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2018年10月22日月曜日

難航するKC-46事業で納入を急ぎたいボーイングに立ちふさがる技術問題はこれだ

KC-46は老朽化進むKC-135後継機として一日も早く稼働させたい機体なのですがいろいろな問題に直面して納期が遅れに遅れています。軍用機で好調なボーイングの脚を引っ張りかねない存在ですが、調達は固定価格制度ですので空軍は納期を除けば負担がない格好です。ただし、追加技術解決で発生した費用は日本が負担することになるのでしょうか。現在のところKC-46発注している外国は日本だけですよね。

 

The Air Force's struggling tanker program just hit another major setback 米空軍の難航する給油機更新事業があらたな難関に直面

Valerie Insinna,

Boeing's KC-46 aerial refueling tanker conducts receiver compatibility tests with a U.S. Air Force C-17 Globemaster III from Joint Base Lewis-McChord, in SeattleボーイングKC-46給油機がレシーバー互換性をC-17グローブマスターIIIと確認中。シアトルのルイス-マッコード共用基地上空。Christopher Okula/ U.S. Air Force/Handout via REUTERS/File Photo

KC-46一号機の初納入は今月中は無理になったと米空軍とメーカーのボーイングで共通認識していると空軍文民トップが認めた。
10月17日のブルームバーグとのインタビューで空軍長官ヘザー・ウィルソンが初納入という大きな出来事が再度延期になることを認めた。
空軍関係者とボーイング幹部が同日に未解決問題の解決方法を検討していた。問題が残るため空軍は同機の受領に踏み切れていない。
Defense Newsが新たに第一種不良事象二点がKC-46の問題一覧に加わり合計5点になったと伝えていた。第一種不良とは最も深刻な技術問題で解決方法がないものを指す。
US Air Force KC-46 Pegasus refueling tankerシアトルのボーイング・フィールドを離陸するKC-46Aペガサス, June 4, 2018. US Air Force

航空機動軍団司令官のメアリーアン・ミラー大将が9月18日に空軍は10月27日の初納入を期待刷ると述べていた。ただし、10月もほとんどすぎようとしているがいまだに確定の納入期日の発表はない。空軍は最低でもあと一ヶ月待たないとKC-46の初受領はできないようだ。
今月始めにボーイングCEOデニス・ムレンバーグはKC-46一号機は空軍に今年中に納入できると発言し、これまでの10月という表現を避けることでこっそりと納入予定を変更していた。
今週水曜日、ボーイング広報のケリー・カプランガムレンバーグ発言を繰り返し納入開始は今年末と述べていた。「ボーイングと空軍はKC-46納入時期を本日検討します。その結果に期待しております。本日の検討会は当社の目指す空軍との建設的な対話の一環として必要不可欠な新型給油機の納入を今年第四四半期中に実現させようというものです」
同機事業では遅延の連続がここ数年続いている。ボーイングは当初は完全な機体18機を2017年8月に納入予定だったが、その後繰り返し延期してきた。
ウィルソン長官はじめ空軍関係者は繰り返しボーイングが日程の見積もりがあまりにも楽観的すぎると批判してきた。空軍はボーイングと協議し、初納入予定を10月に一旦確定していた。
KC 46 PegasusKC-46ペガサスがA-10サンダーボルトIIに燃料1,500 ポンドを給油した。July 15, 2016.US Air Force
ブルームバーグのインタビューでウィルソン長官は最新の日程遅延の理由として連邦航空局FAAによるKC-46の追加型式認証が遅れていることをあげており、未解決問題だとはしていない。「これについて怒りの感情はない。当方はボーイング側とともに解決策の実現に向かっている」
ボーイングはFAA型式証明を9月に交付されているが、これも予定より数ヶ月遅れのことだった。同社は軍用型式証明の取得を空軍から待っており、軍用独自の装備品を対象に機体納入開始前の交付を受けたいとする。
米空軍は最低でも179機のKC-46を調達予定だが、最新の国防戦略を実現するには給油機飛行隊は最低14個の追加が必要としている。このことから給油機の総機数が二倍になる可能性が生まれている。
US Air Force KC-46 Pegasus refueling tankerワシントン州エヴァレットのプレインフィールドを離陸するKC-46ペガサス, September 25, 2015. U.S. Air Force photo/Jet Fabara
空軍は第一種不良点が未解決の機体を受領することは可能だが、関係者は及び腰だ。
未解決の第一種不良は次の五点。
  • 遠隔視認装置RVSの視野問題。ボーイングはソフトウェア改良で解決できると見ている。
  • KC-46のブームが被給油機の機体に損傷を与える問題。ボーイングと空軍はRVS問題が解決すればこれも解決できるとみる。
  • 機体中央に配置されたドローグが給油中に不意に外れる問題。ボーイングはこれもソフトウェア改良で解決可能と見る。
  • .飛行制御スティックが給油中に荷重を与えるが操作員には情報が表示されない問題。
  • 給油中にブームが極端に硬くなる問題。
空軍とボーイングからは上記のうち最後の二点については解決の方向性の発言はない。■

