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2018年3月18日日曜日

北朝鮮空軍直結の高麗航空が示す北朝鮮経済の変化

北朝鮮唯一のエアラインの話題ですが、涙ぐましい企業努力ともいえるのですが空軍と直結しているとなれば同社を助ける真似はできませんね。制裁措置が効果を上げているのか、軍と民生経済が一体化しつつあると見るべきなのでしょうか。ターミナル1と同時掲載にします。AP通信の記事です。

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Canned soup may be fueling North Korea's air force 缶詰スープが北朝鮮空軍を支えているのかも

Eric Talmadge Associated PressMar. 15, 03:11 PM

朝鮮空軍は缶スープを売ったりタクシー収入で滑走路を改修しているのか。
最も厳しい制裁を受ける北朝鮮でどうもこの答えはイェスのようだ。そこから金正恩の下で経済がどうなっているかが見えてくる。
北朝鮮では軍と民生部門の間の線はか細い。もともと少ない財政は軍が先に確保し部隊がレストラン、農場さらに航空会社も経営する。
高麗航空 Air Koryo は単なるエアラインでははい。
ここ数年で同国で最も著名な消費者向けブランドになった。
運行機材は十数機のみで路線も中国とロシア極東部しかないが北朝鮮にとって頼りがいのなる稼ぎ手になっているとは信じられないほどだ。同時に国家の威信の象徴であり外部世界へのライフラインとして人員と貨物を運んでいる。
高麗航空は平壌市内にガソリンスタンドと洗車場を経営するほか、タクシー車両を運航し、小売店舗数軒も経営する。市内にでは高級地区の普通Potonggangデパートには高麗航空ブランドの製品が酒からコークに似た清涼飲料水や各種缶詰まであり、キジスープや桃がある。

Air Koryo about to push-back for Pyongyang. (Photo by Mark Fahey)
同社は北朝鮮経済の現状を反映しており、北朝鮮は今でも社会主義で技術的には中央統制型だが金正恩が資本主義型起業に迅速に変化させている。
一般大衆レベルでは露店や小規模市場が普通にある。高級部門では国営企業が生産性を上げ利益を増加させており、制裁で貿易も先細りのため他に行き場がないためだろう。
高麗航空だけではない。金正恩の愛用する高級製品「7.27」で知られるタバコ企業Naegohyangは自社でスポーツ用品の販売を始めており、ナイキ、アディダス他の高価格輸入品と並び平壌の外交官居住地区や科学者技術者への報償としての住居が並ぶ科学者通りだけで販売している。
高麗航空は金正恩が命じた平壌スナン空港の大改修で恩恵を受けている。同空港は2015年供用開始した。その翌年に同社はタクシー運行を開始し、高麗航空ソフトドリンクは2016年に販売開始し、ガソリンスタンドと洗車場は2017年にオープンした。
各事業がどれだけの利益を上げているか不明だが首都はじめ各所で見られるのは事実だ。
子会社のKorea Hanggong Tradingが見本市に出展していることから高麗航空は輸出業参入を検討中のようで、政治環境と制裁措置をにらみながら進めるようだ。
ジョンズホプキンス大US-Korea Institute研究員のカーティス・メルヴィンCurtis MelvinはブログNorth Korean Economy Watchも主宰しており、高麗航空は空軍の「完全保有企業」だという。消費者向け製品の売上げをインフラ修復として滑走路改修や航空基地の防壁工事に使っているという。

(Photo by Pon Pon Tin)

高麗航空ブランド製品は軍の工場で製造され予算不足を補っているとメルヴィンは言う。
「これまで北朝鮮は補助金依存の国営企業の収益を改善して『納税』させようと苦労してきた」とAPにメールで伝えてきた。「高麗航空もこの流れだろう」
高麗航空は軍とのつながりがすぐに見つからずしばしば見逃されがちだ。
だが2014年の国連専門家パネル報告によれば同社ならびに北朝鮮内の空港飛行場すべては朝鮮人民空軍が民間航空局を通じ管理している。報告書では同社社員は空軍隊員と見られ、「国内整備作業は空軍が実施している」とある。
となると同社は制裁対象となり、事業多角化に一層走ることになる。
米国は同社をブラックリストに載せようとしたが失敗し、米財務省は2016年に2013年の軍事パレードで上空飛行したこと、スカッドBミサイルの部品を輸送したこと等で高麗航空を制裁対象にした。
とはいえ米国人の高麗航空利用は禁じられておらず同社とのビジネスを制限するだけだ。

一方で国連は「空軍が高麗航空機材を運用し利用していること」から、加盟各国が同社に資金面や技術面で援助すると北朝鮮向け武器禁輸措置の違反になると警告している。■

2017年6月10日土曜日

北朝鮮空軍の米空母攻撃模擬演習は笑止千万だ




これは完全なプロパガンダでこんな形で米空母に打撃を与えようとは狂気の沙汰で、出撃した機体に帰還のチャンスはありません。一人100殺とは戦時中の日本見たいですが、要は精神力が物理的な軍事力に勝るということでしょうが開いた口がふさがらないですね。

