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2025年11月20日木曜日

米海兵隊F-35B戦闘機、海軍CVM-22が空母「かが」から飛行作戦を実施(Naval News)―日本が「ライトニング空母」を提供し、米海兵隊が艦上からF-35Bを運用すれば日米の共同運用は新しい段階に入りますね

 米海兵隊F-35B戦闘機、海軍CVM-22が空母「かが」から飛行作戦を実施(Naval News)―日本が「ライトニング空母」を提供し、米海兵隊が艦上からF-35Bを運用するのは新しい安全保障の形になりますね

2025年10月19日、演習「ANNUALEX」において、第1海兵航空団第12海兵航空群第242海兵戦闘攻撃飛行隊所属のF-35BライトニングIIが、日本海軍の航空母艦「かが」から発艦した。同演習は、両軍の相互運用性強化、共同海上打撃能力の向上、自由で開かれたインド太平洋を支える即応態勢の維持という任務を支援するもの。(米海兵隊写真:アレハンドラ・ベガ伍長)

米海兵隊のF-35B戦闘機4機と米海軍のCVM-22Bオスプレイ1機が、10月に海上自衛隊最大級の艦艇「かが」で飛行作戦を実施した。これほど多くのF-35Bが「かが」から作戦行動したのは初めてである。また、米海軍のCVM-22Bが日本の空母に着艦したのも初めてのことだ。

この運用は、10月20日から31日にかけて実施された日米共同演習「ANNUALEX」の一環で行われた。同演習は隔年で海上自衛隊主導で実施され、今年は海上通信戦術、対潜戦(ASW)、防空戦(AAW)、航行中補給を通じた多国間環境下での同盟強化に焦点を当てた。

2025年10月19日、ANNUALEX演習において、海上自衛隊「かが」艦上でF-35BライトニングII戦闘機の発進準備を行う米海兵隊員(第1海兵航空団第12海兵航空群第242海兵戦闘攻撃飛行隊所属)、米海軍「トリポリ」乗員(第76任務部隊所属)と海上自衛隊「かが」の乗員。同演習は、両軍の相互運用性強化、共同海上打撃能力の向上、自由で開かれたインド太平洋を支える即応態勢の維持という任務を支援するもの。(米海兵隊写真:アレハンドラ・ベガ伍長)

日本側からは「かが」を含む艦艇約20隻と約20機の航空機が参加した。米国側からはアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「シュープ」(DDG-86)、タィコンデロガ級ミサイル巡洋艦「ロバート・スモールズ」(CG-62)、 P-8Aポセイドン、ルイス・アンド・クラーク級乾貨物・弾薬補給艦USNSアメリア・イアハート(T-AKE 6)とUSNSウォーリー・シラー(T-AKE 8)、艦隊給油艦USNSティペカヌー(T-AO 199)、米潜水艦、および米海兵隊のF-35BライトニングII戦闘機が含まれた。日本と米国以外にも、オーストラリア海軍とオーストラリア空軍、カナダ海軍とカナダ空軍、フランス海軍、ニュージーランド空軍が参加した。

2025年10月19日、演習「ANNUALEX」において、第1海兵航空団第12海兵航空群第242海兵戦闘攻撃飛行隊所属の米海兵隊員、第76任務部隊所属のUSSトリポリ乗員、および海上自衛隊艦「かが」乗員が、艦上での飛行作戦を実施している。(米海兵隊、アレハンドラ・ベガ伍長撮影)

「かが」艦上での飛行作戦に参加したF-35Bは、第1海兵航空団第12海兵航空群第242海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA-242)に所属するもので、艦上作戦支援は「トリポリ」艦の乗組員も提供した。JSかがは2024年11月に米海兵隊との初のF-35B飛行試験を実施した。その後、2025年8月のインド太平洋展開中に英国海軍空母HMS プリンス・オブ・ウェールズ所属のF-35Bとの飛行作戦を遂行した。したがって今回の展開は、JS 加賀におけるF-35B関連飛行作戦の第三弾となる。

日本は2018年、太平洋における中国爆撃機などの活動増加に対応するため、空母「かが」からのF-35B運用を可能とする決定をした。同艦は二段階の改修プログラムを実施中。第1段階は2022年3月から2024年3月まで実施され、飛行甲板前端を台形から長方形に改造し、F-35Bの排気ガスに耐える耐熱コーティングを追加した。第2段階は2027年3月から2029年3月まで予定され、艦内システムの改修が行われる。姉妹艦JS いずもも同様の改修を進めており、2028年3月までに全改修を完了する見込みだ。

