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2025年1月23日木曜日

フーシ派の脅威の中、イエメン沖合の島に謎の滑走路が出現(Defense News)

 AP通信が分析した衛星写真によると、イエメンの離島に建設中とみられる謎の滑走路が完成間近であることが分かった。アラブ首長国連邦(UAE)が建設にあたっていると思われる。 (Planet Labs PBC via AP)


AP通信が分析した衛星写真によると、イエメンの離島で謎の滑走路が完成間近であることが分かった。アラブ首長国連邦(UAE)が建設にあたっていると思われる。

アデン湾の入り口付近のインド洋上に浮かぶアブド・アル・クリ島 Abd al-Kuri Islandの滑走路は、同海域のパトロール作戦で重要な着陸地点となる可能性がある。イエメンのイラン支援フーシ派反政府勢力による攻撃により、紅海とアデン湾を通る商業船舶(ヨーロッパ向け貨物およびエネルギー輸送の主要ルート)の通行が半減しており、滑走路が効果を発揮する可能性がある。また、この地域ではイランから反政府勢力への武器密輸も確認されている。

滑走路は、この地域での軍事的プレゼンス拡大が長らく疑われており、サウジアラビア主導のフーシ派に対する戦争を支援してきたアラブ首長国連邦が建設した可能性が高い。

フーシ派は、ガザ地区におけるイスラエルとハマスの戦いを自分たちのキャンペーンに関連付けているが、専門家は、停戦だけでは、世界的な注目を集めているフーシ派が作戦が停止するには不十分ではないと懸念している。一方、フーシ派はイスラエル攻撃を続ける一方、紅海で活動する米海軍にも攻撃を仕掛けており、そのうちに1発が命中し、米軍兵士の命が危険にさらされる懸念が高まっている。

イエメン国内の敵対勢力による戦場での誤算、イスラエル攻撃で致命的な結果が出ること、あるいは米軍艦攻撃で致命的な結果が発生すれば、同国の相対的な平穏を簡単に打ち砕く可能性がある。そして、月曜日に就任式を迎えるドナルド・トランプ次期大統領が、大胆さを増してきた反政府勢力にどう対処するのかは依然不明なままだ。

イエメンに詳しい国際戦略研究所の上級研究員ウルフ=クリスチャン・パースは、「フーシ派は実戦で勢力を拡大している。彼らにとって戦争は好都合だ」と述べた。「ついに彼らは自分たちのスローガンを体現できるようになった。スローガンは周知の通り、『アメリカに死を、ユダヤ人に死を』だ。自分たちが宿敵との壮絶な戦いに身を置いていると捉えており、彼らの視点では、自分たちが勝利しているのだ」、

衛星画像がほぼ完成した滑走路を示す

AP通信の依頼でPlanet Labs PBCが1月7日に撮影した衛星写真には、アブド・アル・クリに建設された南北に伸びる滑走路にトラックその他の重機が写っている。滑走路は舗装されており、滑走路の北側には「18」、南側には「36」というマークが施されている。1月7日時点で、幅150フィートの1.5マイルの滑走路にはまだ一部が欠けており、欠けている950フィートの区画の整地とアスファルト敷きを行っているのが見られる。

滑走路が完成すれば、プライベートジェット機やその他の航空機が着陸できるようになるが、その長さから、最大級の旅客機や大型爆撃機は着陸できない可能性が高い。


1月7日にイエメンのアブド・アル・クリ島にある滑走路を撮影したプラネット・ラブズPBCの衛星写真。(プラネット・ラブズPBC提供、AP通信)

フーシ派の無人機やミサイルの射程距離内にあるとはいえ、イエメン本土からアブド・アル・クリ島までの距離のため、「フーシ派がピックアップトラック両に乗って、奪いに来るという脅威はない」と、リスクアドバイザリー企業Basha Reportのイエメン専門家モハメド・アル・バシャは述べた。

モントリオールに本部を置く国際民間航空機関(ICAO)は、世界中の飛行場に独自の空港コードを割り当てているが、同機関のウィリアム・ライラント・クラーク報道官によると、アブド・アル・クリの滑走路に関する情報は何もないという。イエメンはICAOの加盟国であり、滑走路に関する情報を同機関に提供する義務がある。なお、ソコトラ島にはすでにICAOに申請された空港がある。

近年、拡張工事が行われた滑走路はこれだけではない。紅海に面したモカでは、同市の空港拡張プロジェクトにより、より大型の航空機の着陸が可能になりました。地元当局は、このプロジェクトはアブダビとドバイのある首長国連邦によるものだと述べています。この滑走路もまた、南北に伸びるアブド・アル・クリ滑走路とほぼ同じ長さです。

