米海兵隊F-35B戦闘機、海軍CVM-22が空母「かが」から飛行作戦を実施(Naval News)―日本が「ライトニング空母」を提供し、米海兵隊が艦上からF-35Bを運用するのは新しい安全保障の形になりますね
2025年10月19日、演習「ANNUALEX」において、第1海兵航空団第12海兵航空群第242海兵戦闘攻撃飛行隊所属のF-35BライトニングIIが、日本海軍の航空母艦「かが」から発艦した。同演習は、両軍の相互運用性強化、共同海上打撃能力の向上、自由で開かれたインド太平洋を支える即応態勢の維持という任務を支援するもの。(米海兵隊写真:アレハンドラ・ベガ伍長)
米海兵隊のF-35B戦闘機4機と米海軍のCVM-22Bオスプレイ1機が、10月に海上自衛隊最大級の艦艇「かが」で飛行作戦を実施した。これほど多くのF-35Bが「かが」から作戦行動したのは初めてである。また、米海軍のCVM-22Bが日本の空母に着艦したのも初めてのことだ。
この運用は、10月20日から31日にかけて実施された日米共同演習「ANNUALEX」の一環で行われた。同演習は隔年で海上自衛隊主導で実施され、今年は海上通信戦術、対潜戦(ASW)、防空戦(AAW)、航行中補給を通じた多国間環境下での同盟強化に焦点を当てた。
2025年10月19日、ANNUALEX演習において、海上自衛隊「かが」艦上でF-35BライトニングII戦闘機の発進準備を行う米海兵隊員(第1海兵航空団第12海兵航空群第242海兵戦闘攻撃飛行隊所属)、米海軍「トリポリ」乗員(第76任務部隊所属)と海上自衛隊「かが」の乗員。同演習は、両軍の相互運用性強化、共同海上打撃能力の向上、自由で開かれたインド太平洋を支える即応態勢の維持という任務を支援するもの。(米海兵隊写真:アレハンドラ・ベガ伍長)
日本側からは「かが」を含む艦艇約20隻と約20機の航空機が参加した。米国側からはアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「シュープ」(DDG-86)、タィコンデロガ級ミサイル巡洋艦「ロバート・スモールズ」(CG-62)、 P-8Aポセイドン、ルイス・アンド・クラーク級乾貨物・弾薬補給艦USNSアメリア・イアハート(T-AKE 6)とUSNSウォーリー・シラー(T-AKE 8)、艦隊給油艦USNSティペカヌー(T-AO 199)、米潜水艦、および米海兵隊のF-35BライトニングII戦闘機が含まれた。日本と米国以外にも、オーストラリア海軍とオーストラリア空軍、カナダ海軍とカナダ空軍、フランス海軍、ニュージーランド空軍が参加した。
2025年10月19日、演習「ANNUALEX」において、第1海兵航空団第12海兵航空群第242海兵戦闘攻撃飛行隊所属の米海兵隊員、第76任務部隊所属のUSSトリポリ乗員、および海上自衛隊艦「かが」乗員が、艦上での飛行作戦を実施している。(米海兵隊、アレハンドラ・ベガ伍長撮影)
「かが」艦上での飛行作戦に参加したF-35Bは、第1海兵航空団第12海兵航空群第242海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA-242)に所属するもので、艦上作戦支援は「トリポリ」艦の乗組員も提供した。JSかがは2024年11月に米海兵隊との初のF-35B飛行試験を実施した。その後、2025年8月のインド太平洋展開中に英国海軍空母HMS プリンス・オブ・ウェールズ所属のF-35Bとの飛行作戦を遂行した。したがって今回の展開は、JS 加賀におけるF-35B関連飛行作戦の第三弾となる。
日本は2018年、太平洋における中国爆撃機などの活動増加に対応するため、空母「かが」からのF-35B運用を可能とする決定をした。同艦は二段階の改修プログラムを実施中。第1段階は2022年3月から2024年3月まで実施され、飛行甲板前端を台形から長方形に改造し、F-35Bの排気ガスに耐える耐熱コーティングを追加した。第2段階は2027年3月から2029年3月まで予定され、艦内システムの改修が行われる。姉妹艦JS いずもも同様の改修を進めており、2028年3月までに全改修を完了する見込みだ。
2025年10月19日、演習「ANNUALEX」でUSSトリポリ(第76任務部隊所属)の米海軍兵士とJSかがの乗員が、同艦上でCMV-22Bオスプレイの固定を解除している。(米海兵隊写真:アレハンドラ・ベガ伍長)
稲葉 義泰
稲葉 義泰は、静岡県を拠点とするフリーランスライターである。日本で数少ない若手軍事ライターの一人であり、現在は日本の大学院で国際法(特に自衛と武力行使)を研究している。日本の陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊に特に精通している。
U.S. F-35B Aircraft Conduct Flight Operations from Japanese Flat Top
Published on 19/11/2025
By Yoshihiro Inaba