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2026年8月9日日曜日

プーチンが今秋にもNATO侵攻に踏み切る可能性を懸念する米情報機関―すべてがプーチンのキチガイぶりで始まっていたとしたら恐ろしい話で、そもそもウクライナではなく日本が侵攻対象になっていたともいわれています

 

米情報機関がプーチンへの評価を変更――NATO領土への侵攻は早ければ今秋にもありうると当局は懸念

US Intelligence Has Changed Its Mind About Putin — Officials Now Fear He May 

可能性の高い場所はカリーニングラードとベラルーシの間の狭い回廊――NATOがバルト三国へ至る唯一の陸路だ。目的は領土の獲得ではない。ワシントンと欧州が、第5条発動に躊躇するかを見極めることにある

https://nationalsecurityjournal.org/us-intelligence-has-changed-its-mind-about-putin-officials-now-fear-he-may-probe-nato-territory-as-early-as-this-fall/

プーチンはNATOを試すのか? – ウクライナによる「長期的制裁」キャンペーンの重圧に苦しむロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、重要なエナジー・物流インフラへの攻撃によりロシアの侵攻継続コストを押し上げているが、早ければ今秋にもNATO領土に対する限定攻撃を検討していると報じられている。今週の報道によると、米情報機関の評価では、ウクライナのドンバス地域を完全に掌握しようとするモスクワには制御されたエスカレーションのリスクを冒す準備ができている可能性があるとしている。

現時点で分かっていること

プーチン大統領がNATOを試す準備ができているかもしれないというニュースは、最新の情報評価に詳しい米当局者の話として、8月7日に『ウォール・ストリート・ジャーナル』が最初に報じた。これらの評価は、戦争の情勢変化――特に、ウクライナによる国産の長距離ドローンやミサイルの多用――に伴い、クレムリンの戦略的計算がどのように変化しているかを検証した最近の諜報分析に基づいている。

新たな評価によると、モスクワは、ウクライナでの目標達成への決意を示すため、サイバー攻撃、破壊工作、武装代理組織による侵入、あるいはNATO加盟国を巻き込む限定的な通常軍事作戦など、各種選択肢から選択する可能性がある。

当局者は、モスクワがNATOとの全面戦争を望んでいるとは考えていないものの、プーチン大統領が、同盟が政治的に十分に分裂しており、加盟国に対し攻撃への集団的対応を義務付ける相互防衛条項である第5条の発動を躊躇すると判断する可能性があることを懸念している。

この情報から、そのような攻撃が差し迫っていること、あるいは実際に発生することさえ示唆されているわけではない。しかし、これはこれまでの米国の評価と一線を画すものである。これまでは、ロシアはウクライナにおける目標の達成に強く注力しつつも、NATOの挑発は避けよるだろうと一般に考えられていた。

一方で、戦争が長期化し、ウクライナによる長距離攻撃がクレムリンに対し、本格的な戦果を上げるよう強い圧力をかけていることから、現在、モスクワの計算は変わっている可能性がある。

最も可能性の高い圧力ポイント

米国当局者はモスクワによる具体的な標的を公には特定していないものの、アナリストたちがかねてより議論してきた最も可能性の高いシナリオは、NATOの東部戦線沿いへの侵攻である。これは、同盟との限定的な対立を試すための理想的な試金石となるだろう。

バルト三国とポーランド北東部、とりわけポーランドとリトアニアを結ぶ細長い地域であるスワウキ・ギャップが、最も可能性の高い圧力ポイントとなり得る。ここは、リトアニア、ラトビア、エストニアへと通じるNATO唯一の陸上ルートである。

この回廊は、重武装されたロシアの飛地であるカリーニングラードと、モスクワの最も親密な軍事同盟国であるベラルーシの間に位置している。したがって、ここはヨーロッパで最も敏感な地理的要衝であり、ロシアが限定的な侵攻によって様子を伺うには最適な場所と言える。

しかし、それにはどのような意味があるのだろうか。長年にわたり、西側の防衛計画担当者は、ロシアが限定的な領土の占領を試みたり、NATOのバルト三国へのアクセスを一時的に遮断したりするシナリオを検討してきた。そのような動きは、同盟に対し、軍事的なエスカレーションとより広範な紛争のリスクを冒すか、あるいは単にロシアの限定的な勝利を受け入れるかの選択を迫ることになりかねない。