2017年12月7日木曜日

再掲示)KC-46A空軍納入仕様第一号機が初飛行したが前途多難の様子

​KC-46開発は固定価格制度が適用され納入が遅れればボーイングの負担分が増えてしまうため同社も必死になっているのですが、いろいろな問題が発生しており、モグラたたきの様相を示しています。燃料ポッドは海軍等向けの装備で、米空軍としては、あるいはボーイングとしてはブーム式給油が出来ればまずことが足り、納入実績となるため見切り発車するのでしょう。日本も同機を発注しているのですが、ちっともほかの国からの受注がありませんね。

Boeing flies first KC-46A tanker for US Air Force ボーイングがKC-46Aの空軍引き渡し用機材一号機を初飛行

ボーイングジャパンのウェブサイトより
 05 DECEMBER, 2017
SOURCE: FLIGHTGLOBAL.COM
BY: LEIGH GIANGRECO
WASHINGTON DC

KC-46Aの米空軍向け引き渡し機材一号機が初飛行し、遅れている納入が2018年に実現しそうだ。
ボーイングがこれまで飛ばしているのはテスト機材で同社は翌年に第一期分として18機の実用型機材の引き渡しを迫られている。米空軍は一号機引き渡しを2017年末と期待していた。
米政府会計検査院の報告書によればボーイングは第一期18機を2018年2月までに納入予定で、当初の計画より7か月遅延する。コバム製主翼取付空中給油ポッドは来年10月に別途納品されるとボーイングは認めた。
連邦航空局による型式証明発行でボーイングは日程管理に苦しんでいる。KC-46には基本形767に給油装備を付けたことで改正証明がFAAから、さらに軍用仕様にしたことで補完証明が必要になっている。ボーイングは前者を2017年末、後者を2018年中に取得すると見込む。
だがKC-46の難関はこれだけではない。ボーイングは今年初めに見つかった問題の解決を迫られている。米空軍はKC-46で「カテゴリー1不具体事象」三点を把握しており、ブームの摩耗はまだ解決策が見つかっていない。現行の給油機も空中給油時に同様の摩耗問題を発生させているが、ボーイングはKC-46での問題の発生頻度を既存機と比較の上把握していない。■

2017年6月1日木曜日

KC-46開発がここまで遅れている理由と米空軍の対応


なぜKC-46開発は遅れに遅れているのでしょうか。今後どう解決していくのでしょうか。KC-Xとして始まった同機の調達は米空軍の目指す空中給油機体系の一手段にすぎないようです。

Will the KC-46 face another schedule delay? The Air Force will find out in June KC-46は追加遅延を乗り越えられるのか。米空軍は6月に実態を調査する

By: Valerie Insinna, May 30, 2017 (Photo Credit: The Boeing Co.)