2025年10月19日、演習「ANNUALEX」でUSSトリポリ(第76任務部隊所属)の米海軍兵士とJSかがの乗員が、同艦上でCMV-22Bオスプレイの固定を解除している。(米海兵隊写真:アレハンドラ・ベガ伍長)

稲葉 義泰

稲葉 義泰は、静岡県を拠点とするフリーランスライターである。日本で数少ない若手軍事ライターの一人であり、現在は日本の大学院で国際法(特に自衛と武力行使)を研究している。日本の陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊に特に精通している。


U.S. F-35B Aircraft Conduct Flight Operations from Japanese Flat Top



2025年4月11日金曜日

CMV-22の飛行停止措置は米海軍に"モーニングコール"となった(The War Zone)―C-2グレイハウンド退役が現実となり、オスプレイによるCOD任務がますます重要となっている米海軍の現状をお伝えします

 A senior Navy aviation officer says the three-month-long grounding of virtually all Osprey tiltrotors worldwide following the fatal crash of a U.S. Air Force CV-22B off the coast of Japan in 2023 sent serious ripples through his service.  

USN


海軍はCMV-22Bで洋上の空母への不可欠な支援を提供できると自信を持っているが、稼働率と信頼性を向上させる必要があると認識している

海軍の上級航空士官は、2023年に日本沖で起きた米空軍のCV-22Bの致命的な墜落事故を受けて、世界中の事実上すべてのオスプレイ・ティルトローターが3ヶ月間にわたって飛行禁止措置を受けたことは、海軍の所属部隊に深刻な波紋を投げかけたと言う。 

 海軍のCMV-22Bが休眠状態にあるため、老朽化したC-2グレイハウンド機を急増させて、世界中の米空母に不可欠な兵站支援を提供もののが、最後のC-2が来年に退役するため、CMV-22Bの準備と信頼性がさらに重要となってくる。

 ダグラス・"V8"・ベリッシモ海軍大西洋航空部隊(AIRLANT)少将Rear Adm. Douglas “V8” Verissimoは、本誌も出席した海軍海空宇宙2025展示会のパネルディスカッションで、CMV-22BとC-2について語った。海軍は2021年にオスプレイの初期運用能力を宣言した。米海兵隊と空軍もそれぞれMV-22BとCV-22Bを運用中だ。 現在、海外でオスプレイを運用しているのは自衛隊だけである。


 2023年のCV-22の墜落事故は、「C-2からCMV-22への移行を予期している私たちの多くにとって、間違いなく警鐘を鳴らすものでした」とベリッシモは率直に語った。「C-2の乗組員たちは、由緒ある古い機体とともに立ち上がり、仕事をこなしてくれた。空母への艦載機輸送(COD)を維持する要件が予想外に急増した」。

 COD任務とそれを遂行する機体は、空母とその関連打撃群にロジスティクスと関連支援を提供する。これには、貨物や人員の輸送・回収、医療搬送などの任務が含まれる。CODは、一般的に、空母打撃群の作戦に不可欠な側面であり、インド太平洋地域の広い範囲における重大な危機の際には特に重要である。

 「彼らはE-2飛行隊からC-2飛行隊に復帰し、任務を遂行するためのデット(分遣隊)の人員と能力を確保しました」とベリッシモは付け加えた。

 C-2は、E-2ホークアイ空母艦載早期警戒管制機から派生したものだ。 両機の初期型は1960年代に初めて飛行した。新しく改良されたE-2Dアドバンスド・ホークアイは、空中給油機能を搭載した機体も含め、少なくとも2040年代までは海軍で飛行し続ける予定である。

手前がE-2Cホークアイ、奥がC-2Aグレイハウンド。 米海軍

 「2023年の災難が教えてくれたことに、私はとても自信を持っている。 カール・チェビ中将と我々のチーム全体が、信頼性の観点、安全性の観点からシステムを理解し、乗員を熟練させる包括的な検討を行ってきたことに非常に自信を持っています」と同少将は続けた。

 2023年の墜落事故後の飛行禁止措置は1年以上前に解除されたものの、米軍のオスプレイのオペレーターたちは、事故前の運用テンポに戻すため、非常に慎重かつ計画的なスケジュールに従っている。さまざまな飛行制限は依然として実施されたままだ。勧告多数を含む事故の最終的な包括的レビューが完了するのは、まだ数週間先のことである。    2024年6月時点でアメリカのV-22の飛行が全体的に「通常」のテンポに戻るのは今年の半ばになるだろうと予想されていた。

 「私はこのプラットフォームに自信を持っている。分遣隊の編成にも自信があり、空母の航続距離と必要条件を維持できる」とベリッシモ少将は強調した。「実のところ、CMV-22を回収する能力は、空母に搭載するための多くの側面において、(C-2のような)テールフック機よりも制限が少ない。 だから、そこに良さがある」。