プーチンは政治的勝利を望んでいる

また、NATOに対するロシアの作戦は領土獲得が目的ではなく、政治的勝利を収めること――あるいは、ウクライナにおけるモスクワの要求について西側諸国に譲歩を強いること――を目的としている可能性もある。

NATO領土への限定的な侵攻は、ワシントンおよび欧州の同盟国が、小規模な侵攻に軍事的に対応する準備ができているかどうかを試すことになる。もし攻撃を受けたNATOが、たとえ一瞬であっても躊躇すれば、モスクワは同盟内の弱点を露呈したと判断するだろう。

これは、欧州全域における米国の安全保障保証への信頼を損なうことになり、さらには、事態がエスカレートする恐れがあるという理由だけでなく、NATOが長期戦を戦うには不十分な立場にあるという理由から、NATO加盟国に対し、ウクライナ東部を掌握しようとするロシアの試みへの反対姿勢を見直すことを余儀なくさせる可能性さえある。

ウクライナ戦争がロシアの考え方を変えつつある

情報機関によるこの警告は、ウクライナによる長距離攻撃によってロシアが政治的・経済的圧力の高まりに直面している中で出てきた。また、ロシアの弾道ミサイル攻撃はウクライナに甚大な被害をもたらすリスクがあり、キーウ側が最終的に長距離攻撃の割に合わないと判断する可能性もある一方で、ロシアは依然として国内の石油供給危機に苦慮している。これに加え、それに伴う経済問題や、戦争の影響を肌で感じ始めている一般市民からの政治的圧力も相まって、モスクワはまもなく紛争への対処法を再考せざるを得なくなるかもしれない。

今週、プーチン大統領は軍最高指導部の全面的な人事刷新を発表した。

したがって、モスクワは、ウクライナでの勝利を確実なものにし、ウクライナによる攻撃が引き起こし続けている被害を軽減するため、新たな戦術が必要であると計算しているに違いない。

新たな戦術がなければ、ロシアが被る政治的・経済的損害はまさに歴史的なものとなる恐れがある――そしてそれを防ぐため、プーチン大統領は、リスクを伴うエスカレーションが必要不可欠であると信じているかもしれない。■

著者について:ジャック・バックビー

ジャック・バックビーは、ニューヨークを拠点とする、防衛および国家安全保障を専門とする英国人研究者兼アナリストである。彼の研究は軍事能力、調達、戦略的競争に焦点を当て、政策立案者や防衛関係者を対象とした分析記事の執筆・編集を行っている。19FortyFiveやNational Security Journalで1,000本以上の記事を執筆してきた豊富な編集経験を持ち、過激主義や脱過激化に関する著書や論文も執筆している。



2026年8月8日土曜日

ロシアを救うにはプーチンをここで止めねばならない ― ウクライナの勝利よりロシア国内有力勢力による反乱クーデターのほうが現実的か

 

ウクライナ戦争を強制終了させる:「プーチンを屈服させる」時が来た

How to Finally End the Ukraine War: Time to ‘Bring Putin to His Knees’


プーチンを屈服させる最も有力な手段は、ウクライナによるクリミアの漸進的な締め付けだろう。ロシアの兵士や民間人が半島から逃げ出し続ければ、事実上、ロシアはクリミアを失うことになる

https://nationalsecurityjournal.org/how-to-finally-end-the-ukraine-war-time-to-bring-putin-to-his-knees/

シアの「正統性を欠いた」大統領は、ウクライナへのロシアの戦争を終結させる交渉に応じる用意があるのだろうか? 米国を代表するロシア専門家の一人トーマス・グレアム Thomas Grahamは、そう考えている。ロシアもウクライナも、今後さらに悪化するばかりである莫大な人的・経済的損失を被っていることを指摘し、グレアムは、トランプ政権が仲介する和平合意に向けた好機が現在存在すると主張している。

