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2025年4月15日火曜日

米空軍の新しい「ドゥームズデイ」航空団が核の指揮統制を強化するため発足(Air and Space Forces Magazine)

 



空軍は、核戦力に対する指揮統制を向上させる目的で新航空団を立ち上げた。 第95飛行団は、現役空軍、空軍州兵、空軍予備役部隊の指揮統制を統合し、指揮を合理化し、資源をよりよく擁護する。

 第95航空団は2024年10月1日に暫定的に発足し、2月28日に正式発足、3月28日にネブラスカ州オファット空軍基地の新司令部で記念式典が行われた。式典では、第595指揮統制グループ(C2G)の不活性化も行われた。C2Gは、米国高官が核指揮統制通信(NC3)を維持し、危機時に通常戦力を指揮できるよう努力してきた。

 第595部隊は、空軍の4機のE-4Bナショナル・エアボーン・オペレーション・センター(NAOC)の飛行と整備を行ってきた。 E-4Bは「ドゥームズデイ・プレーン」とも呼ばれ、電磁パルス含む核爆発の影響に対し強化されたボーイング747で、世界規模の通信装置を装備している。

 第595部隊はかつて、空軍グローバル・ストライク・コマンドの下で爆撃機を飛ばす第8空軍傘下の独立したグループだった。 第8空軍の構成部隊は航空団規模で、より大きな組織として、より多くのリソースを一般的に受け取っている。

 「2016年10月の再編以来、第595C2Gは飛躍的に成長したが、これらの飛行士によって示されたプロフェッショナリズムのレベルは決して衰えていない」と、プレスリリースで第8空軍と統合グローバルストライク作戦センターの司令官ジェイソン・アルマゴスト大将は式典で述べた。「専門職として、ダイナミックな環境の中で、"監視"を維持し、核抑止力と国家安全保障の基礎となる失敗の許されない任務多数を果たしている」。

2025年3月28日、ネブラスカ州オファット空軍基地で行われた第95飛行団発隊式で、第95飛行団司令官デービッド・リーモント大佐が第95飛行隊の軍旗を広げる中、第8空軍司令官兼統合グローバル・ストライク作戦センター司令官ジェイソン・アルマゴスト空軍大将(左)が支えた。 米空軍撮影:チャールズ・ヘイモンド


 プロフェッショナルたちは、第95飛行団の一員として、任務を継続する。式典では、前595飛行隊群司令官デビッド・リーモント大佐が飛行隊の指揮を執った。

 旧第595飛行隊のほか、ワイオミング州空軍の第253C2G、アリゾナ州デービスモンサン空軍基地に駐留する空軍予備役第610指揮統制飛行隊などが、現在、同飛行団の一部となっている。

 空軍が新型ステルス爆撃機、アップグレードされたB-52、新型大陸間弾道ミサイルで戦略兵器の近代化を図る中で、新飛行隊は立ち上がる。 海軍も弾道ミサイル潜水艦の増設が必要だろうと、米戦略軍トップのアンソニー・J・コットン大将は3月に語っている。 この変更は、核武装した敵対国、すなわちロシアと中国を抑止するためだ。 脅威は以前の時代よりも「格段に大きく」なっており、「これは『冷戦2.0』ではない」とコットン大将は述べている。

 この変化にNC3が対応する必要がある、とリーモント大佐は式典で述べた。「国家は核兵器管理についてサポートが必要と気づいた」と彼は地元ニュースチャンネルFirst Alert 6に語った。「その中に含まれていなかったのが、核の指揮統制と通信、つまりNC3だった。ですから、この航空団はその問題を解決するものです」。

 さらなる変更があるかもしれない。 コットン大将は10月、数十年の歴史を持つNC3事業がアップグレードを切望しており、人工知能がその助けになると警告した。

 「AIは我々の意思決定能力を高めるだろう」と同将官は2024年国防総省情報システム会議で述べた。「しかし、人工知能が決断を下すことは決して許してはならない」。

 AFAのミッチェル航空宇宙研究所のシニア・レジデント・フェローであるヘザー・ペニーは、10月のポッドキャストで、NC3はしばしばあって当然と思われていると指摘した。「しかし、航空ショーや宣伝ポスターで目にするようなものではない」。

