ラベル スペイン の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル スペイン の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2026年10月7日水曜日

ISRや電子戦機材のダウンサイズが流行するがスペインはあえて「大型」A321を選定したのは賢明な選択と言えるでしょう

 


スペインが次期SIGINT機にエアバスA321を選定

Spain Picks Airbus A321 For New Electronic Intelligence Aircraft


3機からなるフリートはスペインの有人空中信号情報収集能力を回復させる以上に欧州で屈指の能力となる見込みだ

Spain is moving ahead with plans to rebuild its airborne signals intelligence capability, with the Airbus A321 selected as the basis for three new SIGINT aircraft.

エアバス

エアバスとインドラは現在、「サンティアゴII」イニシアチブの下で、本プログラムの 基本設計に取り組んでいる。同イニシアチブは、電磁スペクトル全域にわたって情報を収集・処理できる有人プラットフォームの提供を目的としている。

このプログラムは、2014年に最後のボーイング707 SIGINT機が退役してスペインが失った能力の回復を目的としている。イスラエル製SIGINT装備を搭載したこの707は、スペイン空軍でTM.17-4と指定され、「Reina del Espectro(スペクトルの女王)」の愛称で呼ばれ第47混合航空団に所属し、航法援助装置の校正、リモートセンシング、電子戦訓練に使用されていた4機のダッソー・ファルコン20(スペインでの指定番号はTM.11)と共に運用されていた。

スペイン空軍のファルコン20 EW。ロベルト・ヤニェス/スペイン空軍・宇宙軍 著作権:ロベルト・ヤニェス

新型機には、アンテナ、受信機、信号処理装置、オペレーター用コンソール、通信システム、および関連する電気・冷却インフラの設置を含む、大規模な改造が施されることになる。

インドラは、ミッション・システムのアーキテクチャの大部分を提供すると見込まれ同社が2023年に発表した「AirSign」コンセプトには、COMINTおよびELINTセンサーに加え、データ融合、リアルタイム信号解析、通信、指揮統制機能が組み込まれていた。

エアバスが以前提示した、マルチミッション用A320neoファミリーのコンセプト。コンフォーマル・レーダー・アレイを備えたAEW&C(空中早期警戒管制)型、SIGINT(信号情報)プラットフォーム、およびVIPジェットが含まれていた。エアバス

COMINTが主に通信からの情報収集を扱うのに対し、ELINTはレーダー信号を含む通信以外の電磁波放射に焦点を当てている。これらを組み合わせることで、敵の電磁波放射から読み取れる行動だけでなく、敵の計画や作戦プロセスに至るまで、はるかに包括的な情報像を把握することが可能となる。

ビジネスジェットは、新型情報収集機にとって最適なプラットフォームとなっており、特に、運用者が比較的低コストで、長時間の滞空が可能であり、かつ後方支援の負担が少ない機体を求めている場合に好まれている。 ボンバルディア・グローバル6000/6500、ガルフストリームG550、ダッソー・ファルコン8Xなどの航空機は、電子情報収集や特殊任務の役割に合わせて改造されている。

ガルフストリームG550の機体をベースにした、イスラエル空軍のナフション・オロン多目的情報収集機。イスラエル空軍

一方、スペインがそれより大型のA321を採用した決定は、その対極の選択肢を示唆している。これにより、アンテナ、処理用ハードウェア、乗組員のためのスペースが大幅に確保され、一般的なビジネスジェットベースのSIGINTプラットフォームよりもはるかに大型で、より多くの電力を消費する任務システムを搭載することが可能となる。

かつて、A321はNATOの「アライアンス・グラウンド・サーベイランス(AGS)」システムのプラットフォームとして構想されていた。このシステムは、合成開口レーダーを含む偵察能力を同盟に提供するものである。しかし、この能力は最終的に、グローバルホークの特殊仕様機 RQ-4Dフェニックス無人航空機(UAV)のNATO機群に配備された。

NATOの「アライアンス・グラウンド・サーベイランス(AGS)」システムを搭載したA321を示す初期のコンセプト図。NATO

欧州の他の地域では、エアバスがフランスの次世代海上哨戒機(MPA)に向けリスク評価調査を開始した。これもA321プラットフォームをベースとする予定である。同社が「空飛ぶフリゲート」と称するこの新型MPAは、フランス海軍の ダッソー・アトランティーク2機群の後継機となることを目的としており、NATO加盟国が海上哨戒の要件を満たすため、量産中の ボーイングP-8ポセイドンを ますます採用しつつある状況下で登場することになる。

