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2023年11月20日月曜日

VTOL+高速飛行可能な新型機を想定したDARPAのプロジェクトに挑戦する米メーカーの動き。アウロラ・フライト・サイエンシズが興味深い提案を出している。

 航空宇宙産業には革新的な技術が必要です。ペンタゴンはDARPAを通じ、メーカーにあえて高い挑戦課題を与え、画期的な技術の実現をめざしています。もちろん全てが実現するわけではないのですが、技術競争力をこうやって維持向上しているのですね。FlightGlobalの記事からのご紹介です。

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Source: Aurora Flight Sciences




国防総省の極秘技術開発機関が開催しているSPRINT(Speed and Runway Independent Technologies)X-planeコンペティションで、4つのデザインのうち2つ目が公開された。

米国防総省国防高等研究計画局(DARPA)は、垂直離着陸(VTOL)機能を備えながら固定翼ジェット機の速度を達成できる画期的な航空機を開発するべく、航空宇宙メーカー4社に資金を提供している。

ボーイングの子会社アウロラ・フライト・サイエンシズ Aurora Flight Sciencesが、SPRINTの課題を解決するアプローチを公にした2番目の競争相手となった。

アウロラは、国防総省の技術開発プログラムで、垂直揚力を達成するためのファンインウイングローターを組み込んだ混合翼ボディの航空機を構想している。

アウロラの戦略は、垂直揚力を提供するためファンインウィングローターを組み込んだ主翼胴体一体型の機体だ。

垂直揚力ファンは、機械式駆動装置を介しメインエンジンと連動する。「この航空機は、巡航450kt[830km/h]以上と垂直離着陸を同じプラットフォームに組み合わせ、画期的な機動性を実現する」とアウロラは言う。

SPRINTプログラムのフェーズ1Aに選ばれた4社(アウロラ、ベル・テキストロンピアセッキ・エアクラフトノースロップ・グラマン)は、初期コンセプト設計で契約を交付されている。

このプロジェクトでDARPAは米特殊作戦司令部(SOCOM)と提携している。5月、SOCOMの調達責任者であるジム・スミスはFlightGlobalに対し、米国の精鋭部隊は滑走路やその他の地上インフラなしで活動できる高速輸送機を求めていると語った。

DARPAのX-planeプロジェクトは通常、参加企業の創造性と革新性を育成することが目的で、一般的な問題セットと基本的な性能要件のみを概説している。

アウロラは、DARPAのXプレーンプロジェクト2つに参加している。大型リフティング水上機を開発するリバティリフタープログラムと、従来の機械的な飛行制御面なしで操縦できる、いわゆる「アクティブフロー」航空機の成熟を目指すクレーンと呼ばれる別の取り組みである。

アウロラのSPRINTへのファンインウイング・アプローチは、ヘリコプター・メーカーのベルがすでにテスト中の競合設計とは大きく異なる。

V-22オスプレイ・ティルトローターの製造元であるベルは、高速垂直離着陸(HSVTOL)と呼ぶコンセプトで、可変飛行モードVTOLプラットフォームのパイオニアとしての経験を基にしようとしている。

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Source: Bell

ベルのHSVTOLコンセプトは、ジェット動力による第3の水平飛行モードを含むティルトローター型航空機を想定している。


このコンセプトは、地上でも垂直飛行中でもティルトローターのように見える航空機を想定している。しかし、オスプレイやベルのV-280 Valorのようなティルトローター機が水平推力を提供するプロペラしか持たないのに対し、HSVTOLは第3のジェット動力による飛行モードを持つ。このモードでは、航空機のローターブレードは格納される。

ベルは、少なくとも2017年に折りたたみ式ローターブレードを備えたティルトローターの特許を申請して以来、このコンセプトを開発してきた。同社は9月にこの斬新な推進システムの試験を開始した。

アウロラの航空機開発担当副社長であるラリー・ウィルシング氏は、同社のアプローチが「高速で垂直揚力、混合翼ボディの航空機が優れた柔軟性と運用性能を提供する」ことを実証すると主張している。

DARPAは、2024年5月にSPRINTの次期資金提供を発表する予定で、設計の将来性とプログラム目標達成に向けた進捗状況に応じて、4社すべての競合を進める可能性もあれば、1社も進めない可能性もあるとしている。■

Aurora proposes fan-in-wing aircraft for DARPA Sprint competition | News | Flight Global

