ラベル USSズムワルト の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル USSズムワルト の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024年12月9日月曜日

USSズムウォルトが極超音速ミサイル発射装置へ換装し海上復帰(The War Zone)―だが、肝心の極超音速ミサイルはまだ実用化されておらず、艦内の発電容量も使い道がないままだ

 


The USS Zumwalt's hypersonic missile launchers are now installed.  

HII




極めて高価なズムウォルト級が、極超音速ミサイル発射能力の搭載能力を得て新たな働きを示すことが期待されている


USSズムウォルト(DDG-1000)は、非常に大きくステルス性の駆逐艦で、大半の時間を各種トラブルに悩まされてきたが、14ヶ月の作業を経て金曜日に海に戻った。当初搭載していた耐え難いコストのかかる155mm主砲のかわりにミサイル発射装置を搭載し、これは将来中距離通常型迅速攻撃Intermediate-Range Conventional Prompt Strike  (IRCPS)極超音速ミサイルを搭載するためだ。 


 造船会社HIIが公開した写真には、かつて主砲があった甲板上の位置が覆われているため、IRCPSはあまり写っていない。米海軍は2021年11月、ズムウォルト級を改造して次世代極超音速ミサイルを配備する計画を初めて発表した。

 ズムウォルト級は当初32隻建造予定だったが、海軍は結局3隻しか購入しなかった。当初の任務のひとつに水陸両用作戦の砲撃支援があったが、海軍はその役割を果たす砲の弾薬を購入しなかった。これは、本艦の2基の先進砲システム(AGS)から発射される155mm長距離陸上攻撃弾(LRLAP)が1発80万ドルもしたことが主な原因である。


The Navy destroyer USS Zumwalt.

極超音速ミサイル・ランチャーのアップグレードを終え、海に戻ったUSSズムウォルト(DDG-1000)。 (HII)


政府説明責任局によると、艦船のコストも高騰し、1998年の当初は1隻あたり13億ドルと見積もられていたものが、2020年後半には90億ドルを超えるまでになった。また、3隻しか購入されなかったという事実は、すべての開発費と将来のアップグレード費用が、当初計画の10分の1にも満たない小さな隻数に分散されることを意味した。 海軍海上システム司令部は、作業の継続的な性質を理由に、極超音速アップグレードの費用を確認することを拒否した。

 海軍海上システム司令部(Naval Sea Systems Command:NAVSEA)が今週本誌に語ったところによると、ズムウォルトの作業が完了すれば、将来USSリンドン・B・ジョンソン(USS Lyndon B. Johnson:DDG-1002)がIRCPS能力を受け取ることになる。 LBJはAGSを搭載していないため、極超音速ミサイルの搭載に必要な作業は少なくなるが、NAVSEAによれば、ミサイルの追加により、同艦の就役時期は今年の予定から2027年にずれ込むという。



極超音速ミサイルを発射するUSSズムウォルト(DDG-1000)の完成予

想図。 (ロッキード・マーティン)極超音速ミサイルを発射するUSSズムウォルトの想像図。 (ロッキード・マーチン)


ズムウォルト級2番艦のUSSマイケル・モンスーア(DDG-1001)はサンディエゴで運用中で、将来の近代化改修に極超音速ミサイルの搭載が予定されている。海軍の今年度予算要求記録によれば、同海軍は2028年度までに3隻すべての準備を整えようとしている。

 HIIは、アップグレードはまだ終わっていないと述べているが、ズムウォルトが最終的に極超音速ミサイル運用能力を搭載して艦隊に戻ることは、物議を醸してきたこの級の復帰の始まりを意味する。弾薬のない砲を搭載していることもあり、ズムウォルトは最先端技術を搭載しているにもかかわらず、明確な使命がない艦であった。

 しかし、IRCPSはズムウォルトの価値を証明する可能性がある。なぜなら、同級が搭載する極超音速ミサイルは、非常に価値が高く、防御力の高い目標にのみ使用されるからだ。本誌の過去の報道によれば、これらのミサイルは、かつて砲があった場所に設置された、3重構造のAPM(Advanced Payload Module)キャニスターに搭載される。



IRCPSと米陸軍の極超音速兵器である地上配備型ダーク・イーグル超音速兵器(LRHW)システムは、ミサイルの設計は同じで、上部には無動力の極超音速ブーストグライドビークルが搭載されている。

(米海軍)


ミサイルは、ロケットブースターを使用してペイロードを目的の高度と速度に到達させる。その時点で、滑空体はブースターから分離し、予測不可能な軌道に沿って大気圏を超高速で目標に向かって進む。極超音速とはマッハ5を超える速度のことだが、この兵器はその閾値をはるかに超える。