WASHINGTON — 米空軍は6月にKC-46空中給油機開発が再度遅延するか見極めると議会に伝えている。
  1. メーカーのボーイングは日程遅延のリスク評価中で、空軍の調達業務トップの ダーリーン・コステロ、アーノルド・バンチ中将両名に六月第一週に内容を開示すると同社が伝えてきたとバンチ中将は下院軍事小委員会に紹介した。
  2. バンチ中将から報道陣に日程上の遅れを生みそうなリスクへの懸念が表明されており、2018年10月までに必要な機数がそろうのかもそのひとつだという。ボーイングはその時期までに第一陣18機を納入する義務があり、空中給油用ポッドも同時に引き渡す。日程上では一年ほど遅延している。今年8月に予定されていたFAA認証も2018年末に先送りされた。
  3. 「ボーイング製のサブシステム各種やハードウェア生産はFAA(連邦航空局)承認がまだおりずフライトテストの遅れにつながっている」とバンチ中将は議会証言した。「テスト日程が予定通り進んでいない原因にはテスト機材が設計変更で改修をうけていることもある。ボーイングは数か月相当も予定から遅れており、生産型一号機の引渡しは2017年9月12日以降になる」
  4. 今年3月に政府会計検査院(GAO)が同機事業がさらに遅れる危険に注意喚起し、テスト日程に全く余裕がなく、テストで不具合が見つかっても再実施できないことを理由に挙げた。
  5. 今年9月にはボーイングは毎月3機を納入する必要が生まれるが、現在の本格生産でもこれは無理なペースだとGAOは指摘。GAO報告書の発表時点で12機の進捗は7割程度だったが、厳しいテストの実施が控えている。
  6. GAOによれば9月納入を実現するため毎月テスト項目を1,713点ずつ実施する必要があるが、平均で毎月800点達成にとどまっているのが2016年3月から2017年1月の実績からわかる。2016年10月だけ2,240点を達成している。
  7. ここまで日程を守るのが困難になっているが、空軍は引き続き同事業に力を入れており、予定通りKC-46Aを179機を2028会計年度までに調達する予定。2018年度予算要求では93.8百万ドルで技術生産開発(EMD)フェーズを続け、26億ドルを2018年1月に15機用に計上している。
  8. バンチ証言ではKC-46Aの179機はKC-10、KC-135部隊の半分と交代するだけと認めた。そこでKC-135の改修をさらに進め、KC-46に続く後継機二機種KC-YおよびKC-Z開発に「十分な予算手当」があれば空軍の要求にこたえられると述べている。■
とここまでなのですが、開発を遅らせている原因はこの記事では触れていませんので、やはりDefense Newsの3月の記事 「一年以上遅れているKC46-A開発さらに遅れる可能性」
Two major challenges stand in the way. First, Boeing may not be able to conduct an electromagnetic effects test scheduled for May 2017. The test, which is held at a specialized facility, will evaluate whether the KC-46 creates any electromagnetic interference. However, because the Federal Aviation Administration has yet to approve the aircraft’s aerial refueling pod design, the Air Force will have to decide whether to test the aircraft and pods separately or risk pushing the test to a later date.
ひとつが電磁障害に耐えられるかのテストでもうひとつが空中給油用ポッドで、これもFAAの認可を得るために必要なのですね。ポッドは空軍以外の機材への給油用なのでしょう。システムがややこしくなりそれだけ性能の実証が大変なのでしょう。そもそもエアバスを原型にしたKC-30案がそのまま採択されていればここまでの遅延はなかったかもしれません。(これは仮定で誰にもわからないのですが)



2016年5月27日金曜日

★KC-46Aで再度遅延が発生、契約不履行になる公算大へ 事業体制見直しは必至か



なぜここまで開発が手間取るのでしょうか。そもそも767があるから簡単に給油機ができると楽観的だったボーイングも自社負担が増える一方のため、青ざめているのかも。その分は日本が負担することになるのでしょうか。今のところKC-46に手を挙げているのは日本だけではないでしょうか。

