2025年5月以降、さらなる建設のペースは加速し、それ以来その勢いは衰えていない。以下のタイムラプス映像は、過去6年間にわたる、最初は緩やかで、その後一気に進んだ建設の進捗を可視化したものである。

「新しい誘導路、航空機旋回場、格納庫、そしておそらく燃料貯蔵施設が整備されたことで、航空機の発着や継続的な飛行試験活動を支える飛行場の収容能力が大幅に向上した」と、地理情報研究者ダミアン・サイモン(本誌の友人)は語った。サイモンは、本誌がこれらの新しい構造物を特定するのを支援した。

Close up shot of the four large, new hangars under construction below the southern part of the main runway.

2026年8月27日時点のロプノール空軍基地の鳥瞰図。写真 © 2026 Planet Labs Inc. 全著作権所有。許可を得て転載。

年初以来、敷地内のいくつかの主要エリアが再整備されており、本記事上部の注釈付き図にその箇所が示されている。

滑走路の南端の下方では、滑走路と並行して中央エプロンおよびメイン格納庫へと接続する新たな誘導路の延伸工事が急速に進められている。ほぼ完成間近のこのルートにより、航空機は滑走路上でバックタクシーを行うことなく、より自由に移動できるようになる。これは、作戦テンポの向上や、より複雑な出撃・帰還において大きな課題となっていた問題である。

「特に注目すべきは、基地南部に位置する数棟の大型航空機用格納庫で、それぞれ約80メートル×40メートル(262フィート×131フィート)の規模だ」と、サイモン氏は南ランプに建設中の3棟の格納庫群について述べた。さらに南側のエプロンには、それとは別に、寸法が異なる4つ目の格納庫が単独で建設されている。新しい南側誘導路に直接アクセスできるこれらの格納庫は、中国人民解放軍(PLA)の現行機体群に含まれるすべての戦術機および戦略機を収容できる大きさとなっている。規模の参考として、中国で現役唯一の戦略爆撃機である西安H-6の翼幅は約108フィートである。しかし、これらの新施設の焦点は、すでに実戦配備されている機体ではなく、独自の機体クラスにある。その一部は現在試験中であり、将来的にはさらに多くの機体が加わる予定だ。

エプロンを備え、南側タキシングウェイにアクセス可能な4つの新しい大型格納庫。写真 © 2026 Planet Labs Inc. 全著作権所有。許可を得て転載。

これらの格納庫の広々とした規模は、新疆ウイグル自治区のマラン近郊にある、主に無人機開発に重点を置いている中国のもう一つの極秘の主要試験飛行基地に見られる新しい格納庫と類似している。この建設は、2機の巨大なステルス全翼機ドローンが飛行試験中であり、我々がH-20ステルス爆撃機の登場を待ち望んでいる中で行われている。いまだ公の場に姿を現していないH-20が、どこで試験されるのかは依然として不明である。しかし、この計画の機密性を考慮すれば、ロプノールは理想的な場所であり、これらの新しい格納庫はH-20の到着に備えたものかもしれない。また、この施設はマランのようにドローンではなく、有人機プラットフォームに重点が置かれているように見える点も注目に値する。したがって、H-20の試験プログラムの少なくとも一部をここで実施するのは理にかなっているが、現時点ではあくまで推測に過ぎない。

マラン基地を拠点に運用されている、2機の巨大な全翼型ドローンの画像。そのうちの1機はB-2爆撃機並みの大きさだ。3機目の航空機は、同じく試験中の高性能無人戦闘航空機/連携戦闘機材であると思われる。これらの大型全翼型機のために、基地内に最近建設された新しい先進試験施設の一環として、同様に幅広で低床式の格納庫が建設されている。TWZ/IAN ELLIS-JONES

中央エプロンエリアの後方では大規模建設工事が続いており、昨年末に建設中だった建物はすでに完成している。前回の調査以降、保管や宿泊施設として、プレハブコンテナが密に並んだ群れが出現した。建設プロセスを加速させるには多くの労働力が必要となるため、この施設には、急速な開発ペースを支えるための追加の労働者、資材、あるいは機材が収容される可能性がある。近隣でも掘削や建設が始まっているが、これらは開発の初期段階にあり、将来の用途は不明である。さらに東側、施設の周辺部には、洗浄用水の貯水池と分別された骨材の備蓄場を備えたコンクリートバッチプラントが最近建設された。

中央エプロンとメイン滑走路の北部を結ぶ新誘導路の整地作業が進められている。最新画像からは、コンクリート打設が始まったばかりであることがうかがえる。北端には直径400フィートの円形パッドが形作られており、滑走路とメインベースの両方に直接アクセス可能となる。本誌はこれをエンジン試運転およびターンアラウンド用パッドと評価している。シェルターが追加されれば、上空を通過する衛星から機密性の高い試験対象物を隠すための「スクート・アンド・ハイド」エリアとしても機能する。円形パッド付近ではエプロンの拡張工事も進行中で、大型格納庫が少なくとも2つ建設されている。ただし、南側ランプにある幅の広い4つの格納庫に比べると、これらの格納庫はより伝統的なプロポーションとなる見込みだ。

Zoomed in shot of the circular pad with a 400-foot diameter has taken shape at the northern end with direct access to both the runway and the main base, which TWZ assesses to be an engine run and turnaround pad.

