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2026年1月9日金曜日

M1E3戦車の試作型が登場–新世代エイブラムスはハイブリッド駆動方式に。戦車の有効性には一部で疑問も出ているが

 次世代戦車「M1E3エイブラムス」の試作車両が初公開された

陸軍の次世代型軽量ハイブリッド電気式エイブラムス戦車コンセプトの初号機試験が間もなく開始される

TWZ

ジョセフ・トレヴィシック

公開日 2026年1月6日 午後9時10分 EST

The U.S. Army has released the first images showing parts of the design of a very early prototype of the next-generation iteration of the Abrams tank, or M1E3.米陸軍

陸軍は、次世代型エイブラムス戦車(M1E3)の初期プロトタイプ設計を示す画像を発公開した。陸軍は年末の納入目標を達成し、同戦車を受領したことをTWZに確認していた。

M1E3の画像は本日、陸軍のソーシャルメディアアカウントで初めて公開された。Defense Daily昨年12月、計画通り戦車が納入されたことを最初に報じていた

米陸軍が公開したM1E3初期プロトタイプの画像(1枚目)。US Army

米陸軍が公開したM1E3初期プロトタイプの画像(2枚目)。本記事冒頭部分でも一部確認できる。米陸軍

画像に添えられたInstagram投稿は次のように述べている。「戦場に革命をもたらす最先端技術の実証機であるM1E3初期試作車両の完成を発表できることを誇りに思う。ラウシュRoushに製造され、先行リスク低減活動から得られた知見を基に開発された試作車両は、陸軍の迅速性・機動力・兵士中心の解決策への取り組みを体現している」

「主な特徴」として「高度なソフトウェア統合」「強化された機動性」「比類なき殺傷力」が挙げられている。

「このマイルストーンは、陸軍が教訓を迅速に適用し、兵士へ支援技術を従来以上に速く提供できる能力を証明するものです」とInstagram投稿は続ける。「試験は2026年初頭に開始され、結果が待ちきれません!」

米陸軍が運用する最新型エイブラムス戦車「M1A2システム強化パッケージバージョン3(SEPv3)」の列。米陸軍

現在入手可能な2枚のM1E3画像(本記事冒頭および下部に掲載)は、プロトタイプの限定的な視点しか提供していない。1枚は戦車の正面からの部分的な眺め。もう1枚は側面から前方に向けた視点で、同様に前端部を示しているように見える。あるいは両画像とも、砲塔が後方を向いた状態での戦車後部を示している可能性もある。全体像が把握できないため、即座には判断できない。

砲塔から確認できる範囲では、既存のM1戦車バリエーションと一部類似点があるものの、全体的なプロファイルは少なくともわずかに低い可能性がある。また、他のエイブラムス戦車には見られない、砲盾左側に目立つセンサー窓が設置されている。

M1E3初期試作車(上)と標準的なM1A2 SEPv3型(下)の砲塔を並べて比較。米国陸軍

主砲は、現行M1に搭載されている120mmM256砲と外観上は同一ではないが類似している。過去には、最新型エイブラムスにさらに大口径またはより先進的な主砲が搭載される可能性が指摘されており、開発が進むにつれM1E3への追加装備として依然として可能性を残している。陸軍は自動装填装置の追加を計画していることを確認しており、これは米国軍や西側諸国の多くの軍隊が戦車設計において歴史的に避けてきた要素である。M1E3の完全な武装パッケージは、徘徊型兵器の発射能力を含む形で拡張される可能性がある。

車体に関しては、前部から見た場合でも後部から見た場合でも、2つのハッチを備え、既存のエイブラムス戦車とは大きく異なる外観を示している。また、分散型視覚システムに関連すると思われるカメラや、新たなLEDライトも確認できる。全てのM1派生型は、運転手用の単一ハッチを前部に配置し、残る3名の乗員は砲塔内に配置されている。戦車の後部は、ガスタービン動力装置によって完全に定義されている。

現在公開されているM1E3初期試作車の車体画像(上)と、M1A2 SEPv3の車体前部(下)を並べて比較した図。米国陸軍

現行アブラムス戦車の別視点(後方から)。ガスタービン動力装置が取り外されている。米陸軍

全体として、画像は、M1の現行主要請負業者であるジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズが2022年に初公開した次世代実証機「アブラムスX」とも著しく異なる。

