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どちらが真実を語っているのか---9月8日USSベンフォールドによるFONOPをめぐる米中両国の主張の違い.判断は読者にお任せします。

  事実はひとつでも価値観のちがい、主義主張の違いから報道内容が大きく異なることがあります。このたび航行の自由作戦を展開した米駆逐艦について対照的な報道記事が出ましたのでご紹介します。 2021年9月8日USSベンフォールド(DDG-65) が南シナ海で航行の自由作戦を実施した。 US Navy Photo   まず、USNI Newsはこう伝えています。     米 海軍は航行の自由作戦(FONOP)を実施した米艦艇を南シナ海から追い出したとの中国の主張を否定した。   第七艦隊はUSSベンフォールド(DDG-65)がスプラトリー諸島付近を9月8日航行したと発表。人民解放軍(PLA)はFONOPを非難し、米艦を追尾したのち排除したと国営メディアCGTNが伝えている。   PLA南方戦域司令部報道官Tian Junilは「高度警戒態勢を維持している」とCGTNが伝えている。   米海軍は中国の発表内容を否定し、FONOPを国際法の枠内で実施したと主張している。   「PRCが今回のミッションについて発表した内容は虚偽だ。USSベンフォールドはFONOPを国際法に準拠して実施した。この実施は航行の自由と海域の合法的な活用を進めるに対するわが国の姿勢を反映したものだ。米国は今後も飛行、航行、運用を国際法の許す範囲で継続する。USSベンフォールドはその模範を示した。PRCの主張内容のいかんにかかわらずわが方はこのまま進む」(第七艦隊発表)   「PLA発表はPRCによる米海上活動の合法性を曲解しながら、南シナ海域の東南アジア各国に波紋を拡げる過剰かつ根拠のない領有主張の最新例に過ぎない。米国が国際法に則り、自由で開かれたインド太平洋の展望を堅持するのと対照的なのがPRCの行動だ。大小を問わずあらゆる国家の主権を尊重すべきであり、力の脅しに屈せず、経済成長を各国合意の国際ルールや規範の元で追及することが可能としなければならない」 . ベンフォールドは7月にもパラセル諸島付近でFONOPを実施し、この際も中国は同艦を南シナ海で追尾し追いだしたと発表しており、やはり米海軍はこの主張を一蹴していた。■   Destroyer Performs FONOP, US Navy Disputes Chinese Claim That It Ousted Warship - USNI N

どちらが嘘をついている?7月12日の米海軍FONOP実行に関し、米中が平行線の主張を展開。

  今回のFONOPは中国の主張を否定した国際仲裁判定5周年を意識して実行されたのでしょう。実は中国も米国も原則論が大好きな点で共通性があり、こうした事例の後ではお互いに主張は平行線となりやすいのです。そもそも米国はじめ各国は中国の領有主張を認めていないので領海侵入にはあたらないという理屈でしょう。しかし、SCS問題の解決のためには中国の既成事実をことごとく崩していくしか解決はないと思います。読者の皆さんはどう思いますか。 USS Benfold (DDG-65) in the South China Sea US Navy Photo     米 海軍は南シナ海で米艦艇が中国軍により排除された事実はないと中国の主張を否定している。   南シナ海で誘導ミサイル駆逐艦隊が航行の自由作戦(FONOP)を7月12日実行した直後に海軍が声明発表した。人民解放軍はUSSベンフォールド(DDG-65)を「追い払った」と主張したとのロイター記事が出ていた。   「(PLANの)声明にある内容は事実に反する。USSベンフォールドは国際法に則りFONOPを実行し、公海上で通常の行動を続けた」と米第七艦隊は報道発表している。「今回の運用はわが国が掲げる航行の自由と海洋面の合法的な利用原則の固持の一環だ。米国は今後も国際法の許す範囲で飛行、航海、運用を続ける。USSベンフォールドはその一例にすぎない。PRCがなんと言おうがわが方の動きを止めることはできない」   中国の主張ではベンフォールドはパラセル諸島近くを航行したとある。中国、ベトナム、台湾が同諸島の領有を主張している。中国はパラセル諸島周辺に領海基本線があるとし、同諸島周囲の海域を中国領海とする。米国はこの主張に対抗し、基本線への航行を実行してきた。   「米国による合法的な海洋活動を再度曲解しながら、中国は過剰かつ正当性のない海洋権益主張を南シナ海周辺の東南アジア諸国の犠牲の上に展開している」「PRCによる行動は国際法遵守を続ける米国と対照的であり、米国は自由で開かれたインド太平洋の実現に努力している。大小を問わず各国の主権を尊重するべきであり、力の脅かしに屈することなく、経済繁栄を国際法規範に基づき追求すべきだ」   中国外務省は7月12日の報道会見でFONOPを非難した。   「中国は主権、権益、安全保障を法に従い今後も堅持