 昨年4月、空軍はNAOCを生存可能な空中作戦センター(SAOC)に置き換えるため、130億ドルの契約を交付した。現行のE-4Bは1970年代から飛行しており、予算文書によれば、「能力格差、製造ソースの減少、メンテナンスコストの増加、部品の陳腐化」の中で苦境に立たされている。

 請負業者のシエラネバダ社は、SAOCシステムをホストするため大韓航空の747-8旅客機を5機確保したと昨年5月発表した。各機は2015年頃に製造されたもので、最初の改修機が就航する頃には約15年が経過していることになる。

 リーモント大佐は、新設航空団の一部として当初はオファットに79人が追加されると予想しているが、「2030年代初頭に」さらに多くの航空機が稼動するようになれば、500人から700人増える可能性があるとファーストアラート6に語った。

 第95航空団のルーツは、第二次世界大戦でB-17を飛ばした第95爆撃集団に遡る。冷戦時代には第95爆撃航空団として再活動し、B-35やB-52を飛ばした。最近では、カリフォーニア州エドワーズ空軍基地の空軍飛行試験センターで第95航空基地航空団となっていた。

 「私たちは、第二次世界大戦で名を馳せた部隊の遺産を引き継ぐと同時に、米国を率いる最高幹部に国家レベルの指揮統制を提供する複雑な任務を前進させることを楽しみにしています」と、リリースでリーモント大佐は語った。■


New Air Force ‘Doomsday’ Wing Boosts Nuclear Command and Control

April 1, 2025 | By David Roza

https://www.airandspaceforces.com/air-force-nc3-doomsday-wing/




2024年11月21日木曜日

米大統領が核戦争を生き残るための「終末の日に飛ぶ機体」の異名を持つE-4B「ナイトウォッチ」の内部で判明していること(写真特集)(Business Insider)



An E-4B plane.


E-4B "ナイトウォッチ "は、"ドゥームズデイプレーン "とも呼ばれている。 ジャスティン・オークス/米空軍



E-4B "ナイトウォッチ "は、核攻撃にも耐えられることから「終末の日に飛ぶ機体」というニックネームで呼ばれている。

 核戦争の際には、米軍の指揮統制センターとして機能する。

 同機は米空軍で最も運用コストが高い飛行機で、1時間あたり15万9529ドルかかる。 

 米大統領専用機のエアフォース・ワンは、最高司令官の最先端のワークスペースとして機能することから、「空飛ぶ執務室」として知られている。だが、"空飛ぶ執務室"として機能する別の大統領専用機があることはあまり知られていない。これがE-4B "ナイトウォッチ "だ。

 核爆発にも耐えられることから「終末の日に飛ぶ機体」の異名を持つE-4Bは、大統領やその他高官を守り、最悪のシナリオでは軍の司令部として機能するように設計されている。E-4Bはまた、国防長官の海外出張にも使われる。

 E-4Bの機能の多くは機密扱いだが、米空軍はその能力の一端を公開している。 極秘機体の内部を覗いてみよう。


E-4B「ナイトウォッチ」は、ボーイング747-200を軍事化したもの


An E-4B plane.

米空軍のE-4B「ナイトウォッチ」機。Fabrizio Gandolfo/SOPA Images/LightRocket via Getty Images


 4機あるE-4Bは、ネブラスカ州オマハにあるオファット空軍基地の国家空挺作戦センターを構成している。



An E-4B plane takes off.

ネブラスカ州オファット空軍基地のE-4B。 米空軍撮影:二等軍曹ジェイコブ・スコボ


 米空軍によると、E-4Bの単価は2億2320万ドルだという。

 標準クルーは、15の異なる専門性を持つ60人で構成されている。


An E-4B flight simulator.

E-4Bシミュレーター訓練ミッション。 米戦略軍


空軍は2022年、パイロット、フライトエンジニア、その他の乗組員を訓練するための950万ドルのE-4Bシミュレーターを初公開した。


E-4Bは無給油で12時間飛べるが空中給油給で数日間連続飛行できる


An E-4B plane is refueled in flight.