 海軍は長い間、C-2からCMV-22への置き換えをゲームチェンジャーとして宣伝してきた。 オスプレイの垂直離着陸能力は、ターボプロップ並みの速度で巡航しながらも、打撃群のその他艦船にペイロードを直接運搬できること、陸上の滑走路に縛られないことなど、重要な利点をもたらす。C-2の場合、貨物や人員はまず空母に運び、それからヘリコプターで他の艦船に移動しなければならない。

米海軍3等兵曹デレク・ケリー

CMV-22BはC-2とは異なり、飛行中に燃料補給もできる。海軍のオスプレイは、グレイハウンドよりも燃料や貨物を含めた総重量が大きく、機体の下に吊り下げ重くて大きな荷物も運ぶことができるため、空母に着艦ができる。 F-35C統合打撃戦闘機用のF135エンジンの予備を洋上の空母に運ぶ必要があるため、大きな貨物を運ぶ能力はCMV-22Bにとって特に重要である。

 オスプレイ固有の多用途性により、海軍は通信ノードとして機能するなど、他の任務を担う可能性も提起している。

 同時にオスプレイは、2007年に海兵隊が最初の運用能力を宣言して以来、数々の致命的な墜落事故を含む運用実績があり、非常に物議を醸し続けている航空機でもある。その時点で、V-22はすでに非常に問題が多く、長引く開発プロセスで苦労していた。

 オスプレイは昨年12月、空軍のCV-22が墜落し、幸いにも致命的な事故には至らなかったが、その後、すべてのオスプレイが再び地上待機措置となった。海兵隊は現在、最大の規模の同機運用者となっているが、MV-22Bの公式な墜落事故率は、運用している全機種の平均値内に収まっていると一貫して主張している。

海兵隊のMV-22Bオスプレイ群。 USMC

 これを念頭に置きながら、そして彼の自信の表明にもかかわらず、「海軍が3機のCMV-22Bのうち2機を常に飛行甲板上に待機させておくため必要な即応態勢を支えるシステムを......研ぎ澄ます必要がある」とベリッシモ少将は今日述べた。「空母に必要となる搭載品を供給するために何が必要なのか......海軍の焦点を絞って共同プログラムを管理する必要がある」。

 またAIRLANT司令官は発言に先立ち、残存するC-2艦隊が提供中のバックアップ能力について警告を発していた。2023年のCV-22の墜落以来、海軍は一貫して、2026年にグレイハウンドを完全退役させるという現在の計画に固執すると言ってきた。

 その一方で、CMV-22Bが再び長期間の地上待機を余儀なくされることになれば、空母に洋上で物資を供給し続ける任務の空白を埋めるC-2にはもう期待できなくなる。■


CMV-22 Grounding Was “Wakeup Call” For Navy, Stakes Higher With C-2 Gone Next Year

The Navy says it is confident in the CMV-22B to provide critical support to carriers at sea, but that its readiness and reliability need to be improved.

Joseph Trevithick

Published Apr 8, 2025 7:53 PM EDT

https://www.twz.com/air/cmv-22-grounding-was-wakeup-call-for-navy-stakes-higher-with-c-2-gone-next-year


2022年11月16日水曜日

オスプレイの海軍版CMV-22Bに注目。空母以外にも分散運用する艦艇への補給に有益。ただし、オスプレイ生産ラインの終了が近づいている。

 

A CMV-22B Osprey, from the “Sunhawks” of Fleet Logistics Multi-Mission Squadron (VRM) 50, rests after landing on the flight deck of the aircraft carrier USS Nimitz (CVN 68). Nimitz is underway conducting routine operations. (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class David Rowe)

現代の空母のロジスティクス課題に対処するために、海軍はオスプレイ購入を増やすべきだと、アナリストのロビン・レアードが主張。

本コラムは、ロビン・レアードが45年以上にわたる米国内外の防衛専門家のレンズを通して、現在の防衛問題に取り組む定期コラムの最新号。コラムの目的は、過去の疑問や視点を今日の意思決定にどのように反映されるべきかを振り返ることにある。

ローバルな競争と紛争の時代に、自由民主主義諸国は自衛能力を加速させ、中長期的にも抑止力を強化する方法を見出す必要がある。

筆者は最近、豪州を訪問し、来年の戦略的見直しに向けて、豪国防軍の新任の軍務部長やの国防アナリスト、政策担当者に会ったが、この点は強調された。豪国防軍の戦力設計責任者アンソニー・ローリンズ(Anthony Rawlins)空軍大将は、このように 述べた。「今夜の戦いは、今あるもの、そして短期間で入手・配備が可能なものを使って行うことを意味します」。