Aerospace Daily & Defense Report

KC-46A Tanker Program Braces For Another Delay

May 26, 2016 Jen DiMascio | Aerospace Daily & Defense Report

KC-46: Boeing
ボーイングのKC-46A空中給油機開発でまたもや遅延が発生、今回は最短でも六か月にわたる規模で、サプライチェーンと技術上の問題に直面している。
  1. 今回の遅延で事業推進体制の見直しや資金投入の削減を議会あるいはペンタゴンから申し渡されるかもしれないと上院のある補佐官は述べた。「誰かが責任をとらないとね」
  2. ボーイングは2017年8月までにKC-46Aを18機引き渡す予定で三機をテストに投入していた。だがC-17相手に空中給油テスしたところブームで安定性の問題が見つかり、その解決方法としてソフトウェア改訂でフライバイワイヤのブーム制御を改善しようとした。だがハードウェアの改良策はまだ決まっていない。またサプライチェーンの問題のため15機分の部品が全部そろうのは2018年になると判明した。
  3. 上院歳出委員会は5月26日に2017年度国防支出法案原案を可決し、ブラク・オバマ大統領が求めていた15機購入分29億ドルでを承認した。しかし法案に合わせまとめられた報告内容から議員の間にKC-46の将来に懸念が広がっているという。
  4. まず2017年は量産開始の年で、15機を生産する予定だったと報告書は指摘。だが量産開始を決定するマイルストーンC判定は先送りされたままで、このままでは生産数は同じでも低率生産になると報告書は伝えている。
  5. また開発段階の飛行テストが2割しか完了していないのは、ブーム問題が原因だと報告書は指摘する。
  6. 委員会は数回にわたる遅延の発生を指摘している。マイルストーンCで10ないし11か月遅れ、初期作戦能力テスト評価も11か月遅れており、一号機納入は9か月遅れる。この結果、重要な段階すべてで契約履行は不可能で、結果として2018年8月の目標達成はほぼ絶望的だという。
  7. ペンタゴンで調達全体を取り仕切るフランク・ケンドール副長官は同事業が既存機種を改装するため固定価格制契約になったと指摘する。だが開発費用の高騰から政府は無関係でいられる内容のため、付けはボーイングが支払っている。同社はすでに税抜きで12億ドルを負担している。この数字は今後増えるだろう。■


2016年4月2日土曜日

★KC-46のテストで生産遅延につながりかねない問題が見つかる


KC-46はこれまでも開発が遅れており、契約を定額方式にしているため余分にかかるコストは全部ボーイングが負担しているはずです。今回の事案でさらに本生産移行が遅れれば一層の追加コストになるでしょうね。その場合、唯一米国以外で同機を調達する方針の日本が高い買い物をさせられることになるのではないでしょうか。今後も注視していく必要がありそうですね。
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Air Force: Boeing Tanker Issue Could Delay Production Decision

Lara Seligman, Defense News 12:08 p.m. EDT April 1, 2016
KC-46A AV8B Milestone C(Photo: John D. Parker/Boeing)
WASHINGTON —ボーイングのKC-46給油機が米空軍C-17への空中給油テストで燃料を移送できなくなる事態が発生し、生産開始が遅れるかもしれないと空軍は見ている。
  1. 給油ブームの軸荷重が想定より大きくなったためC-17へ燃料移送ができなくなったと空軍報道官ダリル・メイヤーが4月1日に発表した。ブームは伸縮式の硬式構造で操作員が伸ばして受け取り機についている給油口に差し込むもので空軍機材で広く使われている方式。
  2. ボーイングはすでに対策に取り組んでいるとメイヤーは述べた。ただし、米空軍はこれで5月に予定していた生産開始の決定「マイルストーンC」にどんな影響が出るか見極めたいとしている。
  3. 「マイルストーンC決定にどんな影響が出るか不明だが、問題はすでに把握済みで、大幅遅延になるとは思っていない」(マイヤー)
  4. すでにKC-46はF-16への給油に成功しているとマイヤーは述べている。また海軍のF/A-18と海兵隊のハリヤーでも成功している。この二機種にはホースアンドドローグ方式で対応したとマイヤーは説明。
  5. ボーイング広報のウィリアム・バークスデイルは改修の所要コストについて言及を避けたが、同社は「真剣に取り組んでいる」と以下述べた。
  6. 「当社は今回のような問題が開発期間中のテストで見つかること予測しており、ブームの反応を改良した場合のシステム変更を検討中だ。今後数週間で事業への影響がよりよく把握できると期待する。フライトテストは今後も淡々と進め、機体生産につなげ、空軍の期待に完全に答えていきたい」
  7. 空軍はKC-46を179機調達する予定で、旧式化が目立つ現有給油機と交代させる。KC-46の特徴はブーム方式とホースアンドドローグ方式を自由に切り替えてより多くの機材に迅速に給油を行うことができる。
  8. ボーイングは2017年8月までに完成形KC-46を18機納入する準備に入っている。■

2015年3月20日金曜日

★KC-46A 日本も導入か 



これまでKC-46Aの開発難航は対岸の火事だったのですが、本当に日本も同機を調達(KC-767の補完?)する予定になっていれば無関心ではいられなくなりますね。これまでは機内配線が仕様どおりでなかったとのことでしたが別の問題があるのかもしれません。

