日本が対艦ミサイルをF-2戦闘機に装備し、中国艦隊に対抗していた
Naval News
2025年12月26日公開
稲葉義弘
2025年は中国空母の活動範囲拡大で日本も太平洋方面での防衛体制強化を迫られた年として記憶されそうです
ASM-2ミサイル4本を搭載した航空自衛隊F-2戦闘機(クレジット:ジン・テツヤ(@tamotaro))
2025年12月、中国海軍艦艇による日本近海での活動に対し日本は異例の対応を取っていた。航空自衛隊のF-2戦闘機が合計64発の対艦ミサイルを装備しているのが確認された…
2025年12月9日、航空自衛隊築城基地で少なくとも16機のF-2戦闘機が訓練飛行を実施していた。各機は主翼下にASM-2対艦ミサイル(93式対艦誘導弾)を4発ずつ搭載していた。ASM-2は日本が独自開発した対艦ミサイルで、射程は140kmを超える。撮像赤外線(IIR)シーカーを採用し、赤外線対抗対策(IRCCM)と目標識別能力を備える。
福岡県の航空自衛隊筑岐基地には、第6戦術航空隊と第8戦術航空隊の2個が配備されている。両隊ともF-2戦闘機を運用し、各隊は計20機(単座型F-2A 18機、複座型F-2B 2機)で編成されている。
これほど多くのF-2がASM-2を満載して出現するのは極めて異例で、状況は極めて特徴的だ。これは、九州近海で活動している中国人民解放軍海軍(PLAN)の空母遼寧への抑止力の可能性が高い。12月6日、沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を通過し太平洋に入った空母遼寧は沖縄本島南方海域で突如北東へ進路を変更した。12月7日には九州南方海域への進入を継続した。
この間、遼寧から発進したJ-15艦載戦闘機が航空自衛隊のF-15戦闘機にレーダーを照射するなど、中国軍と自衛隊の間の緊張が高まった。
太平洋戦域における防衛能力強化の緊急性
日本政府は中国海軍(PLAN)の空母機動部隊に警戒を強めている。今年6月には、空母「遼寧」と「山東」が太平洋に同時展開し、米海軍空母打撃群との対峙を想定したとされる対抗演習を実施した。こうした背景の中、遼寧がその後日本近海で展開した行動を日本の防衛省は重大な進展と見なしている。
さらに、中国海軍の新空母福建が就役すれば、中国空母が東シナ海と太平洋で継続活動する可能性も出てくる。
こうした動きを受け、自衛隊は従来沖縄含む南西諸島や東シナ海での防衛態勢強化に重点を置いてきたが、現在は太平洋方面の防衛態勢を急速に強化している。太平洋方面は「防衛の空白地帯」と見なされてきた。例えば沖縄本島の南西に位置する北大東島では、移動式航空監視レーダーシステムの配備計画が進められている。2026年度防衛予算要求には、この配備を支援する施設建設費として約160億円(1億200万ドル)が計上されている。
さらに、海上自衛隊最大の水上戦闘艦「いずも」級2隻を改造し、F-35Bの運用能力を付与する計画も進められている。この計画は元々、2017年頃から中国軍H-6K爆撃機が台湾とフィリピン間のバシー海峡を通過し太平洋へ進出する動きに対応するため、2018年頃に開始された。その後、中国空母部隊に対抗する手段としての役割も追加された。
太平洋戦域において、航空自衛隊の戦闘機運用が可能な滑走路を有するのは硫黄島のみである。したがって、いずも級の改修は、作戦上の空白を埋めることが目的だった。
さらに、日本の2026年度防衛予算要求には、防衛省内に新たな「太平洋防衛構想室」を設置する計画が含まれている。この部署は、太平洋戦域防衛に必要な自衛隊の戦力態勢について、専門的かつ横断的な評価を行うことを目的とする。
今後の自衛隊は太平洋での差し迫った脅威に対抗するため、様々な措置を実施する可能性が高い。短期的には、中国海軍の航空母艦搭載航空団の作戦活動に対し、いずも級に搭載されたF-35Bの運用で対応することが予想される。しかし、他にも数多くの課題に対処する必要がある。
例えば、中国海軍艦艇や航空機の継続的な監視には、太平洋全域をカバーできるレーダーサイトが必要となる。しかし東シナ海と異なり、太平洋の島嶼は密集しておらず、地上レーダーシステムのカバー範囲には限界がある。こうした状況下では、短距離離着陸能力を有し、航空自衛隊内で既に運用実績のあるE-2D早期警戒機の拡充が、極めて現実的な選択肢の一つとなりそうだ。■
稲葉義泰
稲葉義泰は、静岡県在住のフリーランスライター。日本で数少ない若手軍事ライターの一人であり、現在は日本の大学院で国際法(特に自衛と武力行使)を研究している。陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊に特に精通している。
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Published on 26/12/2025
By Yoshihiro Inaba