基地の北部区画では、さらに大型の格納庫施設や誘導路が整備中である可能性が高い。写真 © 2026 Planet Labs Inc. All rights reserved. 許可を得て転載。

さらに、サイモンは、「基地の航空支援能力をさらに拡大する」とみられる燃料貯蔵インフラの建設が進行中だと指摘した。これが確認されれば、「この追加インフラは、ロプノールでの作戦規模やペースの拡大と一致して、より高い出撃頻度とより長期にわたる持続的な飛行活動を支えることになるだろう」と彼は付け加えた。

Likely fuel-storage infrastructure to support the rapid expansion of Lop Nur Airbase.

建設中の燃料貯蔵施設とみられる施設。貯蔵タンクが3基あると推測される。写真 © 2026 Planet Labs Inc. All rights reserved. 許可を得て転載。

施設は、中国の先進的な航空宇宙開発エコシステムにおいて極めて重要な役割を担いつつあることは明らかで、より多くより大型の機体を受け入れるため拡張されるにつれ、その重要性はさらに高まるだろう。現在確認されている格納庫の増設に伴い、主要なプログラムが、分遣隊単位であっても、大規模試験のために同地へ移転しようとしている。特に南側の新格納庫は、中国人民解放軍がそう遠くない将来、はるかに翼幅の広い航空機の試験を行うことを想定していることを示唆している。

著者注:画像分析にご協力いただいたダミアン・サイモン氏に特別の感謝を捧げます。X(@detresfa_)でぜひ彼をフォローしてください。

イアン・エリス=ジョーンズ

オーディエンス開発責任者

イアンはTWZの包括的なソーシャルメディア戦略を統括し、OSINTアナリスト兼リサーチャーとして編集チームに図表作成のスキルを提供するとともに、週刊の空母トラッカーおよびニュースレターの運営を担当しています。


オリジナル版読者のコメント・ディスカッション

  • [オフトピック] レーザーの実戦投入:

  • 「米国防総省は木曜日、米軍が今週、米国とメキシコの国境沿いで、麻薬カルテルによって操作されていたとされるドローン3機をレーザーで撃墜したと発表した。

  • これら3機の無人航空機システムは、火曜日の深夜から水曜日の早朝にかけて撃墜され...

  • 米軍、南部国境でカルテル所有のドローン3機をレーザーで撃墜、国防総省が発表

  • cbsnews.com

    • 効果があれば安価な解決策だが、ソリッドステートレーザー技術が本格的な運用においてその種の任務に十分適しているとは、まだ確信が持てない。

  • 少し話題がそれますが

  • 最近、中国タバコが中国共産党にもたらす収益が、中国の国防費総額にほぼ匹敵することを知りました。

  • 中国タバコがこれほど多くの役割を果たせるのは、それが驚異的な金儲けの機械だからです。2022年、同社の利益と納税額は中国中央政府に30億(1.44兆元)をもたらし…

  • 大手タバコ企業、税収の急増:中国の喫煙習慣を真に支えているものの内幕

  • worldcrunch.com

    • 公式に公表されている中国の国防予算が、実際の中国の国防予算と等しいと仮定すれば……中国には、独立した野党による監視や政府の監視機関、情報公開法などがないのだから。

  • 追いつくにはまだ長い道のりだが、彼らは急速に動いている

    • 彼らは長期的な戦略を練っている。それが彼らの強みだ。

  • 参考までに:

  • 「張有夏と劉振利の解任により、かつて7名で構成されていた委員会には、習近平主席本人を含め、現役の委員がわずか2名しか残っていない。」

  • 「張氏は、中央軍事委員会(CMC)副主席として習近平氏の次席を務め、中国のエリート…

  • 中国、最高軍事指揮機関から2人の最高級将官を更迭

  • yahoo.com

    • これは本当に不安になる。権力が一人の手に集中することは、常軌を逸した軍事行動への最も明白な前兆だ。

  • 険悪な離婚で現金を浪費していない家庭なら、もっと豪華なものを手に入れられるだろう。

  • どうでもいいことだ。中国は「ハリ・キャリー」を犯してしまった。一人っ子政策はうまく撤回されていないから、あと1世代ほどで中国は消えるだろう。

    • いや、そうじゃない。彼らにとっては救いなんだ。彼らの暴走する人口増加は逆転するだろう。年間2,000万人の卒業生にかかる就職のプレッシャーが解消され、富がより少ない人数に分配されることになる。それによって彼らはより強くなるだろう。

