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2025年12月10日水曜日

主張 NATOはロシアとのドローン・ミサイル戦争への準備の不備を補うべきである(National Security Journal)

 

― これはNATOだけの課題ではありません。日本も正面装備だけでなく砲弾備蓄や遅れている対ドローン戦術を加速度的に充実していく必要があります

要点と概要 – NATO は、スピード、ソフトウェア、大量生産を前提としたロシアの戦争に直面している。それは、群れをなすドローン、容赦ないミサイル、そして急速に進化する電子戦だ。

-同盟国は支出を増やし砲弾・迎撃ミサイルの生産を拡大しているが、平時の調達リズムが依然として規模とペースを制約している

- NATOが競争力を維持するには、複数年調達の確定、低コスト射撃兵器と非殺傷効果の優先、修理ネットワークとコード更新を戦闘力として扱うことが必須となる。

- 弾薬・精密部品・ソフトウェアにおける産業基盤の持続力、前方修理拠点、データ融合型「ドローン壁」が決定的である。

-抑止力は、手頃な効果を迅速に集中させることに依存する——ソフトウェアサイクルの短縮、弾薬庫の充実、強靭な兵站、そして精巧な単発兵器よりも多層防御。

NATO対ロシアのドローン戦争:量が勝つ

ロシアのウクライナ侵攻は速度と規模を武器とした戦争だ:数百機の低コストドローン、数十発の巡航・弾道ミサイル、四半期ごとに戦術が変異する電子戦(EW)。NATOが備えるべきは、精巧なプラットフォームによる優雅でゆったりした作戦ではなく、ドローンとミサイルが交錯する戦場だ。ここでは教義よりソフトウェアが速く進化し、弾薬の蓄積量が生存を左右する。

戦時需要と技術進歩に歩調を合わせる

同盟はこのペース、この技術構成に備えているだろうか?部分的には。大半の加盟国はようやく本格的な支出水準に達し、大砲の生産量は大西洋の両岸で増加中だし、対ドローン・電子戦ツールの導入パイプラインは短縮されている。しかし核心的問題は残る:ロシアは量産に集中させる一方、NATOは平時ブロックのように買い続けようとしている。

同盟が複数年契約を締結し、低コストの射撃手段やソフトキル効果へコスト交換曲線をシフトさせ、修理ネットワークやコード更新を戦闘力として位置付けなければ、追いつくのは困難だ。資金を量産へ、量産を戦速へ転換する窓は開いているが、長くは続かない。

改善点から始めよう。長年の呼びかけを経て、防衛費の2%目標は今や大半の同盟国にとって実質的に下限となった。32カ国中23カ国が2024年にこれを達成し、東部戦線の数カ国は大きく上回っている。資金自体が勝利をもたらすわけではないが、訓練された要員、豊富な弾薬備蓄、現実の戦場でも機能する兵站を支える前提条件である。また政治的決意を示すものでもある:大半の同盟国が参加費を負担する時、抑止力は米国の慈善ではなく集団的意志として機能する。

資金は戦力増強に直結している。米国は155ミリ砲弾の装填・組立・梱包ラインを増設し、暫定目標の達成遅れやフル生産体制の課題はあるものの、月間10万発生産を目指している。欧州は弾薬増産計画を支援し、2025年末までに年間約200万発の生産能力向上を目標としている。主要請負業者はシフトを増やし、複数年契約を締結し、国境近くに新工場を建設中だ。これは宣伝用のパフォーマンスではない。溶接トーチの火花と火薬運搬車が門をくぐる現実である。

戦争の構成要素

しかし砲兵戦は戦闘の一部に過ぎない。ウクライナ情勢が示すように、ミサイルとドローンが戦況のペースを決定し、被害の規模を拡大している。独立した集計によれば、ロシアの長距離ミサイル生産量は2025年半ばまでに四半期あたり数百発に達する見込みだ。ウクライナ情報機関は、モスクワが現在月産2,700機ものシャヘド攻撃ドローンを生産可能と推定している。正確な数字が上下しても、論理は不変だ:防空網を飽和させ、困難な選択を強要し、高価な迎撃ミサイルを補充速度を上回るペースで消耗させる。

西側諸国における迎撃機、センサー、電子戦キットの生産は増加傾向にあるが、平時の契約リズムや部品供給のボトルネックに縛られており、数か月が数年にも感じられる状況だ。NATOがバルト諸国やポーランドのインフラへの持続的攻撃を耐え抜きつつ前線地上部隊を保護しなければならない場合、弾薬備蓄量は数か月ではなく数日で制約要因となる。