ウクライナ戦争を終結させる提案

グレアムの論理は説得力があるが、プーチンが平和を望んでいるという彼の理性に基づいた信念は、残念ながら根拠がない。それは、普通で理性的なロシアの指導者であれば、和平合意に関してグレアムと同じ結論に達しないからではなく、プーチンが普通で理性的なロシアの指導者ではないからだ。確かに、米国はグレアムの助言に従い、戦争を終結させようと試みるべきだろう。奇跡は起こるものだ。しかし、プーチンが平和を望んでいるなどとは誰も想像すべきではない。彼は和平を受け入れることを余儀なくされる可能性はあるが、自発的にそれを望むと信じる理由はない。

グレアムの主張は、要するに次のようなものだ。「戦争が続く毎日、未来はますます暗くなる」。その通りだ。「戦争の代償は、最大限の目標を追求するための政治的余地を着実に狭め、交渉による解決の価値を高めている。こうした状況下では、好機を捉えて紛争を終結させるために、集中的な交渉が緊急に必要とされている」。これもまた正しい。

そもそもプーチンは合理的ではない

残念ながら、プーチンはウクライナに関する決定を、自国や国民にとって何が有益かという合理的な費用対効果分析に基づいて下しているわけではない。もしそうであったなら、2022年にウクライナに侵攻することなど決してなかっただろうし、150万人近いロシア兵の犠牲を払って、ウクライナの泥だらけの土地と、正気の人が住みたいとは決して思わないような荒廃した都市群を手に入れるという「肉挽き機」戦略を継続することもなかったはずだ。

プーチンを動かしているのはイデオロギーと自己保存本能だ。彼は、ウクライナがロシアにとって存亡を脅かす脅威であり、「最終解決」によって根絶しなければならないと固く信じている。グレアムによれば、もし戦争が「今日で止まったとしたら……、双方が勝利を主張できるだろう」という。ゼレンスキーは、ウクライナ人にとって最も大切なもの――すなわち独立、主権、そして欧州への志――を守り抜いたと正当に主張できるだろう。プーチンは、ロシアに戦略的敗北を喫させようとする西側の試みを阻止したこと、そして東ウクライナに住む数百万人のロシア人を、彼がキーウの「ネオナチ政権」と描写する体制から『解放』したことの成功を称えることができるだろう。」

正常で理性的な指導者であれば、グレアムの論理に同意するだろう。当然ながら、ゼレンスキーも、そして大多数のウクライナ人もそうである。しかし、プーチンにとって、完全勝利に至らないまま終結することは、自らがロシア人であることを認めようとしない「自称国家」の手による、ロシアにとっての戦略的敗北となる。

グレアムの論理を受け入れることは、プーチンをも破滅させることになる。彼は、自身の政治的存続が完全な勝利にかかっていることを痛感しているからだ。グレアムは、「双方が、戦闘を継続することで交渉上の立場を有利にできると信じているかもしれない」と記している。ウクライナ人はそう信じているかもしれない。しかし、プーチンはそう考えていない。なぜなら、交渉という概念そのものが、ウクライナの存続を前提としているからだ。

プーチンを止める方法

プーチンに白旗を掲げさせるには、何か説得力のあるものがあるだろうか?

そう、敗北だ。

アドルフ・ヒトラーを思い起こしてほしい。彼と熱狂的な支持者たちは、ベルリンが連合軍に占領され、降伏以外の選択肢が(正常で理性的なドイツ人にとっては)もはや想像もできない状況になっても、最後まで戦い続けた。

戦線におけるウクライナ軍の突破はあり得る。特に、プーチンが今秋、やる気もなく訓練も不十分な50万人のロシア人を動員するという意図を固持し続けるならばなおさらだ。ウクライナのドローンに対する彼らの最初の反応は、死ぬよりは逃げる、というものになるかもしれない。

ロシアのエリート層の間で、「ロシアは勝てない」という認識が広がり、150万人の死傷者で十分と考える者が増えてきたことを踏まえれば、ロシアでのクーデターもあり得る。

プーチンを屈服させる可能性が最も高いのは、ウクライナによるクリミアへの漸進的な締め付けだ。ロシアの兵士や民間人が半島から逃げ出し続ければ、事実上、ロシアはクリミアを失うことになる。このような歴史的な大惨事は、ロシアとプーチンに対して戦略的な打撃を与えるだろう。

