なぜKC-46開発は遅れに遅れているのでしょうか。今後どう解決していくのでしょうか。KC-Xとして始まった同機の調達は米空軍の目指す空中給油機体系の一手段にすぎないようです。
Will the KC-46 face another schedule delay? The Air Force will find out in June KC-46は追加遅延を乗り越えられるのか。米空軍は6月に実態を調査する
WASHINGTON — 米空軍は6月にKC-46空中給油機開発が再度遅延するか見極めると議会に伝えている。
- メーカーのボーイングは日程遅延のリスク評価中で、空軍の調達業務トップの ダーリーン・コステロ、アーノルド・バンチ中将両名に六月第一週に内容を開示すると同社が伝えてきたとバンチ中将は下院軍事小委員会に紹介した。
- バンチ中将から報道陣に日程上の遅れを生みそうなリスクへの懸念が表明されており、2018年10月までに必要な機数がそろうのかもそのひとつだという。ボーイングはその時期までに第一陣18機を納入する義務があり、空中給油用ポッドも同時に引き渡す。日程上では一年ほど遅延している。今年8月に予定されていたFAA認証も2018年末に先送りされた。
- 「ボーイング製のサブシステム各種やハードウェア生産はFAA(連邦航空局)承認がまだおりずフライトテストの遅れにつながっている」とバンチ中将は議会証言した。「テスト日程が予定通り進んでいない原因にはテスト機材が設計変更で改修をうけていることもある。ボーイングは数か月相当も予定から遅れており、生産型一号機の引渡しは2017年9月12日以降になる」
- 今年3月に政府会計検査院(GAO)が同機事業がさらに遅れる危険に注意喚起し、テスト日程に全く余裕がなく、テストで不具合が見つかっても再実施できないことを理由に挙げた。
- 今年9月にはボーイングは毎月3機を納入する必要が生まれるが、現在の本格生産でもこれは無理なペースだとGAOは指摘。GAO報告書の発表時点で12機の進捗は7割程度だったが、厳しいテストの実施が控えている。
- GAOによれば9月納入を実現するため毎月テスト項目を1,713点ずつ実施する必要があるが、平均で毎月800点達成にとどまっているのが2016年3月から2017年1月の実績からわかる。2016年10月だけ2,240点を達成している。
- ここまで日程を守るのが困難になっているが、空軍は引き続き同事業に力を入れており、予定通りKC-46Aを179機を2028会計年度までに調達する予定。2018年度予算要求では93.8百万ドルで技術生産開発(EMD)フェーズを続け、26億ドルを2018年1月に15機用に計上している。
- バンチ証言ではKC-46Aの179機はKC-10、KC-135部隊の半分と交代するだけと認めた。そこでKC-135の改修をさらに進め、KC-46に続く後継機二機種KC-YおよびKC-Z開発に「十分な予算手当」があれば空軍の要求にこたえられると述べている。■
とここまでなのですが、開発を遅らせている原因はこの記事では触れていませんので、やはりDefense Newsの3月の記事 「一年以上遅れているKC46-A開発さらに遅れる可能性」
Two major challenges stand in the way. First, Boeing may not be able to conduct an electromagnetic effects test scheduled for May 2017. The test, which is held at a specialized facility, will evaluate whether the KC-46 creates any electromagnetic interference. However, because the Federal Aviation Administration has yet to approve the aircraft’s aerial refueling pod design, the Air Force will have to decide whether to test the aircraft and pods separately or risk pushing the test to a later date.
ひとつが電磁障害に耐えられるかのテストでもうひとつが空中給油用ポッドで、これもFAAの認可を得るために必要なのですね。ポッドは空軍以外の機材への給油用なのでしょう。システムがややこしくなりそれだけ性能の実証が大変なのでしょう。そもそもエアバスを原型にしたKC-30案がそのまま採択されていればここまでの遅延はなかったかもしれません。(これは仮定で誰にもわからないのですが)
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