走行中のエイブラムスX技術実証機

低プロファイル砲塔と乗員配置の大幅な再編成は、M1E3プロトタイプに長年期待されてきた特徴である。自動装填装置の追加により、乗員数を4名から3名に削減することも可能となる。これらは全て設計全体のコンパクト化に寄与する変更で、数トンとはいかないまでも貴重な重量削減につながる。重量増加は、1980年代に初代モデルが就役して以来エイブラムス戦車群の主要課題であり、最新型M1A2システム強化パッケージバージョン3(SEPv3)は78トンに達する。陸軍は以前、M1E3でこれを60トンにまで削減したい意向を示していた。

陸軍はM1E3が新型ハイブリッド推進システムと駆動系を搭載し、現行エイブラムス戦車に採用されているガスタービン動力装置よりも大幅に優れた燃費性能を実現することを確認している。

陸軍参謀総長補佐官(科学技術担当)兼最高技術責任者アレックス・ミラー博士は、昨年10月に開催された米国陸軍協会(AUSA)年次総会で、本誌ハワード・アルトマン記者に対し「ハイブリッド方式となる。完全電動化ではない」と説明していた。「完全電動化は望んでいない。充電場所がないからだ。発電には液体燃料が必要だ。しかし我々が確認しているのは――これはまだ検証していないのであくまで理論上の話だが――その供給方法により、約40%の燃費向上が見込まれるということだ」

M1E3の重要な特徴として、統合されたアクティブ保護システム(APS)も予定されている。陸軍のエイブラムス戦車の一部は既に、イスラエル設計の実戦実績のあるトロフィーAPSを装備しているが、これは追加装備形式であり、前述の重量増加の一因となっている。M1E3向けに合理化・最適化されたAPSは軽量化が図れるほか、戦車の物理構造や発電要件など他の利点も提供する可能性がある。特にドローンの脅威増大に対する追加防御層として機能する拡張機能を備えたAPSも望ましい。無人航空システム(UAS)への対処能力を強化するために特別に設計されたトロフィーの新バージョンは2024年に公開されたが、拡大するAPS市場領域には他にも潜在的な選択肢が存在する。

トロフィーAPSを搭載したM1エイブラムス戦車。レオナルド経由 米国陸軍

トロフィー® APS – 陸上機動の実現者

本誌が以前報じていた:

「M1E3には、標的捕捉能力やその他の搭載センサー、ネットワーク通信システムなど、数多くの改良が施される見込みだ。次世代戦車の開発を加速させる陸軍の現在の取り組みは、モジュール性とオープンアーキテクチャを重視しており、開発プロセス中の能力統合・改良を容易にし、将来的な改良の組み込みを可能にする」

陸軍が現在保有する初期プロトタイプの実験から得られるフィードバックは、これらの要求仕様の精緻化と進化に寄与する。陸軍はこの目的をさらに推進するため、最終的には小隊規模のプロトタイプを調達したい意向を示している。

「小隊規模のプロトタイプを早期に投入したい理由は、装甲旅団に何が有効で何が不十分かを判断してもらうためだ」とミラー博士は昨年10月に本誌に語っている。「さらに3~4年待つのではなく、その時点でフィードバックを行い、GD(ジェネラル・ダイナミクス)に改良を加えさせ、翌年には次の改良型を投入する」

「避けたいのは、戦車兵が新型戦車を見るのが完成時で、何も変更できず、しかもそれが6年後になる状況だ」と彼は続けた。「座席に関するフィードバックを得る。砲撃に関するフィードバックを得る。自動装填装置に関するフィードバックを得る」ことを望んでいるという。

注目すべきは、M1E3の開発が、将来の紛争における戦車やその他の重装甲車両の一般的な有用性が、陸軍自身を含む多くの場で激しく議論されている時期に実施されている点だ。陸軍は昨年、GDLS社が開発した105mm主砲搭載の軽戦車型装甲火力支援車両「M10ブッカー」500両の調達計画を中止すると発表した。同車両は歩兵部隊の支援を目的としていた。

陸軍がM1E3初期試作車両の試験を開始するにつれ、現行設計と将来計画の詳細が明らかになる。■


ジョセフ・トレヴィシック

副編集長

ジョセフは2017年初頭より『The War Zone』チームの一員。それ以前は『War Is Boring』のアソシエイトエディターを務め、『Small Arms Review』『Small Arms Defense Journal』『ロイター』『We Are the Mighty』『Task & Purpose』など他媒体にも寄稿している。



Our First Glimpse At The M1E3 Abrams Next-Gen Tank Demonstrator

Testing of the first iteration of the Army's next-generation, lighter-weight, hybrid-electric Abrams tank concept is set to kick off soon.