By Ryan Finnerty 16 November 2023


2015年1月28日水曜日

長時間連続飛行記録を更新したオーロラのオライオン


これはもったいない。せっかく長期間連続飛行が可能な無人機が完成したのに米空軍には同機を活用する作戦構想がないようです。監視偵察に加え、無線通信の中継など用途はそれなりにあると思うのですが。民間企業でご活用いただけないでしょうか。

Aurora Claims Endurance Record For Orion UAS

Jan 22, 2015Graham Warwick | Aviation Week & Space Technology
オーロラ・フライトサイエンシズ Aurora Flight Sciencesのオライオンが80時間連続飛行の世界記録を樹立した。これまでの記録はノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホークの30.4時間(2001年)だった。次は120時間を目指す。
  1. フライトは12月5日から8日にかけてチャイナレイク試射場(カリフォーニア州)で米空軍の構想実証事業として行われた。記録は数週間以内に全米航空協会が認証するはず、とオーロラCEOのジョン・ラングフォード John Langford は語る。今回の記録樹立で改めておライオンへの関心が高まるはず、と付け加えた。同機は中高度長時間飛行medium-altitude long-endurance(MALE)可能なUASとして設計され、運行上の人的関与と運行経費を大幅に下げるためプレデターの5倍の飛行時間をめざし制作された。
オライオン無人機が80時間連続飛行を終えてチャイナレイク試射場に着陸したCredit: Aurora Flight Sciences

  1. 今回の飛行は海抜 4,500-10,000 ft.の間で行われ、機体には1,000ポンドのバラストをペイロード代わりに搭載。着陸時の燃料は1,700ポンド残っており、あと37時間飛行できた、とラングフォードは語る。
  2. オライオンはこれまで158飛行時間を計上しており、今回が18回目のフライトとなった。今回の最高高度は18,000フィートで、今年後半に実施する次回120時間連続飛行では高度20,000フィートを目指す。
  3. オーロラは空軍研究所より2007年に超長時間飛行の研究契約を交付され、固定翼機で飛行船の代替手段として監視業務に用いる実証を行った。これはプレデターやグローバルホークで24から30時間という限界を超えるのが目標だった。
  4. 空軍のブルーデビル2および陸軍の長時間飛行多用途情報収集機の両飛行船案は開発中止になったが、2009年にオーロラへ契約交付され、オライオンを制作している。初飛行は2013年8月だった。
  5. 設計当初でオライオンは水素利用の単発機で高高度長時間飛行無人機の構想だったが、設計変更でMALE仕様となり、燃料効率が優れたアウストロエンジン Austro Engine のターボディーゼル航空エンジン双発でジェット燃料を用いることになった。
  6. ペイロードは高度65,000 ft.で1,000ポンド、総重量は7,000ポンドで当初は設計されたいた。再設計で20,000 ft. で11,000 lb.,とされ、主翼を強化し耐空証明を取得した。
  7. 「主翼の空力特性とエンジンの性能には満足しています。自律性もすごいですよ。機体をタキシーして発進ボタンを押すだけです。操縦桿はなく、手動操縦切り替えもありません」(ラングフォード).
  8. 今回の飛行中にはパイロット4名が機体を取り扱っていた。
  9. フライトテストには空軍ビッグサファリ事業で米陸軍のテキストロンシステムズ製汎用地上制御システムと共用データリンクを使用。機体には三重の飛行制御システムが装着されているが、これはオーロラが前作のセントー任意有人機 Centaur optionally piloted aircraft で開発したものの流用だ。
  10. 次回のフライトでは空軍が任意選択する電子光学・赤外線センサーのペイロードを搭載してミッション適合性を確認する予定。ただし現時点で空軍にオライオンを実証以外に利用する構想はない。
  11. 「追加テストの予算も確保してあります。ただし現時点ではオライオン調達の予定はありません」と空軍は言う。
  12. ラングフォードによればオーロラは要望があれば追加機体を制作する準備があるという。「連続通信中継や連続監視任務に機会があります。オライオンは連続5日間飛行で、1,000ポンドを搭載するので可能です。ペイロードを減らせば、一週間連続飛行も可能です」という。
  13. 連続偵察監視任務や通信中継のコストを下げるためには運用効率を上げ、購入価格を下げて、さらに要員の訓練費用を下げる必要があるとラングフォードは指摘する。
  14. 今回のオライオンの80時間連続飛行テストで「可能性が現実のものになった」とラングフォードは発言。■