プーチンの無能さと愚行で弱体化され、屈辱を味わされたロシアのエリートたちは、彼の政治生命に終止符を打ち、グレアムの助言に従って自国の残されたものを救おうと決断するかもしれない。■

著者について:アレクサンダー・モティル博士、ラトガース大学

アレクサンダー・モティル博士は、教授としてラトガース大学ニューアーク校で政治学を教えている。ウクライナ、ロシア、ソ連、ならびにナショナリズム、革命、帝国、理論の専門家であり、著書として、『Pidsumky imperii』(2009年)、『Puti imperii』(2004年)、『Imperial Ends: The Decay, Collapse, and Revival of Empires』(2001年)、 『革命、国家、帝国:概念的限界と理論的可能性』(1999年)、『独立のジレンマ:全体主義後のウクライナ』(1993年)、『右傾化:ウクライナ民族主義のイデオロギー的起源と発展、1919–1929年』(1980年)など、ノンフィクションの著書を10冊執筆している。『ナショナリズム百科事典』(2000年)や『ホロドモール・リーダー』(2012年)を含む15巻の編集を担当し、学術誌や政策誌、新聞の論説欄、雑誌などに数十本の記事を寄稿している。また、毎週更新のブログ「Ukraine’s Orange Blues」も運営している。


2026年7月17日金曜日

ウクライナ戦争でロシアを交渉の席につかせる方法とは―ロシア国内にプーチンへの不満が高まってきた

 

ウクライナ問題でロシアを交渉の席につかせる方法

How to Push Russia to Negotiate on Ukraine


https://nationalinterest.org/feature/how-to-push-russia-to-negotiate-on-ukraine

ウクライナ戦争へのロシア国内の不満の高まりと、キーウ側の作戦上の成功が相まり、ついにモスクワを交渉の席につかせる可能性が出てきた。

こ数週間でロシアのエリート層や一般市民の間で、ウラジーミル・プーチン大統領への支持が低下してきたとする報道が相次いでいる。これと時を同じくして、モスクワ含むロシア国内の奥深くでウクライナによる攻撃が成功する事例が増加していることに対し、ロシア国内で広範な懸念が広がっているというニュースも報じられている。

こうした一連の出来事は、米国と欧州にとって新たな機会となる。特に、適切な防衛体制さえ整えば無力化可能なミサイル攻撃に大きく依存しているプーチン大統領の現在の軍事戦略の弱点を突くよう、両者が連携して対応できればなおさらである。NATO首脳会議からのニュースは、その方向への有望な一歩だ。とりわけ、ドナルド・トランプ大統領が、ウクライナにペイトリオットミサイル迎撃システムライセンス供与を行うと約束したことは注目に値する。

プーチン率いるロシアに対する不満に関しては、最新の兆候として、『エコノミスト』に掲載された、ロシアで最も著名な実業家である「肥料王」アンドレイ・メルニチェンコへのインタビューがある。彼が公に発言することを決断したことは、戦争が長期化し、国内で変化がなにもなければロシアが直面するという、彼が描く厳しいシナリオと同様に衝撃的である。彼は政権交代を求める発言を慎重に避けているが、国民の福祉をより重視し、世界に対してより予測可能で敵対的でない姿勢を示す政策がなければ、ロシアは混乱に陥るか、あるいは中国や西側諸国との間で、無力な従属関係に陥る可能性があると見ている。

これに先立ち、ロシア政府の元高官が匿名で『エコノミスト』論説を寄稿していた。プーチン政権の近々の崩壊を予測するわけではないものの、「匿名」氏は、ロシア国民が「彼不在の未来」を想像し始めたと主張し、ロシアが勝利を収められていない戦争のコスト増など、多くの要因があると指摘している。しかし、主な論点は、ロシアのエリート層が得ていた利益が失われつつあると感じており、ロシア国民一般が「目的のない弾圧」を受けていると感じているという点にある。2025年3月に逮捕された同国屈指の農業実業家から数十億規模の資産を没収しようとした政府の試みは、間違いなくこの感情に拍車をかけている。

