スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

ラベル(#英国)が付いた投稿を表示しています

F-35機数よりパイロット数が少ない---英国の苦しい国防の実態。さらにインフレが悪影響を与える。

  Credit: U.S. Air Force   英 国のF-35共用戦闘機の機数がパイロット数を上回っていると、ベン・ウォレス国防長官が述べ、軍のパイロット訓練の問題に光を当てている。   11月1日、ウォレスは上院の国際関係・防衛委員会に証拠を提出し、英軍のF-35部隊は、パイロット訓練教官が不足している一方で、教官を生み出すパイロット母体も十分にいない「キャッチ22」状態だと述べた。 「パイロット数よりF-35の機数の方が多い」とウォレスは述べ、パイロット供給のパイプラインは「私が望むよう姿でない」と付け加えた。 英国は ロッキード・マーチン F-35Bを26機保有しており、23機が英国に、3機は試験・評価作業で米国に駐機している。さらに22機が発注中である。 10月の国会議員からの質問への回答では、回転翼機パイロットの訓練に7年近く、高速ジェット機のパイロットに5年かかっていることが明らかにされた。 ここまで長いスケジュールは、新たに資格を得たパイロットが作戦転換ユニットで第一線機の訓練を開始するまでの長い待ち時間でさらに悪化し、F-35パイロットは12カ月も待たされている。 ウォレスは、F-35パイロットの不足が空母運用の再開に影響しており、F-35飛行隊の海上運用が制限される可能性があると付け加えた。 英国は依然として、2023年第2四半期にF-35の第2前線部隊として809海軍航空隊を編成する計画だが、財政難のため第1トランクの納入スケジュールは遅々としている。 9月、国防相は、高速ジェット機訓練に使用されるホークT2機でロールス・ロイス/サフランのアドゥールエンジンに問題があるため、高速ジェット機訓練が最大3年遅れる可能性があることを明らかにした。   閣僚は、RAFは最前線の作戦行動に対応でき、資格を持つ航空機乗務員が十分いると主張しているが、保有時間と訓練時間を短縮するため、他の訓練提供者を検討する措置をとっているという。  検討中の選択肢には、米国で行われる欧州・北大西洋合同ジェット機パイロット訓練プログラムに訓練生を派遣することや、訓練スループットを高めるため英国とカタールの共同訓練ユニットの使用を前倒しすることも含まれる。  また、Operational Conversion Unitのシラバスを短縮し、シンセティック・トレーニングを活

英国の弱み 世界第5位の経済でも大国にふさわしい軍事力の維持は不可能になってきた。さらにブレグジットで悪影響が生まれている。

  英国の弱み  ここでも経済の実態が国防力整備を厳しくしています。   英 国は大国の地位を維持したいが、ない袖は振れない。   「英国」と「国防予算」が合わさると気が滅入る響きになる。英国軍は縮小の一途で、新型装備導入計画は全く非現実的で、逆に英国の軍事力に悪影響が生まれると、政府会計検査部門が指摘している。   現在実施中の装備計画10年計画は1,810億ポンド(2,345億ドル)の予算だが、今後10年の防衛ニーズに全く足りないと英政府の国家監査局(NAO)が発表した報告書にある。   NAO試算では装備計画で29億ポンド(38億ドル)が不足とある。最悪の場合、130億ポンド(171億ドル)足りなくなる。     NAOは予算不足の事例を取り上げ、軍事力への悪影響を測った。「例えば、RFAアーガスが医療訓練、ヘリコプター訓練の場となっているが、2024年に退役する予定」と判明した。「海軍は掃海機能も2030年代初頭に喪失する。海軍はこのため2019-2029年整備計画で対応が必要と把握していたにもかかわらず、後継装備の調達予算は計画に含まれていない」   掃海で新技術をさぐる研究費はあるのだが、他の問題は野放しで、早期警戒機では規模が十分でない。「英空軍はE-3セントリー退役予定を2022年12月に前倒ししたが、これでは後継機の就役まで9ヶ月が空白となる。2020年1月からセントリーは6機から3機になっており、空軍はこれで19億ポンド(25億ドル)の予算節約になるとしたが、戦力へ影響が生まれる中で、実施の手順は未決定のままだ」   国防省は国防力の必要規模を十分把握しておらず、英空軍向けF-35ステルス戦闘機調達や英海軍のクイーンエリザベス級空母の試算ができていない。「2015年度SDSR(戦略国防安全保障検討)ではF-35は138機調達する意向とあったが、2019-2029年整備計画ではそのうち48機分の試算しか言及がない。各機は現在生産中だ」とNAOは指摘した。「HMSクイーンエリザベスが2021年に運用開始してから、F-35の必要機数を決めるとある」   「国防省は戦闘航空機材調達事業の一環でこうした決定を下す。また空母打撃群で航空戦力を最大活用する方法でも決定を迫られる。後者に関し国防省はHMSクイーンエリザベスが2020年に海上公試を完了すれば支援経