フランスの将来の海上哨戒機となるA321 MPAのレンダリング画像。 エアバス

「サンティアゴII」プログラムが定義段階にある。スペイン政府は、プラットフォームの検討およびシステム全体の定義を行うため、エアバスとインドラに対し、1,600万ユーロ(1,790万ドル)、18ヶ月間の契約を授与した。その後の段階では、3機の改造および統合が行われる。スペイン国防省は、プログラム全体の費用を約4億3,600万ユーロ(4億8,900万)と見積もっている。

このプログラムには産業面で目標もある。スペイン当局は、単に完成した外国製の偵察機を購入するのではなく、国内産業がSIGINTシステムの統合に関する専門知識と主導権を獲得することを望んでいる。

A321をベースとした「サンティアゴII」機は、特別に改造のボーイング707の退役で生じた不足を補うことを目的としており、大幅に近代化されたプラットフォームを提供する以外に、機体数を増やすことで運用可用性を向上させる。

また、新たに導入される3機は、スペインが構築しつつある無人SIGINT能力を補完する。スペイン空軍・宇宙軍は、プレデターBドローンにL3HarrisのScalable Open Architecture Reconnaissance(SOAR)システムを導入しており、これにより同機群にELINTおよびCOMINTの収集能力が備わる。これら2つのシステムは、それぞれ異なるニッチを埋めるものと見られる。プレデターBは、比較的持続性が高く、低コストな無人収集オプションを提供する一方、大型のA321は、大幅に大きなペイロード容量、機内処理能力、および有人による任務管理能力を提供する。これらを組み合わせることで、スペインは多層的な空中SIGINTアーキテクチャを構築することになる。


スペインのこの決定は、電磁スペクトルをめぐる競争が現代の戦争でますます重要な位置を占めるようになる中、膨大な量の電磁データを収集・処理・統合できる長距離SIGINTプラットフォームへの投資を推進する、広範な動きを反映している。

プログラムが予定通り進めば、大幅に改造されたA3213機が、最終的にスペインに対し、様々な作戦を支援するため電磁波発信源を検知、分類、位置特定、分析する持続的な航空能力を提供することになる。特に「プレデターB」と組み合わせた場合、欧州の他のNATO加盟国もこの能力に大きな関心を寄せることになるだろう。■

トーマス・ニュディック

スタッフライター

トーマス・ニュディックは『TWZ』のスタッフライターであり、軍事航空、防衛技術、兵器システム、国際安全保障を担当している。ドイツのベルリンを拠点とし、世界中の紛争、軍事近代化の取り組み、新興の航空宇宙技術について報道しており、特に空軍力と現代戦争におけるその役割に関心を持っている。彼の報道は、現代および歴史的な空軍力、とりわけヨーロッパにおける深い専門知識に基づいており、大陸内外の軍用航空、空戦、航空宇宙開発に焦点を当てている。


ディスカッション コメント

  • これは素晴らしいニュースだ!ヨーロッパは、現代において可能な限り米国から独立する必要がある。このような決定は、避けられない紛争が広がる中で、現状よりもさらに広範でなければならない産業基盤を維持する上で、ヨーロッパを助けることになる。

  • P-8やE-7などは大好きですが、開発を促進するために本格的な競合機が存在すれば本当に素晴らしいと思います。

  • また、AWACSへの足がかりとして、SIGINT/ELINT機というアイデアも非常に気に入っています。

    • 最大の問題は、それらを維持するためにどれだけの費用を投じる用意があるかということです。ボーイングが今の地位にあるのは、最後まで生き残った企業だったからです。LMもまた、最後まで生き残った企業です。冷戦の終結時、米エナジー省は将来の予算見通しを検討し、企業を招き入れ、彼らを…で肥え太らせた後……

  • エアバスがNATOにA321 AWACSを売り込まなかったことに少し驚いている。インドはこれを「Netra Mk. II」として数機導入する予定だ。これは、米国の737 NGと同様に、欧州で現在も運用されている707派生の軍用機すべてを置き換えるのに最適な機体だ。

  • A320ファミリーは堅実で、部品も入手可能だし、スペインでは機体の部品を自社で生産しているほどだから、良い選択だと思う。言うまでもなく、ヨーロッパは自国の産業能力に投資し、防衛を真剣に考える必要がある……(今や)頼りにならない同盟国にいつまでも依存し続けるわけにはいかない。

  • 現代の設計ではそれほど重要ではないかもしれないが、アンテナの数が明らかに少なすぎるように見える!