  • おそらくこの基地は、米国や西側の装備を使用しても、模擬戦闘や訓練のための閉鎖空域としても利用されるだろう。ネバダ州で行われる米空軍の「レッドフラッグ」演習が思い浮かぶ。現代の軍隊は、現実的な演習のために「戦闘」モードのレーダーや通信設定を有効にするための安全な演習場が必要だ。

  • これらはすべて、安価な労働力を求めて米国企業が中国に送金した資金で建設されたものだ。

  • ぜひ参加させてください! 🤗

  • OT: 英国軍、足で発進する軍用パラグライダーを試験導入

  • https://ukdefencejournal.org.uk/uk-troops-to-trial-foot-launched-military-paragliders/

  • 英軍、足蹴り式軍用パラグライダーの試験運用へ

  • ukdefencejournal.org.uk

  • 中国は軍備増強に資金を投じている。トランプは、血と財を浪費するために我々の税金を使っている。

  • アメリカ人はまた小細工を仕掛けようとした。却下された。

  • https://www.youtube.com/watch?v=KjF3ubSfq08

  • 動画を見る

  • YouTube

  • 「アメリカ大陸の盾」への参加を求める関税圧力の中、チリと米国の貿易協議は合意に至らず終了

  • H-20の運用基地かな?

  • ミゼリーよりはるかに悪い場所を選んだな……

  • OT ある人の考え

  • https://x.com/DefenceGeek/status/2093389191946162280?s=20

  • 返信

  • 中国の現在の防衛ドクトリンを考えると、なぜ戦略ステルス爆撃機が必要なのか疑問に思う。対艦兵器のためだろうが、その射程を鑑みれば、低速の爆撃機が本当に必要とは思えない。

    • インド、東南アジア、オーストラリア、日本と戦う場合の別の手段となる。

    • また、国内外への働きかけにおいて、優れた政治的ツールにもなります。

  • 記事には爆発についての記述は一切ありません……。

  • 中華人民共和国は、中華民国の解放において、これらおよびその他のあらゆる軍事力を投入するでしょう。

  • OT、良い記事だ。個人的には

  • https://www.meforum.org/mef-online/the-commander-who-smashed-isis-just-surrendered-to-syrias-ex-al-qaeda-president

  • コピーばかり――中身ゼロ

  • これは悪質な西側のプロパガンダだ。中国の兵器開発が挫折に直面することなど決してない。

  • なぜロシアは、グルーム湖上空の静止軌道に衛星を配置して、24時間体制で監視しないのか、ずっと不思議に思っていた。

  • 確かに、それは通常の衛星の軌道よりはるかに高い位置になることを意味するが、何か有用な情報を生み出すようなシステムがどこかにあるはずだ。

  • くそっ、グレース・ローマン・スパ……

  • 標的座標を入力した!!!

  • おや、世界でも有数の模型飛行機クラブじゃないか


中国の情報戦に直面してきた台湾の経験からNATOが学べることがある(在フィンランド台湾代表はヘビーメタルバンドから立法院議員を務めた人物なので日本との音楽を通じた交流にも触れています)

 

ヨーロッパは中国の情報戦に対抗してきた台湾の経験から学べる

What Europe Can Learn from Taiwan’s Information War


在フィンランドの台湾代表フレディ・リムは、世論の撹乱を狙う中国の取り組み、欧州に対し使用するためロシアと共有した手法について台湾の経験を本誌に語った


台湾は、1949年の中国内戦終結以来、80年近くにわたり中国の侵攻という脅威に立ち向かってきた。軍事的脅威が依然として深刻である一方で、一部の台湾当局者は、台湾島内、中国本土、米国や世界中で台湾の政治的地位に対する世論を形成する「情報環境」が、かつてないほど危険的水準になっていると警告している。

「もちろん、我々は数十年にわたり軍事的脅威に直面しており、中国は常に台湾に対する軍事力を増強しています」と、台湾のフィンランド常駐大使であり、元立法院議員のフレディ・リム・チオンツォは、ヘルシンキで開催された『欧州・世界台湾人協会連盟』の年次総会において、本誌取材に対し語った。「しかし、ここ数年間は、情報戦の方が深刻になっています。」

リムは、この変化の一因として、人工知能(AI)やその他の新技術の進歩を挙げている。これらにより、中国は説得力ある情報を大規模に作成・拡散することが容易になり、台湾国内で親北京派の世論支持につながる偽りの支持基盤を築こうとしている。

