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イランがF-35をレーダーで捕捉したと発表。だが、レーダーで「見える」ことと「標的にする」ことは全く違う。ステルス神話の誤解に漬け込もうという情報戦にだまされてはいけない

      先週末、イラン当局がペルシャ湾上空を飛行するアメリカのF-35を探知・追跡できたと主張し、注目を集めた。1兆7000億ドルをかけたステルス戦闘機計画は、攻撃的なイランに対して戦略的優位を提供できないという主張がソーシャルメディア上で殺到した。 「こ の数日間、F-35はペルシャ湾上空を飛行しており、離陸した瞬間から我々のレーダーによって完全に監視されていた」と、イランの当局者の発言を引用したのは、ベイルートに拠点を置くアル・マヤディーン・ニュースであるだ。同ニュースは、イラン、シリア、過激派組織ヒズボラなど権威主義政権に偏っていると批判されることが多い。 この主張は本当だろうか?かなり......真実はありそうだ。しかし、多くの人が思っているような意味合いはない。ステルス戦闘機は特定のレーダー周波数で探知可能であり、それは軍事計画者にとって目新しいことでもなければ、厄介なことでもない。このストーリーは、それ以前の多くのストーリーと同様、ステルス技術に関連する科学よりも、むしろステルスに関する一般的な誤解を利用し、現代の第5世代戦闘機の能力を実際より低く描こうとしている。そして間違いなく、F-35に限ったことではなく、すべての第5世代戦闘機が適切な状況下で探知される可能性がある。 ただし、そのような機体を標的にするのは難しい。 イランの主張を検証する イラン陸軍防空軍の作戦副司令官であるレザ・カジェ准将が、イランがこの地域でF-35を探知し、潜在的に追跡もしているとの主張を初めて表明した。この主張は、シリア上空でのロシア軍機とホルムズ海峡でのイラン軍機との一連の攻撃的な交戦を受け、米中央軍地域に約12機のF-35が配備されたことを受けたものだ。 カジェ准将によれば、同地域のすべての飛行はイランの防空システムで監視されており、彼が「盗聴システム」と呼ぶものにより強化されている。 ソーシャルメディア上ですぐに目にした反応によれば、多くの人がこの主張に基づいて、イランが地球上で最も先進的な戦闘機のステルス能力を覗き見るコードを解読したと確信していることは明らかだ。 こうした主張は、ステルス戦闘機に関する誤解を利用している。 ステルス戦闘機は、レーダーや赤外線など、各種手段で探知を遅らせたり、時には妨害したりするよう設計されている。つまり、適切な状況下ならば、こう

歴史に残る機体(32)ボーイング・バードオブプレイは実証機の域を脱しなかったが、低価格でも十分なステルス性を実現し、ボーイングに多大の貢献をした異様な形状の機体だ。

歴史に残る機体(32)ボーイング・バードオブプレイ 1 990年代を通じ、 マクダネル・ダグラス のファントムワークスがユニークなステルス戦闘機をエリア51で秘密理にに開発・テストしていた。この機体は Bird of Prey 猛禽として知られる。同機は「YF-118G」の名称で開発されたものの、元から運用を想定したものでなかったが、同機で得た設計面製造面の知見は今も政府の機密事業に活用されている。 中でも最も貢献度が高い要素がコストだ。ステルス機は押しなべて高額なことで知られるが、同機は今日のF-35一機分の予算で設計から製造まで実現している。 ステルス機の革命 1983年10月に ロッキード F-117ナイトホークが秘密裡に米空軍で供用開始し、世界初の実用ステルス機が登場した。同機には戦闘機の「F」の記号がつき、ステルス戦闘機と呼ばれるが、実は戦闘機ではなかった。レーダーも機銃も搭載せず、ペイロードも2千ポンド爆弾二発に限定されたF-117は戦闘機のふりをした攻撃機であった。ただ誤解を避けると、当時のいかなる機体とも異なる存在であった。 敵防空網突破のため高速で高高度飛行性能を追求する時代が続いたが、ナイトホークは航空技術および航空戦の考え方の転換点となった。同機はF-15やF-16より低速で取扱いも面倒な機体だったが、レーダー断面積が82平方フィートと米軍機で最小となり、敵レーダーで姿が見えない存在となった。 それから10年たらずでロッキードのYF-22とノースロップYF-23が空軍の高度戦術戦闘機への採用を巡り競合し、世界初の真のステルス戦闘機が生まれようとしていた。マクダネル・ダグラスもファントムワークスに独自のステルス戦闘機構想があり、実現のため人材を配置していた。 ステルス航空機の秘密の開拓者 Boeing Bird of Prey in flight (Boeing) ロッキード、ノースロップの高性能ステルス戦闘機に国費が投入されたがマクダネル・ダグラスは自社資金で新型機開発を進めた。資金の有効活用を図るべく、同社はアラン・ウィークマン Alan Wiechman をプロジェクトのトップに据えた。 ウィークマンはロッキードのスカンクワークスでHave Blue開発に従事し、後継機となったF-117ナイトホークの実現にも貢献し、シーシャドウつまりステル