飛行中に燃料補給を受けるE-4B。 米空軍撮影:Tech. コディ・トリンブル軍曹




E-4Bの通信テクノロジーは、レイ・ドームと呼ばれる機体上部の膨らみに格納されている

Air Force E-4B

2017年9月11日、カリフォルニア州トラビス空軍基地の駐機場にあるE-4B機。 米空軍/ルイス・ブリスセ


E-4Bは、レイ・ドーム内に約67個の衛星アンテナを備え、エアフォース・ワンを上回る通信能力を有する。

また、機体の外装は熱や核を遮蔽し、電気系統は電磁パルスに耐えることができる。


機内のメインデッキには6つの機能エリアがある

Secretary of Defense Dr. Mark T. Esper speaks to reporters on board an E-4B plane.

当時の国防長官マーク・T. エスパー国防長官は2019年、E-4Bの機内で記者団と会見した。 国防総省撮影:米陸軍軍曹アンバー・I・スミス


米空軍によると、司令室、会議室、ブリーフィングルーム、作戦チームの作業エリア、通信室、休憩エリアなどがレイアウトされている。

同機は最大112人乗り。


ブリーフィングルームでは、関係者が報道陣に最新情報を提供したり、スタッフとのミーティングを行う。


Secretary of Defense Ash Carter speaks with members of the media on board an E-4B aircraft.

アッシュ・カーター国防長官(当時)は、2015年にヨーロッパを旅行中に報道陣と会見した。 エイドリアン・カディス曹長/米国防長官


だがE-4Bは単なる "終末機 "ではない。 国防長官が海外出張や記者会見に使うこともある。

 機体の中央にある戦闘幕僚室は、国家非常事態の際に将校が集まって戦略を練る場所だ。


The battle staff room on board an E-4B.

E-4Bの戦闘幕僚室。 エリン・A・カーク=クオモ/米国防長官


 核攻撃やその他の黙示録的なシナリオが発生した場合、大統領、国防長官、統合参謀本部議長は、ペンタゴン同様の安全な指揮統制センターとして機体を使用する。


休憩エリアには乗員用寝台が18あり、国防長官は国際間の移動の際に私室を使用する


A flight attendant on an E-4B plane wipes down a table.E-4Bの個室。 ランス・チュン/米空軍写真


国防長官の私室には寝台と椅子付きの机が置かれている。


E-4Bには24時間体制でスタッフが配置され、警戒態勢が敷かれている


A simulated alert mission on an E-4B Nightwatch plane.

E-4Bの乗員が模擬警戒任務を遂行する。米空軍撮影:ランス・チャン


1975年以来、常時1機のE-4Bが警戒態勢にあり、いつでも出動できるようになっている。■


See inside the E-4B 'Nightwatch,' nicknamed the 'doomsday plane' for its ability to help US presidents survive nuclear war

Talia Lakritz Nov 16, 2024, 11:07 PM JST


The E-4B "Nightwatch" is also known as the "doomsday plane." Justin Oakes/US Air Force


https://www.businessinsider.com/doomsday-plane-nuclear-war-us-air-force-presidents-military-2024-11



2024年4月28日日曜日

米空軍が次期「終末の日」機の契約130億ドルをSNCに授与、現行E-4の製造元ボーイングが失注

 

  • ボーイング一択だったこうした機種の調達が今や全く違う構図になったのがわかります。契約を獲得したシエラ・ネヴァダコーポレーションはISRなど専門技術のソリューションの機材への改装が得意な会社なので、ベース機を調達せねばならず、空軍の要求から747一択になりそうです。結局ボーイングが協力企業になるのではないでしょうか。予測がはずれたらごめんなさい。Breaking DefenseとThe War Zone記事から構成しました。

SNCホームページに掲載された契約受注を伝える記事



航空宇宙大手のボーイングが敗退を喫した一方、SNCにとって大きな勝利となった

空軍はシエラネバダ・コーポレーション(SNC)に対し、E-4B「ドゥームズデイ」の後継機を納入する130億ドルの契約を交付したと今夜発表した。

 発表によると、新しいサバイバル・エアボーン・オペレーション・センター(SAOC)の契約は2036年7月まで続く。このプログラムは、ナイトウォッチやナショナル・エアボーン・オペレーション・センターとして知られる、空軍の老朽化したボーイングE-4B機4機を置き換えるもので、通常、国防長官を輸送するが、移動式の核指揮統制前哨基地としても機能する。

