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2025年4月9日水曜日

韓国HD HHIが米艦隊拡張で艦艇建造を模索中(Naval News)

 

HD HHI Seeks Role in U.S. Fleet Expansion

2025年12月、韓国・蔚山(ウルサン)のHD HHI造船所を出港する韓国海軍の最新型イージス駆逐艦「ROKS Jeongjo the Great」。


海軍が中国の海洋勢力拡大に対抗するため1兆ドル規模の艦隊拡張を準備する中、韓国のHD現代重工業は、実績あるイージス駆逐艦の建造能力と拡張可能な造船インフラを活用し、自らを重要なパートナーと位置づけている。

 韓国の大手ニュースメディア「朝鮮」によるインタビューによると、HD現代重工業(HD HHI)は、特に米海軍が長期的な大幅な艦隊増強に備える中、海軍艦艇造船能力への強い自信を示した。

 最近の米国防計画によると、米海軍は今後30年間で1兆ドルを投じて新型艦船を調達し、中国との艦隊軍拡競争を優位に進めようとしている。計画では、2055年までに戦闘艦、戦闘兵站艦、支援艦を新たに364隻追加する想定で、年平均12隻の建造が必要となる。

 HD HHIはこれを、韓国と米国の防衛協力を拡大する大きなチャンスと捉えている。同社はすでに、米海軍のアーレイ・バーク級(9800トン)と同規模の駆逐艦を年間1隻以上建造する能力を有している。二国間の海軍造船協力が活発になれば、HD HHIは年間5隻まで生産規模を拡大できるとしている。

予定より5カ月早い3月31日に引き渡されたBRPミゲル・マルバール(HD HHI撮影)


同社の自信の根拠は、フィリピン海軍の新型コルベット「BRPミゲル・マルバール」のような海軍輸出プロジェクトの早期引き渡しや、「ROKSチョンジョ・ザ・グレート(DDG-II)」のような国内プロジェクトの予定通りの引き渡しなどの実績だ。HD HHIはまた、韓国海軍で現在就役中のイージス艦6隻のうち5隻を建造した実績を持ち、イージス駆逐艦の設計と建造の両方に対応できる韓国で唯一の造船所であると強調している。

 さらに、HD HHIは戦闘システム統合専門チームを運営しており、米国の兵器システムとセンサーを自国製プラットフォームに統合した経験を持つため、米海軍の近代化と艦隊拡張の取り組みにおけるパートナーとしての魅力をさらに高めている。

 同社担当者は次のように述べている:「米国で建造されたものと同自性能レベルのイージス駆逐艦を設計・建造できる技術者が250人以上います。また、米国との海軍造船協力が本格化すれば、生産能力をさらに拡大できます」と述べている。

 本誌が最近蔚山造船所を訪問した際、同社は、生産性を向上させ、増大する輸出需要に対応することを目的に、2つの大型商業用ドライドックを艦艇建造用に改修し、艦艇・特殊船事業を拡大する計画について説明した。

 HD HHIは、独自の能力と拡張可能なインフラを活用することで、世界の防衛市場における地位を強化し、共同造船プログラムや技術協力の可能性を通じて韓米防衛協力を深めることを目指している。

 新政権が国内産業を重視する一方で、主要な同盟国との協力を強化する方法を模索する中、HD HHIが米海軍の造船活動に貢献する見通しは、ワシントンで議論を呼び起こす可能性がある。インド太平洋地域における圧力が高まる中、韓国の高度な能力と迅速な生産スケジュールを、増大する艦隊の需要に対応するための現実的な解決策と見る向きもあるだろう。 

 しかし、重要な防衛資産を外国の造船所に依存することに懸念を示す人もいるだろう。 信頼できるパートナーからの買収を認めることについて米国防衛界で議論が続く中、HD HHIの提案は、産業安全保障と戦略的緊急性のバランスをどうとるのが最善かという進化する議論に説得力ある一面を加える。■


South Korea’s HD HHI Seeks Role in U.S. Fleet Expansion

  • Published on 06/04/2025

  • By Eunhyuk Cha

  • In News

https://www.navalnews.com/naval-news/2025/04/south-koreas-hd-hhi-seeks-role-in-u-s-fleet-expansion/

チャ・ウンヒョク

ウンヒョク・チャは、国際関係と安全保障研究に関心を持つ意欲的な安全保障研究者である。以前はソウルの米国大使館でインターンをしており、韓国核戦略フォーラム(ROKFNS)のメンバーでもある。現在、韓国海洋大学で海洋サイバーセキュリティを研究中。専門は東アジアの安全保障と海軍防衛。


2024年8月30日金曜日

米海軍の艦艇建造が低迷している理由―解決策はあるのか。深刻な米国内の産業基盤と労働事情(AP)

 


米国の艦艇建造が、過去25年で最悪の状態になった背景に何があるのか?