北朝鮮軍用機が敵空母を模した標的を攻撃している。Source: Rodong Sinmun

North Korean air force practises striking aircraft carriers

北朝鮮が空母攻撃の航空演習を実施

  Gabriel Dominguez, London - IHS Jane's Defence Weekly
07 June 2017

北朝鮮空軍が敵空母群攻撃の演習を緊張が高まる中で実施した。
  1. これは朝鮮労働党の日刊紙労働新聞Rodong Sinmunが6月5日に掲載したもので米海軍空母二隻が海上自衛隊部隊と日本海で演習を行った直後に報道している。
  2. 同紙によれば最高指導者金正恩も立ち合っ多今回の演習は朝鮮人民軍空軍、防空軍合同の「戦闘飛行競技」の一環だという。
  3. 演習の日時は不明だが、同紙には北朝鮮軍機の写真数点が掲載され、中には標的に向けミサイル発射、爆弾投下する光景もある。
North Korean MiG-29s, Su-25s, MiG-23s, and MiG-21s were among the aircraft that took part in a drill that involved targeting simulated enemy aircraft carriers. (Rodong Sinmun)
北朝鮮のMiG-29, Su-25, MiG-23, MiG-21の各機が敵空母攻撃の模擬演習に参加している。(Rodong Sinmun)
  1. 写真ではMiG-29「フルクラム」、スホイSu-25「フロッグフット」、MiG-23「フロッガー」、MiG-21「フィッシュベッド」、MiG-19「ファーマー」、MiG-15「ファゴット」、An-2「コルト」、Mi-4「ハウンド」、MD500ヘリコプターも見られる。
North Korean Mi-4 helicopters and An-2 aircraft were among the platforms that took part in a drill that involved targeting simulated enemy aircraft carriers (Rodong Sinmun)
北朝鮮Mi-4ヘリコプターと An-2機も敵空母攻撃模擬演習に参加している。(Rodong Sinmun)
  1. 北朝鮮空軍司令官上級大将Kim Kwang-hyokの発言が同紙にあり、競技は「戦闘部隊将校全員が一人100殺の戦闘要員となりいかなる敵も打破できるよう訓練するものであり、空母と言えども恐れるに足らない」とある。
  2. 平壌からの報道発表は米海軍ロナルド・レーガン、カール・ヴィンソンの両空母戦闘打撃群が海上自衛隊と日本海で共同訓練を行った数日後に出てきた。
  3. またニミッツ空母打撃戦闘打撃群が6月1日に出港したとの報道の中で今回の発表が出た。米メディア複数によれば同CSGはアジア太平洋に向け出港し、北朝鮮への圧力を増やすのが目的と言われる。■

2017年4月25日火曜日

北朝鮮空軍の実力、考慮すべき点は何か



The National Interest

Should the World Fear North Korea's Air Force? 北朝鮮空軍は恐れるに足りるのか


April 22, 2017

朝鮮人民軍の空軍部隊(KPAAF)は北朝鮮軍で脅威度が一番低い存在に見える。
  1. 技術、練度ともに西側空軍部隊より劣る(パイロット訓練は年間20時間未満)ものの、KPAAFには強みがある。基地大部分は強化施設で空爆に耐えること、国内に機材多数があることだ。
  2. 「北朝鮮空軍には機材1,300機があり大部分は旧式ソ連機だが北朝鮮領空防衛にあたっている」とペンタゴンが議会に提出した北朝鮮軍評価レポート2015年版にある。「その他任務にSOF投入、輸送支援、偵察、KPA(陸軍)向け戦術航空支援がある。ただし機材の大部分が技術面で劣ること、防空指揮統制が柔軟でないため、北朝鮮防空主力はSAM地対空ミサイルやAAA対空砲になっている」
  3. 新鋭機材はMiG-29フルクラムが35機程度あるだけだ。その他比較的新しい機材としてMiG-23フロガー(56機)、スホイSu-25フロッグフット近接航空支援機(34機)があるものの圧倒的多数は1950年代1960年代の旧式機だ。「NKAF主力戦闘機材はMiG-29で1980年代末にソ連から同導入しており、その他MiG-23、SU-25対地攻撃機がある。ただし低性能のMiG-15、MiG-17、MiG-19、MiG-21が中心だ」(ペンタゴン評価)
  4. その他にミルMi-24ハインド・ヘリコプターガンシップ(約20機)があるが平壌はSOF(特殊作戦部隊)を重視する。「NKAFはAn-2コルト多数を運用しており、1940年代製の単発複葉機でSOFをROK(韓国)国内に投入するだろう」とペンタゴン報告書はまとめ、「空軍はヘリコプター多数も輸送、対地攻撃に投入するはずで、主力はMi-2ホップライトや米輸出規制をかいくぐり1985年に調達した米製MD-500だ」
  5. このうちAn-2は旧型機とはいえSOF支援機として有効だ。レーダー断面積が小さく、低空低速でレーダー探知範囲をかいくぐり飛行できる頑丈な機体だ。「北朝鮮SOFは高度に訓練され、装備も優秀で、糧食も最優先かつ高い士気を有する部隊になっている。北朝鮮の通常兵力が米韓との比較で劣勢になりつつある中で、SOFの突出した戦力が重要視されている」とペンタゴンはまとめており、「SOFはAn-2コルトあるいはヘリコプターで搬送されるだろう。(民間航空機も投入される可能性がある) あるいは海上や陸地徒歩移動、DMZ下に構築したトンネルで侵入し指揮統制施設や空軍基地のようなROK内重要施設を狙うはずだ」
  6. こうしてみると北朝鮮空軍力は低水準とはいえ無視できない存在だ。優秀な指揮官のもとなら長年の訓練どおりに被害を与える可能性がある。■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.