Planet Labsが撮影した別の衛星写真には、イエメンのタイズ州にある沿岸都市ドゥバブのすぐ南モカ付近で建設中の未使用滑走路が写っている。木曜日にPlanetがAP通信のために撮影した画像には、滑走路は完全に完成しているものの、滑走路にマーキングは施されていなかった。

戦争で引き裂かれた国にとって重要な場所

アブドゥル・クリはソコトラ諸島の一部であり、アフリカ本土からはわずか100キロ、イエメンからは約400キロ離れている。冷戦の最後の10年間、諸島の戦略的位置から、ソビエト連邦の軍艦が寄港していた。

近年、諸島はイエメンの南部移行政権の管理下に置かれている。同政権は、イエメンで冷戦時代と同じ南北分割を主張している。アラブ首長国連邦は、2014年にイエメンの首都サヌアを占領したフーシ派に対するサウジアラビア主導の戦争の一環として、同政権を支援し、武器を提供している。

ドバイの巨大なジュベル・アリ港と物流企業DPワールドの本拠地であるUAEは、エリトリアに基地を建設したものの解体され、紅海とアデン湾の間の戦略的要衝であるバブ・エル・マンデブ海峡の中央に位置するマユーン島またはペリム島に滑走路を建設しようとした。

過去の試みとは異なり、アラブ首長国連邦はアブド・アル・クリで滑走路を開設する可能性が高く、すでに作業を開始している。滑走路のすぐ東側では、数ヶ月前から「I LOVE UAE」という文字が土の山に描かれていた。

AP通信がMarineTraffic.comのデータを分析したところ、2024年1月にはアブド・アル・クリの沖合で、また同年にソコトラ島沖で、アラブ首長国連邦の国旗を掲げた上陸用舟艇が複数回目撃されている。この船舶は以前にも、イエメンにおけるアラブ首長国連邦の軍事作戦に関連付けられていたことがある。

アブダビ経由でソコトラ島へ週1便のフライトを運航しているUAEは、長らくその取り組みは諸島への支援を目的としたと説明してきた。アブド・アル・クリ飛行場に関するコメントを求められたUAEは、同様に支援活動に言及した。「UAEの存在はすべて、イエメン政府および地元当局と協力して実施される人道的な理由に基づいている」と、首長国連邦政府は声明で述べた。「UAEは、イエメンの政治プロセスの再開を促進し、それによってイエメン国民が求める安全、安定、繁栄を推進することを目的としたあらゆる国際的な取り組みに、引き続き断固取り組んでいく」。

また、金曜日には、2022年のフーシ派によるアブダビへのミサイル攻撃から3周年を迎え、燃料貯蔵所で3人が死亡した事件を特に強調した。同国の指導者であるアブダビのシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン首長は、ソーシャルメディアのX上で、この日は「UAE国民の強さ、回復力、団結力を思い出す日」と述べた。

イエメンの亡命政府である南部移行政協議会および政府高官は、飛行場に関するコメントを求める再三の要請に応じていない。過去にも、UAEがソコトラ島に存在することで緊張が高まったことがあり、フーシ派はこれを、アラブ首長国連邦が同島を植民地化しようとしていると表現する材料として利用した。

「この計画はイエメンの主権の重大な侵害であり、今後実施されると予想されるスパイ活動や妨害工作により、近隣諸国の主権を脅かすものです」と、フーシ派が支配するSABA通信社は11月に発表した。

密輸ルートは島の近くを通っている

アブド・アル・クリに新設された空港は、ソコトラ島周辺の監視飛行機のための新たな、人目につかない着陸地点を提供できる可能性がある。これは、国連による武器禁輸措置の対象となっているフーシ派へのイランからの武器密輸を阻止する上で極めて重要となる可能性がある。

国連安全保障理事会への報告書によると、2024年1月に米軍がソコトラ島沖のアブド・アル・クリ付近で武器を押収した。この押収作戦では、2人の米海軍特殊部隊員が海で遭難し、死亡したと推定されている。この事件では、米国はイランの準軍事組織である革命防衛隊がフーシ派に武器を密輸するために使用したとされる伝統的なダウ船が関与していたと述べている。

その武器ルートを遮断したこと、および米国、イスラエル、その他の国々によるフーシ派への継続的な攻撃が、ここ数か月の反政府勢力による攻撃ペースが鈍化している理由である可能性が高い。国際戦略研究所によると、米国と同盟国だけでフーシ派を260回以上攻撃している。

その作戦をどうするか決定するのはトランプとなる。イエメンでの戦闘がいかに困難であるかについて、トランプにはすでに経験がある。2017年の大統領就任後初の軍事行動では、海軍特殊部隊がアルカイダの拠点とみられる場所への襲撃で死亡した。この襲撃では、8歳の少女を含む10数人の民間人も死亡した。