「AIや新技術の登場により、中国が台湾に対してこうした情報攻撃をはるかに容易に仕掛けられるようになったことで、事態は以前よりはるかに深刻になっていると感じます」とリムは述べた。同氏は、問題は単に北京が虚偽の情報を生成していること――これは両岸関係において目新しいことではない――ではなく、かつてはプロパガンダを識別しやすくしていた兆候が消えつつある点にあると強調した。

「10年前は、相手が使用する漢字や、用いる物語の語り口、物語の描写の仕方を通じて、誤情報や相手側からの情報戦を識別し、見分けるのは非常に簡単だった」とリムは述べた。

今日では、AIによってこうした違いがはるかに微妙になっているとリムは主張した。台湾向けにプロパガンダを作成しているものの、台湾の話法に不慣れな中国政府の工作員は、AIチャットボットにメッセージを書き直させ、台湾の現地語のように見せかけることができる。

この問題に対する明確な解決策はないとリムは述べた。台湾の一般市民の間で情報リテラシーを広め、批判的に考え、情報源に疑問を持つよう促すこと以外にはないという。

ロシアと中国によるハイブリッド戦争戦術の共有

台湾での経験には、ヨーロッパにおける明確な類似例がある。ロシアと東欧の同盟国は、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)に対し同様の攻撃を行い、特に中東欧において、内部分裂を煽り、同盟への疑念を植え付けようとしてきた。

最も注目を集めた反欧州のメッセージキャンペーンの一つは、2021年に起きた。ロシアと同盟関係にあるベラルーシが、中東から数千人の移民をベラルーシ国内へ流入させる手助けを行い、彼らをポーランドやシェンゲン圏へ不法入国させることを意図していた。この危機は、クレムリンにとって事実上「ウィンウィン」の状況であった。クレムリンは、2010年代半ばの中東からの移民の波の際に他の欧州諸国で起きたように、新たな移民の波がポーランドで政治的緊張を引き起こすことを理解していた。ワルシャワが国境管理の強化を通じて移民の流入を防ぐ積極的な措置を講じると、ロシアとベラルーシの情報メディアは方針を転換し、ポーランド政府を冷酷で非人道的であると描写し、移民に対する人種差別を非難した。

このキャンペーンは、ポーランドの国境防衛を国際的な政治的負担へ転換することを狙っていた。決定的なのは、これが2021年秋、ロシアがウクライナとの国境沿いに数十万の兵力を配置していた時期と重なって展開された点である。この2つの出来事のタイミングが偶然の一致である可能性はほぼ皆無であり、移民を動員したこの行動の目的は、ウクライナ侵攻に先立ち、ポーランドの注意をそらし、国内を不安定化させ、統一的な対応能力を阻害することにあったと考えられる。

このロシアによるハイブリッド戦争は、ある教訓を示した。すなわち、情報攻勢は、はるかに大規模な対立に先立ち、標的の注意をそらし、その力を弱めるよう設計され得るということだ。リムは、台湾に対する中国の準備と、東欧に対するロシアの準備との間に明らかな類似点があると指摘した。

「彼らがこの件で協力しない理由は考えられない」と彼は述べた。「彼らは間違いなく互いに協力している。常に戦術を共有しているのだ。」

重要なのは、こうした戦術がプロパガンダだけに留まっていない点だ。リムは、ロシアと中国の艦船がそれぞれの活動海域で破壊工作を行ってきたことを指摘した。特に、バルト海や台湾海峡で海底通信ケーブルの上に錨を引きずり、ケーブルを損傷させ、地域協力の基盤を損なった事例が挙げられる。

ロシアと中国が協力しているのなら、台湾と東欧も協力すべきではないのか?

これは、欧州ではロシアから、インド太平洋地域では中国から圧力に直面している国々にとって、実践的な問いを投げかける。すなわち、危機が発生してから対応しするのではなく、危機が発生する前に積極的に教訓を共有できるかどうか、ということだ。

リムは、台湾と欧州の間にはすでに相当な協力関係があるものの、さらに多くのことができると指摘している。

「欧州や当地域の最前線にある国々との間には、多くの交流や協力がある」とリムは述べた。「しかし、政府による公式な関与など、強化できる分野は多くあると確信している。」

リムはフィンランドにおける台湾の外交拠点を率いているが、フィンランド政府は台湾を承認しておらず、台湾との外交関係も持っていない。中国は世界中で台湾の非承認を積極的押し進めており、台湾に好意的と見なされる国々に対しては貿易関係を断つと脅している。2021年末、近隣のリトアニアが「台北」ではなく「台湾」という名称で台湾の代表事務所を開設したことを受け、中国は自国の大使を召還し、バルト三国の一つのこの小さな国に懲罰に的な経済措置を発動した。

北京の強硬な手法の結果、台湾と欧州間の協力は、通常、公式ルート外で、国会議員、シンクタンク、学者、市民社会を通じて進められている。リムは、こうした関与は価値があるものの、不十分であると主張した。