海軍が紅海でフーシ派の反乱軍のミサイルを撃ち落とす艦艇を低コストで建造できるかは、ゴミ収集車の部品を作っていた25歳の労働者にかかっている。

 ウィスコンシン州マリネットにあるフィンカンチエリ・マリネット・マリンの溶接工ルーカス・アンドレイニは、造船所が従業員の雇用と維持に苦戦するなか、訓練を受けた何千人もの若い労働者のひとりだ。  

 人手不足は、海軍が世界的な脅威の拡大に直面するなか、艦船建造と整備の滞りにつながっている無数の課題のひとつである。国防の優先順位の変化、土壇場での設計変更、コスト超過と相まって、アメリカは自由に使える艦船数で中国に遅れをとっており、差は拡大しつつある。  

 海軍の造船は現在「ひどい状態」にあり、この四半世紀で最悪だと、議会予算局の長年にわたる海軍アナリスト、エリック・ラボは言う。「この問題から抜け出す早く簡単な方法は見当たらない」。

 マリネット・マリンは、海軍の最新型水上艦艇である誘導ミサイルフリゲート艦6隻の建造契約を結んでおり、さらに4隻の建造オプションもある。しかし、ラボによれば、同社には1年に1隻のフリゲート艦を製造する労働者しかいない。労働者はどこに行ってしまったのか? 

 業界の主な問題の1つは、高齢化した労働者が数十年の経験を引きずって退職するなか、新造艦建造という困難な仕事に従事する労働者の雇用と確保に苦労していることだ。 

 全国の造船所は、ハイテク軍艦建造に必要なスキルを労働者に提供するため、訓練アカデミーを設立し、高等専門学校と提携している。潜水艦建造業者と海軍は製造業でのキャリアを促進する提携を結び、造船所は採用後の労働者を引き留めるために特典を提供している。 

 アンドレイニはノースイースト・ウィスコンシン技術専門学校のプログラムを通じてマリネットでの仕事の訓練を受けた。それ以前は、生産ラインの溶接工としてゴミ収集車の部品を作っていた。造船業は「劣悪な労働環境で、安全でない」という汚名を着せられている仲間もいるというが、現実はそうではないと彼は言う。自分の役割を果たし、船員や友人が無事に帰国できるようにできるのは幸せなことと、父親がベトナムで海軍にいたアンドレイニは言う。

 同じく溶接工で、専門学校のプログラムを卒業し、シングルマザーでもあるアロニー・レイクは、長期的に安定した仕事ができることを喜んでいる。 

 32歳のレイクは、多くの若い人たちが、「自分の手を使って具体的な成果を生み出すやりがい」のある職業に興味を持っていると思うと語った。同校は、近隣のポーツマス海軍造船所と提携し、原子力潜水艦の修理に必要な技術を労働者に教えている。「すべてのアメリカ人のために偉大な国家を建設し、今日の脅威と課題から防衛するために、私たちの才能と、卒業生の場合は新たに開発した技術をどのように提供するのが最善かを検討することは、私たち全員に課せられた責務です」というが、雇用を得た労働者が定着するのだろうか?

 ウィスコンシン州では、マリネット・マリン造船所に提供される1億ドルの海軍資金の一部が、デル・トロが「ひどい」と評した同造船所の従業員定着のためボーナス支給に使われている。

 ミシシッピ州で駆逐艦や揚陸艦艦を、ヴァージニア州で航空母艦や潜水艦を製造するハンティントン・インガルス・インダストリーズ社を含め、目標を達成している造船所でも従業員確保が懸念となっている。  同社は、大学や公立学校と訓練提携を結んでいる。ミシシッピ州では、100万平方フィート(92,900平方メートル)以上の屋根付き作業エリア、クールダウン・ステーション、水分補給ステーション、ファーストフードチェーンのチックフィレイ(Chick-fil-A)を併設したダイニング・エリアなどが強化された。ハンティントン・インガルスはまた、海軍およびヴァージニア州ニューポートニューズ市と協力して、作業員や船員のための新しい駐車場を建設した。


数十年来の問題 米国造船業の現在の苦境の責任の多くは海軍にある。海軍は造船会社が建造開始後に、仕様を頻繁に変更し、アップグレードを要求し、設計を微調整している。

 海軍の最新空母USSフォードにおけるコスト超過、技術的課題、遅延、ステルス駆逐艦計画におけるロケット支援投射砲のコスト高騰、故障がちだった海軍の軽装甲沿海域戦闘艦の早期退役などがその例だ。  海軍は、マリネット・マリンで建造中の新型フリゲート艦について、こうした過去の教訓から学んでいるという。新型フリゲート艦は、大型駆逐艦よりも製造コストが低いにもかかわらず、同様の武器システムを搭載していることから珍重されている。 

 海軍は、ゼロから始めるのではなく、フランスやイタリアの海軍ですでに使用されている艦船設計を選んだ。15%は米海軍の仕様に合わせ、85%はそのままにすることで、コスト削減と建造のスピードアップを図るものだった。 