短中期的に能力を強化するためには、戦略的な再考と同時に、戦術調整も必要である。米海軍でこれを行うことができる1つの領域は、分散した艦隊向けのロジスティクスの強化、すなわち生存性と拡張戦域でより効果的に活動できる能力を強化だ。通常、このような話をロジスティクスから始めることはないが、米海軍は、より能力の高い艦隊を作るため、中期的に直接影響を与える重要な決定を下した。

その決定とは、固定翼機C-2Aをオスプレイ改良型、すなわちCMV-22Bに置き換えるだ。海軍は大型甲板空母への平時の補給用にCMV-22Bを48機(44機が現在発注済み)購入する契約を結んだ。現在、生産ラインが生きていることを考慮し24機の回転翼機を追加導入すると、大型空母だけでなく、より広い艦隊が厳しい条件の戦闘環境で動作するように物流能力を強化できる。

だが同機の生産ラインは、空母支援に必要なCMV-22Bをフル装備で購入可能となる前に、停止することになっている。生産ラインが停止すると、既存の航空機を維持する重要なサプライヤーまで削減されることになる。また、停止後に海軍が生産再開を決定した場合、CMV-22Bの新造のための効果的なサプライチェーンと生産ラインを再確立するため、遅延は避けられず、コストも大きくなる。

CMV-22Bは、ニミッツ級空母や新世代フォード級空母の攻撃能力と生存能力を高める効果を生む。

見逃しがちなのは、この能力が空母そのものの殺傷能力や生存能力に与える影響である。空母が脅威を受け、兵器のウィンチェスター化を余儀なくされたとき、兵器の運搬を日中だけに頼りたくない。CMV-22Bがあれば、その必要はない。また、空母にオンタイムで兵器を届けるためのスピードと航続距離がある。

フォード級(USSジェラルド・R・フォードは現在、大西洋でNATO同盟六か国と協力し、初の作戦展開中)については、さらに多くのことが行われる。フォード級は、ニミッツ級に比べてワークフローが増強されている。USSジェラルド・R・フォードのアイランドは140フィート後方に移動し、30%小さくなった。これにより、航空機の給油や兵器搭載作業のスペースが大幅に拡大し、アイランド前方により多くの戦闘機を収容できるようになった。CMV22-Bは、使用可能なスペースに駐機し、甲板に直接来る武器エレベーターに直接弾薬を降ろすことができる。つまり、CMV-22Bの夜間着艦能力と新空母のワークフローにシームレスに適合する能力は、大型甲板空母の攻撃能力と生存能力を向上させる。

しかも、これだけではない。CMV-22Bは、艦隊支援を強化するため、ポイント・ツー・ポイントの後方支援活動もできる。CMV-22Bは、C-2Aと異なり、航空母艦支援機というより、艦隊支援機だ。

機動基地とみなされる艦隊は、殺傷力を高めるために一致した攻撃能力を形成する分散型統合軍の一部として、未来に対応していく。これは、艦隊がそれ自身の分散型運用という点で異なる運用をする必要があるだけでなく、敵対者を危険にさらし、紛争で勝利することができる攻守一体の効果を提供するため、空と地上要素を含むモジュール式任務部隊の一部として運用されるべきであることを意味する。

CMV-22Bは分散型戦闘のチェス盤を横断して活動できまる。 また、海兵隊はMVV-22Bを先行して配備しているため、運用と維持の専門知識がすでに艦隊に備わっている。つまり、CMV-22Bは空母の中核的な兵站ニーズに応えつつ、艦隊全体で同じように運用することができるのです。CMV-22Bは、空母だけでなく、空母以外の艦船でも保守が可能だ。

また、軍事輸送司令船から艦隊に物資を供給するという課題では、新たなロジスティクスニーズをサポートする点で、航空機の役割は拡大している。CMV-22Bは、スピードと航続距離の点でユニークな能力を持っており、このような状況での戦闘支援のギャップを埋めることができる。

言い換えれば、海軍は重要な戦略的決断を迫られている。艦隊のために非常に予測可能な争奪戦のギャップを残すのか?それとも、CMV-22Bの生産ラインを整備して購入を拡大することで、ギャップを解消するのか?CMV-22Bを24機追加購入することで、紛争時の空母補給の備えは大幅に強化される。この決定は、中期的に艦隊の能力を向上させる効果を提供し、米海軍とオージーなど同盟国が同様に必要とする能力を提供するので、オスプレイはオージー艦にもポイント・ツー・ポイントのサポートを提供できるのだ。■