KC-46A First Flight Facing Delay

By Aaron Mehta5:31 p.m. EDT March 17, 2015
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(Photo: Paul Gordon/Boeing)
WASHINGTON — 開発中のKC-46Aペガサス空中給油機は初飛行予定が4月になっているが、開発責任者は「安心できない」と胸中を語っている。
  1. 同機開発を主管するデューク・リチャードソン准将Brig. Gen. Duke Richardsonは予定を第二四半期中のいつかと6月末までに変更したい意向だ。
  2. 「日程確定を避けています」と准将はクレディスイス・マッカリーズ共催の会合で発言した。「第二四半期中と言っておくのが安全でしょうね」
  3. KC-46Aは179機調達する予定だが、先行18機を2017年までに稼働させる調達契約では大幅な費用超過が発生しても空軍には追加負担が生じない。
  4. エンジニアリング、製造、開発チェック用(EMD)の機材は昨年12月に初飛行している。完全仕様のKC-46Aは4月に初飛行の予定だが遅れる公算が大となってきた。
  5. リチャードソンは日程が各種テストの実施でプレッシャーになっていると認め、EMD機材で確保していた6ヶ月の余裕期間はすでに消費ずみだという。
  6. 「非常に深刻に受け止めています。なんとか日程に余裕が生まれるようにがんばっているのですが」 工程表がきついため、本来なら初飛行も一日も早く実施したいのだが、その場合は給油機としての完成度を無視することになるか、その時点で要求通りの機体になっているかのいずれかだ。
  7. 「一刻も早く飛行させたい。飛行は安全に実施できると思うが、その時点で完全な機体になっていなくてもよい。安全に飛行できる機体であればまず飛ばせて、飛行性能のデータをそれから集めればよい」
  8. これに対して主契約社ボーイングの広報は同社が初飛行実施に向けて毎日努力しているとし、優秀なチームが奮闘している。準備出来しだい初飛行できる、と発言。
  9. ただしリチャードソンは明るい話題にも触れている。事業全体としては「非常に健全」で要求性能水準が変動していないことのメリットが生まれているという。
  10. また海外向け販売の可能性が二国にあると紹介。ひとつは韓国向けの直接販売で日本は有償軍事援助による導入を検討しているという。このうち韓国は5月にも選定に入ると見られ、日本のRFPが4月に出てるとリチャードソンは言う。■