Joseph Trevithick

Published Jan 6, 2026 9:10 PM EST

https://www.twz.com/land/our-first-glimpse-at-the-m1e3-abrams-next-gen-tank-demonstrator




2021年5月3日月曜日

中国との対決に備え、装甲車両部隊の整備運用を再構築しつつある陸上自衛隊だが、輸送力確保など他部隊との協調連携が不足したまま突っ走っていないか検証が必要だ。

 


Japan Self-Defense Force tank armored vehicle

10式戦車(左)、90式戦車(右)と16式機動戦闘車両 January 12, 2020. KAZUHIRO NOGI/AFP via Getty Images

 

ここがポイント

  • 日本は冷戦時にソ連に対抗すべく装甲部隊を大規模整備した

  • 中国の台頭で新しい課題が生まれ、日本は装甲車両を一新しつつ使用方法を変えようとしている


二次大戦期の日本装甲部隊はわずかな例を除き、連合軍戦車部隊の数量に圧倒され勝ち目は薄かった。


この経験とソ連の脅威から戦後の日本は戦車開発を進めた。1990年代には高性能装甲部隊を大規模整備するに至った。


だが、自衛隊は軌道修正を迫られている。


中国の脅威の台頭により陸上自衛隊は装甲車両、火砲集中投入を前提とする北部展開方針から迅速に南西部に展開可能な機動性部隊の必要に直面している。


このため、輸送力整備、新型装甲車両の開発、さらに陸上自衛隊戦車部隊そのものが変わろうとしている。


ソ連への守りだった


Japan Japanese Type 61 tank

61式戦車 November 18, 1985. US Defense Department


両大戦間の日本の戦車部隊は近代的かつ革新的な存在だった。だがドイツ及び連合国が工業力にものを言わせ新型戦車の数々を第二次大戦中に登場させ性能向上させたのに対し、日本の限られた工業力では対応できなかった。


さらに第二次大戦の日本軍の戦略は南方侵攻で、大規模戦車戦は想定されず、海軍や航空機の整備を優先した。


戦後の日本は西側技術や設計にアクセスが許され、戦車の重要性を改めて認識し、ソ連侵攻に備え高性能装甲部隊の整備に注力した。


冷戦時の日本戦車部隊は61式、74式の両主力戦車が中心で90mm砲105mm砲を各搭載した。当時としては高性能車両で大量整備した。


1990年に90式戦車が導入され、50トンの車体に120mm砲を搭載し、あらゆる点で第一線級戦車となった。モジュラー式複合材装甲、レーザー測距、火器管制コンピュータ、熱探知暗視機能、自動装てん装置を搭載し、ドイツのレパード2A4に匹敵する戦車となった。


当時の日本はソ連侵攻の主戦場を北海道と想定し、戦車多数を配備した。1976年時点で陸上自衛隊は戦車1,200両、火砲1,000門の大部分を北海道に常駐させていた。


軽量かつ高機動の追求


Japan Self-Defense Force Type 74 tank

74式主力戦車 August 24, 2017. Tomohiro Ohsumi/Getty Images


冷戦終結でロシア侵攻の脅威は事実上消滅し、自衛隊は戦車台数の削減を決め、1995年の900両が現在は570両程に減った。さらに300両まで削減する。


90式は61式。74式の更改用に導入され、他方で新型戦車10式、16式機動戦闘車両が開発された。


このうち2012年に導入された10式は74式と交代し、90式を補完する存在だ。


最大重量48トンの10式は90式より軽量で取り回しが容易で、車体サイズのため90式が北海道及び富士山周辺でのみ運用が制限されるのに対し、10式は関係法規に合致し全国で運用可能となった。



10式の装甲はモジュラー式セラミック複合材とナノ結晶鋼材を採用している。モジュラーは追加、取り外しが可能でミッションや損傷程度に応じ対応できる。主砲は120mm砲で自動装てん方式だ。10式で注目を浴びるが電子装備機能で、高性能指揮統制機能で近辺の自衛隊部隊との交信・情報共有が可能となった。


これに対し16式は10式戦車導入後に登場した。車輪走行方式だが、戦車砲塔を搭載し、軽戦車の機能があるため、近接交戦、反抗作戦、地上部隊への直接火力支援に投入できる。