Accelerating capability for the fleet: The case of the CMV-22B

By   ROBBIN LAIRD

on November 15, 2022 at 1:17 PM

https://breakingdefense.com/2022/11/accelerating-capability-for-the-fleet-the-case-of-the-cmv-22b/?_ga=2.193512237.186751218.1668595442-1256044490.1668165814

2018年5月5日土曜日

2060年までの供用を目指す米海兵隊のオスプレイ改修策とは。米海軍向けCOD用オスプレイの開発状況

真っ先に導入した海兵隊でもオスプレイの稼働率が低いのは驚きですね。整備、補給体制含め運用に違いがあるのでしょう。それだけに後から導入する米海軍は有利かも知れません。日本も陸自が少数機導入するのは運用に習熟する意味があるはずで後年度に導入規模を増やす布石なのでしょう。オスプレイの性能が今後どこまで拡大できるのかが見ものですが、ベルは新型ティルトローターも開発中です。


Marine Corps to Fly Osprey to 2060 - Preps Aircraft for Future Wars 

米海兵隊はオスプレイを2060年まで供用すべく機体改良で将来の戦場に備える

By Kris Osborn - Warrior Maven
海兵隊はMV-22オスプレイでセンサー改修と兵装追加の大規模改修と稼働率向上で機材の運用範囲を広げつつ稼働供用期間を2060年まで延長する。
「MV-22Bオスプレイは少なくとも今後40年使い続ける予定」と海兵隊航空部門広報官サラ・バーンズ大尉がWarior Mavenに語ってくれた。
原型機登場から20年経過したオスプレイは前例のない形で実戦配備、ミッション範囲や作戦投入が拡大している。
海兵隊も同機の改修と稼働率向上で苦労してきたことを認めている。この課題に輪をかけたのが2007年以来強まっている戦闘部隊司令からの同機への要請だと海兵隊関係者は指摘。
「整備訓練課程の内容、習熟化、標準化のペースが要求水準に見合っていなかった。現時点の整備要員の充足度では要求通りの作業ができない。現在のV-22稼働維持の仕組みでは機体の稼働率の維持向上が不可能だ。大幅に手直しが必要だ」と海兵隊は2018年度航空戦力運用案で述べている。「補給処での整備では要望に応えられない」
シナリオでは海兵隊は共通仕様即応率近代化Common Configuration, Readiness and Modernization (CC-RAM)構想を実施するとあり、バーンズ大尉によれば「全体でのミッション実行率を最低75パーセントにするのが目的」という。
海兵隊によればオスプレイ近代化改修構想は輸送力、速力、多様な運用能力を生かしながら性能を向上させることだという。ロケット弾、ミサイル他の武装でエスコートミッションを敵地内や高度脅威環境で実施可能にすることも含まれる。
その他センサーの高性能化、ナビゲーション、接続のデジタル化、高速化、ホバリング能力の強化、貨物取扱ではペイロード強化、次世代エイビオニクス、ミサイル小火器への防御力強化が改修内容だ。
2018年版の航空戦力運用案ではCC-RAMの対象にV-22の75機を想定し、マルチスペクトラムセンサー、コンピューター、赤外線運用技術、発電機、降着装置制御の改良をめざす。
オスプレイ近代化改修で海兵隊は戦闘統制システムとしてデジタル相互運用(DI)の搭載を進めている。ここにデータリンク、相互無線交信、イリジウム用アンテナを含み戦闘関連情報やC4ISR情報をリアルタイムで海兵隊部隊間で飛行中、ミッション中に共有する。
さらにオスプレイは給油機ミッションでも開発が進んでいる。海兵隊は主力機F/A-18やF-35Cへの給油を狙う。またCH-53E/KやAV-8B、他のV-22への空中給油も可能となる。
「空中給油能力は2019年にシステムとして利用可能となる。海兵隊の運用する機材すべてに給油可能でおよそ1万ポンドを移送可能」と2018年度の海兵隊航空戦力運用案が述べている。
オスプレイはティルトローター構造のためヘリコプター同様にホバリングモードで接近偵察したり、部隊や装備を垂直着陸で移動できる。航空機モードに切り替えれば固定翼機並みの速度で飛行できる。燃料満載で450カイリ飛行可能と海兵隊は説明。最大速度は280ノットで海兵隊員数名と機内搭載車両一両を輸送できる。
オスプレイが搭載可能な海兵隊機内搭載車両
Marine Corps Photo By: Pfc. Alvin Pujols