台湾海峡上空で、台湾機がPRC機を追い払う。その前に米海軍機が台湾島を南北縦断飛行していた

USN 台 湾空軍戦闘機が中国のSu-30フランカー編隊を「追い払った」。中国機が短時間ながら台湾の防空識別圏に入ったためだ。この事件は米海軍のC-40クリッパー人員輸送機が台湾西海岸上空という異例の航路を飛行した後に発生している。台湾を中国の主権が及ぶ領土とみなす北京政府から見れば反発を呼ぶのは必至のフライトだ。 台湾国防部の発表では事件は2020年6月9日に台湾党南西部で発生した。台湾の声明文では機種不明の台湾空軍戦闘機部隊が中国のフランカー編隊を迎撃し、強制排除する前に空域を去るよう警告したとある。 中国軍用機が台湾島周辺を飛行する事例がここ数年増える傾向にあるが、台湾の蔡英文総統は台湾機は中国軍用機が台湾海峡の「中間線」を超え進入した場合は「強制排除」を辞さないと発言していた。中間線が事実上の台湾とPRCの境界線となっており、後者は台湾を不可分の領土の一部とみなしている。 ROCAF 台湾空軍のF-16A/B戦闘機。台湾国防部は6月9日発生した中国のSu-30迎撃に投入された機種を明示していない。 人民解放軍は台湾南東部から先の南シナ海で新鋭空母山東も動員し大規模演習を展開しており、台湾へ無言の圧力をかけていると見る専門家も多い。北京政府からは台湾が正式に独立をめざせば、軍事力行使も辞さないとの発言が繰り返し出ている。PLA最大の陸上軍事演習地ズリヘに台湾総統府の正確な模型があり、台湾外交部など実寸大の建物も再現されている。 北京と台北の言葉の応酬は蔡総統再選で熱くなっていたが、二期目の任期開始でまた加熱してきた。蔡総統は政治面で大陸から一層距離を取ると公言。国民の支持を頼りに同総統は米トランプ政権と強い関係を維持している。前例のない規模の武器購入が成立しており、F-16C/Dのブロック70機材は一例だ。北京から見ればこれは「レッドライン」を超えることになる。 米国はPRCを中国で唯一の合法政権と認めているが、台湾との関係維持を権利として主張し、最終的解決までの間は台湾防衛を助けるとしている。そのため中台間で緊張が高まると米軍は航行の自由パトロール(FONOP)を強化し、台湾海峡を艦船、航空機に通過させ、米国の台湾支援を誇示している。 C-40Aフライトが台湾とPRCの戦闘機部

★南シナ海で米駆逐艦に危険操艦をした中国駆逐艦の意図は何だったのか

中国には国際社会の常識は通用しないようです。上層部に注目されようと中国艦艦長がスタンドプレイをしたのか、貿易問題で劣勢な中国が打開策を求め一介の艦長に無謀な挑戦を命じたのかわかりませんが、米側から開示される情報が増えれば中国は不利になるばかりでしょう 。 U.S. Navy Releases Images Of Chinese Warship's Dangerous Maneuvers Near Its Destroyer米海軍から中国艦の危険な操艦事実を示す画像が公表された The series of pictures gives a good sense of just how close the two ships came to hitting each other.一連の写真から両艦が衝突寸前だったとわかる BY JOSEPH TREVITHICK OCTOBER 2, 2018 http://www.thedrive.com/the-war-zone/23986/u-s-navy-releases-images-of-chinese-warships-dangerous-maneuvers-near-its-destroyer USN 米 海軍公表の写真数点から南シナ海で発生したアーレイ・バーク級駆逐艦USSデケイターと中国人民解放軍海軍の052C型旅洋II級駆逐艦蘭州の異常接近の様子がわかる。中国艦が危険なまで接近する操艦をしており一歩誤れば大事故になっていた。 画像をまっさきに入手したのは gCaptain で蘭州がデケイター前方に接近してから両艦が距離を取る操艦をしているのがわかる。画像は米艦搭載のMH-60Rシーホークヘリコプターのセンサータレットから、あるいは無人機インスティテュが撮影したものだろう。米海軍公式発表では事件は9月30日のことで「旅洋」級とだけあり、米艦から45ヤードまで接近したとある。 USN VIA GCAPTAIN .蘭州(右)がUSSデケイター(左)の45ヤード先を航行しているのがわかる こう書くと十分な距離があったように聞こえるが、排水量数千トンの艦の操艦は緩慢なので、安心できる距離ではない。なお、45フィートと言うとデケイターの全長の三分の一にす

★南シナ海での中国への対抗手段を日米豪印シンクタンクが検討した結果

How to Push Back Against China in the South China Sea Andrew Davies Mark Thomson March 16, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/how-push-back-against-china-the-south-china-sea-19794 ワシントンで最近毎年恒例のトラック-2「クアッドプラス」対話が開かれた。参加したシンク・タンクはオーストラリア、日本、インド、米国の四カ国で、別に招待された「プラス」国は今回はシンガポールだった。 今回の対話は重要なタイミングのもとで開催された。民主体制四ヵ国並びにその他民主主義国は一連の課題に直面している。前回からの12ヶ月でロシアがクリミア半島で地位を固め、ウクライナ東部でも「グレイゾーン」だとして紛争を巻き起こした。中国は南シナ海(SCS)で拠点を要塞化し、国際仲裁裁判所の出した結論を無視している。また多くの国で選挙に忙殺されグローバルな問題が後回しになっている。 価値観とともに政治機構も共有している各国であり、それぞれの問題は理解できる。問題は各国の力をどう調整して共通課題に対処したら良いかという点だとわかった。 今年は米国から南シナ海問題に関し緻密なペーパーがジェイムズ・クラスカ教授(米海軍大学校)から提示された。教授は中国の一方的なSCS活動に三段階で対処すべきと主張。うち二点は当方の主張と同様だ。米航行の自由作戦(FONOPS)を支援、補完し、2016年の国際仲裁裁判所の出した判決の法的根拠を強化する点だ。 まず2つの方法論を守りつつクラスカ教授は他国(残りの四カ国含む)もFONOPSを実施し国際海洋法の執行を強化すべきと主張。FONOPSで社会の関心も上がれば、作戦実施の負担は各国で共有できる。FONOPSは国際仲裁裁判所判決を尊重し法による支配の原則を強化 維持を各国が図るべきという。 SCSに関する外交活動で仲裁判決を高く掲げる必要が有ることでは異論がないがFONOPSはオーストラリア他が躊躇する選択肢だ。だがクラスカ教授の三番目の対策に一番興味を覚えた。合法的対抗策の実施だ。ここで言う対抗策とは他