 国防総省発表によると、インセンティブ含むSNCの契約受注額は130億8,089万6,647ドル。空軍が合計何機のSAOCを購入する予定かは不明。空軍は現在4機のE-4Bを保有しているが、8機から10機のSAOCを購入する話もあった。SNCによる作業はコロラド州エングルウッド、ネバダ州スパークス、オハイオ州ビーバークリーク、オハイオ州バンダリアで行われ、2036年7月10日までに完了する予定である。

 確定ではないが、SNCは中古の後期型747-8iを改造すると推測されている。昨年8月、オハイオ州デイトンで行われた、747-8を格納するための90,000平方フィートの整備・修理・オーバーホール格納庫のテープカットも、この考えを裏付けるものだ。

 SNCにコメントを求めたが、返答はない。

 今回の受注は、SNCの歴史上で最大規模の仕事となる。SNCによる作業では、空中給油や安全な通信といった軍事システムを組み込むだけでなく、電子攻撃や核攻撃に対する民間航空機の強化も期待されている。エイビエーション・ウィーク誌によると、空軍はSAOCプログラムのため8機から10機の航空機を取得したい意向だが、747が候補に選ばれた場合、中古機を取得しなければならない。

 空軍はSAOCにエンジン4基を搭載するよう定めており、運用上の安全保障やその他の要件とともに、747以外の航空機をベースにした提案は不可能と思われている。2022年に747の生産ラインが閉鎖されたため、747の新規製造機材を使用する選択肢はない。ボーイングは現在、廃業したロシアの航空会社向けに製造された未納入だった747-8のペアを新しいVC-25B大統領専用機に改造中である。

 空軍の広報担当者によると、「作戦上の要件を満たすため、兵器システムを軍事的要件向けに硬化・改造された民間派生機で構成される」。同報道官はさらに、モジュール式のオープン・システム・アプローチで開発され、付随する地上支援システムは "SAOC兵器システムのライフサイクル全体にわたって運用、維持、将来の修正を可能にする"設定となるとも付け加えた。

 「この重要な国家安全保障兵器システムの開発により、核兵器省の核指揮統制通信能力は今後数十年にわたり、運用上適切かつ安全であることが保証される」と広報担当者は述べた。

 SNCの勝利は、現在のE-4Bフリートの製造元であり、エアフォース・ワン後継機のような大規模プログラムでの実績から、有力候補であったボーイングがまさかの落伍をしたことで、大方予想されていた。ボーイングと空軍がSAOC契約の構造やデータの権利について合意に達しなかったとロイターが以前報じていた。 

 SNCが契約を獲得したことは、防衛と商業双方のポートフォリオで挫折に苦しむボーイングには新たな打撃だ。

 2024会計年度の議会予算で空軍は今年7億4400万ドルをSAOCプログラムに投資することができる。FY25要求では、空軍はおよそ17億ドルを求めている。SAOCプログラムは、新しい核弾道ミサイルから長距離ステルス爆撃機に至るまで、空軍が核ポートフォリオの近代化で取り組んでいる数十億ドル事業の一部となる。

One of the Air Force's four E-4B Nightwatch aircraft. <em>USAF</em>

One of the Air Force's four E-4B Nightwatch aircraft. USAF


 SNCのSAOC構成に関する具体的な詳細は乏しいが、先進的で高度に安全な通信スイートと電磁パルスに対する硬化、その他の能力を持つ必要がある。この航空機は、現在空軍の4機のE-4B(別名、国家空中作戦センター(NAOC)機)の役割を果たすことになる。E-4Bのうち3機は、1970年代にE-4A上級空挺指揮所(AACP)として就役し、その後、1980年代にNAOC規格に引き上げられた。その後、NAOC構成の4機目も取得された。

