最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません)
Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image.
新型防空駆逐艦13DDXの構想
日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する
日本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。
防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。
この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。
13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。
第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。
新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/AD)カバレッジ内への侵入と持続を可能にする重層的な防空能力と、敵軍の集中や移動に対抗する分散海上作戦distributed maritime operations (DMO)を可能にする接続性を提供するよう設計される、と今吉海将は述べた。
今吉は、これらの傾向と要求を組み合わせて、海上自衛隊は、防空能力によって可能になるプラットフォームの回復力と持続性の向上、さらに、強化された接続性、ネットワーキング、情報戦によって提供されるDMO能力を含む将来の部隊構造を開発しようとしていると説明した。 この戦力構造は、2022年12月の日本の国家安全保障戦略で示された防衛能力開発要件に裏打ちされている。この戦略では、情報戦、水中制圧、無人システム、ロジスティクス、防空を含む優先事項が強調されている。
13DDXの将来要件には、無人システム、指向性エネルギー兵器(DEW)、レールガンなどの新技術の使用がある。CNE 2024での今吉信一海将のプレゼンテーションのスライド。ATLA。
新型駆逐艦にとって、防空と情報戦(EWを含む)が2大要件になると今吉海将は言う。「防空艦として、高度な防空能力を達成することが不可欠です」と彼は言う。このような高度な能力は、新型地対空ミサイル(NSAM)によるスタンドオフ防空能力と、高速機動目標探知レーダーと火器管制ネットワークを組み込んだ総合的な統合防空(IAMD)能力を含む。
「将来の駆逐艦は、DMOを含む様々な作戦に対応できるよう、防空艦としての持続性、回復力、将来の装備の拡張性を確保する必要がある」(今吉)。
さらに13DDXに求められる将来要件としては、コンパクトな設計、低レーダー断面積を含むシグネチャーの低減、自動化の促進、無人システム、指向性エネルギー兵器(DEW)、レールガンなどの新技術の使用、状況認識と意思決定を構築するための艦の戦闘管理システムと人工知能の統合などの新しいコンセプトが挙げられる。
これらやその他の能力を統合することで、海上自衛隊の将来の駆逐艦は、以下のな作戦コンセプトを満たすことができるようになる。汎用駆逐艦と他艦艇との間に火器管制ネットワークを構築し、強化されたネットワーク戦を通じ、他の艦艇が(NSAMのような)対応能力を拡大することを可能にすること、高速機動目標探知レーダーとNSAM能力を統合することで、極超音速システムを含む改良型ミサイルの脅威に対抗する能力を開発すること、非乗員航空システムの脅威に取り組むために非キネティック手段を使用すること。
13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、あさひ級/25DD駆逐艦ともがみ級/30FFMフリゲート艦の設計を活用する。CNE 2024での今吉信一海将のプレゼンテーションのスライド。ATLA。
今吉海将は、海上自衛隊の最新鋭艦の設計を活用することに関して、25DDが提供するハイエンド戦闘機能と能力、そして30FFMフリゲート艦に内蔵されたコンパクトなサイズとシグネチャー低減を強調した。日本はすでに06FFM計画で、紛争地域で効果的に活動できるよう自動化を進め、シグネチャーを削減した新型フリゲートを開発中である。
海上自衛隊は、能力と接続性を高めることで質量を高めるだけでなく、プラットフォーム数を増やし質量を高めようとしている。今吉海将によれば、海上自衛隊は区竹簡とフリゲート艦の数を増やすという。プラットフォームの数を増やすことで、海上自衛隊はDMOのような作戦要件をサポートすることができる、と彼は付け加えた。
「海上自衛隊におけるDMOコンセプトは、敵のA2/AD能力の集中や移動に対抗するため、海上部隊の分散作戦を活用することである。これは、大規模な機動部隊が柔軟な抑止力を発揮するための時間稼ぎを含め、敵のコスト計算を変えるような方法で海上自衛隊の資産と能力を展開するという、より広範なアプローチの一部である」、と今吉海将は説明した。■
Japan Sets Course for New 13DDX Air Defence Destroyer - Naval News
Dr Lee Willett 26 Jun 2024
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