トランプは、バイデンが取り消したフーシ派へのテロ組織指定を再適用する可能性があり、アラブ首長国連邦(UAE)はこれを支持している。トランプが国務長官に指名したマルコ・ルビオ上院議員は、水曜日に上院の承認公聴会で証言した際、イランと同盟国による脅威について述べた際に、フーシ派に数回言及した。

米国が動けば、フーシ派の謎めいた最高指導者アブドゥル・マリク・アル=フーシAbdul-Malik al-Houthiが木曜の夜、ガザ地区で停戦合意が成立すれば攻撃を停止すると誓ったにもかかわらず、戦闘がエスカレートする可能性がある。

「フーシ派との戦闘が2025年に収束するとは思えない」とイエメン専門家アル=バシャは言う。「イエメンの情勢は非常に緊迫している。今後数ヶ月で戦争が勃発する可能性もある。現状のままとは思えない」。■

Amid Houthi threats, a mysterious airstrip appears on Yemeni island

By Jon Gambrell, The Associated Press

 Jan 18, 2025, 06:00 AM


https://www.defensenews.com/global/mideast-africa/2025/01/17/amid-houthi-threats-a-mysterious-airstrip-appears-on-yemeni-island/


2024年7月30日火曜日

中国との共同航空演習にミラージュ2000を派遣中のUAEへの懸念。同型機は台湾も運用中。中国とつながりを強めるUAEは米国に公然と挑戦している (The Aviationist)



中国は、ミラージュ2000の性能と能力に慣れ親しみ、台湾との紛争が発生した場合に有利に働く可能性がある


China UAE

A UAE Air Force Mirage 2000 fighter on Nov. 10, 2008. (Image credit: Wikimedia Commons) In the inset, the satellite image showing seven Mirage 2000s and one A330 MRTT on the apron of the Hotan air base in China’s Xinjiang. (Image credit: IISS/Planet Labs)


UAEと中国のPLAAF(中国空軍)の間で行われる「ファルコン・シールド2024」航空演習は、北京が欧米の軍用機技術をより多く利用できるようにするものだ。2024年7月10日に始まり、今月末まで続くこの訓練では、UAE空軍がフランス製ミラージュ2000を中国の空軍基地に配備する。


IISS(国際戦略研究所)の報告書によれば、同機種は台湾空軍とインド空軍の両方で使用されており、ともに中国の地域的な敵対国であるため、これは懸念事項だという。同シンクタンクは、新疆ウイグル自治区のホータンにある空軍基地の衛星画像を分析し、少なくとも7機のダッソー・ミラージュ2000-9DAD/EADが写っていることを確認した。


Satellite image from Aug. 2023 showing an UAE A330 MRTT and six Mirage 2000s at the Hotan airport, during that year’s installation of the Falcon Shield exercises. (Image credit: Planet Labs/IISS)

Benefits for China


ミラージュのこのバージョンは、地上攻撃と深部侵入攻撃に特化しているが、依然として強力な空対空能力を保持している。台湾は、1990年代にミラージュ2000-5EI(単座型)48機とミラージュ2000-5DI(双座型)12機を含む60機を発注したが、現在54機が就役していると報告されている。


報道によると、UAEのミラージュ2009-Dジェット機のうち30機は、パリからの許可を得てから、アルジェリアとの安全保障上の懸念に対処するモロッコに譲渡される予定だという。UAEはまた、ミラージュを新しいダッソー・ラファールF4に置き換える作業も進めている。


訓練

訓練に参加した他のUAE航空機には、エアバスA330 MRTT機が含まれる。2023年の訓練では、ボーイングC-17Aグローブマスター輸送機2機とともに、ミラージュジェット機も参加した。2024年のバージョンでは、無人航空機(UAV)の運用によく関連する一時的なシェルターも追加された。


UAEAFはロッキード・マーチンF-16E/Fブロック60も飛ばしているが、これはファルコン・シールド演習には参加していない。中国はF-16の実戦経験を生かすことができるが、台湾も142機を保有し、さらに66機を発注しているため、F-16が中国に配備された場合、UAEは深刻な事態に直面する可能性がある。


UAEの国防省はXで次のように述べている。「この演習は、経験を交換し、双方の作戦効率を高め、参加軍の即応性を高め、空の脅威に立ち向かうためにさまざまな能力を最適に活用する共同作戦の実施に焦点を当てることを目的としている」。添付の写真には、ミラージュ2000、J-16、J-10を前にポーズをとるUAEAFとPLAAFの軍人が写っている。



Satellite image from Aug. 2023 showing an UAE A330 MRTT and six Mirage 2000s at the Hotan airport, during that year’s installation of the Falcon Shield exercises. (Image credit: Planet Labs/IISS)