 E-4Bの今日の中核的な任務は、国家指揮権限(NCA)として知られるメカニズムを介し、米国大統領が世界のどこからでも核攻撃を開始するための堅牢で生存可能な空中司令部となることである。これが、これらの航空機が一般的に「終末の日の飛行機」と呼ばれる理由である。ナイトウォッチ・ジェットに見られる安全な通信やその他の能力は、厳しい自然災害への対応を含め、他の種類の軍事作戦や有事対応活動を指揮する空中プラットフォームとしても必要に応じて使用できる。

 そのため、最高司令官が使う必要がある場合に備え、E-4Bは大統領の海外訪問に同行している。国防長官はじめ米国高官の外国訪問の際にナイトウォッチ機を使用することが多い。

 SAOCプログラムは、核指揮統制能力の近代化をめざす米軍の広範な取り組みの一部に過ぎない。米海軍も、TACAMO(Take Charge and Move Out)任務で、潜航中の核弾道ミサイル潜水艦への通信を担当する『終末の日の飛行機』としてC-130Jハーキュリーズの獲得に取り組んでいる。

 現在はボーイング707ベースのE-6Bマーキュリー機16機がTACAMO任務を遂行している。SAOCがルッキング・グラスの任務を引き継ぐ可能性もある。

 いずれにせよ、SNCへの契約交付により、2030年代半ばまでに「終末の日」機材部隊の外観が大きく変わりそうだ。■


Air Force awards SNC $13B contract for new 'Doomsday' plane - Breaking DefenseBy   MICHAEL MARROW

on April 26, 2024 at 6:02 PM


Job Of Building The Air Force's Next Doomsday Planes Falls To Sierra Nevada Corp.BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED APR 26, 2024 7:43 PM EDT




2023年12月7日木曜日

大丈夫か、ボーイング。E-4B「ドゥームズデイ・プレーン」後継機の競合から離脱....あくまでもビジネス上の判断だと思われるが.....

 

固定価格契約で大きな損失を被っているボーイングは同じ契約方式を主張する米空軍に反発して、自社製品のE-4の後継機争いから離脱するという決定をしたようです。これでは調達が困るので結局、空軍に主張を変えさせるのが目的ではないかと思われますが、行方に注目です。Breaking Defense記事からのご紹介です。


E-4B Aircraft

An E-4B aircraft sits on the tarmac at Travis Air Force Base, Calif., Sep. 11, 2017. (U.S. Air Force photo by Louis Briscese)



ボーイングと米空軍は、E-4B代替機の契約条件とデータ権利について合意できなかった



ーイングは空軍のE-4Bナイトウォッチ「ドゥームズデイ」機の後継機種の候補から外れ、シエラネバダ・コーポレーション(SNC)が唯一の競争相手として残る。

金曜日に発表された声明で、同社の広報担当はボーイングの入札が空軍によって検討されていないことを確認した。ロイター通信が最初にボーイングの排除を報じていた。 


「当社は、コミットメントを確実に守り、事業の長期的な健全性をサポートするために、新たな契約機会すべてに規律を持ち取り組んでいる。当社は、E-4Bの代替)アプローチが、顧客とボーイングにとって最も包括的で、技術的に成熟し、最も低リスクのソリューションであると確信している」とボーイングの広報担当者は述べた。


「当社の提案は、国家安全保障の指揮統制任務に就いているE-4Bナイトウォッチの設計、開発、維持を含む、60年にわたる軍用民間派生機の知識と経験に基づいたものだ」。


ロイター通信によると、ボーイングと空軍は、データの権利や契約条件で合意に達することができなかった。ボーイング幹部は、近年数十億ドルの損失を被っており、固定価格開発契約を拒否している。2023年第3四半期だけで、ボーイングは防衛部門で10億ドル近い損失を計上した。


空軍のスポークスマンは声明の中で「この重要な能力への予算投入を保護するため、ソース選択について積極的に議論することはできませんし、詳細なプログラム情報は機密扱いになっている」 と述べた。


ボーイングは747を改良した現在のE-4Bの製造元であり、国防長官の主要な移動手段として機能するが、核攻撃のような国家的緊急事態が発生した場合には空中指揮所としても機能する。同機は、サバイバブル・エアボーン・オペレーション・センター(SAOC)としても知られており、現在4機が空軍に配備されている。