同様の報道は、ロシア国内に有力な政府筋を持つと主張する出版物からも漏れ伝わっている。メデューサは、ラトビアを拠点に活動するロシアの反体制派ジャーナリストが運営するメディアだが、大統領府、議会、地方政府の情報筋を引用し、彼らが「戦争が2024年に終わらなかったこと」に失望していると伝えている。彼らは戦争に「疲弊」しており、プーチン大統領には明確な戦後のビジョンがないと考えている。

これとある程度対をなすのが、異なる形で不満を表明する相当数のグループだ。彼らは戦争をもっと積極的に遂行することを望んでいる。彼らは戦争そのものに反対しているわけではないが、人的・物的資源の不足に苛立ちを感じている。彼らはさらなる動員と、国をこれまで以上に戦時体制に置くことを支持しており――つまり、プーチン大統領の紛争管理にも深く不満を抱いているということになる。

おそらく、ロシア国内でこれほど広範な怒りを引き起こしたものは、政権によるテレグラムアプリの禁止インターネットへの厳しい規制以外にはないだろう。これらは、比較的自由な表現や外部情報へのアクセスが可能な数少ない手段であると同時に、ストレスに満ちた社会で日常生活を便利にするものでもある。一部ロシア国民は、こうした規制がインターネットの「北朝鮮モデルへの移行を準備している」のではないかと懸念している。

ロシアにおける世論の把握は常に困難だ。しかし、入手可能な調査の中で最も信頼性の高いものは、「アノニマス」や、依然としてロシア国内への影響力を持つ独立系ジャーナリストたちが描き出した全体的な傾向を裏付けている。比較的独立したレヴァダ・センターの世論調査によると、軍自体への支持やロシアにとって有利な結果への期待は依然として高いが、戦争への支持は24%と過去最低水準に低下している。クレムリンのために活動する世論調査会社による別の調査によると、プーチン大統領への信頼度は2022年以来の最低水準にあるという。

戦況は、こうした状況にどこまで影響を与えているのだろうか? 西側の世論の多くは、戦況がウクライナ側に傾いたという見方だ。確かにウクライナは好調だが、「勢いの転換」という説明では状況を過度に単純化しすぎている。

ウクライナが高性能ドローンでロシア国内深くまで侵入し、破壊的な打撃を与えていることは、間違いなくロシア国内の雰囲気を暗くしている。こうした攻撃により、ロシアの精製能力の約20%が停止状態に追い込まれたからだ。しかし、領土の獲得・喪失を追跡している専門家たちの見解は分かれており、ロシアの損失が甚大だと指摘する者もいれば、わずかな獲得にとどまると報告する者もいる。

その主な理由は、双方の浸透戦術によって、現地に流動的なグレーゾーンが生まれ、従来の「前線」という概念が崩れたことにある。浸透した地域を支配地域として数える(ロシアや一部の専門家がそうしているように)と、たとえ一時的なものであっても、領土の獲得のように見える。一方、ロシアの浸透をウクライナの損失として数える(キーウがそうしているように)と、状況は異なって見える。

過去3か月のデータを見ると、いずれの側も戦略的な規模で戦況を覆す能力を示していない。とはいえ、ウクライナは、戦場で一進一退の状況に耐えつつも、ロシアに対する経済的・政治的圧力を強めることで戦略的優位性を獲得しつつある。この状況は、兵力不足でさらに悪化しており、プーチン大統領が戦争を十分に長く継続させることができれば、兵力不足は大きな弱点となるだろう

純粋に軍事的な観点から見れば、近い将来、いずれの側も決定的な突破口を開くことはなさそうだ。

では、これらすべては何を意味するのか? 本当に何かが変わったのだろうか? 結局のところ、プーチンへの信頼を失いつつある人々や戦争にうんざりしている人々は、プーチンは生き残る可能性が高いと見ている。また、ウクライナで足止めを食らっているロシア軍が、決定的な敗北の危機に瀕している確証もない。これは単なる一時的な局面に過ぎず、秋までには、終わりが見えない、いわゆる「膠着状態の戦闘」に戻ってしまうだろうと言いたくなる。

とはいえ、4年を経て、ある種の転換点に達している可能性も否定できない。主な特徴は、ロシア国内における重要かつ新たな動き、すなわち、抑圧的な措置のデメリットがメリットを上回り始めたという認識かもしれない。

