- 中国が最新装備を展開しているのは戦力をインドに示威する狙いもあるとの説明がある。
- 西部では未決着の国境線をめぐり両国で摩擦が広がっている。東側のドクラムで2017年に対立があった。
中印間の緊張が高まっている。両国が国境地帯に兵力を集結させているが、中国人民解放軍(PLA)は高性能装備の高地テスト、訓練の機会ととらえているようだ。
両国が動員中の部隊規模で公表数字はないが、報道を総合するとPLAはチベット高原用に改装したジェット戦闘機部隊など高性能兵装システム数点を動員している。
インド陸軍も国境地帯近くのレー地方に駐屯する歩兵師団から数個連隊を国境地帯に移動させ兵力を増強している。
香港在住の軍事専門家Liang Guoliang によれば中国は少なくとも複合武装旅団9個に高地訓練済み歩兵部隊、砲兵隊、防空部隊、航空隊、化学核電子戦専門要員をインドとの国境紛争に備えるチベット軍区に派遣した。
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国境地帯ではここ数ヶ月に渡り緊張が高まっており、両国の部隊が素手で殴り合ったり、投石の事態が発生していた。
両国の国境紛争は2017年に高まり、インド軍とPLAの対立は中国がドクラムで道路建設を進めて強まっている。
ドクラムでのにらみ合いを受けPLAは兵力を増強し、15式戦車、Z-20軍用ヘリ、GJ-2攻撃用無人機、PCL-181高性能車載迫撃砲をチベットに送り込んだと中国共産党の宣伝媒体の環球時報が伝えている。
衛星画像では中国軍はチベットのNagari Gunsa航空基地から多用途戦闘機J-16を運用しているのがわかった。
「J-16は通常訓練で同基地に展開していたようだが、情勢悪化で現地に残ったのだろう」と軍事観測筋が述べている。「インド空軍が国境地帯に多数の機体を展開し、PLAはJ-16の投入が必要と判断したようだ。同機はインドのSu-30MKIの性能を上回る」
インド中国国境地帯でインド側に立つ看板。インド北東ブのアルナチャル・プラデシュ州ブムラ。November 11, 2009. REUTERS/Adnan Abidi
北京の軍事専門家Zhou Chenmingによれば2017年の映像と今週の映像を公開しているのはインド軍に対しPLAの戦力増強を伝える意図があるという。「中国は性能向上型新装備を次々に投入し、Z-20ヘリコプター、J-10C、J-11など海抜5千メートルのチベット高原で訓練や試験してきた。
「PLAに戦力誇示の狙いがあるが、インド軍と直接対決の意図はない、というのは中国はインドを真の敵国とみなしていないからだ。ただし、米国はインドをインド太平洋戦略に組み入れ中国の台頭に対抗させようとしている」
中国インドの国境線は3,488 kmに及び、PLAは70千名部隊を展開し、インドは40万名を維持している。
ただし、ニューデリーのシンクタンク、オブザーバー研究財団の国防アナリスト、ラジェスワリ・ラジャゴパランによれば実際にインドが展開しているのは225千名以下だという。
「MIT専門家の最新試算では中国の西部戦域司令部に230千から250千名が配備されている」とし、PLAでチベット・新疆地区防衛に当たる同司令部について言及している。「注目したいのはインド軍の多くは中国と対峙するよりも治安維持目的で駐屯していることだ。インド軍は国境地帯には集結しておらず、地形条件が悪く部隊移動もままならない」
Liangによれば国境地帯に展開する中国軍は通常は40千名未満だ隣接する青海省、甘粛省、はては必要に迫られれば新疆や四川省から増派部隊を送り込むという。
デリーの軍事解説者ラジブ・チャトゥヴェディは両国間の緊張の根源に中国が国境地帯付近でインフラ工事を増やしていることにインドが警戒していることがあるという。
「中国のインフラは大規模で最新鋭だ。中国は戦略的アクセスの開発、改良を続けているが、インドも国境地帯へのアクセス改善をめざしており、国境地帯のインフラ改良に中国の了承は不要だ」■
この記事は以下を再構成したものです。
China is showing off its military hardware during its latest border showdown with India
Minnie Chan, South China Morning Post