 しかし、ズムウォルトがいつ実際の極超音速ミサイルを搭載して海に出るかはまだ不明だ。米陸軍は2021年10月、最初のダーク・イーグル・ミサイル発射装置の試作品を手に入れた。 2023年には3回の試験発射を中止した。 海軍と陸軍は6月に試験射撃を行ったが、結果は公表していない。海軍の近年の予算要求では、海軍は2025年末までにズムウォルトから極超音速ミサイルを発射することを望んでいる。

 本誌はこのような高速システムがもたらすメリットについて以前以下報じている:

ブーストグライド体はまた、高度に機動的に設計されており、一般的な弾道ミサイル(たとえ高度に機動的な再突入体を持つものであっても)に比べて、飛行中に予測不可能な動きをすることができる。このことは、飛んでくる弾道ミサイルを探知し、迎撃の試みも含めて対応するという点で、相手にとって大きな課題となる。敵に反応する時間を与えれば、重要な資産を移動させたり、身を隠したりする能力も低下する。これらのことは、極超音速兵器が、最も密集した防空やミサイル防衛を突破して、価値の高い、潜在的に一刻を争う標的を攻撃するための理想的な選択肢であることを意味する。

 ズムウォルトが搭載する大口径発射管4本には合計12発のミサイルが搭載可能だ。

 ズムウォルト級は今後、極超音速に対応することになるが、その他の面では変更はない。海軍は以前、IRCPS能力は艦内に余分なスペースを必要とせず、代わりに以前砲が使用していたスペースを占有すると述べた。  DDG-1000は、80基のMk 57垂直発射システム(VLS)セルを搭載し続ける。ズムウォルトは改装後にSM-2ブロックIIIAZや進化型シースパロー地対空ミサイル、トマホーク陸上攻撃巡航ミサイル、潜在的にはSM-6ミサイル・ファミリーの亜種など、ミサイル多数が搭載されそうだ。

 同級の能力は数十年の間に希薄化し、外部システムの追加によってレーダー・シグネチャーが増加したにもかかわらず、そのステルス設計は、同艦が敵の領土内にある目標の射程内に潜り込むのを助ける。


2002年、航行中の海軍駆逐艦マイケル・モンスーア(DDG-1001)。 (米海軍)


ズムウォルト級は、駆逐艦に分類されるが14,500トンという巨大な排水量を持っている。これは、フライトIIAアーレイ・バーク級駆逐艦より3割ほど大きい。また、ステルス設計を誇り、電磁放射、レーダー、音響、赤外線など、複数のスペクトルのシグネチャーを削減することで、このサイズの艦としては前例のない存在になっている。

 ズムウォルトはまた、アメリカの一般家庭1万軒分に相当する78メガワットもの電力を発電容量を誇る。20ノットで航行中も、58メガワットの予備電力を保持している。の最先端の統合電力システムは、次世代レーダーシステムや指向性エネルギー兵器に電流を供給するのに十分な電力が予備に確保されていることを意味する。

 それでも、同級は3隻しかなく、すべての艦に独自のハードウェアが搭載されているため、ステルス機能を含め、これらの艦船を維持し、アップグレードするコストは、長期的に多額になるだろう。独自のレーダーと戦闘システムを、エンタープライズ航空監視レーダー(EASR)とイージス戦闘システムのバージョンに置き換えて、持続性を高める構想もある。


ズムウォルトのレーダー吸収材(RAM)コーティングは、数ヶ月のドライドックでの工事後に荒れている。 (HII)


西太平洋に配備されたとはいえ、通常の巡航には出されていない。しかし、ズムウォルトが就役して10年近くが経過し、最終的な構成に近づいている今、海軍上層部は、DDG-1000の供用期間の中で遅くなったとはいえ、次のレベルの貢献を艦隊に生む艦になることを期待している。■


USS Zumwalt Returns To The Water With A Hypersonic Missile Launcher Upgrade

It's hoped that the tiny and hugely expensive Zumwalt class might find new utility with their hypersonic missile launch capability.

