2026年2月23日月曜日

海上自衛隊の「たいげい」級SSKが世界の注目を集める理由―それでも日本に原子力潜水艦は必要なのか

 

日本のリチウムイオン電池搭載ステルス型「たいげい級」大型潜水艦が原子力不要の未来を証明している

19fortyfive

ジャック・バックビー

Taigei-Class

たいげい級。画像クレジット - クリエイティブ・コモンズ。

要約と主要ポイント:日本のたいげい級ディーゼル電気潜水艦は、優位性が原子炉の持続力からステルス性と戦力構成へ移行しつつあることを示している。

―リチウムイオン電池を採用したたいげい級は、従来型潜水艦が頻繁な浮上やシュノーケル運用を余儀なくされていた持続力の格差を縮め、東シナ海のような係争海域での露出を低減している。

たいげい級潜水艦。画像:クリエイティブ・コモンズ。

―バッテリー駆動による作戦は静粛性に優れ、探知が最も困難で音響的慎重さが最も重要な浅瀬の混雑した要衝において効果を発揮する。

―日本はこのステルス性を安定生産と組み合わせ、原子力攻撃型潜水艦を大幅に下回るコストで潜水艦戦力を拡充し、即応態勢を維持している。

日本のたいげい級潜水艦:核動力でなくとも致死的である

数十年にわたり、原子力攻撃型潜水艦は水中軍事能力の頂点と見なされてきた。SSN(原子力攻撃型潜水艦)は海を疾走し、数ヶ月間潜航を維持できる。敵国から遠く離れた場所で敵を追尾し、発見されないままでいられる。しかし日本の「たいげい」級は、2026年現在、水中戦闘の信頼性が核動力ではなくステルス性と戦力構成で定義されつつあることを示す好例だ。

たいげい級は日本最新鋭のディーゼル電気攻撃型潜水艦(SSK)である。従来型の鉛蓄電池ではなくリチウムイオン電池で長期間の潜水作戦を可能とする通常動力艦だ。

Taigei-Class Submarine. Image: Creative Commons.たいげい級。画像:クリエイティブ・コモンズ

初号艦は2022年に就役し、次艦は2023年、三番艦は2024年の就役で、西太平洋の安全保障環境が急速に悪化する中、日本が水中戦力を拡大するにつれ、後続艦の建造も進んでいる。

つまり、日本は原子力潜水艦なしで、公然と潜水艦艦隊を建造しているのだ。

リチウムイオン電池が航続距離の差を縮める

ディーゼル電気潜水艦は電池寿命に制約されていた。ディーゼル発電機で充電するため定期的に浮上するかシュノーケルを上げる必要があり、発見リスクが高まっていた。たいげい級はこの制約をリチウムイオン電池技術で解決した。鉛蓄電池よりはるかに高いエネルギー密度と充電効率を実現している。

日本海軍は世界で初めて、最先端潜水艦にリチウムイオン電池を実戦配備した。まず最新型「そうりゅう」級で導入され、現在は「たいげい」級設計に完全に統合されている。

Taigei-classたいげい級。画像クレジット:クリエイティブ・コモンズ。

リチウムイオン電池は旧式電池システムと比較し、より長い潜水運用と性能向上を実現。これにより潜水艦は柔軟な運用が可能となり、充電サイクル中の露出を最小限に抑えられる

リチウムイオン電池への移行は、今日の作戦運用に直接的な影響を与えている。日本の潜水艦は現在、東シナ海などの係争海域において、従来型潜水艦で制約となっていた頻繁な浮上サイクルに依存せず、長期パトロールを実施できる。原子力潜水艦が比類なき航続能力を有する一方で、リチウムイオン推進システムは実戦運用における性能差を大幅に縮めた。

航続力ではなくステルス性

潜水艦の有効性は航続力だけでは決まらない。作戦シナリオではステルス性が決定的な優位性となり、電池駆動の通常動力型潜水艦は大きな静粛性を発揮できる。

原子力潜水艦が原子炉冷却システムを継続的に稼働させる必要があるのとは異なり、バッテリー駆動のディーゼル電気潜水艦は機械的振動や音響シグネチャを低減する。これにより、特に浅い沿岸海域や係争海域の要衝において、探知が極めて困難となる。

現代の通常動力型潜水艦はこうした環境下で極めて高い効果を発揮する。例えばスウェーデンのゴットランド級潜水艦は、米海軍との共同演習でディーゼル電気プラットフォームのステルス性能を実証した。2025年4月、スウェーデン国防相は記者団に、戦略海域におけるNATO防衛体制強化のためステルス潜水艦が不可欠だと述べた。特定の運用条件下では原子力潜水艦よりも静粛性が高いからだ。

日本にとってステルス性は特に重要である。日本の潜水艦は東シナ海や台湾周辺など、交通量が多く戦略的に敏感な海域で活動する。こうした環境では、無制限の航続距離より長期間にわたり探知されない能力の方が価値が高い場合がある。

非核動力潜水艦の新基準を確立した日本

日本は非核動力でありながら世界最高水準の潜水艦部隊を構築した。その潜水艦戦力は、通常動力でも海軍が水中戦力としての信頼性を達成できることを実証している。海上自衛隊(JMSDF)は世界最先端の通常動力潜水艦部隊を運用しており、建造と近代化を維持可能で安定した産業基盤に支えられている。

2025年時点で日本は22隻の潜水艦を運用しており、2020年代末までに24隻へ拡大する。この拡大の中核をなすのがたいげい級で、旧式潜水艦を段階的に置き換えつつ艦隊の即応態勢を維持している。

日本潜水艦隊の拡大は、中国による海軍活動の活発化の中で進められている。中国は西太平洋における潜水艦隊と海軍の存在感を大幅に増強している。

持続可能なコスト

コストは通常動力型潜水艦採用の最大の利点の一つだ。原子力潜水艦は1隻あたり数十億ドルの費用がかかり、富裕国であっても艦隊規模を制限する。たいげい級のような通常動力型潜水艦ははるかに低コストであり、海軍がより大規模で持続可能な艦隊を維持することを可能にする。

たいげい級の建造費は約800億円(約6億9000万ドル)で、原子力潜水艦と比べて大幅に低コストだ。この費用対効果により、着実な建造と艦隊の持続的拡大が可能となる。

日本の潜水艦建造は現在も活発だ。川崎重工業は2025年10月、たいげい型6番艦「そうげい」の起工式を実施した。

ただし通常動力型潜水艦の配備増加によって、原子力潜水艦が不要になるわけではない。世界的な軍事力投射や長距離作戦に依然として不可欠である。

しかしたいげい級は、信頼できる潜水艦大国となるためには原子力推進がもはや必須条件ではないことを証明している。■

著者について:ジャック・バックビー

ジャック・バックビーは、ニューヨークを拠点とする防衛・国家安全保障専門の英国人研究者・アナリスト。軍事能力、調達、戦略的競争を専門とし、政策立案者や防衛関係者向けに分析記事の執筆・編集を手掛ける。19FortyFive誌やNational Security Journal誌で1,000本以上の記事を執筆した豊富な編集経験を持ち、過激主義と脱過激化に関する書籍・論文の著者でもある。


Japan’s Lithium-ion Stealth Taigei-Class ‘Big Whale’ Submarine Prove You Don’t Need to Go Nuclear

By

Jack Buckby

https://www.19fortyfive.com/2026/02/japans-lithium-ion-stealth-taigei-class-big-whale-submarine-prove-you-dont-need-to-go-nuclear/


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