同盟の優位性は品質にある。同盟国の戦闘機、レーダー、指揮統制ネットワークは、消耗戦で依然としてロシアを凌駕している。ただしこの優位性が意味を持つのは、電波が妨害され空がドローンで埋め尽くされた状況でも、我々のシステムが機能し続ける場合に限られる。

この点において、NATOは技術調達・配備の方法を変革しつつある。派手な「イノベーション」デモに代わって、有望な民間スタートアップを軍事試験に引き込むパイプラインを構築し、対ドローン防御システム、GPS妨害時の代替航法装置、自律型情報収集/監視装備といった実用的なツールを日常作戦へ導入している。2025年半ばに合意される予定の迅速化プロセスは、「デモでは機能した」と「実戦部隊で機能する」との間のギャップを縮めることを目指している。

東部戦線沿いの各国政府は、自国の空域が実戦実験場化しないよう、多層的な「ドローン壁」構想——まず検知、次に迎撃——を構築中だ。初期段階では高価な撃墜システムより、検知ネットワークとデータ融合に重点が置かれている。この直感は正しい:より多く感知し、より速く融合し、より安価に撃墜せよ。ただし導入は数か月ではなく数年かけて段階的に進み、成功はソフトウェアやセンサーの進化速度に追随できる調達規則にかかっている。

産業戦争機械

産業の持続力が要となる。三つの重なり合う分野を考えよう:砲弾・推進剤・爆発物向けの重工業、シーカー・誘導装置・迎撃機向けの精密工業、自律性・電子戦・迅速な更新向けのソフトウェア産業である。

NATOにはこれら三つが同時に、大規模に必要だ。そのためには、冷戦後に萎縮したサプライチェーンの再構築、半導体・光学・電池メーカーの防衛優先レーンへの組み込み、制裁網をすり抜ける重要サブコンポーネントの友好国調達が必要だ。さらに、単なる製品ではなく学習曲線を購入する契約を締結する必要がある。企業が機械と人材に投資できる複数年契約と、ソフトウェア・ペイロード・電子戦戦術を戦時スピードで更新可能なモジュラーアップグレードを組み合わせるのだ。さもなければ、同盟は過去の課題での精緻な解決策で買い続ける一方、敵側は「十分機能する」製品を大量に供給し続けることになる。

製造から兵站へ

兵站にも同様の実用主義的アプローチが必要だ。欧州と北米が重装備を戦場に輸送する速度が、ロシアによる消耗速度を下回れば、支出が増加しても戦闘力は低下する。この課題への対応は、港湾・鉄道車両・橋梁だけでなく、修理——レーダー、発射装置、ドローン、妨害装置を絶え間ない電子的・物理的圧力下で稼働させ続ける地味な作業——も含まれる。

ウクライナは、秩序ある供給網が崩壊しても分散型修理ネットワークがあれば戦闘力を維持できることを実証した。NATOはこの教訓を、前方修理拠点、コンテナ化された電力・通信システム、そして回路基板や真空管など重要部品の大量備蓄(弾薬と同様に扱われ、後回しにされないもの)によって確固たるものとするべきだ。

戦闘におけるペース維持

同盟はロシアとのドローン・ミサイル戦争を戦うのに十分な戦力を本当に増強できるだろうか?

2022年初頭と比較すれば、答えはイエスだ。現在のNATOは資金基盤が強化され、慢心が減退し、大量生産能力の再習得を進めている。ペースの問題は依然残る。ロシアは指揮統制型管理——生産量目標、供給網の再編、量産のための設計上の妥協——による戦時経済を構築した。NATOは自由民主主義のツール——規則に縛られた契約、エネルギー拡張への環境制約、命令で急増させられない労働力——で戦う。

ロシアに勝つため民主主義国家はロシアの真似をしてはならない。しかし、アプローチの調整は可能だ:同盟国間で複数年にわたる調達を確定させ、需要を統合して供給業者の投資を安定させ、ソフトウェアと電子戦(EW)の開発サイクルを6年から6ヶ月に短縮する。

戦闘に先立つ教訓

最後の教訓は明白だがしばしば無視される:任務を遂行できる最も安価な攻撃手段が通常は勝利する。数万ドルの低コスト巡航兵器が数百万ドルのレーダーを無力化すれば勝利だ。高価な迎撃機が安価なドローンを撃墜しても勝利とは言えない。コスト対効果曲線を曲げよ。プログラム可能な空中爆発弾を搭載した砲兵を配備せよ。安価なドローン対策として、妨害・偽装・眩惑装置といったソフトキル手段を拡充せよ。消耗可能な偵察ドローンを大量購入し、高価な迎撃機は重大な脅威にのみ温存せよ。資金を弾薬のように扱うのだ。