ブレグジットで英国の国防体制への影響はこうなる

Getting Brexit Done Brings Defense Challenges ブレグジットは英国の国防にこんな影響を伴う Tony Osborne December 17, 2019 https://aviationweek.com/defense-space/getting-brexit-done-brings-defense-challenges ボ リス・ジョンソン首相の地すべり的大勝におわった12月12日の総選挙結果で1月31日のブレグジットは確実になった。 だが「ブレグジットを実施に移せ」と保守党が今回の選挙運動に用いた熱狂が消えると英国は限りなく弱体な位置にあることを自覚するだろう。 選挙に勝ったジョンソンは反対派を恐れずにブレグジットを推進できる。だが勝者は他にもいる。 スコットランド国民党はスコットランドの定足59議席中48席を確保した。同党の公約はスコットランド分離独立だ。成功すれば英国の国防体制に大きな影響が生まれる。スコットランドには戦略上重要な航空基地がある他、もっと大事なトライデント級原子力潜水艦部隊の基地がある。ジョンソンが住民投票を少なくとも短期間のうちに認めることはないだろうが、政権がスコットランド国民党に苦しめられそうだ。また住民投票を認めないと非民主的と非難されよう。 EU加盟国アイルランド共和国と唯一国境を分かち合うのが北アイルランドのみとなれば複雑な様相が生まれる。ブレグジットでアイルランド海に境界線が生まれる。このことも安全保障で複雑な事情を作るが、政治影響力を失いつつある労働界から暴力に訴える傾向が増えそうだ。国民党派からはアイルランド再統一の動きがまたでそうだ。ジブラルタルとディエゴガルシアの将来ははっきりしない。 EU脱退により英国治安当局はEUデータベースに接続できなくなり、犯罪者、組織犯罪、テロリスト情報が得られくなる。またロシアが英国の民主制度に影響力を行使しているとの疑いが強まっている。選挙期間中は英政治へのロシアの侵入を伝える情報機関報告書の公開を差し止めていた。 また財務面でも影響がある。ブレグジットを決めた国民投票は2016年だった英国のGDPはその後停滞傾向を示し始め、経済成果と投資活動が減速している。国家負債が上昇している。英議会の

今年は日英が戦略的同盟関係を模索する年になるか

日本国民の関心は周囲の近海に偏りがちで思考がグローバルにひろがりにくいのはなぜでしょうか。その点で安倍外交が国民の先を走れば走るほど国民に違和感が残りそうです。そもそもホルムズ海峡の危機は日本にとって「周辺事態」ではないとどうして言えるのでしょうか。国境線しか頭にない方には利益線は受け入れられないでしょう。日英接近はその意味で思考を試す機会になりそうです。英国原稿なのでdefenceになっています。思えば英語もこれまで米語中心ですが、そろそろ多様性に目を開いていいのではないでしょうか。 Is increased UK-Japan defence cooperation leading to a new strategic alliance? 日英の防衛協力強化は新たな戦略同盟関係につながるか Rob Clark January 30, 2019 https://ukdefencejournal.org.uk/is-increased-uk-japan-defence-cooperation-leading-to-new-strategic-alliance/ At a time of reduced certainty surrounding the security of both the UK and in particular Japan, these two island states are looking at increased military cooperation in order to maximise their respective capabilities. 安全保障環境で不確実性が増す中で共に島しょ国家の両国が防衛面の協力関係を強化して能力を最大限に引き出そうとしている。 今 年は日英両国にとっては安全保障防衛関係で良い結果を生むべく課題にとりくむ年になる。 安倍晋三首相の1月訪英で両国関係が改めて注目された。これまでの一年半では2+2含む大臣級会合に加えメイ首相の2017年訪日もあったが今回の首脳会談で防衛関係のさらなる強化を目指した。特にサイバー、対テロ、英海軍と海上自衛隊の交流強化をめざし海軍間の関係強化を強調したのには理由がある。 東京へ寄港した HMSアルビオン 安倍訪英中に

英軍がシンガポールに基地を作るとどうなるのか。

Fortress Singapore? Why a British Base Won’t Deter China  シンガポールに英軍基地ができても中国の動きを止められない A giant waste of time? 壮大なる時間の空費になるのか by Michael Peck January 19, 2019   Topic: Security   Region: Asia   Blog Brand: The Buzz   Tags: Singapore China United Kingdom Royal Navy South China Sea https://nationalinterest.org/blog/buzz/fortress-singapore-why-british-base-won%E2%80%99t-deter-china-41987 英 国が太平洋で基地構築すると聞いて中国は心穏やかでないはずだ。 だが英国がシンガポールに基地を設ければ全部解決できると見ているのに驚かされる。 英国防相ギャビン・ウィリアムソンはサンデーテレグラム紙で英国がカリブ海、太平洋で基地を設営すると述べ驚かせた。太平洋ではシンガポールとブルネイの元英植民地二箇所の名前が出ている。 「基地には保守管理要員、補給艦、補給施設を置く」とテレグラフは解説している。英国はキプロス、ジブラルタル、フォークランド諸島、ディエゴ・ガルシアに恒久軍事基地を保有している。 ウィリアムソン国防相によればこれは英国が1968年以来堅持してきたペルシア湾、極東から撤退した「スエズ以東」政策の終焉を意味するという。 「数十年もあまりにも長く我が国の視点は欧州連合の議論に終始してきました」とウィリアムソンは語る。「今こそ真の意味のグローバル大国に復帰すべきです。そのため軍が大きな役割を果たします」 予想通り中国が構想に異論を唱えてきた。「軍事力の誇示は中国を狙ったもので対外勢力として南シナ海で関与を強めようとしている」とのコメントをアジア太平洋研究院のXu Liping教授がサウスチャイナ・モーニング・ポストに寄せている。 米国政府が背後にいると非難する向きが中国にある。ひとりは「地域内の微妙なバランスに大きな負