海兵隊はV-22近代化では進行中の次世代垂直輸送機事業で開発された新技術も導入すると明かしている。おそらく新型軽量複合材他化各種兵装、C4ISR装備や標的技術が含まれるのだろう。
また急速に進む人口知能技術もV-22改修で採用されるだろう。アルゴリズム改良でセンサーのデータや標的情報、航法情報を飛行中に活用することになるだろう。
こうした改良でオスプレイの実効力が今後も維持できる見込みだが、課題がないわけではない。海兵隊では補給処へのサプライチェーンが必要時に機能できるか、さらに今後長きにわたり維持できるのかが懸念されている。また新型機導入の前に既存機種の改修がどこまで可能かも問題だ。
そこで興味を引くのが空軍のB-52と陸軍のチヌークの事例で、大規模改修で機体はともにこれまで数十年間にわたり戦力を維持してきた。空軍はB-52を2050年代まで、陸軍はチヌークを2060年代まで100年間飛ばす予定になっている。
共通するのは機体の補強で長期供用を可能としていることだ。オスプレイはB-52やチヌークより新しい機体だが同様の対応が必要だろう。ここにバーンズ大尉がCC-RAMで「共通仕様」を強調する理由があり、既存機体でも新技術を都度導入できるようにする。この方法はDoDの調達事業全体で実行されており、システムを共通標準で設計し近代化が効率よく進むよう考慮している。
だが既存機体の近代化にも限界があることは広く知られており、どうしても新型機が必要となる。このため陸軍は将来型垂直輸送機事業を強く進めているのであり、ティルトローターも新世代に進化しようとしている。さらに新型機は新装備やC4ISR技術、センサー、自衛システム、エイビオニクスの搭載で有利だ。機体そのものがレーダー反射を減らす特性を発揮することが期待されている。
海軍のオスプレイ
並行して米海軍はCVM-22Bオスプレイの実現を急いでおり、数年内に姿を現す。重要な空母輸送任務 (COD) に供用中のC-2の退役が迫ってきたことからオスプレイの重要性が一段と増している。
海軍仕様のオスプレイは追加燃料タンクにより航続距離を1,150マイルへ増やす。これ以外に無線装備を一新し水平線越し通信が可能となり、機内案内放送も追加される。
海軍版オスプレイの供用開始は2020年代初頭の見込みでVIP輸送や人道救難ミッション含む現在C-2が行うミッションすべてを引き継ぎ、空母へ糧食、交換部品、装備を補給する。

海軍版オスプレイはC-2以上のミッションをこなす。ヘリコプターとしてあるいはティルトローターとして空母着艦すればC-2の着艦手順より簡単だ。発艦にカタパルトは不要でティルトローター機の性能余裕は大きくなる。■

2018年1月6日土曜日

米海軍空母を支える輸送機でオスプレイへの機種転換は2026年に完了

米海軍でC-2からオスプレイの機種転換に備え着々と準備が整っているようです。米海軍のC-2が全機用途廃止されれば自衛隊のC-2が間違えられる可能性が減りますかね。


Navy Transition from C-2A to CMV-22B Will Span 2020 to 2026; Location of Training Squadron Undecided

米海軍のC-2AからCMV-22Bへの機種転換は2020年から2026年に実施される

C-2Aグレイハウンド(第40艦隊補給支援飛行隊ローハイズ所属)が空母USSドワイト・D・アイゼンハワー(CVN-69)から発艦している。 Jan. 31, 2016. US Navy photo.

January 3, 2018 4:51 PM • Updated: January 3, 2018 10:01 PM


米海軍が27機供用中のC-2AグレイハウンドのCMV-22Bオスプレイ(38機)への機種転換を今年から開始し、オスプレイパイロット養成基地の所在をカリフォーニア、ヴァージニアのいずれにするかを決定する。海軍が1月3日に方針案を発表した。
C-2Aは空母輸送機(COD)として東西に展開する空母への補給に使われており、人員、訪問者、郵便物、予備部品他を空母に運んでいる。海軍は2015年1月に老朽化してきたC-2AをV-22オスプレイに交代させると発表。海軍用のオスプレイは海兵隊機材を原型とし、燃料タンクを大型化し長距離飛行と通信機能、機内拡声機能を強化している。
米海軍艦隊司令部が発表した評価ではこれまで公表されていない機種転換の詳細情報がわかる。
海軍のオスプレイ運航はヴァージニア州ノーフォーク海軍基地、カリフォーニア州ノースアイランド航空基地を拠点として展開するのは現行のC-2Aと同様だ。機種転換飛行隊の所在地をこれから決める。海軍はC-2Aでは東西両岸で転換部隊を置いていたが1994年に統合し、空母輸送早期警戒飛行隊(VAW)120としてC-2A訓練を行っている。
27機のC-2AがV-22で38機に増える理由は「C-2Aの現行機数では任務の需要に応えきれていないため」と海軍資料にある。機種転換は2020年に始まり、2026年までに終了するとあり、V-22に完全に置き換わるのは2028年となる。
MV-22BがUSSカール・ヴィンソン(CVN-70)に着艦中 Gidget Fuentes Photo Used with Permission