「非政府レベルでの関与は、常に時間を浪費し、非効率的な関与になりがちなので、もっと多くの取り組みが必要だ」と彼は述べた。「民間セクターからの情報や重要な議論、協力内容を常に政府に伝達しなければならず、関与に時間がかかる。」

リムによれば、同様の問題は、防衛・安全保障上の連携や、ロシアと中国が共有するハイブリッド戦争戦術をめぐる協議にも必然的に波及するだろうという。

またリムは、台湾には学ぶべき点が多いと推測した。欧州の前線諸国は、台湾とは異なる形で数十年にわたりロシアの脅威に備えてきたからだ。同氏は、冷戦時代のフィンランドの歴史を例に挙げた。当時、フィンランドはNATOに加盟せず、ロシアの侵略に対する抑止力として独自の防衛力を強化しようとしていた。

こうした準備の結果、フィンランドは軍事防衛、市民の備え、インフラ、緊急時対応計画、そして国民のレジリエンスを、国家安全保障の相互に関連した要素として扱う包括的な国家安全保障体制を確立した。このモデルは台湾でも注目を集めており、リムはこれを東アジアの国々にとっての模範として称賛した。

「[フィンランドは]非常に充実した民間防衛能力を持っており、高度に発達した避難所も整備されている」と彼は述べた。「 ここ数年、台湾でも防空壕の改善に取り組んだり、新たな防空壕の建設を計画している。フィンランドの経験は台湾に取り入れるべきだと確信している」

防災準備の観点から、リムは、台湾政府が市民の緊急事態への備えを支援するための資料の作成に着手していることを指摘した。その中には、地震などの自然災害や敵の活動に対する備えを概説した、台湾の各家庭に無料で配布されている「リトル・オレンジ・ブック」がある。

「北欧諸国では、すでに何十年も前から市民向けパンフレットが配布されているため、その経験も取り入れるべきでしょう」

その意義は、単なる緊急時の指示にとどまらない。事前に備えが整っている社会は、一旦危機が訪れても、パニックに陥ったり、操られたり、不安定化させられたりしにくくなる。2021年のポーランド事例が示したように、安全保障上の危機は、瞬く間に世論をめぐる争いへ発展しうる。台湾は、はるかに大規模かつ長期にわたる形で、同じ問題に直面している。

リムの外交的アプローチ:ハードロックとソフトパワー

政府間交流に制約があることを踏まえ、リムは社会間のつながりの重要性を強調した。その多くは、政治の領域を完全に超えたところにある。

政府や外交の世界に入る前、リムは台湾のヘビーメタルバンド「Chthonic」のフロントマンとして国際的に知られていた。音楽の経験が、台湾が海外とどのように関係を築くべきかという彼の見方を形作ってきた。

「私たちが話していたような難しい話題はすべて、頭で考え、理屈で議論してきたものです」とリムは述べた。「しかし、音楽や文化は互いの魂に深く触れ、結びつけることができるのです。」

リムは、台湾国内で日本の音楽が人気を博していること、またその逆も同様であることを踏まえ、台湾と日本の関係を例に挙げた。

「将来、台湾と欧州諸国の間でも、そのような関係が築かれていくことを願っています」と彼は付け加えた。

米台関係の現状は?

台湾の対外関係における最後の重要な要素は、最も重要な安全保障パートナーである米国だ。習近平国家主席が先ごろホワイトハウスを訪問した際、ドナルド・トランプ大統領に対し、台湾との関係を断ち切り、台湾の安全保障に関する米国のこれまでの声明を撤回するよう圧力をかけたとされるが、トランプ大統領はこれを拒否した。

リムは、台湾の政治システムの内部から米台関係を注視してきた。2016年から2024年にかけて立法院議員を務めた間、国防・外交委員会に所属し、トランプ政権、バイデン政権、そしてトランプの2期目の政権を通じて、米台関係がどのように発展していくかを目の当たりにした。本人の全体的な印象は肯定的なものだった。

「トランプ政権第1期からバイデン政権、そして現政権に至るまで、台湾と米国の関係がどのように強化されてきたかを目の当たりにしてきた」とリムは述べ、政権交代に伴う混乱ではなく、一貫性を見出してきたと指摘した。「外から見ると、ここ数年は波乱に満ちていたように見えるかもしれないが、実際には方向性はほぼ一貫していたと見ている」

リムのコメントから得られるより広範な教訓は、台湾の安全保障を欧州の安全保障から切り離すことがいっそう困難になっている点だ。台湾に対して用いられる情報戦は、台湾海峡内に留まるものではない。いかなる攻撃的な国家による人為的な安全保障上の問題も、国際世論を形作ろうとする持続的な試みを伴うことになる。これは重要インフラや市民の防災体制にも当てはまる。したがって、欧州と台湾にとって実践的な機会は、それぞれの経験を相互に補完し合うものとして捉えることにある。