今世紀の抑止力は、奇跡の兵器や重大な声明文で決まるのではない。NATOが基準を損なわずに兵力と弾薬を拡大できるか、脆くならずに適応できるか、浪費を増やさずに支出を増やせるかにで決まる。同盟はようやく正しい戦略——大量備蓄、分散リスク、多層的拒否、産業とコードの迅速性——を手に取ったが、実行しなければ意味がない。

工場をフル稼働させ、ソフトウェアのループを短縮し、前線に弾力性のある感知・修復システムを構築しよう。そうすれば、現在ロシアの優位性と思われるテンポは、NATO の罠に見えてくるはずだ。工場稼働率が高く、ソフトウェアのループが短く、修復チームがすでに活動している側が大量生産すれば、失敗と時間が決定的な要素となる。■


NATO Isn’t Ready for a Drone-Missile War With Russia

By

Andrew Latham

https://nationalsecurityjournal.org/nato-isnt-ready-for-a-drone-missile-war-with-russia/

著者について:アンドルー・レイサム博士

アンドルー・レイサムは、平和外交研究所のシニア・ワシントン・フェロー、ディフェンス・プライオリティの非居住フェロー、ミネソタ州セントポールにあるマカレスター大学の国際関係学および政治理論の教授を務めている。X: @aakatham で彼の投稿をフォローすることができます。彼は、ナショナル・セキュリティ・ジャーナルに毎日コラムを寄稿している。

2024年11月25日月曜日

ネット、妨害電波、「サイバーメス」で国防総省が国土防衛用対ドローン対抗技術を評価中(Breaking Defense)


fortem net captureフォートレスのDroneHunterが地面に浮かび上がり、捕獲したsUASが下の網にぶら下がっている。(マイケル・マロー/Breaking Defense

「無人航空機は、軍事施設やその他の重要なインフラにとって、安全とセキュリティ上のリスクとなる」、(米北部方面軍司令官グレゴリー・ギロット大将)

コロラド州フォートカーソンにて

百ヤード離れた空中をホバリングする小型クアッドコプター型ドローンは肉眼ではほとんど見えないが、小さいからと言って地上作戦に対する脅威の度合いが低くなるわけではない。

 センサーが感知し、防衛要員が自らのドローン(こちらは網を装備)を派遣した。数分後、コロラド上空で、味方のドローンが侵入者を捕獲し、パラシュートを開き、両機が無事に地面に降り立った。

 今回は、実際の脅威ではなく、デモンストレーションだ。これは、米軍北部司令部(NORTHCOM)が、ウクライナや中東の戦場だけでなく、本国にある米軍基地周辺にも存在感を増している小型無人航空機(sUAS)への対策を模索するために実施している一連のデモンストレーションの一部。ペンタゴンは、軍事施設への侵入が疑われる無人機をここ数年で数百件記録しており、その多くは趣味で飛ばしている人によるものと考えられている。

 10月に2週間にわたって実施された「ファルコン・ピーク」演習では、網は、UASを停止させるための非運動性および低運動性の戦術のひとつに過ぎない。この陸軍基地では、軍当局が民間人の移動を保護する規制によって選択肢が限られていることを強調するシナリオにおいて、防衛産業企業がドローンを撃墜する装備を持ち込んだ。

 「あらゆる兆候から見て、無人機は軍事施設やその他の重要なインフラにとって、当面の間は安全とセキュリティのリスクをもたらすでしょう。これらのリスクを軽減するには、国土における無人機の潜在的な脅威を検知、追跡、対処する能力、調整、法的権限をさらに発展させるために、連邦政府の全省庁および機関、州、地域、部族、領土コミュニティ、議会が一体となって取り組む必要があります」と、NORTHCOMの最高司令官グレゴリー・ギヨット大将は述べた。

 NORTHCOMの配資料によると、業界からファルコン・ピークに参加した代表企業は、LeidosTeledyne FLIRTrakka SystemsD-Fend solutionsHGH USAFortem TechnologiesICRがあがっている。また、米国防総省(DoD)が実戦配備したシステムも持ち込まれた。NORTHCOMの広報担当によると、この演習に参加した「すべての関係者」は、業界であれ米国防総省であれ、「sUASを検知、追跡、識別しなければならなかった」という。ドローンの脅威を軽減または阻止する追加能力を持っていたのは、参加者の「一部」だけだった。