こうした不満が「臨界点」――つまり、指導者への支持が単純かつ突然に崩壊する時点――に近づいているかどうかは定かではない。それに対抗するのは、異議を検知し無力化するためにプーチンが指揮する強力な弾圧機構である。政治分析において、確信を持って測るのが最も難しいのは、漸進的な変化――筆者がロシアで察知していると思うもの――が臨界点に達し、決定的な転換を引き起こす瞬間である。こうした変化が起きたことに我々が驚かされるのは、通常、それを正確に予測することがほぼ不可能だからである。

プーチンはロシア国内での支持率低下に対する対応として、ウクライナでの軍事行動をエスカレートさせてきた。彼はウクライナへの爆撃、ミサイル攻撃、ドローン攻撃を強化することでこれを行っている。これは、国内の聴衆に向けて、勝利しているかのように見える演出を作り出すためである。したがって、もしここで米国の政策に機会があるとすれば、それはプーチンがそうした行動をとる能力を阻害する可能性にある。

そのような米国戦略の2つの重要な要素は、ウクライナへの防空能力の強化と、プーチンが攻撃を行う手段を無力化する中距離打撃能力の強化である。

もちろん、ウクライナを支援することは、戦争を終結させるための標準的な評価であり、これは目新しい考えではない。しかし、斬新なのは、これらすべての要因――プーチンの国内問題、彼による「見せ物」への欲求、そして現地での未解決の状況――が組み合わさっている点だ。これらが相まって、西側諸国が行動を起こすには特に好都合な局面が生まれている。今こそ、米国と欧州が、ウクライナの最も重要な戦力を強化するために最大限の努力を払うべき時である。これこそが、プーチンの現在の戦略を阻害し、ロシア国内における彼の統治に対する不満を煽るための最大の希望となる。

ウクライナの防空能力強化は最優先事項であり、ペイトリオットシステムは依然として最高水準の装備である。もちろん、こうしたシステムは高価であり――1システムあたり約10億ドル、ミサイル1発あたり400万ドル――供給も不足している。ウクライナは現在、米国、ドイツ、オランダを通じて調達した8基のシステムを運用中である。ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、十分な防空網を確保するには25基が必要だと述べている。

トランプが、永年求めてきたウクライナに生産ライセンス契約を付与すると約束したことは、キーウにとって歓迎すべきニュースだ。これは戦略的に重要だが、主に米国の支援を示す政治的シグナルとしての意味合いが強く、2026年の迎撃ミサイル不足という危機に即座に作戦上の影響を与えるものではない。同危機においては、集中攻撃期間中の消費量が月あたり推定100発に達すると見込まれている。さらに、トランプが言及していたのが、迎撃ミサイルのみを指すのか、より広範なペイトリオット・システム全体を指すのか、あるいはウクライナや欧州におけるその他の種類の生産を指すのか、あるいはその両方なのかは、明らかではなかった。

さらに、システム全体の生産には極めて複雑なプロセスが伴う。これには、ロッキード、RTX、ボーイングという少なくとも3社が製造した部品の統合が必要であり、部品によっては製造や統合に他よりも多くの時間を要するものもある(この問題が最終組立の遅れの一因となっている)。

ここから現時点からウクライナでの生産ラインが稼働するまでの間のギャップを、兵器の移転、同盟国による購入、および優先順位付けによって埋める必要が残っていることがわかる。生産を加速させ、かつ/または運用19ヵ国から約17~18基のペイトリオットミサイルを調達することは、米国の産業界や外交、そしてウクライナの防衛産業基盤にとって極めて困難な課題ではあるとはいえ、乗り越えられないものではない。

もしトランプ大統領が「インパクト」を求めているのであれば、これを成し遂げること以上に、今日の国際舞台において決定的な成果をもたらすものは想像し難い。

たとえこれによってプーチン大統領がウクライナにおける目的を放棄したり、ロシアで政権交代が発生するとは、決して期待すべきではない。しかし、これにより彼のジレンマは深まり、選択肢は狭まり、面目を保つため終結を求めて交渉の席に着く方向に、情勢の均衡が傾く可能性はある。そうなれば、抑止力と安全保障の保証を通じ、将来にわたってウクライナの領土保全を保証するという、同様に困難な課題は、米国、欧州、あるいはその両者による外交に委ねられることになるだろう。■