105mmライフル砲が主装備で車重26トンの16式は日本各地に移動可能で航空自衛隊輸送機で輸送できる。


南西部脅威への対応


Japan Self-Defense Force Type 16 Maneuver Combat Vehicle

16式の実弾射撃 May 23, 2020. CHARLY TRIBALLEAU/POOL/AFP via Getty Images


軽戦車の導入は一見理に反するが、今後の自衛隊の戦力構造に適した装備で、日本南西部で中国の脅威に対応する。


「冷戦が過去となり今までと違う脅威が現れる中、日本は国防の考え方を変え、真の脅威への対応を追求している」と日本の安全保障に詳しいRANDコーポレーションのジェフリー・ホーマンが語る。


「成果がここ10年、15年で具体化し、中国の脅威を意識している」


脅威は空と海が主な舞台だが、日本が実効支配中の尖閣諸島を中国が狙っている。日本指導部は中国の尖閣侵攻はあっても本土侵攻の可能性は低いとみている。


「中国が日本本土に揚陸作戦を展開するとは見ておらず、重装備装甲部隊の整備は不要と考えている」「かわりに南西部島しょ部分の環境に適した形で陸上自衛隊を投入し戦闘対応させる必要がある」(ホーマン)



迅速展開能力が必要だが


中国が大型島しょ部を攻撃すれば戦車部隊が重要装備となる。このため陸上自衛隊は迅速展開部隊を整備し、揚陸作戦に特化した部隊も創設した。


同時に輸送が容易な装甲車両、火砲を取得して、対艦対空攻撃能力を重視する一方、V-22オスプレイを隊員輸送に役立てる。


とはいえ陸自には未解決の課題もある。海上輸送力の欠如だ。主な脅威が南西部にあるにもかかわらず、迅速展開部隊の半数は今も北海道にある。


16式は空輸可能だが、90式10式は海上輸送が必要だ。外縁部への展開では隊員・装備の大半は海上輸送で対応せざるを得ない。


この任務に対応するのが海上自衛隊のおおすみ級戦車揚陸艦三隻で、2024年までに新型揚陸艦3隻を導入する予定だが、それでも輸送能力は必要規模より低く、有事に投入可能な艦艇が著しく不足する危険な状態だ。


「即応対応部隊を他軍の空輸、海上輸送能力をよく考慮せず整備してしまった点に問題がある」とホーマンは指摘する。■


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Japan Rethinks Use of Tanks to Prepare for Potential Clash With China

Benjamin Brimelow 1 hour ago


2017年7月31日月曜日

★★米陸軍の考える次期主力戦車の姿


米陸軍は将来の戦闘を市街地戦が中心と見ており、取り回しの良い小型戦車を望んでいるようですが、結局あれもこれもと装備性能を追加すると重量級車両にあなってしまうのですね。エイブラムズが70トン超ですか、日本の10式は44トンということですから相当の差がありますね。艦艇や航空機と同様に今後の装備では発電容量がカギになるということでしょうか。

Vitaly V. Kuzmin - http://www.vitalykuzmin.net/?q=node/604

Milley’s Future Tank: Railguns, Robotics & Ultra-Light Armor ミリ―参謀総長の考える将来の戦車はレイルガン、ロボット工学、超軽量装甲を搭載