Benefits for China


中国にとってのメリット

とはいえ、演習は「北京による西側航空機の情報収集の可能性に疑問を投げかけている」とIISSは言及している。同シンクタンクは、「ミラージュ2000とその性能・能力に慣れ親しむこと、また異種空戦訓練の可能性は、PLAAFにとって価値があるだろう」と付け加えている。外国の航空機との異種空戦訓練は、戦術と技術に関する重要な洞察をもたらす。


特にパイロットは、レーダー、通信周波数、エンジン、運動性能、ミサイルやレーダーロックのような機能など、相手の航空機の技術的特性を調べることができる。これらは、航空部隊が潜在的な弱点の直接的または間接的な証拠を分析し、対抗策や戦術を開発するデブリーフィングで徹底的に議論される。


逆に言えば、中国はこのような訓練を行うことで、自国の防衛航空宇宙技術を向上させることができる。特に中国の場合、J-10シリーズ、Su-30MKK、J-11、J-16、J-20といった最前線の戦闘機のほとんどが国内で製造されており、サプライチェーンが国内にあるため、これは直接的な防衛産業対策となる。これにより、レーダーやミサイル、シーカーの技術的、工学的、ソフトウェア的な調整が容易かつ迅速に行える。


中国がホスト国となることで、AEW(空中早期警戒機)のようなアセットを「あからさまに、あるいは秘密裏に」使用することが可能になる。「合同演習の内容によっては、中国の戦闘機レーダーや電子光学式ミサイル・シーカー、高周波ミサイル・シーカーの性能も調べることができる。


例えば、PLAAFはミラージュに対して、IIR(イメージング・インフラ)シーカーを使用するPL-10短距離AAM(Air-to-Air Missile)のシーカー性能と探知範囲を「異種空対空戦闘演習中に」調べることができる。「PLAAFはおそらく、台湾の防空識別圏とその周辺での航空活動と、レーダーとシーカーの性能を調べるための台湾空軍の反応を利用している。しかし、航空演習は、模擬的な交戦を何度も繰り返すことができる、より管理しやすい環境を提供する。


アメリカへ3重の挑戦

この演習はまた、中国とアラブ首長国連邦の関係が防衛航空宇宙分野で急成長する中で行われる。アブダビは2022年初め、アル・フルサン曲技飛行チームのアエルマッキMB-339の後継機として、12機のホンドゥL-15Aを発注した。中国は2023年第4四半期に納入を開始した。さらに36機の航空機について協議が進められており、おそらく高度なジェット練習機や軽攻撃の役割を担うものと思われる。


UAEはまた、クサウィラ空軍基地に配備されているウイング・ルーンIIのような中国製のMALE(中高度長期耐久)ドローンも運用している。このような背景から、UAEと中国の空中演習は、戦略、外交、防衛技術という3側面でワシントンに挑戦状を突きつけている。■


Concerns Over UAE Mirage 2000s Involved In Air Combat Exercise In China

July 28, 2024 China, Taiwan

Parth Satam

https://theaviationist.com/2024/07/28/concerns-over-uae-mirage-2000s-involved-in-air-combat-exercise-in-china/


2024年5月4日土曜日

UAEが中国からJ-20戦闘機調達を検討との噂。米国がF-35売却を渋っているためのブラフか、それとも....

 



ちょっと気になるニュースがSimple Flyingに出ていましたのでご紹介します。UAEが米国の姿勢に不満を感じ、ブラフしているのか、本気でJ-20が買えると思っているのか、本当に商談となれば、逆に中国側はJ-20の真価が世界にあらわになって困るのではないかと思うのですが、防衛装備の購入も交渉であり、日本は米国からすると優良な顧客になっているのではないでしょうか。条件闘争もしませんしね。

Chinese Chengdu J-20 flying

Photo: Mike Mareen l Shutterstock


米国からF-35売却を拒否されたUAEが中国のJ-20ステルス戦闘機を

代替候補にしたとの噂が浮上


イスラエルがF-35売却を容認したのに、UAEが中国からJ-20を購入するとの噂が出てきた


  • オフ

    UAEのF-35購入が棚上げに。イスラエルとのバランシングが背後

  • オフ

    米国との交渉行き詰まりで、UAEは中国のJ-20戦闘機を検討へ

UAEが戦闘機の購入先を中国にシフトする可能性が、地政学的な懸念を引き起こしている。

政治が複雑で厄介なものであることには誰も驚かない。▼アラブ首長国連邦(UAE)はF-35を50機米国から購入しようとしてきた。▼しかし、この案件は政治に巻き込まれ、今では代わりに中国のJ-20をUAEが購入するかもしれないという噂が流れている。▼アメリカはこの地域の複数の国の同盟国であるが、時としてこれらの同盟国は互いに不信感を抱く。▼イスラエルは米国の最も強固な同盟国だが、米国はUAEや他のアラブ諸国とも良好な関係を保っている。▼米国はこれらの国々にさまざまな兵器を供給しているが、イスラエルが技術的な優位性を維持できるよう、バランスを取る必要がある。