著者について:ジョン・マクラフリン

ジョン・マクラフリンは、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)の教授である。2004年7月から9月まで中央情報局(CIA)の局長代理を務め、2000年から2004年までは同局の副局長を務めた。それ以前は、CIAの諜報担当副局長、情報評価担当副委員長、国家情報会議(NIC)の議長代理を歴任した。1968年から1969年にかけては、ベトナムで米陸軍将校として従軍した。

本記事に記載された事実、意見、分析はすべて著者個人のものであり、米国政府の公式な立場や見解を反映するものではない。本記事の内容は、米国政府による情報の認証や著者の見解への支持を主張または示唆するものと解釈されるべきではない。


2026年6月22日月曜日

プーチンは負けを認められないが、モスクワが毎日空爆を受けロシア人の最大の恐怖=国内侵攻は誰の目にも明らか。追い詰められたプーチンが核攻撃のオプションに手を出す可能性はあるのか

 

プーチンが無力ぶりを露呈:モスクワはドローン攻撃を毎夜受けている

Putin the Powerless: Moscow Is Getting Hit Night After Night with Drones


https://nationalsecurityjournal.org/putin-the-powerless-moscow-is-getting-hit-night-after-night-with-drones/


Putin in May 2022 Looking Tough Creative Commons Image

2022年5月、強気な表情のプーチン(クリエイティブ・コモンズ画像)

クライナ戦争の戦況が一変した。ウクライナのドローンが、クレムリンからわずか9マイル離れたモスクワのカポトニャ地区にあるガスプロム・ネフト傘下のモスクワ製油所を攻撃したのだ。燃料貯蔵タンクの蓋が数百フィート上空へ吹き飛ばされる映像が世界中で拡散され、この攻撃は世界中に知れ渡った。

この攻撃は、ウクライナが新たに獲得した能力を如実に物語っている。かつてキーウは、こうした攻撃を実行するため必要な弾薬と西側諸国指導者からの承認の両方を求めていたが、現在では支援国政府の関与なしで攻撃が行われている。ロシアのエナジー産業は激しい攻撃を受けており、今回の製油所への攻撃により、処理能力が大きく失われる可能性がある。同製油所は2024年に約1,200万メートルトンの原油を処理し、約290万トンのガソリンと320万トンのディーゼル燃料を生産していた。

戦争経済の重要な生命線ロシアのエナジー産業が攻撃を受けている今、キーウがもはや防御に徹しているだけではない状況下で、プーチンはどのように対応するのかという疑問が生じる

これはプーチン自身に対する脅威だ

ウクライナはモスクワの石油精製所を標的とした。キーウの戦略は以前から石油インフラを標的としていた。ロシア経済はエナジーに依存しており、特に戦時下や深刻な労働力危機の最中においてはなおさらである。

しかし、今回の攻撃は他の点でも注目に値する。第一に、その光景がはっきりと目撃された。攻撃により重油タンクの蓋が数百フィートも空中に吹き飛ばされ、写真や動画は瞬く間にソーシャルメディア上で拡散した。濃い黒煙と炎に包まれ、ロシア市民が明らかに衝撃を受けた様子を捉えた映像も拡散してしまったこの攻撃は、クレムリンにとって極めて恥ずかしい出来事となった。

さらに、爆発がクレムリンからも目撃され、その音が聞こえたという単純な事実もある。攻撃現場はわずか数マイルの距離にあり、被害は目にも耳にも明らかだった。影響は、モスクワの意思決定の中心地から数マイル圏内の大気質にもはっきりと表れていた。オンラインで共有された映像には、地元住民が窓枠の煤を拭き取り、外を歩いただけなのに服についた汚れを落とす様子が映っていた。ロシア当局は、大気質は安全な状態を維持していると主張していると報じられているが、ソーシャルメディアのユーザーたちはそう考えていないようだ。