上写真 ロシアの新型T-14アルマータ戦車。モスクワの軍事パレードで。
NATIONAL PRESS CLUB: 戦車は時代遅れになるどころかこれからも必要だ。米国は1980年代からM1エイブラムズを稼働中だがどんな戦車が必要で、どれだけの時間の猶予がるのか。本日当地で陸軍参謀総長段階的改良でなく一気に技術革新を狙うと述べているが、新型戦車開発は長時間がかかると言いたいのだろう。
Sydney J. Freedberg Jr. photoマーク・ミリー大将
  1. 「機械化車両もかつての騎兵隊や恐竜と同じ道をたどるのか。そうは思わない。ただし自信が持てないのでこの問いを続ける」
  2. 「現在の戦車は堅牢かつ優秀だ」とM1を評した。「だが機械科歩兵部隊や戦車の基本となる新型地上車両プラットフォームが必要だ。今後25年ほどは各種車両に相当の役目が期待される」
  3. 「どんな技術が導入されるのか」とミリー大将は続けた。「まずアクティブ防御装備として電子ジャマー装置やミニミサイルで対戦車兵器を遮る。乗員数も自動砲塔の採用で減らす」となるとロシアの新型T-14アルマータと同じ発想だ。ミリー大将は米陸軍は同戦車をくわしく研究中という。「技術研究の中心は素材で、装甲そのものだ。大幅軽量化しても同じ装甲性能を実現する素材があれば画期的な技術突破口になる」
http://www.raytheon.com/capabilities/products/aps/レイセオンのQuick Kill アクティブ防御技術
  1. 「研究開発課題は他にもたくさんある」とミリー大将は述べた。たしかにそうだが陸軍や業界関係者と話すと「突破口」になる技術革新があと少しで実現すると見る向きは皆無だ。装甲材料で中程度の改良は研究中だが装甲重量を画期的に軽減する根本的な革新は見あたらない。
  2. すべての車両で重量が増える傾向だ。M1戦車が登場した1980年の重量は60トンで当時のソ連対戦車砲のほとんどに十分だったが、その後70トン近くに増えている。歩兵戦闘車両M2ブラッドレイは25トンだったが今や40トンで、BAEからは45トン型提案もある。ブラッドレイ後継車両の地上戦闘車両構想は84トンまで大型化したが予算不足の陸軍がキャンセルした。
M1エイブラムス戦車、イラクにて
  1. 陸軍は軽量車両に目を向けているが、記者が話した専門家は軽装甲を信用していない。かわりに以前なら異端といわれたトレードオフを検討している。たとえば空挺部隊用に空中投下可能な軽量戦車、あるいはブラッドレイ後継車両に現行の半分の歩兵搭載能力を与えることだ。
  2. 小型化すれば軽量化も実現し狭い市街地での取り回し性能も手に入る。ミリー大将含む陸軍上層部は将来の戦闘は市街地が舞台にすることが増えると見ているのでこれは重要な性能になる。モスルは究極の将来の小規模戦闘の姿と受け止められた。2004年のファルージャ、2008年のサドルシティでは戦車で奪回に成功したが歩兵部隊と特殊部隊との密接な連携がカギだったとミリー大将は述べた。
Army photoレーザーを搭載したストライカー。5キロワットで無人機を撃墜するのが目的だが大出力なら車両を走行不能にできる
  1. ミリー参謀総長は軽量防御を最上位の優先事項に上げるが、同時に二つの技術で装甲車両を革命的に変えるとする。一つがレイルガン含む電動兵器で電磁石で固体金属のかたまりを超音速に加速する。もう一つはレーザーで光速でエネルギーを放射する。「運動エネルギーに火薬を使う弾薬は5世紀にわたり使われている」とミリーは指摘するが、火力に別の選択肢も着実に実現しつつある。
ロッキードのATHENAレーザーで走行不能になった車両
  1. 今のところレーザー、レイルガンはともに防御兵器としての開発が主で無人機や巡航ミサイルを迅速かつ安価に撃墜する方法として注目されている。空軍特殊作戦軍団は150キロワット級レーザー砲をAC-130ガンシップに搭載し音をたてずに敵地上の車両の重要部品を焼きつぶそうとしている。今は大型機にしか搭載できない攻撃用レーザーが将来の大型地上車両に搭載される日が遠いとは限らない。
  2. もう一つの画期的な技術革新としてミリー大将があげるのが「ロボット工学の革命」だ。地上は空中や海より航行制御が困難とミリー大将は指摘したうえで、地上ロボットの登場は無人機や無人艇より遅れるが、「ゆくゆくは広範囲にロボットの導入が実現するはず」と述べた。小型で消耗品扱いの偵察ロボットが中心で、センサーまたは兵器を積み、歩兵隊の先陣を進む。ミリーは未来の戦車は運用人員を減らすため自動化を大幅に採用すると見るが選択的に完全無人自律運用にすることも視野に入るという。
  3. 「今後開発する各車両では無人有人運用の切り替えが当然となり指揮官はスイッチ一つでロボット車両にすることが可能となるでしょう」
  4. 将来の戦闘ロボット開発にはまだ多くの検討が必要だ。人工知能で戦車運用を任せられるほど発達すれば、戦闘はAIにさせて乗員は安全な本国に残れば生命の危険はなくなる。戦車内部に人間が不要となれはAIに目標を捕捉させて攻撃を任せられるのか。ペンタゴンの現在の方針では「絶対不可」であるが、ロボットが人間から「発射」命令(あるいは思考)を待つ間にそこまで慎重な態度を取らない敵勢力が先に攻撃するかもしれない。陸軍には検討すべき課題が山積しているが、国家の検討課題でもある。■