イスラエルとのバランス調整

2020年8月、UAEはイスラエルを承認し、米国がUAEに50機の最新鋭F-35を売却する道を開いたかに見えた。▼法的には、米国の中東諸国への武器売却は2008年の海軍艦艇譲渡法により禁止されており、イスラエルの軍事的優位を損なわないように配慮している。▼2021年12月、『タイムズ・オブ・イスラエル』紙は、「米国の同盟国イスラエルは、歴史的にアラブ諸国がF-35を入手することに反対し、地域的優位を維持しようとしていたが、昨年UAEがユダヤ国家を承認する数十年ぶりの新しいアラブ諸国となった後、これを承認した」と報じた。▼しかし、この2年半ほとんど動きがなかったように思える。▼それどころか、交渉は長引いており、『ユーラシア・タイムズ』紙は、UAEがアメリカの口出しに憤慨し、F-35交渉を中断したと報じている。


中国に注目するUAE

現在、UAEは第5世代戦闘機である成都J-20「マイティ・ドラゴン」の購入を中国に求めているのではないかという報道がある(制裁とウクライナ戦争で、ロシアは先進的な戦闘機を輸出できる状況にはないだろう)。▼しかし、『ユーラシア・タイムズ』紙は、J-20は中国系のパキスタンには輸出できないとも報じている(F-22ラプターの輸出が禁止されているように)。▼その中で、UAEが中国からJ-20を購入するために交渉しているのではないかという憶測もある(『ナショナル・インタレスト』紙など)▼UAEは新鋭ジェット練習機L-15Aをすでに12機購入している。▼これが真剣な交渉なのか、それともアメリカにジェット機を供給するよう圧力をかけるための努力なのかは不明だ。▼戦闘機のような大型軍事販売には、現在進行中の力学が大きく影響し、アメリカは中国がこの地域で影響力を増すことを望まないだろう。▼UAEが戦闘機を購入するかどうか(そして中国がマイティドラゴンの輸出を許可するかどうか)は、時間が解決してくれるだろう。▼このような軍事的な移行は、ジェット機そのものと同様に地政学的な問題であることが多い。■


After US Refused F-35s For UAE, China's J-20 Stealth Fighter Emerges As Potential Replacement

BY

AARON SPRAY

Despite Israel openingly okaying the sale of F-35s and despite J-20 export restrictions, there are rumors the UAE may buy Chinese J-20s.



2022年1月22日土曜日

THAADが初の実戦投入で弾道ミサイル迎撃に成功。UAE 1月17日フーシ襲撃事件で。武器供与でイランの関与が明白になり、厳しい対応が展開されそう。

 

イスラエルにTHAADが展開した。2019年。米陸軍、米空軍、イスラエル軍の演習でダイナミック部隊展開構想を実行した。 (Staff Sgt. Cory D. Payne/U.S. Air Force)

 

 

2022年1月17日のフーシ戦闘員によるアブダビ襲撃事件でアラブ首長国のTHAADが弾道ミサイル一発を迎撃し、初の実戦運用となったことがわかった。

 

 

THAAD 終末高高度防衛ミサイルはロッキード・マーティン製。UAEの石油精製施設を狙った中距離弾道ミサイル迎撃に投入されたことが複数の筋から判明した。同施設はアルダフラ航空基地に近く、同基地には米軍仏軍が駐留している。

 

今回の襲撃事件でには巡航ミサイル、弾道ミサイル、無人機が使われ、民間人3名が死亡、6名が負傷した。駐米UAE大使ユセフ・アル・オタイバYousef Al Otaibaが述べている。

 

「襲撃は数次にわたり、巡航ミサイル、弾道ミサイル、無人機を投入し民間施設を標的にした。多数を迎撃したが、数発がすり抜け、罪のない民間人三名が不幸にも生命を奪われた」。

 

UAEはサウジアラビア主導の多国籍軍で中核メンバー。イエメン内戦に2015年以来参戦している。フーシ派がイエメン首都サナアを前年に奪取し、大統領を放逐した。UAE部隊は大部分がその後イエメンから撤収しているが、同国は依然としてイエメン情勢に深くかかわっており、現地戦闘集団を支援している。

 

米中央軍は1月16日に「差し迫った脅威が向かっている」ためアルダフラ基地の空軍隊員を退避壕に待機させ、「高度警戒態勢」を約30分維持したと1月21日に明らかにした。その後、同基地は24時間警戒態勢を維持した。

 