また、パリで開催された武器展示会において、ウクライナの武器メーカー「ファイア・ポイント」のブースで、この攻撃の映像が上映されていたという報告も浮上している

過激な対応を求める声が高まり始めている

予想通り、ロシア当局は事態の激化をほのめかす脅しで攻撃的な反応を示している。ここ数週間のロシアによる攻撃は、ウクライナの都市に甚大な被害を与えるため、貴重な兵器をより多く投入する意欲が高まっていることを示唆している。

これらの空爆は、キーウ在住の外交官や外国政府高官に対し、安全のために退去すべきだと示唆するなど、ロシア当局者による脅威に続いて行われた。今回の最新の空爆を受け、セルゲイ・ラブロフ外相は、空爆をもっと頻繁かつ過激になるよう公に呼びかけ、「定期的な大規模な協調攻撃」が行われると主張した。カザンで開催されたロシア・ASEAN首脳会議での演説で、ラブロフ外相はウクライナ軍を「テロリスト」と表現した。

「キーウのテロリストたちによる新たな挑発行為の後、大統領が『今後、定期的に大規模な集団攻撃を実施する』と発表したことは、決して偶然ではない。その標的は、ウクライナ軍の戦闘能力に直接影響を及ぼすものである。この任務は最高司令官によって下され、我々の軍はそれを遂行しており、今後も遂行し続けるだろう」とラブロフ氏は述べた。また、モスクワへの攻撃が成功したことを受け、新たな措置が講じられる可能性が高いことも示唆した。

「適切な言葉はすべて語られたと思うが、言葉だけでは不十分だと私はかねてから確信している」と彼は付け加えた。

プーチンの選択肢は狭まってきた

では、プーチンはどのように対応するのだろうか?

誰もが口にする大きな疑問だが、少なくとも長期的に明確な答えはない。事態の激化が次の段階であることは明らかだが、現段階において、単にキーウやその他のウクライナの都市にさらに多くのミサイルを発射したところで、戦争の行方を根本的に変えることはまずないだろう。ウクライナは4年以上にわたる紛争を経て、驚くべき回復力を示してきた。同国は依然として自衛に全力を尽くしており、西側諸国からの財政的および軍事的支援を受け続けている。

そのため、モスクワは困難な立場に置かれている。なぜなら、ロシアがこの紛争の戦略的状況を根本的に変えたいのであれば、単にミサイルを発射する以上のことをする必要があるからだ。ウクライナは一部のミサイルを迎撃し、ある程度の被害を受けつつ、反撃してくるだろう。では、核兵器の使用となるのだろうか?その可能性はある。

モスクワへの攻撃は、あまりにも壊滅的で屈辱的なものであるため、領土の完全性が脅かされた場合にのみ核兵器を使用するというロシアの基準に合致する可能性は十分にある。しかし、それは途方もないエスカレーションであり、そこから真の意味で立ち直ることは決してできないだろう。もしモスクワがその一線を越える意思があったなら、とっくにそうしていたはずだ。

NATOとの直接対決もありそうもない。NATOの領土へのいかなる攻撃も、欧州全域にわたる戦争へとエスカレートしかねない危機を引き起こすだろう――そして、それこそがロシアが決して戦いたくなかった種類の紛争である。

ロシアがその戦争を戦う意思や能力を持っていたなら、とっくにそうしていたはずだ。

したがって何らかの形の譲歩や調整を状況が示唆している。しかし、プーチンは長年にわたり、譲歩は弱さであり、自分は決して譲歩しないと主張してきた。そこに彼のジレンマがある。ウクライナは、クレムリンの目の前であっても、ロシアの最も重要なインフラを攻撃できると実証してしまったのだ。

ロシアは報復をちらつかせ続けることはできるものの、その手はもはや通用しない。実際、最初から通用したことはなかったのだ。■

著者について:ジャック・バックビー

ジャック・バックビーは、ニューヨークを拠点とする、防衛および国家安全保障を専門とする英国人研究者兼アナリストである。彼の研究は軍事能力、調達、戦略的競争に焦点を当てており、政策立案者や防衛関係者を対象とした分析記事の執筆・編集を行っている。編集経験も豊富で、『19FortyFive』や『National Security Journal』で1,000本以上の記事を執筆してきたほか、過激主義や脱過激化に関する書籍や論文も執筆している。本記事に記載された見解は著者個人のものである。