一案ではNASノースアイランド(サンディエゴ)のハルゼイフィールドに訓練校をおき2028年までに機種転換を完了し、23機を配備し支援に341名を投入する。もう一案がノーフォークでの実施だが、機材は15機、支援要員126名と規模が小さくなるのは訓練飛行隊を置かないためだ。
二番目のシナリオではノーフォーク海軍基地のチェンバースフィールドに本拠をおき、C-2Aはノースアイランドを2024年、ノーフォークを2026年までに姿を消す。ただしやはりV-22の完全展開は2028年になる。
FRSの所在がどちらになるにせよ、ノースアイランドではCOD業務が大きく増えるのは海軍が西海岸から太平洋への展開を重視しているからであり、西海岸を本拠地とする空母は日本への前方配備含め6隻で東海岸は4隻しかないためだ。
海軍仕様のV-22の初期作戦能力(IOC)獲得は2020年9月の予定で必要な装備や支援体制を同年10月までにとりあえず一か所で完成させる必要がある。完全運用状態(FOC)のCMV-22Bの登場は2024年に設定されている。施設の改良は今年から始めると資料にある。

IOC、FOCを先行実現すべく海軍のV-22パイロット、運航要員は海兵隊のMV-22訓練隊VMMT-204のあるニューリヴァー海兵隊航空基地(ノースカロライナ)で行う。海軍のV-22整備要員も海兵隊施設で訓練を受ける。■

2016年8月24日水曜日

オスプレイのCOD導入を期待する米海軍航空部門---実証運用実験の成果に満足

CODは全く特殊な輸送機で他に潰しが効きませんから、C-2グレイハウンドはオスプレイと交代したらスクラップになるのでしょうか。意外に大きな機体で堂々としていたのですが残念ですね。消火任務に改装されるのかもしれませんね。

 V-22 Experiment On Carrier Shows Increased Flexibility Over C-2 In COD Mission

August 18, 2016 5:34 PM

MV-22B landing on the deck of USS Carl Vinson (CVN-70). Gidget Fuentes Photo Used with Permission
MV-22B landing on the deck of USS Carl Vinson (CVN-70). Gidget Fuentes Photo Used with Permission

  1. 米海軍が目指す次期空母運用輸送機(COD)へのMV-22オスプレイ投入の準備が進んでおり、運用上の柔軟性とともにu運用上で大幅省人化が実現すると海軍航空のトップが期待している。
  2. 海軍航空戦力の指揮官マイク・シューメーカー中将は固定翼機中心の空母航空部隊でV-22の運用実証をおこなったところ非常に良好な結果が得られたと語っている。
  3. 2015年1月に海軍は長年供用してきたC-2グレイハウンドに変わり、オスプレイをCMV-22Bとして海兵隊仕様をもとに採用した。燃料タンクを増設し、長距離通信制能とともに機内乗客むけのPAシステムを搭載する。この決定で一部からオスプレイの貨物搭載量、航続距離や飛行高度で懸念する声が出た他、固定翼機運用に慣れた運用が混乱しないかとの声が出ていた。
  4. シューメーカー中将は戦略国際問題研究所と米海軍協会共催の場でこうした懸念は的外れと断言している。
  5. 運用実験の終わりになり、USSカール・ヴィンソン(CVN-70)の乗員はオスプレイの着艦から貨物運び出しが20分で完了でき、貨物搬入送り出しは30分で済むと体感した。これなら多くの航空機を発艦着艦させる通常の空母運用に自然に受け入れできる。
  6. 貨物取り扱いが迅速なだけにとどまらず、V-22ではC-2と比べて大幅な省人化運用が可能だとシューメーカー中将は述べた。蒸気カタパルトは不要で、「オスプレイ離着艦には6名で十分対応できるのに対し、現行CODでは40名が必要で、運用上は大きな差が生まれる」
  7. さらにオスプレイは夜間着艦が可能だが、C-2は夜間運用はしていない。このためV-22は昼夜関係なく運用でき、しかもカタパルトや拘束ギアは不要だ。
  8. ただしV-22機内はC-2よりやや狭いことはシューメーカー中将も認め、貨物や人員輸送量がやや低くなるが、「オスプレイの機内座席・貨物用スペース変更は迅速に可能で、C-2とは違う」という。
  9. 「長距離性能型としてCMV-22が実現すれば、C-2の航続距離を上回る1,100マイル超の飛行距離が実現するでしょう」
  10. そうなると「貨物や人員輸送力を犠牲にしても、運用に柔軟性がつくオスプレイは望ましい選択」だという。■
Navy's Osprey Will Be Called CMV-22B; Procurement To Begin In FY 2018

Navy's Osprey Will Be Called CMV-22B; Procurement To Begin In FY 2018

In "Aviation"
Megan Eckstein

About Megan Eckstein

Megan Eckstein is a staff writer for USNI News. She previously covered Congress for Defense Daily and the U.S. surface navy and U.S. amphibious operations as an associate editor for Inside the Navy.