THAADは短距離、中距離、長距離いずれの弾道ミサイルにも対応し、開発は1990年代に始まった。初期テスト段階では苦しんだが、その後信頼性を確立し、2000年にロッキードはTHAADを陸軍移動対空部隊に統合する契約を交付された。

 

2019年までにミサイル防衛庁はTHAADの迎撃テストで16回連続成功し、同装備の性能を実証した。

 

米国はTHAADをグアム、イスラエル、南朝鮮、日本等に展開中で、2017年にサウジアラビアが総額150億ドルでTHAAD導入を決定し、UAEも導入を決め、2015年から2016年にいち早く配備し、運用訓練を受けた。

 

米陸軍はTHAAD部隊計7を運用中だが、9個部隊整備を要求してきた。MDAに残る2隊整備の予算がなかったが、2021年に米議会が追加予算措置を認め、まず8番目のTHAAD部隊が実現することになった。

 

フーシ派は無人機、ミサイルを投入しサウジアラビアやペルシア湾内石油関連施設を攻撃してきた。イエメン内戦は8年目に突入している。1月17日襲撃事件でフーシは初めてUAEを標的とした。

 

今週に入り、UAEはミサイル・無人機襲撃事件への防御力強化への支援としてフーシへの武器搬入を止めるよう米国に求めてきた。

 

アブダビ皇太子モハメド・ビン・ザイエド・アル・ナーヤンCrown Prince Mohamed bin Zayed Al Nahyanはロイド・オースティン国防長官と電話会談し、オースティン長官は「UAE領土をいかなる脅威から守り安全を確保するべくゆるぎない支援をあらためて強調した」。ただし、ペンタゴンはUAEの要請について具体的言及を避けている。

 

UAEは米製防衛装備品の売却で米議会有力者と話を始めている。同国大使館によればアル・オタイバ大使が1月19日に下院外事委員会のグレゴリー・ミークスGregory Meeks委員長(民、ニューヨーク州)と会談している。

 

上院外交関係委員会の委員長ロバート・メレンデスRobert Menendezも同大使との会談に先立ち、「相手側の要望内容を見たい。現在直面している課題はちゃんと認識している」と述べた。

 

ただし、議会スタッフによれば、各議員は装備品売却でフーシ襲撃に備えたいとの同国の要望にはおおむね理解するものの、同国がここにきて中国とのつながりが強まっていること、同国部隊がリビア内戦に介入しているためUAE関係者は厳しい質問に直面しそうだという。

 

また米側はUAEの要望通りに装備品を提供した場合の妥当性および生産日程への影響を検討する必要が生まれる。外交上微妙な問題のため匿名条件の上院関係者が述べている。UAEがペイトリオットミサイル購入を希望してきた場合、サウジアラビアへのフーシ攻撃への迎撃手段不足が深刻になりかねないといわれる。

「サウジはペイトリオットを大量消費中で、ミサイルはウォルマート店舗で簡単に買えるようなものではない」「UAEが分別わきまえて要望してきても、生産し配備するまで数年かかる」(同上関係者)

 

湾岸アラブ諸国は米国、国連の専門家他と同様にフーシに武器供給しているイランを非難しているが、イランはこれを否定している。

 

ペンタゴンに勤務し現在は中東研究所のビラル・サーブBilal Saabはフーシがミサイル発射したことからイランの関与が示されたとし、昨年12月のイラン=UAE協議の後で今回の襲撃事件が発生したことに触れている。

 

「会談は明らかに効果がなかった」「弾道ミサイル投入はイランが事態を承知し、関与している象徴だ」

 

ジョー・バイデン大統領も1月19日に今回の襲撃事件を受けフーシを米国認定の国際テロ集団リストに再度加える検討に入ったと述べている。

 

アル・オタイバ大使がこの動きを後押ししており、同国大使館から「事態は明白。弾道ミサイルや巡航ミサイルを民間に向けに発射するのは武力侵略そのものであり、イエメン国民の支援を悪用するものだ」との声明文が出た。■

 

 

THAAD, in first operational use, destroys midrange ballistic missile in Houthi attack

 

By Jen Judson and Joe Gould

 Jan 22, 04:35 AM

Agnes Helou in Beirut and The Associated Press contributed to this report.


