これはもったいない。せっかく長期間連続飛行が可能な無人機が完成したのに米空軍には同機を活用する作戦構想がないようです。監視偵察に加え、無線通信の中継など用途はそれなりにあると思うのですが。民間企業でご活用いただけないでしょうか。
Aurora Claims Endurance Record For Orion UAS
オーロラ・フライトサイエンシズ Aurora Flight Sciencesのオライオンが80時間連続飛行の世界記録を樹立した。これまでの記録はノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホークの30.4時間(2001年)だった。次は120時間を目指す。
- フライトは12月5日から8日にかけてチャイナレイク試射場(カリフォーニア州)で米空軍の構想実証事業として行われた。記録は数週間以内に全米航空協会が認証するはず、とオーロラCEOのジョン・ラングフォード John Langford は語る。今回の記録樹立で改めておライオンへの関心が高まるはず、と付け加えた。同機は中高度長時間飛行medium-altitude long-endurance(MALE)可能なUASとして設計され、運行上の人的関与と運行経費を大幅に下げるためプレデターの5倍の飛行時間をめざし制作された。
オライオン無人機が80時間連続飛行を終えてチャイナレイク試射場に着陸したCredit: Aurora Flight Sciences
- 今回の飛行は海抜 4,500-10,000 ft.の間で行われ、機体には1,000ポンドのバラストをペイロード代わりに搭載。着陸時の燃料は1,700ポンド残っており、あと37時間飛行できた、とラングフォードは語る。
- オライオンはこれまで158飛行時間を計上しており、今回が18回目のフライトとなった。今回の最高高度は18,000フィートで、今年後半に実施する次回120時間連続飛行では高度20,000フィートを目指す。
- オーロラは空軍研究所より2007年に超長時間飛行の研究契約を交付され、固定翼機で飛行船の代替手段として監視業務に用いる実証を行った。これはプレデターやグローバルホークで24から30時間という限界を超えるのが目標だった。
- 空軍のブルーデビル2および陸軍の長時間飛行多用途情報収集機の両飛行船案は開発中止になったが、2009年にオーロラへ契約交付され、オライオンを制作している。初飛行は2013年8月だった。
- 設計当初でオライオンは水素利用の単発機で高高度長時間飛行無人機の構想だったが、設計変更でMALE仕様となり、燃料効率が優れたアウストロエンジン Austro Engine のターボディーゼル航空エンジン双発でジェット燃料を用いることになった。
- ペイロードは高度65,000 ft.で1,000ポンド、総重量は7,000ポンドで当初は設計されたいた。再設計で20,000 ft. で11,000 lb.,とされ、主翼を強化し耐空証明を取得した。
- 「主翼の空力特性とエンジンの性能には満足しています。自律性もすごいですよ。機体をタキシーして発進ボタンを押すだけです。操縦桿はなく、手動操縦切り替えもありません」(ラングフォード).
- 今回の飛行中にはパイロット4名が機体を取り扱っていた。
- フライトテストには空軍ビッグサファリ事業で米陸軍のテキストロンシステムズ製汎用地上制御システムと共用データリンクを使用。機体には三重の飛行制御システムが装着されているが、これはオーロラが前作のセントー任意有人機 Centaur optionally piloted aircraft で開発したものの流用だ。
- 次回のフライトでは空軍が任意選択する電子光学・赤外線センサーのペイロードを搭載してミッション適合性を確認する予定。ただし現時点で空軍にオライオンを実証以外に利用する構想はない。
- 「追加テストの予算も確保してあります。ただし現時点ではオライオン調達の予定はありません」と空軍は言う。
- ラングフォードによればオーロラは要望があれば追加機体を制作する準備があるという。「連続通信中継や連続監視任務に機会があります。オライオンは連続5日間飛行で、1,000ポンドを搭載するので可能です。ペイロードを減らせば、一週間連続飛行も可能です」という。
- 連続偵察監視任務や通信中継のコストを下げるためには運用効率を上げ、購入価格を下げて、さらに要員の訓練費用を下げる必要があるとラングフォードは指摘する。
- 今回のオライオンの80時間連続飛行テストで「可能性が現実のものになった」とラングフォードは発言。■
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