今年初めに発表された空軍の2024年度予算案では、SAOC後継機への予算が大幅に増額され、来年度だけで約8億8900万ドルの予算が計上された。この契約は2024年に締結される予定で、現在、SNCが唯一の競合企業として契約を争っている。


固定価格での開発契約に反対しているのはボーイングだけではない。例えば、L3ハリスのクリス・クバシック最高経営責任者(CEO)は、このような条件での契約は拒否すると宣言している。


データ権利に関する産業界と政府間の意見対立がネックとなっている。政府は通常、軍主導のメンテナンスを可能にすることを求めている。ボーイング・グローバル・サービスと呼ばれる、民間契約と防衛契約の両方にサービスを提供するボーイングのサステナビリティ部門は、通常、同社の収益源であり、今年の第3四半期には7億8400万ドルの利益を計上した。■


Boeing out of E-4B 'Doomsday Plane' replacement competition - Breaking Defense

By   MICHAEL MARROW

on December 01, 2023 at 6:36 PM


2021年7月26日月曜日

アジア訪問前に国防長官がエリア51を訪問した模様。極秘事業で何らかの大きな進展があったのか。

 E-4B Lands at Travis

60TH AIR MOBILITY WING PUBLIC AF—PUBLIC DOMAIN

 

 

めて異例な動きだった。米空軍のE-4Bナイトウォッチ別名国家空中作戦センター(NAOC)機がトノパ試験施設(TTR)に着陸した。ここは米国の極秘航空機運用拠点として有名な地点で付近にエリア51がある。謎に満ちたフライトがなぜ行われたのかは不明だが、ロイド・J・オースティンIII国防長官と関係がありそうだ。

 

E-4BのTTR到着はオープンソースの飛行データウェブサイトADS-B Exchangeで判明し、機体番号74-0787の同機はTITAN25のコールサイン(国防長官の搭乗機)で到着していた。

 

「審判の日の機体」と呼ばれるE-4Bは空軍に四機あり、ボーイング747を改装し堅牢かつ生存性の高い空中指揮機として国家指揮権限官(NCA)たる合衆国大統領を乗せ、核攻撃命令を下す役目が知られている。同機には別の任務もあり、大規模軍事作戦の指揮統制や、自然災害含む大規模緊急事態時の対応もある。またナイトウォッチ各機は国防長官の外国訪問時にも使われる。E-4Bは国家機能存続のための重要な手段でもある。

 

FLIGHTAWARE

E-4Bはアンドリュース空軍基地からTTRへ移動した。


ADS-B EXCHANGE

E-4B 74-0787がコールサインTITAN25で TTRへ降下を開始した

 

 

またガルフストリームVの空軍要人輸送機C-37Aの一機がTTRにE-4到着の一時間前に着陸しており、着陸前にトランスポンダーを切っておりフライトの最終状況は把握できない。

 

ADS-B EXCHANGE

C-37A 97-0401 はあきらかにTTRに向かっていた

 

国防長官のアジア三か国訪問を念頭にすると長官はTTRへ寄ってから最初の訪問先シンガポールに出発したようだ。

 

レッドフラッグ演習がネリス空軍基地(ネヴァダ)で展開中であり、国防長官が近隣のTTRへ立ち寄ったのか。レッドフラッグ21-3ではF-117ナイトホーク隊をアグレッサーに使いネヴァダ試験訓練場(NTTR)を舞台にしている。

 

国防長官の海外訪問では随行記者団がE-4Bに同乗するのが通例で、極秘施設TTRへの到着にも同行していてもTTRの厳重な保安体制を考えれば窓のシェードを降ろしたまま機内待機を命じられていたはずだ。

 

GOOGLE EARTH

トノパ試験場空港は高度保安体制が敷かれている。

 

 