J-20マイティドラゴンの真の性能を推定する。(一部情報が古くなっています)中国が考える第五世代機は実はドッグファイト能力も想定しているのではないか。

        2 011年のこと、大型で矢じりに似た灰色塗装のジェット機の初飛行で中国は初のステルス機成都J-20「 威龙 Mighty Dragon」を公表した。六年後にJ-20は人民解放軍空軍(PLAAF)に配備を開始した。   同機はレーダー誘導式ミサイルで百マイル単位の距離から敵機を狙うステルス機で厳しい戦闘状況でもパイロットを無事帰還させるといわれる。     だがJ-20はどこまでの威力があるのか。またどんな任務を想定するのか。つまるところ米国初のステルス戦闘機F-117ナイトホークは実態は戦闘機ではなく、空対空戦闘能力は皆無だった。   PLAは装備品の情報を隠し、特に性能面では公表情報は少ない。そのためJ-20の最高速度、航続距離(マッハ2、2,000マイル)はともに推定にすぎない。兵装庫は4-6発の長距離ミサイルあるいは爆弾を搭載するものの大型兵装は搭載しないようだ。   各国筋は同機を高速かつ長距離運用可能な機体とみているが、同機には近接交戦で必要となる機敏な機体制御は欠如している。珠海航空ショーの飛行展示でも際立った操縦性を示していない。   これを見て観測筋はJ-20を長距離超音速攻撃機あるいは一撃離脱の迎撃機で敵防空網を突破し、脆弱な給油機やAWACS機を攻撃する存在と見ている。   だが The Diplomat のリック・ジョーの主張はこうした推論は同機設計上の特徴に目をつぶり、中国がJ-20を多任務戦闘機で「強力な」ドッグファイト能力があると説明していることに目をつむった集団思考の典型だと指摘している。   たとえば、珠海ショー(2018年)で配布された資料ではJ-20は「航空優勢を確立し、中長距離迎撃に対応し、援護および深部進入攻撃」が可能としていた。これは多任務戦闘機だということだ。   「よく見られる誤りは中国航空宇宙産業界では第五世代制空戦闘機の製造はできないとし、技術的に低い芸芸機あるいは攻撃機に落ちつくというものだ」とジョーは述べている。   大型のJ-20だがロシアのSu-35フランカーEより短い。Su-35は最高性能の機体制御能力を有するといわれるジョーは2001年のSong Wecongによる検討内容を引用しており、Songはステルス機は「スーパークルーズ性能とともにストール後の機体制御などこれまでにない性能が必要

