米空軍トップから突然出てきたNGADに関する弱気な発言は何を意味するのかDefense Oneが関係者の声をまとめてくれましたのでご紹介します。NGADが中止となれば、F-35が最後の有人戦闘機になる可能性も出てきますし、ロッキードがこれからもビジネスを享受することになってしまうのでしょうか。あるいは開発中のF-3に米国も遅れて参画するとか。
NGADが第6世代戦闘機として実現しなければ、F-35が予想よりもはるかに長く運用されることになるかもしれない。
空軍がNGADで迷っているのは、「悲惨な選択」に直面しているからかもしれないとアナリストは語る
ロッキード・マーティンのF-35プログラムの遅れと、ボーイングの防衛事業の不振が、次世代戦闘機の製造を見送るかもしれないという、最近の予想外のコメントを空軍首脳部の口から発しているのか。
先週、デビッド・オルヴィン空軍大将が、空軍の最優先課題であった次世代制空戦闘機の実現に全力を傾けないと語り、航空オブザーバーはどよめいた。フランク・ケンドール空軍長官も最近、エイビエーション・ウィーク誌の取材に対し、予算の制約からNGADの計画を見直す必要に迫られていると語っていた。
「はっきりさせておきたいのは、審議はまだ進行中だということだ我々は、検討しなければならない非常に難しい選択肢をたくさん見ているところだとオルヴィン大将は6月14日記者団に語っていた。空軍はNGADの勝者を今年中に決めると以前から発表しており、ロッキードとボーイングが候補に挙がっていた。
空軍がNGADに二の足を踏んでいるのは、「実に惨めな選択」に直面しているからかもしれない、と航空宇宙コンサルティング会社、エアロダイナミック・アドバイザリーのマネージング・ディレクター、リチャード・アブーラフィアは言う。
「ボーイングは、史上最悪の経営陣交代をする予定にもかかわらず、いまだに交代していない。あるいはロッキード・マーチンも、費用対効果の高い方法でこれを実行する動機がまったくない」。
NGADが中止となれば、国防総省はロッキード・マーチンのF-35ジェットをより長く飛行させることになり、防衛の巨人であるロッキード・マーチンにさらに多くの資金をもたらすことになるだろう。
「彼らには何のインセンティブもない。結局のところ、F-35ブロック4やその他の改良には多くの(研究開発が)行われており、NGADにも多くの研究開発が必要なのだ。それぞれ相反するものだ」とアブーラフィアは言う。
また、これは空軍からロッキードへの意図的なメッセージである可能性もあるとアブーラフィアは指摘する。ロッキードは、F-35戦闘機の新技術のハードウェアとソフトウェアの遅れのため、1年近くF-35戦闘機を納入していない。
空軍はおそらくNGADを任せられるほどボーイングを信頼しておらず、ロッキードが次世代戦闘機では唯一の存在であることから、空軍はF-35のメーカーに「ブロック4でちゃんと作動する機体をくれ」と伝えているのかもしれない。あの無茶苦茶な混乱を片付けたら、これも手に入るだろう。しかし、我々はそれが気に入らないし、あなた方の実行力も気に入らないとアブラーフィアは空軍の見解を解説する。
軍関係者は、予算の制約がNGADへの躊躇の動機だと述べている。F-35、新型B-21レイダー、次世代大陸間弾道ミサイル「センチネル」などに今後ますます予算がかかることが予想されるためだ。また、予算の制約に加えて、新技術の開発やドローンの導入により、空軍は将来の制空権のあり方を再考している。
ハドソン研究所のシニアフェローであるブライアン・クラークは、NGADは空軍で削減できる唯一の場所かもしれない、と言う。
空軍はまた、従来の航空機ではなく、B-21やCCA、スタンドオフ兵器に依存するために、作戦コンセプトを全体的に再考しているのかもしれない、とクラークは言う。しかし、新たなテクノロジーを考えれば、航空支配の将来の姿は見えてこない。
専門家には、米国の戦闘機生産をロッキードが独占するのを避けるため、ボーイングがNGADを獲得するチャンスがあったと主張がある。もしそうなら、NGADのキャンセルは、NGADのような将来の制空権契約のために新しい施設の建設に資金を注いできたボーイングにとって大打撃となる。しかし、こうした投資は、CCAや海軍の次世代戦闘機(F/A-XX)、精密誘導弾など、その他プログラムに振り向けられる可能性もある。
産業界側では、アブーラフィアはサプライヤー・レベルを懸念しているという。というのも、次世代システムの準備を進めてきた企業にとって、「非常に不確実な未来が突然やってくるからだ」。
ディフェンス・ワンの姉妹会社フォーキャスト・インターナショナルの航空アナリスト、ダグ・ロイスは、NGADが実際にキャンセルされるかどうかを判断するのは時期尚早だが、空軍首脳の最近のコメントは、「突然の反転」を示唆していると述べた。
「予算の懸念なのか、技術面の懸念なのか、あるいは有人戦闘機の将来に対する不確実性なのか、いずれにせよ、未解決の問題が山積している」(ロイス)。■
What will happen to the Air Force’s next-gen fighter jet? - Defense One
STAFF WRITER
JUNE 18, 2024
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