広大なネヴァダ試験訓練場にはエナジー省の原子力試験施設やエリア51含む立ち入り禁止地帯がある。TTRもそのひとつで、F-117が1980年代には極秘運用され、今日でも飛行を続けている。冷戦時にはソ連製戦闘機各種を極秘テストしたほか敵機役として米国など西側戦闘機との模擬空戦を展開した。今日では同施設は海外装備品研究(FME)に使われているほか、その他極秘事業を展開しており、高度無人機に関連する技術や特殊作戦能力の開発もその例だ。エリア51は高度極秘事業が開発段階から準運用段階に移行する場所でもある。

 

これまでも国防長官がNTTR内の施設を突如訪問し次世代航空戦闘能力の開発状況を視察したことはあったが、トノパ訪問しかもE-4Bに搭乗しての訪問は初めてだ。

 

別の可能性はE-4BがTTRへ国防長官を乗せずに到着したことだ。いずれにせよ、同機は数時間後にネヴァダ施設を離陸している。同機はアラスカに向かい、アジア歴訪の途上であることを示していた。

 

FLIGHTAWARE

TITAN25がTTRを離陸した

 

 

再度になるが、E-4Bがトノパに到着したこと自体が奇妙だが、アジア訪問を前に国防長官を運んだことはもっと奇妙だ。解釈としては何らかの重要事業が大きな成果をあげて長官自らが視察したのかもしれず、これが真実なら今後その内容があきらかになるはずだ。

 

もう一つの可能性は別のVIPが同機に搭乗していたか、E-4BとC-37をともに同基地に展開する必要があったのだろう。

 

追加情報

確認できた。ロイド・オースティン長官は同機に搭乗していた。また、C-37が長官をエリア51へ運んだ可能性が高い。TTRに6時間というのは長い。C-37はエリア51まで60マイルの距離をこっそり飛び、長官は現地で視察したのだろう。時間は十分あった。■

 

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E-4B “Doomsday Plane” Just Made A Highly Unusual Visit To Secretive Tonopah Test Range Airport

Seldom, if ever, do E-4Bs visit Tonopah Test Range Airport in Nevada and, in this case, the Secretary of Defense might have been onboard.

BY THOMAS NEWDICK AND TYLER ROGOWAY JULY 23, 2021


2021年2月20日土曜日

E-4B後継機も747原型になる可能性が濃厚。ただし、新規製造機体の取得は困難なので中古機材でもよいとする米空軍。大統領専用機材は747-8iで装備品等のコスト削減も視野に入っている模様。

 

  •  

An E-4B Nightwatch aircraft.

USAF

 

 

空軍が実現を急ぐのがSAOCすなわち残存可能空中作戦センター機で、老朽化してきた現行E-4Bナイトウォッチの後継機をめざす。

 

NAOC国家空中作戦センターとも呼ばれるSAOCの仕様は極秘扱いだが、空軍は後継機もE-4Bとほぼ同サイズの四発機を想定する。

 

空軍ライフ・サイクル管理センター (AFLCMC)の大統領専用機局がSAOC事業も担当し、契約公告を2021年2月17日に発表した。「政府は引き続き、超大型機を利用してのウェポンシステムの調達戦略を完全かつ開かれた形で希求する」とある。

 

USAF

E-4Bナイトウォッチは国家空中作戦センターとも呼ばれる。

 

 

これに先立ち、企業から民間機改装によるSAOC提案を募集する告示が2020年12月にあった。空軍から具体的情報の開示はないままで、関連のシステム要求内容文書(SRD) は極秘扱いとなっている。

 

Aviation Weekの防衛記事編集者スティーブ・トリンブルが中古民間機の利用の可能性に昨年触れていた。現時点でトリンブルは「超大型機体」との規定を見てジャンボジェット原型案の実現可能性が非常に高いと見ている。

 

SAOCの要求内容に物理的な内容があり、必要なエンジン数も定めており、極めて厳格に管理されているのは驚くにあたらない。よく「審判の日の機材」と呼ばれるE-4Bは四機あり、堅固かつ残存性が高い機体として大統領に国家統帥権(NCA)の実現として核攻撃命令を下す手段となる。その他の軍事作戦でも指揮統制を行い、必要に応じ大規模自然災害でも機能するのが役割だ。

 

大統領がVC-25Aエアフォースワンで海外移動する際にはE-4Bの一機が随行することが多い。E-4Bは国防長官の外国出張にもよく利用されている。

 