 シャイアンマウンテンの麓近く、フォートカーソンのアゴニーヒルと呼ばれる地域にある道路沿いに、各ベンダーが自社システムを設置し、ファルコンピークの期間中、デモを行った。実際の試験では、対無人機システムが基地周囲を模したエリアに設置され、「レッド」チームが操縦する敵対システムを追跡し、可能な場合は排除する任務が課せられた。

「何かを撃つ前に、それを見る必要がある」

無人機侵入への対抗策として、まず必要なのは、無人機の侵入を認識することであり、そのためには、小型無人機を検知できる最先端のセンサー技術が必要となる。

 「中・大型無人機の検知・追跡能力には自信があります」と、カーソン基地訪問に先立って行われた記者団との座談会でギヨット大将は語りった。「今回のデモの目的は、小型UASの探知・追跡能力を向上させることです」と彼は付け加えた。

 ファルコン・ピークのために、テルダインFLIRはワシントンで開催されたAUSAエキスポでデビューしたばかりのCerberus XLシステムを持ちこんだ。同社プレスリリースによると、Cerberus XLは、レーダー、電子光学/赤外線、無線周波数(RF)センサーを融合し、無人機を検出・追跡するとある。

 そのデータは、無人機を撃墜する各種サードパーティ製エフェクターに送られ、無人機を撃墜する。別のデモンストレーションでは、無人機が使用するデータリンクを妨害し、GPSへのアクセスを拒否する妨害電波に接続する、と米太平洋軍の配布資料には記載されている。(ただし本誌は、その動作を確認していない。) 

 Teledyne FLIRの米空軍プログラム担当ディレクターであるスティーブ・ペドロッティは、ファルコン・ピークの会場で取材に応じ、このイベントは素晴らしい機会だったとしながらも、政府が要件を明確化することを期待していると述べた。

 ペドロッティは、「無人機と対無人機技術は急速に変化しており、このサイクルはまだ初期段階にある」と述べた。「そのため、要件を明確化することが役立ちます」。

 ファルコン・ピークは、業界にとって自社の技術が十分通用するかどうかを確かめる機会であるだけでなく、既存の国防総省システムを改善するチャンスでもあった。 NORTHCOMの配布資料によると、小型無人機防御システム(SUADS)と思われるシステムも参加しており、配布資料には、電子光学/赤外線センサーを使用して無人機を感知すると記載されている。

 「何かを撃つ前に、それを見つけなければなりません」と、NORTHCOMの小型無人航空機対策副テストディレクターであるジェイソン・メイズは記者団に語った。

 「だからこそ、それらのシステムがこれまで見たことのないようなプロファイルを提示し、検知の観点からそれらのシステムを打ち負かすことができるかどうかを確認したいのです。そうすれば、軍は、ここまでは本当に良くやっているが、まだそこまでには至っていないと理解するでしょう」と彼は続けた。「つまり、その分野が宿題になるのです」。



無人機を撃墜する

無人機が発見された場合、それを撃墜する方法は数多くある。空から撃ち落とすという選択肢は、現在の政策では米国内での使用はほとんど禁止されている。

 非運動面では、サイバーおよび電子戦がある。ドローンをハックして無効化するか乗っ取るか、あるいは通信やナビゲーション信号を妨害または偽装して、作戦の最中に「喪失」させる。(ナビゲーションの混乱などの戦術は、民間人の移動に混乱が生じれば一般市民に危険が及ぶ可能性があるため、ファルコン・ピークでは連邦航空局と緊密に調整する必要があった。) 

 ファルコン・ピークで説明された例として、ICRの「システム・オブ・システムズ」と呼ばれるTMXと、同社が開発した特定のサイバーツール「Bullet」がある。

 同社のUAS対策部門のエグゼクティブ・ディレクターであるマイク・パウエルによると、Bulletは「サイバーメスRFシステム」のように動作し、敵対的なデバイスのダウンリンクを悪用して、それを乗っ取るというものだ。

 「痕跡は残りません。目に見えることはありません。1機ずつドローンを狙う非常に小さな信号です」と彼は述べた。「秒単位でドローンを操作できます。ですから30秒もあれば、このシステムで小型のドローン群を制御し、指定エリアに着陸させたり、離陸地点に戻したり、ローターを停止させそのまま地上に落下させることができます」 (Bulletの技術は、本誌取材時にはデモされていない。)

 それでも、パウェル氏は、進化し続ける無人機技術を踏まえた上で、Bulletの戦術に課題があることを認めている。例えば、ウクライナでは激しい信号干渉が戦況を左右しており、双方の無人機が標的に到達するのに苦労することがよくある。そして今、より新しいシステムが増加しており、GPSではなく機体に搭載された地図に従って標的を見つける無人機のように、干渉に対する耐性を持つものもある。