2012年9月22日土曜日

心配なKC-46Aのプロジェクト管理

Boeing Burns Through KC-46 Reserves Faster Than Planned

By Amy Butler
aviationweek.com September 18, 2012

ボーイングは米空軍向けKC-46A空中給油機開発で準備した予算等経営資源を予想より早いペースで消費していることが判明し、その原因をプログラム管理チームが調査中であり、新しい費用見積もりを議会に提出する、と空軍関係者が明らかにした。
  1. ボーイングの言い分はリスク低減策の前倒し実施の結果として予算が早く支出されているが、管理予備費予算management reserve budget の総額に変化なし、というもの。
  2. ボー イングは18ヶ月前に固定価格で報奨金なしの契約締結でEADSを破り、767-2-C原型の空中給油機179機を販売することになった。政府監査部門に よる直近の開発費用は53億ドルで、交渉上限価格の49億ドルをすでに超えている。(契約上限額を超過した場合にペンタゴンが負担する分も含む。)
  3. 政 府監査スタッフはボーイングが400百万ドル上限で開発費用の一部負担をすることを目ろんでいた。そのねらいは同社は生産が順調になり引渡し機数が増えれ ば当然利益を上げることができるはずと見ていたため。したがって準備した予算消費の早さはボーイングに取っては実際の支出なので問題視されるが、ペンタゴ ンにとっては痛くもかゆくもなく、資金がなくなれば同機開発が座礁するだけだからだ。
  4. で はボーイングは欠損をどうやって埋めるかと言うと海外販売へ期待しているのである。シンガポールから真っ先に情報開示請求がありKC-46A購入の意志あ りと認められるとJ.T.トンプソン少将が明らかにしている。しかし、同国はA330ベースの給油機の購入も検討しそうだ。
  5. 管理予備予算とは開発期間中に発生する問題の解決に留保されたもので、プログラム管理者が使うもの。予定よりも早い支出ペースは日程管理のリスク評価の際に明らかになった。
  6. にもかからずトンプソン少将は全体としてみれば同機開発チームは「コスト、日程、技術成果の観点から」KC-46の設計開発を順調に進めていると見ている。
  7. ボー イングはシステム統合ラボsystem integration laboratories (SILs) として開発時のリスク低減を狙う三箇所のうち最初の施設を一ヶ月前倒しで開設している。トンプソン少将は空軍協会主催の会議でこれを発表している。この SILは基本形の767-2C民間型と関連するシステム各種の実証に使われる。残りの二箇所のSILもまもなく稼動開始する予定で、ひとつは空中給油関連 の軍用サブシステム各種、もうひとつはパイロット・ブーム操作員向けのハードウェア包括テスト用に使う。一方、トンプソン少将によるとウィチタ工場の給油 用ブーム組立てラインを閉鎖し業務をワシントン州エヴァレットに移転するボーイングの方針は「リスク要因ではあるが、この時点では実施可能な内容と思われ る」とのこと。移転は来年1月に完了するという。
  8. 一方で事業進展の兆しもある。767機体への実弾発射テストが開始されたとトンプソン少将が明らかにした。さらにスピリットエアロシステムズSpirit AeroSystemsはボーイング協力企業としてKC-46Aのブーム生産を開始した。トンプソン少将はこうした進展および契約上の政府による「厚遇」 もいったん予算執行の強制中止手続きが1月に実行になればすべて徒労に終わると注意喚起している。手続きは議会が政府の赤字削減案に同意しない場合、国防 予算全般を一律に削減することになる。
  9. KC- 46Aはこの手続きで打撃を受ける公算が大だ。トンプソン少将も固定価格で同機開発予算を計上できなかった政府の失態により、契約行為を全部やりなおすこ とになり、条件面で大きく変更になる可能性があると指摘している。「固定価格契約を破れば、同機に盛り込もうとしているものを全部実現できなくなるかもし れません」■


2012年5月10日木曜日

KC-46Aの基礎設計が完成

KC-46A Design Review Complete

May 09 , 2012 By Amy Butler abutler@aviationweek.com

ボーイングは2013年予定の米空軍向けKC-46A空中給油機の設計審査に備え、4月に事前設計審査(PDR)を完了した。このPDRでボーイング設計案が「システム要求水準を満たし詳細設計に進む基礎ができている」ことが証明されたと空軍は発表した。
  1. KC- 46Aは(計画のみにとどまっている)民生用767-2C貨物機仕様を原型に貨物扉や機内床の強化、尾翼、主翼、尾部などの設計変更をしている。ボーイン グは「PDRのような」社内審査を-2C型で行なってからKC-46Aの審査に入る。ただ同社関係者は詳細については明確にしていない。
  2. ボー イングはKC-46A開発契約を昨年初めにEADS提案のA330原型案にうちかって手に入れた。その結果、2017年度末までに実戦投入型機材を18機 納入することが求められている。その予定価格は合計44億ドルが目標だが、政府見積もりでは53億になっており、このうち空軍は契約上の上限額49億ドル を支払う。上限額を超える分は空軍とボーイングで60対40の比率で負担する。さらに政府の会計検査では同機開発を継続するためボーイングは4億ドルを自 社負担する必要があるとする。
  3.  同機開発を統括するクリストファー・ボグデン少将Maj. Gen. Christopher Bogdanは「これまでのところの推移に満足」しているという。
  4. ただし、同少将はボーイングはウィチタ工場の閉鎖を決定したため設計、製造上で計画が困難な事態に直面する可能性を以前に示していた。同工場は伝統的に空中給油機を担当してきた。この決定により専門知識はシアトルに移転することになる。
  5. 「ボー イングには同社が約束したことは全部責任をもってもらいたいです。それをウィチタ工場を閉鎖したからといってひとつでも反故にさせるつもりはありません。 同社の組織決定事項ではありますが、リスクを増やすのは問題です。ただ本官の観点からは何も変更が見えません。ボーイングには結果を出してもらいたいと思 います。」(同少将)
  6. KC-46Aの初飛行は2014年末の予定で、初期低率生産は2015年開始となる。空軍は179機を合計517億ドルで購入する予定だ。