 しかし、実際は逆だった:ワシントンに本拠を置くシンクタンク、ハドソン研究所のアナリスト、ブライアン・クラークによれば、海軍は85%を再設計し、コスト増と建造遅延を招いたという。

 2022年8月に着工したコンステレーション級1番艦の建造は、現在予定より3年遅れており、引き渡しは2029年にずれ込んだ。 最終設計は未完成だ。 


脅威の変化と計画の変更 さらに問題を複雑にしているのは、海軍がコントロールできないこと、つまり世界的な脅威の性質の変化だ。海軍はその歴史を通じて、過去数十年の冷戦であれ、中東での戦争、中国やロシア海軍との競争の激化、ソマリア沖の海賊行為、イエメンのフーシ派反乱軍による商業船への執拗な攻撃など、さまざまな危険に適応しなければならなかった。 

 それだけではない。造船所の統廃合と資金調達の不透明さが、船舶建造のペースを乱し、長期的な投資と計画を妨げている、と全米造船業協会(Shipbuilders Council of America)のマシュー・パクストンは言う。 海軍は、造船問題を深刻に受け止めていると主張している。「我が国を防衛し、平和を促進する海軍の役割は、かつてないほど拡大し、重要性を増している。「共通の課題を解決するため創造的な解決策を見出そうと業界のパートナーと協力し続けています」。■



Navy warship production in worst state in 25 years. What’s behind it?

By David Sharp, The Associated Press

 Aug 12, 2024, 03:30 AM


https://apnews.com/article/navy-frigate-shipyard-workforce-retention-318c99f2161c4284e5ddcf0c1fa2b353


2024年5月2日木曜日

米海軍長官がぶちあげた米海軍艦艇の日韓造船所での建造構想に対する反応...

 

Breaking Defense記事のご紹介です。モジュール建造の一部なんて言っていますが、実現するとは考えにくく、可能性が高いのは米国内への投資でしょうか。ただし、これは相当の長期のリードタイムが必要です。それより、日米で合意ができた艦艇の補修整備で艦艇のやりくりを楽にするほうが効果があると思えるのですが。

米海軍長官が海外造船所との共同生産の構想を示す

デル・トロ長官は、韓国と日本の造船所での工期の順守を賞賛している


ルロス・デル・トロ海軍長官は国内生産率を高めるため、米海軍の特定の軍艦モジュールを海外造船所で組み立てる構想に前向きであると述べた。

 「航空機産業では、例えばインドで航空機エンジンを製造し、米国で機体に統合させている。「ですから、私たちが追求できるチャンスはありますし、そのようなチャンスに対しオープンマインドでいる必要があります」。

 デル・トロ長官の発言は、ここ数ヶ月で韓国と日本の造船会社を訪問したのを受けてものだ。同長官は海外造船会社にアメリカ国内の造船所への投資を呼びかけている。

 注目すべきは、少なくとも1社、韓国の造船大手ハンファが今月初め、オーストラリアの造船会社オースタルを買収しようとしたことだ。 この未承諾の株式公開買い付けは、米国含む各国における規制上の懸念が予想されたため、最終的にオーストラリアに拒否された。

 今回の発言はまた、海軍がデル・トロ長官による45日間にわたる造船レビューを発表したことを受けており、海軍の主要な取得計画について数年分の遅れが出ていることが確認された。ここ数週間、海軍当局は、議員、シンクタンク関係者、公的イベント出席者、メディアなど、事実上すべての人々から、遅れをどう克服するのかについて質問を受けているが、具体的な改善策については最小限の情報しか発表されていない。

 デル・トロ長官は、海軍技術者をウィスコンシン州に常駐させ、コンステレーション級フリゲート艦の元請けフィンカンチエリ・マリネット・マリーンと共同作業させると繰り返し言及している。

 デル・トロは今日、アジア訪問時に共同建造が話題になったかどうかについては詳しく語らなかったが、このアイデアはほぼ間違いなくアメリカの産業界の抵抗にあうだろう。

 アメリカ造船業協会のマシュー・パクストン会長は、『ディフェンス・ニュース』への寄稿で、「海軍は、戦闘艦や兵站艦、沿岸警備隊や陸軍の艦船を建造する能力だけでなく、艦船の整備能力も海外に求めている。「こうした努力が国内労働力を解雇に追い込んでいる。「この近視眼的なアプローチは、市場の不確実性と不安定性を生み出し、産業基盤への追加投資を複雑にし、米国造船業界が行ってきた労働力と施設への多額の設備投資を台無しにするものだ」と続けた。■


SECNAV floats idea of co-production with foreign shipyards - Breaking Defense

Del Toro has repeatedly praised shipbuilders in South Korea and Japan for their abilities to keep construction efforts on time.

By   JUSTIN KATZ

on April 23, 2024 at 4:42 PM