2017年4月15日土曜日

★北朝鮮の防空態勢を軽視出来ない理由



太平洋戦争開戦前、日本の技術力は無視軽視されており、驚くべきことに黄色人種に近代装備の展開は不可能とさえ言われていたのです。零戦を見て偏見を後悔した米軍ですが、今回北朝鮮と再び軍事衝突すれば同じ現象は起こるのでしょうか。日本国内にも同じ傾向が見られませんでしょうか。正確な情報収集と分析が必要です。しかし北朝鮮の軍事力情報についてはロシアに頼らざるをえないのが現状です。

The National Interest

If Donald Trump Attacks North Korea: Beware of Kim's Air Defense Systems 北朝鮮空爆時には北朝鮮防空網に要注意

April 14, 2017

  1. トランプ政権が北朝鮮介入に動けば、北朝鮮が予想より手強い敵だとわかるはずだ。
  2. 北朝鮮の防空体制は予想以上に進歩している。平壌には米軍の空爆に耐える態勢も整備している。民主主義人民共和国と自称する同国は朝鮮戦争時の教訓を守り、技術的には交戦状態のままだ。
  3. 「1950年から53年にかけて米空軍・海軍が北朝鮮を徹底的に空爆したのでNORKSは再発防止策を65年かけて考え強力な防空壕やトンネル多数を完成させている」とマイク。マクデヴィット退役海軍少将がThe National Interestに語っている
  4. だが平壌は高性能防空装備も整備している。たしかに全国的には旧ソ連装備が多いが、一部で国産高性能装備も実用化させている。
  5. 「旧ソ連時代のSAMでS-75、S-125、S-200やクヴァドラがあるが良好な状態になっていない」とワシリー・カシン(モスクワの高等経済研究所付属総合欧州国際研究所の主任研究員)は解説している。「S-75は国産化し性能を向上させた。2010年代に入りKN-06と韓国米国が呼ぶ国産SAMの配備が始まっています」
  6. KN-06SAM部隊の編成数は不明だが、北朝鮮製装備は意外に高性能でロシア製S-300初期型に匹敵する。カシンは「KN-06はフェイズドアレイレーダーを搭載しミサイル誘導装備はS-300P初期型に匹敵するが射程は伸びています」と述べている。
  7. アジア問題に詳しいカシンはKN-06の発射テストは成功しているとの韓国報道があり、射程は150キロ程度だという。いままでKN-06が軽視されてきたのは北朝鮮工業力を軽視する西側のアナリストのためだ。
  8. 「世界では北朝鮮の工業力を軽視する傾向がありますね」とカシンは言う。「わかっている範囲ではコンピュータつき工作機械や工業ロボット、光ファイバー、半導体やトラック、乗用車、鉄道車両、家電製品他で国産化しています。1970年代のソ連に匹敵する水準で特にイランの協力が大きな効果を生んでいる」
  9. 北朝鮮の低高度防空体制はかなり強固だ。ただし装備は老朽化している。「低空空域ならMANPAD(携帯型対空ミサイル)や対空火砲が23ミリから57ミリが数千門規模あります」(カシン)
  10. 空軍機材は多数あるが大部分が陳腐化している。米空軍力の脅威になりそうなのはミコヤンMiG-29フルクラム少数機だけだ。「MiG-29は40機あるはずだが、実際に何機が飛行可能状態にあるのか不明」とカシンは述べ、「パイロット養成が制約され年間飛行時間は20時間をこえていません」
  11. 旧式だが防空体制は統制が取れている。「旧式ソ連製コンピュータ応用対空指揮統制装備があります。レーダーは旧式が多いですが、一部に新型イラン製フェイズドアレイレーダーが導入されています。対空部隊は地下壕に入っており撃破は困難でしょう」
  12. そうなると北朝鮮防空網は多くの予想を裏切り意外に突破するのが困難そうだ。さらに技術は古いとしても北朝鮮の主体思想によりハードウェア多数を国産化している。「国産化を広範囲で行っていますが、技術は20年40年遅れています」(カシン)
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.