台湾は、はるかに大きな権威主義的な隣国からの圧力の下で生きる方法を、数十年にわたり学んできた。一方、ヨーロッパはロシアからの持続的な圧力に社会が備える方法を再学習している。協力の価値は、まさにその違いにあるのかもしれない。台湾は、数十年にわたり「グレーゾーン」の圧力と共存してきた社会からの教訓をヨーロッパに提供できる一方で、フィンランドやポーランドといったヨーロッパ諸国は、包括的な安全保障に関する自らの経験を台湾に提供できる。■

著者について:フィリップ・スティチンスキ

フィリップ・スティチンスキ は、世界政治研究所(Institute of World Politics)傘下のインターマリウム研究センター(Center for Intermarium Studies)の特派員である。TVP Worldの共同創設者であり、同局では編集長を務め、中東欧(CEE)地域における先駆的な英語メディアチャンネルの立ち上げに貢献した。彼の記事は、『イスラエル・ハヨム』、『ザ・キーウ・ポスト』、『ザ・デイリー・シグナル』などの主要メディアで取り上げられている。ジャーナリズムおよび安全保障に関する議論への貢献が評価され、ポーランドジャーナリスト協会から特別賞を受賞した。また、ロシアのプロパガンダに対抗した功績により、ウクライナからストラトコム(Stratcom)感謝状を授与された。フィリップは、イスラム教徒が多数を占める国々のキリスト教コミュニティを支援する「オール・ブラザーズ財団(All Brothers Foundation)」を共同設立した。彼のキャリアは、ジャーナリズム、国家安全保障、そして信仰に基づくアドボカシーを結びつけ、文化や国境を越えた対話を促進している。

2026年10月2日金曜日

ポーランドは国内に米軍基地の設置を期待中―ただし、米国の正式な確認は未だない。ロシアの脅威をそれほど深刻に受け止めている証拠だろう

 

ポーランド国防当局者:米国はポーランドに基地を設置を決定

Polish defense official says US has decided to establish a base in Poland


しかし、米国防総省は、ワルシャワが長年目指してきたこの目標に関する決定について、確認を拒否した

U.S. soldiers with the 37th Armored Regiment and a British Army soldier participate in a concealment and target acquisition exercise at the Bemowo Piskie Training Area in Poland on Aug. 20, 2026.

2026年8月20日、ポーランドのベモヴォ・ピスキエ訓練場で、第37機甲連隊所属の米兵と英国陸軍の兵士が、隠蔽および目標捕捉の演習に参加した。米陸軍予備役/エミリー・レンレイン上級曹長

ポーランド国防当局者は金曜日、同国の長年の目標、恒久的な米軍基地の受け入れを達成することになると述べ、さらに両国が武器の共同開発に向け合意に近づいていると付け加えた。

「決定が下されたと理解している」と、ポーランド国防省のパヴェウ・クサヴェリ・ザレフスキ国務長官はワシントンD.C.で聴衆に向け語った。

コメントを求められた米国防総省の報道官は、「現時点では発表すべき事項はない」と述べた。

ポーランド政府が自国領内への米軍基地設置を初めて求めたのは2018年のことで、当時はドナルド・トランプ大統領の名を冠することを提案していた。当時のトランプ氏は、「検討中だ」と述べていた。

再任以来、トランプは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナに対するミサイルやドローンによる攻撃を強化し、NATO加盟国に対するハイブリッド戦争をエスカレートさせているにもかかわらず、欧州駐留の米軍兵力の削減に向けて動きを見せている。また、トランプは、フロリダ州マイアミで開催予定のG20サミットにプーチン氏を招待するなど、ロシアの指導者に対して親善的な姿勢を示している。

ザレフスキ長官は、外見と裏腹に、トランプ大統領は「NATO 3.0」構想の下で、より強力なNATOの構築に依然コミットしていると主張し、米軍当局者との協議はこれまでと同様に実り多く有意義なものだったと述べた。

同チョウ亜kんは、新基地に米軍兵士が何人駐留するかについて言及できなかったが、トランプ政権がポーランドに5,000人の兵士を追加配備するという5月の公約をまだ果たしていないことを認めた。

「数字を話すのは非常に躊躇します。重要なのは数字ではなく、ご存知の通り、能力だからです」と彼は述べた。

ザレフスキ長官は、基地設置協定の詳細については、ポーランドと米国の軍当局間で依然として協議中であると述べた。「これを適切な方法で実行する方法について話し合っているところです。ご存知の通り、兵站・資金調達の観点から非常に重要な決定だからです。我々はインフラ全体の資金提供を申し出ている。また、米兵1人あたりの駐留費用として、年間1万5,000ドルを拠出している」と彼は述べた。