 

2017年11月7日火曜日

UAE向けF-35売却検討の解禁は新たな中東の動きの一環になるか


北朝鮮や南シナ海、中国とともすれば我々の関心は近隣国に偏りがちですが(それだけ緊急性が高いのは当然ですが)中東へも関心を維持していく必要があります。その中でイラン包囲網としてアラブ諸国が仇敵のイスラエルと対立ばかりしてられない状況が生まれつつあるのでしょうか。F-35が販売できればロッキードは大喜びでしょうが、日本としても原油供給しか見ていないUAEの躍進ぶりには十分注意を払ってしかるべきでしょう。


Trump could let the UAE buy F-35 jets

トランプはUAEにF-35売却を許すのか

米空軍F-35AライトニングII。トランプ政権はF-35のUAE売却の検討に入る。 (Master Sgt. John R. Nimmo Sr./U.S. Air Force)

WASHINGTON ― アラブ首長国連邦向け拡大戦略協力の一環でトランプ政権はUAEが求めていたF-35共用打撃戦闘機の購入要請を検討することで合意した。
  1. 正式決定ではないが検討に合意したことでUAE向け機微情報ブリーフィングが可能となり、第五世代戦闘機取得の第一歩となればオバマ前政権の政策から大きな変化となる。オバマ政権は同国からのブリーフィング要請を2011年以来拒絶していたからで、その理由をイスラエルのいわゆる質的軍事優位性Qualitative Military Edge(QME)が脅かされるからとしていた。
  2. 湾岸諸国の専門家、産業界幹部へインタビューするとトランプ政権に対して米議会が求めているQME維持の動きを回避するよう望んでいるのが分かった。QMEではイスラエルが望む武器援助を提供して同国防衛の実現を優先して求めている。同時にワシントンは5月発表の米UAE防衛協力を拡大したいとする。
  3. 「トランプ政権は要請を検討することにした。これは『イエス』でないが、状況が落ち着けば実現するのは間違いない」とペンタゴン前高官がDefense Newsに語ってくれた。発言の裏にはUAE、サウジアラビア、バーレインがカタールと紛糾している事態がある。トランプ新戦略でイランの核・非核両面の脅威に対抗する動きを実行に移す前に解決が求められる問題だ。
  4. 専門家の間にはUAEがF-35にアクセスできる背景に同国が1991年湾岸戦争以降の米主導連合軍に唯一参加したアラブ国家であることを指摘する向きがある。同国は米空軍第380遠征航空団の駐留を受け入れた。
  5. まずイスラエルの紅海の都市エイラートから20キロしか離れていないサウジアラビアと異なりUAEはイスラエルと海上陸上いずれも国境線を共有していない。またサウジや他の湾岸協力協議会加盟国と異なり、UAE空軍はイスラエルとの演習に堂々と参加しているし、米空軍のレッドフラッグ演習にも参加している。
  6. イランの脅威で共通していること、ワシントンとの契約交渉のリードタイムを考えるとイスラエルは今後10年間は中東で唯一のF-35運用の座を守れそうだと関係筋は見ている。
  7. イスラエル国防省はF-35販売制限をUAEに解禁する可能性について論評を拒んでいる。ただしイスラエルはUAE限定で他のGCC加盟国になし崩し的に門戸を開かないのであれば反対しないと見る向きがある。
  8. 「両国に同盟関係はなく、友好国でもありませんが、UAEがイスラエル攻撃にF-35を使うなどと主張する人は現実を見ていないことになります」とワシントンに本拠をおくジューイッシュ政策センター専務理事のショシャナ・ブライエンは言う。
  9. 米UAEビジネス協議会を主宰するダニー・セブライトは米政策で技術移転が制約を受けてUAE政府に不満がたまっているという。「我が国の政策はイスラエル対アラブ各国という構図です。だがUAEはイスラエルには悪意はなく、対戦するつもりもありません。そのためアラブ諸国がイスラエルのQMEにどう影響するかという観点だけで決定が棚上げになっている状況ががまんならないのです」
  10. セブライトは米国政府はUAE要望を長期的提携関係の視点で検討し、UAEを域内安定化に貢献させるべきと主張する。新しく生まれた15年間有効の防衛協力合意は包括的でF-35のみならず最新鋭米装備や共同開発研究の実現に道を開いており、特殊作戦でも協力できその他の二国間事業が可能だと指摘する。
  11. 米UAEビジネス協議会が発表した13ページにわたる報告書でセブライトは対テロ作戦からアフガニスタン再建まで多様な分野を一覧にし、UAEが米安全保障に貢献した事実はアラビア湾を超えた範囲に及ぶと指摘。またUAEは米海外軍事販売の主要顧客であり国防支出で世界上位15カ国に入る。
  12. 「米UAE基地協定、共同訓練、武器販売だけが実績ではない。UAEは安全保障関連の消費国だけでなく湾岸地区中東全域で安全保障の提供国になっています」(セブライト)
  13. にもかかわらず米国が課す制約のためUAEは西側以外の供給先に目をむけるとセブライトは警告する。今年初めにUAEはロシアと第五代戦闘機をMiG-29原型から開発する意向書を取り交わし、モスクワはUAEがスホイSu-35調達に関心を示したと発表している。
  14. 「この事態をどう見るか。UAEが米調達プロセスに不満を感じているからでしょう」(セブライト) セブライトはF-35要望がいまだ実現していないのは特異な事例ではないとする。UAEは中国製UAVを導入したがプレデターが入手できなかったためだ。ワシントンは同機の攻撃能力を理由に要望を拒否したのだ。
  15. 「UAEは米安全保障にも貢献している...非西側サプライヤーからの購入を検討しても米国製装備を優先してくれる...米国による訓練支援を含め二国間安全保障協力を強化していくことが極めて重要だ」と報告書はまとめている。
  16. ワシントンインスティテュートの湾岸エネルギー政策研究をまとめるサイモン・ヘンダーソンからはサウジアラビアが米主導の演習に参加してイスラエルに対する同国の態度への懸念を払しょくする可能性を指摘している。
  17. 「米国はサウジがイスラエルへの脅威でないと判断できればF-35売却を検討するだろう。イスラエルへ脅威でないとなればサウジアラビアとイスラエルが同時に航空演習に参加できるようになる」(ヘンダーソン)■