2016年4月7日木曜日

★海軍向けオスプレイCMV-22Bの開発がスタート



海軍版のオスプレイですが、文中にある複数年度契約で調達実績に空白ができる云々のくだりはよくわかりませんが、長年続いたグラマンの海軍向け機材の伝統もこれで空白期間が生まれることになりますね。
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NAVAIR Awards Bell-Boeing $151 Million To Begin Navy-Variant V-22 Design

By: Megan Eckstein
April 1, 2016 12:36 PMUpdated: April 1, 2016 5:20 PM
A Marine MV-22 on USS George Washington (CVN-73) in support of Operation Damayan on Nov. 18, 2013. US Navy Photo
海兵隊のMV-22がUSSジョージ・ワシントン(CVN-73)に着艦し、大型台風の被害を受けたフィリピンの災害支援作戦Operation Damayanの支援にあたった。2013年11月18日。 US Navy Photo
米海軍航空システムズ本部NAVAIRはベル=ボーイング共同事業体に151百万ドルで海軍用V-22オスプレイの初期技術開発作業を実施する契約を交付した。海軍は同機を空母輸送機(COD)として使用する。

  1. 今回の契約でベル=ボーイングは飛行距離の延長と高周波見通し線外通信、機内通報装置を原型MV-22に加える。海軍は今年二月に海軍版はCMV-22と呼称すると発表していた。空軍には多用途・特殊軍団向けCV-22があり、海兵隊用のMV-22を合わせた呼称になっている。
  2. 2016年度の予算手当は短期開発の開始部分に相当し、2018年度に一号機の調達を2018年に目指し、2020年度に引き渡し開始を想定する。海軍は44機を調達する。
  3. 海軍長官レイ・メイバスは上院軍事委員会公聴会で海兵隊向けMV-22調達が減少する一方でCOD後継機は加速し、オスプレイの複数年度調達予算の一部に経費を盛り込めると説明。海兵隊は2017年度はオスプレイの発注はしていなかったが議会の予算合意で国防費が抑制されたため2機を追加する動きを示している。
  4. 公聴会の席上でジャック・リード上院議員(民、ロードアイランド)から海兵隊調達の海軍のCMV-22B調達の間に空白が生まれるのは複数年度調達契約の違反になるとの指摘があった。これに対しメイバス長官は「複数年度事業を中断するのは本意ではない」と回答した。しかしリード議員の広報担当はUSNI Newsに対し「提出通りの予算を承認すれば複数年度契約の不履行となり、リード上院議員は引き続き状況を監視していく」と伝えてきた。
A C-2A Greyhound assigned to the Rawhides of Fleet Logistics Support Squadron (VRC) 40 launches from the flight deck of the aircraft carrier USS Dwight D. Eisenhower (CVN 69) on Jan. 31, 2016. US Navy photo.
C-2Aグレイハウンド(所属VRC-40艦隊第40兵站支援航空隊ローハイズ)がUSSドワイト・D・アイゼンハワー’CVN-69)から発艦している。2016年1月31日。 US Navy photo.

  1. CMV-22Bが交代するのはノースロップ・グラマンC-2Aグレイハウンド・ターボプロップ機で、海軍は1965年から同機を使用しており、1984年に追加発注している。グレイハウンドは陸上基地に配備され、空母航空隊の一部ではないが、人員・郵便物・貨物を陸上基地から空母へシャトル輸送するのが任務。ヘリコプターが空母から他艦へ貨物を配送する。オスプレイの場合は陸上基地、空母に加え海軍海上輸送本部が運用する補給艦、駆逐艦、揚陸艦他にも離発着できるので高い効率性を発揮するだろう。
  2. 海軍はCMV-22Bをどう運用するのか発表していないが、そもそもの任務を「緊急長距離輸送を実現し、人員・郵便物・重要貨物を前進基地から海上基地に補給する」と想定していることからグレイハウンドで実施してきたハブアンドスポーク方式以外の輸送補給任務も想定していると思われる。■