両国はまた、米国とポーランドの防衛産業メーカー間の合弁事業をさらに促進することで、新たな軍事能力を共同開発する協定の骨子についても合意に達した。

「米国側の決定は下されたと理解している」と彼は述べた。

しかし、この協定は防衛輸出に関する米国の法律や規制との整合性を図らなければならない。

「まず必要なのは、煩雑な手続きを簡素化することだ」と彼は述べた。■


2026年10月1日木曜日

紅海の海上交通の安全がフーシ派により危惧され、EU加盟国の海軍は艦艇を派遣し、ホルムズ海峡への展開が手薄になりそう―ホルムズ海峡の交通で恩恵を受けるだけの日中韓への海上安全保障協力が具体化しない保証はありません

 

紅海へ艦船増派が必要なため欧州各国海軍はホルムズ海峡への展開で調整を迫られている

EU Needs More Ships for Red Sea; European Navies Adjust Hormuz Deployments

2026年9月5日に公開された写真。EUNAVFOR ASPIDESの一環として、イタリア海軍のフリゲート艦「ITSカルロ・ベルガミーニ(F590)」の護衛の下、紅海を通過した商船が安全に航海を終えた。EU写真

欧州連合(EU)は、フーシ派の攻撃から商船を保護するため紅海で護衛任務を担う「欧州海軍部隊アスピデス(EUNAVFOR ASPIDES)」への展開艦艇数を増やすよう加盟国に要請している。

ブリュッセルで開催されたEU国防相会議後の議事録によると、カヤ・カラスEU外務・安全保障政策上級代表は「護衛を受けるため順番待ち中の商船が実際にあり、対応できるフリゲート艦が不足しており、艦船がより多く必要だ」と述べた。

「アスピデス」作戦は、ペルシャ湾、紅海、インド洋北西部における商船への攻撃から保護するため、2024年2月に開始されており、EU加盟国による輪番配備で構成される最大3隻の任務部隊によって遂行される。

しかし、過去1か月間、カラスは紅海における「情勢の悪化」を理由に、派遣艦艇数の増強を強く求めてきた。イエメンを拠点とするフーシ派は、サウジアラビアに対する海上封鎖を宣言した後、7月に紅海におけるサウジアラビア関連船舶へ攻撃を再開した。その後フーシ派はペリム島を占領した。この島は、イランの代理組織である同派にバブ・エル・マンデブ海峡に対する戦略的足場を与える土地である。

主な艦艇派遣国はイタリアとギリシャである。「アスピデス」作戦の旗艦として活動しているイタリア海軍のフリゲート艦ITS カルロ・ベルガミーニ(F590)が、この任務に展開している。

イタリア国防相グイド・クロセットが水曜日に発表したところによると、「アスピデス」作戦のためジブチに展開中のイタリア海軍掃海艇「クロトーネ」(M5558)と「リミニ」(M5561)は、整備および乗組員の交代のためイタリアへ帰還するよう命じられた。クロセットによると、2隻の掃海艇は、ホルムズ海峡における機雷除去の対応時間を短縮するために「アスピデス」作戦の展開に組み込まれていたという。掃海艇の代わりに同様の艦艇2隻が投入される予定だ。

「これは部隊のローテーションであり、欧州の任務の一環としてイタリアが実施している活動を中断させることなく、我々の艦艇の長期的な効率性、整備、および作戦上の運用可能性を確保するために必要な措置である」とクロセットは述べた。

カラスは月曜日、2つの未公表の国が、商船の護衛のために追加の艦艇を提供する意向を示唆したと述べた。しかし、必要なのは艦艇の数だけでなく、その種類、具体的にはフリゲート艦や防空支援能力も必要とされている。

「『アスピデス』作戦が開始された際、艦艇が少なくとも10隻必要であるとの見通しでした。攻撃が増加している現在、状況は深刻化しています。また、ホルムズ海峡が封鎖されていることも確認されている。ここは貿易にとって極めて重要な航路だ。したがって、必要数は10隻以上になると推測するが、現時点ではそれほど多くの艦艇を保有していない」と、カラスは9月21日の議事録によると述べた。

トランプ政権はホルムズ海峡は開通していると主張している一方、イランは閉鎖されていると主張している。

EU加盟国は、米国とイランの間で続く紛争を受けて、近隣の中東地域で商船を保護するための英国とフランス主導の多国籍任務を見据え、すでに地中海へフリゲート艦や駆逐艦を数隻派遣することを約束している。