Opall-Rome is Israel bureau chief for Defense News. She has been covering U.S.-Israel strategic cooperation, Mideast security and missile defense since May 1988. She lives north of Tel Aviv. Visit her website at www.opall-rome.com.

2015年4月6日月曜日

★アラブ首長国連邦に謎の新基地が突如出現



ここまでわかってしまうと各国の防衛当局がグーグルアースに警戒心を抱くのは理解できますね。これだけの基地があっという間に完成するのも、用地取得の工程がおもいっきり省略できるアラブ首長国連邦ならではの展開なのかもしれません。

UAE’s Mysterious Airbase

Apr 2, 2015 by Tony Osborne in Ares
グーグルアースの画像で名称不明の謎の空軍基地がオマーン、サウジアラビアに近いアラブ首長国連邦の砂漠地帯で見つかった。
名称不明の空軍基地の近況  Credit: Google Earth

  1. コンクリート滑走路が一本あるだけだった飛行場が急速に拡張されている。当初の滑走路一本は3,000メートル級並行滑走路二本になった。駐機エプロンが建設済みあるいは建設中である。
拡張前の姿 Credit: Google Earth

  1. UAE軍がこの基地を戦闘機作戦用に準備していることは明瞭で、滑走路両端には拘束ケーブルを装備し、緊急着陸に備え、南西のランプには太陽光から機体を守る遮光シェルター10個が視認され、各シェルターには戦闘機が2機ずつ格納できる。
戦闘機用遮光シェルターが南西にあるランプ上で視認できる Credit: Google Earth

  1. 増設中の駐機場の規模はかなり広く、基地北側で建設中だ。長さ1,000メートル幅400メートルとグーグルアース付属の測定ツールでわかる。ランプは米空軍のアルウデイド空軍基地 Al-Udeid air base (カタール)より若干狭いがグーグルアースで一見するとKC-135やB-1サイズの大型機が40機50機駐機できる広さはある。

  1. この新基地がサウジ主導で実施中の決着の嵐作戦Operation Decisive Stormでイエメンのフーシ勢力Houthi rebels の空爆実施に使われる可能性は十分ある。

  1. 基地が遠隔地にあることが重要だ。UAEで一番近い入植地はアル・キスAl Khisだが50マイルは離れている。UAEはかねてから軍事施設の脆弱度とともに空軍基地の数が少ないことを懸念いsていた。このためアル・サフラン Al-Safranに戦闘機部隊用の空軍基地が新設され、ミラージュ2000飛行隊が少なくとも一隊展開されている。同基地は2008年頃に稼働開始したとみられる。
UAE空軍のミラージュ2000-9はアルダフラ、アルサフラン両基地に展開している Credit: Google Earth

  1. 新基地のグーグルアース画像では航空機は一機も視認できないが、格納庫や遮光シェルター内に巧妙に隠されているのかもしれない。戦時の本土防衛用に機体を隠ぺいするオーストラリア戦術に似たものかもしれない。

  1. この他の基地でも拡張が進行中で、うちグーグルがアブダビ北東基地 Abu Dhabi Northeast と呼称する場所で以前は2,000メートルだった滑走路が一気に4,000メートルに拡張されている。この基地にUAEで特殊作戦部隊が配属されているようだ。セスナキャラバン、AT-802農業機やDHC-6ツインオッターを運用している。

  1. UAE空軍の一部機材はアブダビ国際空港に移動されているが、以前は各基地に輸送機が分散配備されており、C-17がアルミンハドAl-Minhadへ、A330多用途給油輸送機はアルアインAl Ain に展開していた。空輸部隊をアブダビに集結させたのは作戦運用上の効率を考えてのことなのだろう。■