Geoff Ziezulewicz


https://www.twz.com/sea/uss-zumwalt-returns-to-the-water-with-a-hypersonic-missile-launcher-upgrade


2022年11月23日水曜日

USSズムワルトに米海軍はどこまで予算を投じるのか。性能改修パッケージZEUS構想が浮上。

 


USS Zumwalt

メリーランド州ボルチモアの就役式で、チェサピーク・ベイブリッジとして知られるウィリアム・プレストン・レイン記念橋に近づくUSSズムウォルト(DDG 1000)。 (U.S. Navy photo by Liz Wolter/Released)


コスト超過で悪名高いズムウォルト級で海軍はまた変更を検討している



海軍は、ズムウォルト級駆逐艦の各種部品を交換し、水上艦隊との共通性を高めることに焦点を当てた新しい改良プログラムを検討しており、議会の監視下にある高価なプログラムである同艦で最新の変更の可能性を示している。

 海軍の艦艇取得機関である Naval Sea Systems Command は、Zumwalt Enterprise Upgrade Solution (ZEUS)と呼ぶこの新しいアイデアを、海軍がUSSズムワルトワルト(DDG-1000) の最初の運用を祝い数日後の11月17日に、業界への公開情報要求として開始した。

 海軍によれば、アップグレードで検討の可能性がある要素には、水上電子戦改良プログラム、海中戦戦闘システムSQQ-89、レーダーと射撃統制システム間のデータを効率的に伝達する協同交戦能力などが含まれる。

 また、海軍の通知によると、艦のトップサイドのデザインへの変更は、最小限と想定している。ズムウォルトのレーダーは、レイセオンのSPY-3からSPY-6 (v)3 に変更される。回答期限は12月16日。

 情報提供要請は本来、暫定的なものであり、この通知が発行されたからといって、必ずしも変更を受けるとは限らない。とはいえ、艦の寿命のこの段階で部品交換することへ軍が関心を示しているのは、注目に値する。

 同級の3隻は、コスト超過のために建造を32隻から3隻へ縮小され、単価が高すぎるという理由で、精密誘導砲弾を廃棄するなど、いくつかの重大な災難があり、議会の監視の的となっている。

 ズムウォルトのシステム変更が重要な意味を持つ理由のひとつに、このプログラムの段階がある。先週、同艦の艦長エイミー・マクニス大佐 Capt. Amy McInnisは、第3艦隊と第7艦隊での初稼働を成功裏に飾ったと記者に語っていたばかりだ。

 「ズムウォルトの歴史的な任務で、DDG-1000クラスを艦隊作戦にどのように組み込むかを成功裏に示しました。多くの教訓を学びました」。

 これまでくりかえし高費用で改造されてきた艦艇で、供用開始直後にさらなる設計変更を検討し始めるというのは、国防総省予算を検討する議員から不本意な注目を集めるのは違いない。海軍がこのプログラムにどれだけの資金(納税者の負担)を費やす予定なのかを語るのは時期尚早だ。海軍は公告で、「現時点では見積もり費用や価格は要求しない 」とだけ述べている。

すでに何度も費用のかかる改造が行われた艦船が、つい最近初採用された後にさらなる設計変更を検討し始めるというのは、国防総省の将来の予算を検討している議員から不本意な注目を集めるに違いない。海軍がこのプログラムにどれだけの資金(納税者ドル)を費やす予定なのかを語るのは時期尚早である。海軍はその公告で、"現時点では見積もり費用や価格は要求されていない」とだけ述べている。■


Navy eyeing 'ZEUS,' an upgrade program for the Zumwalt destroyers - Breaking Defense

By   JUSTIN KATZ

on November 22, 2022 at 8:12 AM


2016年12月12日月曜日

12月12日(月)のヘッドラインニュース


12月12日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

[進展中のニュース]東地中海でNATOがロシア潜水艦を追跡中
米P-8A含む哨戒機まで動員した大掛かりな対潜作戦が行われており、オスカー級一隻の所在を突き止めようとしている。もう一隻いる可能性もある。該当海域には仏海軍空母シャルル・ド・ゴールがあり、アイゼンハワーも付近を航行中。オスカー級は長距離ミサイルで空母を狙うことを目的にロシアは8隻を稼働中と言われる。


北朝鮮の核戦力はどこまで整備されているか
北朝鮮の核弾頭小型化技術は進展しており、ミサイル搭載が可能な段階に入っているが、大気圏再投入技術がまだ実用化されていないとの評価

トランプの国防産業への考え方①
トランプ次期大統領は国防総省で契約関係に従事した人物を国防産業が雇用することを禁じる構想を発表。

トランプの国防産業への考え方②
選挙運動中はレーガン時代を彷彿とさせる軍拡を主張していたトランプが40億ドルの次期エアフォースワン事業を批判したことに当のボーイングはじめ防衛産業が一様に驚いているが、トランプの狙いは防衛産業そのものにメスを入れることにあるようだ。

