ウクライナの正念場:トランプの条件を受け入れるか、戦場崩壊に直面するか?(19fortyfive) ― トランプの登場でウクライナの行方は全く変わってしまったと言ってよいでしょう。ここ数週間が注目されます
スイッチブレード・ドローン。 画像出典:会社配布資料。
2025年5月9日のロシア戦勝記念日が近づくにつれ、ウクライナとロシアの紛争は重大な岐路に直面している。
-ウクライナのクルスク攻勢は戦略転換に失敗し、ウクライナ軍は深刻な後退を余儀なくされている
-トランプ政権下でアメリカ支援が不透明な中、ウクライナは東部の重要な領土を明け渡し、NATO加盟の野望を捨て、希少資源で負債を補填するという厳しい要求に直面している
ウクライナはロシア戦争で厳しい選択を迫られている
1945年の第二次世界大戦終結以来、5月9日(ナチスに対する赤軍の勝利の日)はロシアで最も重要な日となっている。1990年までは、11月7日(共産革命記念日)と同じく重要だった。1991年以降、ロシア人にとって重要な祝日はノヴィ・ゴッド(新年のお祝い)だけである。
2025年5月9日までの残る数週間で、2022年2月以来ウクライナで激化している戦争で劇的な変化が生まれるだろう。
これらの変化は、以下の2つの方向のいずれかに発展する可能性がある。 ウクライナがトランプ大統領が押し付けようとしている厳しい条件を受け入れるか、戦場で大敗を喫するかである。
領土での小競り合い
ウクライナのクルスク侵攻は、ロシア軍のバランスを崩し、ウクライナ領内から軍を撤退させ、一部ウクライナ人が期待していたように、ロシア軍がウクライナで占領した地域をクルスクで失った土地の代わりにウクライナに返還するという停戦協定に合意させるのを狙った「ワイルドカード」だった。
この賭けは失敗に終わった。 ロシアはウクライナから軍を撤退させなかった。北朝鮮などからの傭兵を含む追加兵力を動員し、徐々に押し戻している。
現在、ロシア軍はクルスクで失った領土のほとんどすべてを奪還し、未確認情報によれば、かなりの規模のウクライナ軍を包囲下に置いている。
ウクライナが直面する条件
トランプ大統領はウクライナに飲み込みがたい取引を持ちかけた。 ウクライナは東部領土の20%をロシアに譲渡し、希少資源の一部をアメリカへの借金返済に充て、NATO加盟を断念しなければならない。
その見返りとして、ウクライナは戦争から解放され、アメリカの支援を受けた多額の経済援助の恩恵を受ける。
トランプの申し出を断った場合にウクライナを待ち受けている状況はもっと悪い。プーチンはウクライナに決定的な勝利を収めるため全力を尽くし、来る5月9日の連休中にそれを発表するだろう。
米国からの追加軍備装備品の供給がなければ、ウクライナ軍は長く持ちこたえることはできないだろう。 ロシア軍は次のどちらか、あるいは両方の方向に動くだろう。
クルスクからウクライナ軍を追い出し終えたら(今後2週間以内と予想)、ロシア軍はハリコフ郊外から約20キロの地点に部隊を配置する。 戦前に150万人のウクライナ人が住んでいたウクライナ第2の都市を占領することは、ウクライナにとって大きな打撃となり、プーチンが5月9日を祝う良い理由となるだろう。
ロシアの第二の選択肢
あるいは、ロシア軍がオデーサに向け進軍することも考えられる。 この行動は、現在前線があるケルソンからミコライフを通り、黒海沿岸に沿ってオデッサまで200kmの陸路で行うこともできるし、軍隊を上陸させ、ピヴデンヌ(オデッサからわずか40km)付近の海岸に橋頭堡を築き、西に移動することもできる。
このような動きによって、ウクライナは黒海へのアクセスを奪われ、ロシアとモルドバが直接陸続きとなり、モルドバはウクライナの南で「ベラルーシ」と化すだろう。
アメリカの支援撤退でウクライナ軍が崩壊し始めれば、ロシアは同時に両戦線での「挟み撃ち」を試みるかもしれない。いずれにせよ、ウクライナにとって非常に厳しい結果となる。 このような状況下で、ゼレンスキー政権がトランプ大統領の取引を選ぶと予想する。
しかし、指導者が常に正しい方向を選ぶとは限らないことは、歴史が示している。 エゴ、敗者とみなされた場合の自国民からの復讐への恐れなどが介在することもある。
今回は賢明な選択がなされるよう期待したい。■
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Boaz Golanyhttps://www.19fortyfive.com/2025/03/ukraines-moment-of-truth-accept-trumps-terms-or-face-battlefield-collapse/?_gl=1*3m57tk*_ga*MTQyNzUyMDExMi4xNzQyNTA1MjM1*_up*MQ..
Boaz Golany
Lt. Colonel (res.) Boaz Golany is an Emeritus Professor at the Technion, Israel Institute of Technology where he has served as a Dean, VP for External Relations & Resource Development and Executive VP & Director General. His research interests cover diverse areas of applied operations research. He also serves as a member of the Board and as a strategic consultant to some companies and organizations.
イスラエル工科大学テクニオン校名誉教授、学長、渉外・資源開発担当副学長、副学長・事務局長を歴任。 応用オペレーションズ・リサーチの多様な分野を研究。 また、企業や組織の役員や戦略コンサルタントも務めている。
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