今後は英空軍。機材稼働率の低下は予算だけの問題なのだろうか

英国でも国防体制の維持は大変なようです。機材価格が上昇していますが国防予算が縮小されると整備や保守管理の費目が後回しにされるのでしょうか。大型装備の導入の話題が続く日本とて笑ってばかりいられません。軍事装備の維持管理は民生部門よりも負担が大きい分だけ予算部門や政治指導層に正しい理解をお願いしたいところですね。 RIP RAF?: One-Third of Britain’s Air Force Can’t Fly  英空軍機材の三分の一が飛行できない状態に by Michael Peck January 14, 2019   Topic: Security   Region: Europe   Blog Brand: The Buzz   Tags: RAF NATO Military Technology Air Force Great Britian https://nationalinterest.org/blog/buzz/rip-raf-one-third-britain%E2%80%99s-air-force-can%E2%80%99t-fly-41527 英 空軍(RAF)で機材三分の一が飛行できない状態にあるとの報道が出ている。 デイリー・ミラー紙は「情報公開法で空軍保有の434機中142機が飛行不能と判明」と伝えた。 一部機材はモスボール状態にされ、大修理中の機材もある。機種も多様で英空軍の主力ユーロファイター・タイフーンも例外ではない。 「RAFのタイフーン155機で55機が『第一線機材』から外れている」と同紙は伝えている。本来ならすぐ稼働すべき第一線機材に「短期間使用不能機」が含まれている。 タイフーン以外でも「20機あるA400Mアトラス輸送機で稼働可能は5機、しかも引き渡しは2014年開始したばかり」とも伝えている。 ジェット練習機は半数超が地上に残る。「81機のホークT1ジェットでは44機が保存あるいは整備中」という。 レーダー警戒監視機材の稼働率が大変だ。E-3Dセントリー早期警戒統制機では6機中3機しか稼働できず、英議会では整備不良で稼働可能なのは一機のみとの指摘もあった。センチネルR1監視機では5機中3機しか飛べず、キングエア350は四機のみだ。 英軍ヘリコプターで

F-35:英国の導入規模縮小か

やはり国防力整備は経済力あってのことですね。それにしてもF-35の導入機数は各国低いままですね。高額な買い物のままで各国が躊躇しているのか、それほどの規模が必要ない=第四世代機も大事にしながらF-35を使えばいいと考えているからでしょうか。それだけにF-35はじめ運用機材の供用年数は伸びていくので、それだけ新型機が搭乗する機会が減ることになり、戦闘機の世界はこれから長い閉塞の期間を迎えるでしょう。 Britain Mulling F-35 Future Commitments 英国がF-35の導入機数を熟考中 F-35: USAF Nov 22, 2017 Tony Osborne | Aerospace Daily & Defense Report http://aviationweek.com/defense/britain-mulling-f-35-future-commitments LONDON—英国がF-35導入縮小に向かいそうだ。現在英国は国防計画を見直し中。 2015年版の戦略国防安全保障検討(SDSR)は138機のF-35導入方針を堅持していた。二年たち、国防トップの表現が微妙に変化している。 国防参謀次長マーク・ポフリー中将Lt. Gen. Mark Poffleyは国会国防委員会でF-35機数削減案に「共感を覚える」と11月21日発言し、「これが現実の状況」とも述べた。 中将は英国は「原則138機をめざした」が契約は48機のみと指摘。残る機体の調達の予算のめどがたたないという。 国会では議論がF-35の高価格に向けられている。国防省は48機運用を想定した総費用を積算し、2025年まで91億ポンド(121億ドル)、2048年までで130億ポンドと報告した。 91億ポンドにはシステム開発実証事業への英国分担分と48機の機体価格、支援インフラ費用を含む。 国防省報道官は「138機購入に変更はない」と述べている。 今年末に英国向け14号機が納入され、2018年は3機が新たに加わる。英国は17機を3か年一括購入で、13機を2か年一括購入でそれぞれロッキード・マーティンの低率初期生産(LRIP)のバッチ15および16から導入する予定だ。 F-35導入機数を巡り不確