フランステロ襲撃の指導者を空爆で殺害
仏の風刺紙シャルリ・エブドが2015年に襲撃された事件を指揮したISIS幹部が米空爆で死亡したことが判明した。空爆はラッカ(ISIS首都)で、11月26日のことだったという。エル・ハキム(33)はチュニジア出身で襲撃実行犯を指導していた。襲撃は同時多発型で計12名が命を落とした。

ズムワルトがサンディエゴに到着
USSズムワルト(DDG-1000)が12月8日配備先サンディエゴに入港し、東海岸出港から三ヶ月の廻航を終えた。途中で発覚した潤滑油ボックスへの海水混入の原因調査を続行する。サンディエゴで戦闘システムの搭載が始まり、艦隊編入は2018年の予定。同級の残る2隻も建造中。


2016年12月6日火曜日

ヘッドラインニュース12月6日


12月6日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

Su-33が着艦失敗し機体海没、地中海、ロシア空母
12月5日、地中海で作戦中のロシア空母アドミラル・クズネツォフでSu-33が着艦に失敗し、機体は海に没した。パイロットは射出脱出し無事回収された。原因は拘束ワイヤーが切断したことによる。以前にMiG-29KRでも同様に着艦失敗で機体喪失している。

USSズムワルトがカリフォーニアへの回航を再開
主駆動軸の潤滑油の冷却装置が同艦を航行不能にした原因だった。海水が装置内に入ったことで故障したが、この現象は以前から報告があった。今回のパナマでの修理のため姉妹艦マイケル・マンソーから同型部品を慌てて空輸した。ズムワルトはサンディエゴに12月上旬に到着する。

自殺車両攻撃に苦しむイラク陸軍のモスル奪回作戦
ISISが用いる車両搭載即席爆発物による自殺攻撃が深刻なためモスル奪回を狙うイラク地上部隊が苦境に陥る中、連合軍は同市につながる橋梁5箇所のうち4箇所を空爆で壊滅させ、ISISガチグリス川東岸への移動を困難にする策に出た。

中国がDF-21ミサイル10発を同時に試射
トランプ次期大統領への力の示威なのか、中国が11月末に一斉発射下のは中距離弾道ミサイルDF-21でアジア太平洋地区の米軍基地を標的にすると新華社が説明する装備だった。専門家によれば今回発射されたのはDF-21Cで海上艦船を狙うDF-21Dはこの派生型。中国がミサイル発射を発表したタイミングはトランプがマティス退役海兵大将を次期国防長官に内定したと明らかにした直後のこと。中国は海軍演習も同時期に展開している。

2017年度国防予算で潜水艦へ破格の扱い
2017年度国防予算認可法案が下院を通過したが、米海軍の潜水艦建造関連予算を承認し、オハイオ級戦略ミサイル原潜後継艦予算は満額予算となり、ヴァージニア級攻撃潜水艦は年2隻建造のペースを維持するのは潜水艦の意義を正しく認めた結果だ。


2016年12月4日日曜日

12月4日のヘッドラインニュース



12月4日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

F-35開発推進室の存続はぎりぎりで認められた
2017年度国防予算許認可法案の政治的妥結でJPO共同開発推進室は廃止を免れたが、ペンタゴンは来年3月までに事業統括の代替策の提出を求められている。

ミニドローンを運用するオスプレイ
先行飛行させ着陸地点の情報を送る無人機をオスプレイに搭載する構想をペンタゴンが検討中。

EU防衛行動構想が公表された
加盟国の集団安全保障作として年間55億ユーロを基金に繰入れ、各国の防衛体制の変化を奨励する内容だ。既存の各国防衛方針の調整変更から装備調達までこれまでの方向性を変えようとするもの。

敵装備を乗っ取る新技術が開発中
米政府は産業界とともに敵通信制御を奪い、無人機など装備を自由に操る技術を開発中。これまでの技術は通信妨害に注力していたが、新技術Mesmerは通信の奪取が目標だ。
USSズムワルトの修理作業はどこまで進捗しているのか
パナマ運河で機関故障が発生し回航途中で修理を受けけている同艦だが、高性能誘導モーターからシャフト周りが浸水していた。出港の準備が整い、サンディエゴへ向かう。

ユーロファイター・タイフーンが南シナ海上空へ投入される
日本へ展開中のタイフーンを送る他、2020年に就航する英空母部隊も西太平洋に展開すると駐米英国大使が語った。ワシントンの会合での発言。駐米日本大使も同席し、日米英三国が安全保障で協議していることを明らかにした。タイフーンは10月末に日本へ到着している。