B-2スピリット爆撃機で極秘扱いのステルス性能技術を推理する。B-2を投入するシナリオはこうだ。

  B -2は世界でも特異な機体で高度の機密のベールに覆われている。製造わずか21機で、翼幅170メートルの機体だが、大型鳥類程度にしか探知できないといわれる。エンジン4基で飛行するが大部分の赤外線装置は探知できない。 これだけの大きさの機体をどうやって探知不可能にしているのだろうか。 B-2のステルス性能はコンピュータテストの連続実施で生まれたもので、F-117やB-1もステルス機だが当時のコンピュータ能力は低く、技術陣が計算尺を手に設計した。 だがB-2の設計時点で、技術陣はスーパーコンピュータを利用し、滑らかな機体表面を実現し、レーダー探知を無効にした。それだけ機械加工の難易度が高まったがステルス性能を考えれば追加工数の価値ありと判断された。 B-2がレーダーに向かって飛行すると、レーダー波は90度反対方向に反射されて戻るので、レーダー操作員は手が出せない。 B-2の夫婦パイロットの後方にある機体でエンジン空気取り入れ口がコックピットの左右についているのがわかる。 (Avery family courtesy photo) だがエンジンが機体に取り付けられればステルス性能は損なわれる。そこで、技術陣は機体にエンジンを統合し、レーダー波が直接反射できないようにした。 ただし排気は面倒の種となる。赤外線痕跡で航空機は探知可能となる。ただし、かなり接近していないと難しい。そこで、B-2には可能な範囲の短距離で赤外線排出を拡散させる、または隠ぺいする技術を必要とした。 その技術は極秘扱いだが、排出口形状から推測はできる。熱排気を外気と混ぜ冷却してから排気することで排気温度を大気温とほぼ同じにする技術のようだ。 この機能により敵側のミサイルや戦闘機は対応が困難となる。ただし、いったん機体が見つかれば、戦闘機部隊は接近し撃墜を試みるはずだ。 だがB-2ではこの可能性も低い。きわめて静寂なため、スポーツイベント会場上空をB-2が飛行する中で普通に会話ができる。 通常の機体の場合は現場上空に到達する前から飛行音が聞こえるのが普通だ。音で機体の方向がわかる。だが、B-2の音響痕跡は小さく、飛行中の同機を見つけるのは大部分困難だ。 2018年のロイヤル国際エアタトゥーでRAFフェアフォード基地上空を飛行するB-2 (U.S. Air Force Tech. Sgt. Brian

非ステルス空中給油機のジレンマはステルス、非ステルス機を両用する米空軍の悩み。だが根本的な解決方法が実はあるのではないか。

  米 空軍が将来の空中給油機の残存性を高める構想を練っている。 米国は巨額の費用をステルス戦闘機、ステルス爆撃機、ステルス巡航ミサイル、さらにステルススパイ機に投入してきた。給油機もステルスにしたらやりすぎだろうか。   ステルス給油機構想は決して突飛なものではない。21世紀航空戦の主役といわれるF-35やF-22のステルス機の航続距離が短いことがその理由だ。   F-35の600から800マイルの航続距離はその他戦闘機と比べさほど劣るものではない。だが、F-35がステルス性を最大限にする場合は主翼下に追加タンクを搭載できない。     もう一つの問題は空基地あるいは航空母艦が敵弾道ミサイルの射程内に入っていることだ。第二次大戦からアフガニスタンまでの戦績は高性能戦闘機といえども地上あるいは艦上では無力な存在だと実証すている。とくに大国を相手の戦闘ではミサイルの雨が基地に降るはずで、攻撃後に投入可能な機体はわずかしかないだろう。   幸い米軍機材には空中給油が利用できる。だが民間旅客機を原型とした給油機が敵戦闘機に撃墜されるリスクは超長距離空対空ミサイルがロシアR-37のように射程が250マイルにもなり高まるばかりだ。中国も給油機、レーダー搭載機材等の支援機材の撃破を狙ってくると予想される。給油機を倒せば、太平洋の戦いは勝ったも同様だ。   ステルス戦闘機を敵領空に侵入させるとジレンマが生まれる。今日の地対空ミサイルには機動性の劣る機材を250マイル先から狙えるS-400のような装備がある。つまり、通常型給油機は敵防空体制のはるか後方にとどまる必要がある。しかし、その位置でもレーダー探知され敵戦闘機の標的になる。   レーダー断面積の少ない給油機が問題解決になる。ただし、ステルス戦闘機並みのレーダー断面積は不要だ。   米空軍は新型KC-46Aペガサス給油機を179機導入しようとしており、400機あるKC-135、KC-10の両機種を順次退役させるというのが、航空機動軍団の当初案で、その後に別の通常型給油機をKC-Yとして2024年頃から導入し、最終的にステルス給油機KC-Zを調達するとしていた。   ところが2016年にKC-46改修型の調達をふやすため、KC-Yは断念し、KC-Zを早期実現したいと空軍は方針を変えた。早期とは2035年以降の想定だ。   そんな