4機あるE-4Bのうち3機はE-4A高性能空中指揮所(AACP)として1970年代中頃に供用開始し、1980年代にNAOC仕様に改造された。4機目はNAOCとして取得した。全機が747-200B型を原型とする。なお、2機あるVC-25Aも同様に747-200Bを改修した。

 

空軍が747原型とするSAOCの実現に傾いている兆候は別にある。2017年に米海軍とともにE-4B、E-6Bマーキュリー、C-32Aを共通機材で更新する構想が浮上していた。

 

E-6Bも戦略指令機で、核爆撃機部隊、弾道ミサイル潜水艦やICBM部隊への通信を維持するための代替手段となる。この任務を空軍はABNCP、海軍はTACAMOと呼称している。

USAF

An E-6B Mercury.

 

C-32Aはエアフォースツゥーと呼ばれ、大統領も条件により使用することがあるが、通常は副大統領が使用する。

 

TYLER ROGOWAY

A C-32A Air Force Two.

 

2019年に空軍はNAOC、高官専用機、ABNCP、TACAMOを合わせたNEATの実現を棚上げし、SAOCとしてE-4B後継機の実現に集中するとした。2020年に海軍は次期TACAMOにC-130Jを検討中と発表した。

 

C-32Aは双発のボーイング757が原型で、E-6Bはボーイング707を元にしている。各機材で要求性能が異なり、機材統合案は実現しなかった。

 

次期エアフォースワンVC-25Bの例にも通じるものがある。破綻したロシア航空会社向け747-8i旅客機を改装する決定もこうして下されたのだろう。

 

MATT HARTMAN/SHOREALONE FILMS

この747-8i がVC-25B へ改装される。

 

 

2016年に当選を決めたドナルド・トランプに空軍はVC-25Bが四発機である意義を説明していた。エンジン一基が作動しなくなった場合、双発機では「ただちに着陸」を迫られる、と説明資料にある。トランプへのエアフォースワン後継機調達構想について空軍の説明資料を情報の自由法に基づく情報公開で入手した。

USAF VIA FOIA

エアフォースワンについて空軍が2016年当選したばかりのドナルド・トランプに説明した資料の一部。大統領専用機にしかない要求内容として双発機ではなく四発機が必要とのくだりがある。

 

E-4Bでも空軍が同じ結論にたどり着いたのは想像に難くない。NEAT構想は続いていており、KC−46ペガサス給油機改装案もあったが、同機は双発のボーイング767が原型だ。 

 

次期大統領専用機VC-25Bで747-8i を改装することになったのもE-4B後継機構想に影響している。ナイトウォッチでは充実した通信装備に加え、核爆発で発生する電磁パルス対策等が施されており、新エアフォースワンの改装内容を応用すれば747-8i原型のSAOCで費用節減につながるはずだ。

 

さらに空軍が中古民間機もSAOCに転用可能と発表したのはボーイングから747生産は現時点で受注済みの機体を持って終了するとの発表があったことが大きい。そうなると、今後登場する747原型の空中指揮所機材は中古ジャンボを改装する可能性が高くなる。ボーイングが政府向け機材生産のため生産ライン閉鎖を先送りする選択肢もあるが、その可能性はどんどん小さくなっている。

 

空軍の求める「超大型機」では747以外の選択肢がない。トリンブルは「中古のエアバスA380は対象外」と断言している。エアバスは同機生産を今年をもって終了する予定で、製造機数は17年で300機未満だが、747なら各型合わせ1,500機をボーイングは製造している。A380のサポート基盤は遥かに小さい。また空軍がSAOCを外国製機材にして安全保障や政治面で問題を起こしたくないはずだ。

 

ロッキードから巨大輸送機C-5ギャラクシーの改装提案が出ているのに注目したい。同機も生産は終了しているが、E-6Bの後継機になる可能性がある。

 

無論、空軍がどの機材をSAOCに選択するかは未定だが、747原型案に傾く兆候があちこちに現れているのは事実だ。■

 

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Requirements For New Air Force Doomsday Planes Seem To Preclude Anything But 747s

BY JOSEPH TREVITHICK FEBRUARY 17, 2021