 そのアプローチは、電子による無人機の乗っ取りを不可能にするわけではないにしても、より困難にする。特に、無人機は検知可能な信号を発信しないため、優れたレーダーが必要だとパウェルは強調した。また、無人機を撃墜するには別の手段が必要となる。

 「RFシグネチャ(無線周波数特性)が存在しない。侵入できる対象がない」とパウェルは述べた。「それが最も難しい問題です」 。

 本誌はファルコン・ピークのデモで電子戦やサイバー技術を目撃することはできず、NORTHCOMの広報担当者は、その戦術はイベント中に使用されたものの、「具体的な数、種類、システムは機密事項だ」と述べた。

 低運動領域では、冒頭で言及したネットを装備したFortem TechnologiesのDroneHunterがある。本誌含むメディアが目撃した同システムのデモでは、地域にいる他の人々への危険を最小限に抑えながら、sUASの脅威を排除する、非侵襲的で二次被害の少ない方法を成功裏に実演したように見えた。

 同社のソリューションエンジニアリング担当上級副社長であるスペンサー・プロウスは、DroneHunterは他のシステムと統合することも、単独で動作することも可能であり、約5キログラムの牽引能力を誇ると説明した。迎撃した機体が小型であれば、DroneHunterは捕獲した標的を基地まで引きずって戻すこともできる。また、本誌が目撃したように、標的が大きすぎる場合にはパラシュートでそのまま地上に降ろすことも可能だ。

 LeidosのAirShieldもデモの一部を担当し、同軸無人誘導自律回転翼機(CUGAR)と呼ばれる紡錘形の無人機迎撃機を披露した。これは、ジェンダー・リベラル・パーティーで見られるような紙テープを無人機に投げつけて無力化するよう設計されている。しかし、デモでは、紙テープは一度も発射されなかった。司会を努めた同社のメイズは、標的の無人機はメンテナンス中であると説明した。敵の装備が故障することもあるのだ。 

 ネット捕捉やストリーマーのような能力は、ホビー用システムと同様に、sUASを撃墜する可能性を秘めているとメイズは述べた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻で注目されているFPV(First Person View)システムのような高速で機敏なドローンには、この技術では課題がある。

 安定したプロファイルを持つ低速のホビー用ドローンには非常に優れています」とメイズは、低速のホビー用ドローンに対処する能力について述べた。「FPVドローンなど高速の無人機、時速150~200マイルのレース用ドローン、あるいは非常に機敏に動くように装備されたドローンになると、ドローンの機敏さに、システム自体がついていくことができません」。


Leidos CUGAR

Leidos社のCUGARエフェクターはファルコン・ピークの参加者の頭上でホバリングする。(マイケル・マロー/Breaking Defense)


対応がいつも求められる問題

軍は、レーザーやマイクロ波などの兵器を導入する可能性も含め、適切なガードレールを設置することで無人機排除の選択肢を拡大できるか検討している。これは、米国内での小型無人機への対処というニーズにより適切に対応できる政策変更を推進するものであり、政府間での重要な取り組みであり、本誌も今後追うテーマとなる。

 しかし、結局のところ、新しいテクノロジーの複雑さ以外に、UAS対策の問題は、広くは文化的な問題となる。例えば、海兵隊は、すべての分隊にUASに対する防御能力を装備する計画を宣言している。そして、新戦術やテクノロジーには、教義の変更が必要となる。また、任務実行部隊による支持も必要だ。

 「ドクトリンや戦術、技術、手順を変えるには時間がかかります。文化や風土を変えるにも時間がかかります」と、国防総省の小型無人機統合対策室の上級下士官アドバイザーであるデメトリウス・ジョンソン曹長は、新しい対無人機文化のタイムラインについて尋ねられた際に記者団に語った。

 「これは比較的新しい脅威です。そして、その脅威は進化し続けています。脅威が進化するたびに、私たちは白紙に戻って、原則や戦術を変えなければなりません」と彼は述べた。「これは継続的な取り組みであり、終わりが見えることはないでしょう」。 ■


Nets, jamming and ‘cyber scalpels’: Pentagon weighs homeland counter-drone tech in mountain tests

By   Michael Marrow

on November 20, 2024 at 1:52 PM

https://breakingdefense.com/2024/11/nets-jamming-and-cyber-scalpels-pentagon-weighs-homeland-counter-drone-tech-in-mountain-tests/