この任務は4月に、ホルムズ海峡での機雷掃海作戦を実施するために主導されたが、持続可能な停戦合意が成立した場合にのみ任務を開始するという条件が付されていた。

停戦は未だ定着していない。

地中海と紅海に展開していた英国、オランダ、イタリア、ドイツの海軍艦艇は、任務開始が依然不透明なため、帰還中、あるいはすでに帰還している。

英国海軍の駆逐艦HMS「ドラゴン」(D53)、オランダ海軍のフリゲート艦「デ・ルイター」(HNLMS F804)および掃海艇「ウィレムスタッド」(HNLMS M864)、イタリア海軍の掃海艇「クロトーネ」(ITS M5558)および「リミニ」(ITS M5561)、ならびにドイツ海軍の艦隊給油艦「モーゼル」(FGS A512)は、同地域への展開を終えつつある。

オランダとイタリアは、両国が展開した艦艇は本国へ帰還する予定だが、後任の艦艇が派遣されると発表した。

オランダ海軍のフリゲートデ・ルイターは4月12日、「パシフィック・アーチャー2026」と呼ばれる世界一周展開に向けて出航した。この展開では、中東、インド太平洋、ハワイ、パナマ運河、カリブ海を経由し、オランダ本国へ帰還する予定だった。6月19日、東京を出港してハワイへ向かっていた同フリゲート艦は、多国籍軍事ミッションへの参加の可能性に備え、ホルムズ海峡へ進路を変更した。同艦は8月上旬、任務に備えて多国籍の幕僚を乗船させた。

またオランダは5月、地中海における機雷対策に重点を置く海軍任務部隊「NATO常設機雷対策グループ2」に参加するため、機雷掃海艦HNLMS ウィレムスタッド(M864)を派遣した。ウィレムスタッドもまた、多国籍任務への参加が可能となっていた。

デ・ルイターは9月22日に帰港し、後任としてフリゲート艦HNLMS エヴェルツェン(F805)が就航した。ウィレムスタッドも帰国する予定である。

「内閣が実際にフリゲート艦をホルムズ海峡に展開するかどうか、またその時期は、安全保障情勢の推移と政治的な意思決定次第である」と、オランダ国防省のプレスリリースには記されている。

同プレスリリースによると、エヴェルツェンは、展開期間中に該当する作戦海域を航行する際、EUのミッション「アスピデス」および「アトランタ」の支援も行なう予定である。

ジブラルタル放送公社(GBC)が報じたところによると、英国海軍の駆逐艦ドラゴンが土曜日、ジブラルタル海軍基地に入港した。これは母港へ向かう途中のものとみられる。

ドラゴンは、同地域で続く敵対行為を受けて、イランのドローンやミサイル攻撃からキプロスを防衛するため、3月に展開していた。5月初旬、ドラゴンはスエズ運河を通過し、空母FSシャルル・ド・ゴール(R91)が率いるフランス空母打撃群(CSG)に合流した。同打撃群は、多国籍任務を見越して中東へ向かうよう指示されていた。

7月4日、マクロン大統領は、6月17日に米国とイランが停戦に合意したことを受け、フランス空母打撃群が帰国すると発表した。その後、この停戦は破綻した。

フランス海軍のフリゲート2隻と掃海艇2隻は現地に残留した。フランス軍最新の作戦状況報告によると、両フリゲートはいずれも同地域に展開し続けている。同報告によると、フリゲート1隻はEUNAVOR「アスピデス」作戦を支援するため、臨時の任務に割り当てられた。

ドラゴンは6月18日、ホルムズ海峡任務への展開に向けスエズ運河を通過する英国海軍の機雷対策母艦RFA ライム・ベイ(L3007)、ドイツ海軍の機雷掃海艦FGSフルダ(M1058)、および艦隊給油艦FGSモーゼル(A512)の護衛にあたった。ドイツ海軍の2隻はジブチに駐留した。

ドイツ国防省は7月23日、フルダとモーゼルが地中海へ再展開すると発表した。同省の発表によると、この地域の不安定な政治情勢、短期的な活動適環境の確立が困難であること、および作戦開始時期が予測不能であることを踏まえると、同地域に部隊を維持することは、艦艇に回避可能な負担を強いることになるという。

「ライム・ベイ」は引き続き展開中であり、AISデータによるとアフリカのザンジバルの北方に位置している。日曜日に、船舶観測者らがスペインのロタに停泊中の「モーゼル」および姉妹艦であるFGS 「ライン」(513)を目撃した。ドイツおよび英国の両国防省は、展開状況に関する最新情報を発表していない。

ジルハン・マハジル

ジルハン・マハジルは、マレーシアのクアラルンプールを拠点とするフリーランスの防衛ジャーナリスト兼アナリストである。1998年以降、彼が寄稿してきた、あるいは現在も寄稿している出版物には、『Defence Review Asia』、『Jane’s Defence Weekly』、『Navy International』、『International Defence Review』、『Asian Defence Journal』、『Defence Helicopter』、『Asian Military Review』、『Asia-Pacific Defence Reporter』などがある。