  • かわいそうなJ.D.、1時間も大統領の怒鳴り声に付き合わされ、電子情報活動は欧州が彼の「超知能」という戯言を貶めようとしているわけではないと理解させようとしていた。

  • Falcon 20が言及

  • エアバスは良し、ボーイングは悪し。



2026年5月31日日曜日

A400Mで山火事消火を目指すスペイン―日本でも山林火事は無視できない災害で、C-130Hが退役したら消防庁に移転し、山火事消火飛行隊を編成してはいかがでしょうか

 

a400A400M 提供:エアバス・ディフェンス・アンド・スペース

山火事消火にA400Mが加わる(スペイン)

空中消火システムを搭載したエアバスA400M輸送機が、今年、スペインの山火事消火能力を強化すると、ペドロ・サンチェス首相が確認した。

スペインの消火装備にA400Mが加わることで、同国は初めて大型空中消火能力を獲得し、スペインの空中消火の能力が拡大することになる。

「我々は、15機の水陸両用機、新型エアバスA400の消火装備、そして新型チヌークヘリコプター4機とクーガーヘリコプター2機を保有することになる」と、サンチェス首相は5月21日、トレホン空軍基地で行われた2026年度森林火災予防キャンペーンの発表会で述べた。

サンチェス首相は、最大2万リットルの水または消火剤を投下可能なこのシステムを、A400Mの何機に搭載するかについては言及しなかった。比較すると、デ・ハビランド・カナダ製CL-415は最大6,000リットルの投下が可能だ。

スペインは昨年、史上最悪級の山火事シーズンを経験し、35万ヘクタールが焼失した。

「山火事は毎年、私たちを襲い、残念ながら勢いと猛威は増すばかりだ。発生時期が早まり、攻撃的になり、消火活動もより困難になっている」(サンチェス首相)。

スペイン空軍のA400M導入は、国内の消火能力強化の一環であると彼は述べた。

エアバスは数年にわたり、A400M用のロールオン・ロールオフ式消火システムの開発に取り組んできた。昨年、このシステムは森林火災消火装備の評価を認可されているフランスの機関「セレン(Ceren)」によって試験された。スペイン空軍は、このプロジェクトに技術顧問として関与している。■

トニー・オズボーン

ロンドンを拠点とするトニーは、欧州の防衛プログラムを担当している。2012年11月に『エイビエーション・ウィーク』に入社する前は、シェパード・メディア・グループに在籍し、『Rotorhub』誌および『Defence Helicopter』誌の副編集長を務めていた。


A400M Joins Spanish Wildfire Firefighting Capability

Tony Osborne May 26, 2026

https://aviationweek.com/defense/multi-mission-aircraft/a400m-joins-spanish-wildfire-firefighting-capability


2015年11月28日土曜日

★進化し続けるイージス、ルーマニアのイージスアショア稼動開始近づく、ベースライン9、各国の動向

カタカナ表記が嫌いなためこれまで陸上イージスなどとお伝えしてきましたが、今回からイージスアショアと記すことにします。イージスはどんどん進化してきているのですね。それにしても日本がミサイル防衛の最前線基地になっていることはわれわれも改めて認識しないといけません。

「USNI News」の画像検索結果Aegis Ashore in Romania Set For Dec. 31 Lightoff; BMD, SM-6 Nearing Full Fielding

November 27, 2015 7:35 AM            
                                   
A Raytheon SM-6 launched from an Aegis guided missile destroyer. US Navy Photo
レイセオン製SM-6の米海軍イージス艦からの発射テスト。 US Navy Photo

.
イージス戦闘システム事業に重要な転換点が訪れそうだ。初の陸上配備イージスアショアの稼動開始、ベースライン9の配備開始、海外向け有償軍事援助(FMS)が数件進行中だ。
  1. イージスアショア初の設置はルーマニアで12月31日に電源を入れると統合戦闘システムズを統括するジョン・ヒル海軍少将はUSNI Newsに11月24日述べた。
  2. ヒル少将によれば同イージスシステムは認証ずみで実弾装てんの準備ができた。
  3. 「艦艇と同じ扱いをしている」と同少将は述べた。陸上設置工事はすでに検査試行が終わっており、残る機械類用スペースも完成しているという。最終検査終了後にいよいよ施設が稼動開始となる。またミサイル防衛庁が技術能力宣言(TCD)を行う予定で、これは初期作戦能力獲得(IOC)と同等とヒルは説明した。
  4. これとは別にイージスシステム全体があたらしい段階に移行する。ペースライン9の配備が始まるためだ。ベースライン9には統合防空・ミサイル迎撃 Integrated Air and Missile Defense (IAMD) 能力が加わり、弾道ミサイル迎撃と対空戦を同時に行うことが可能となり、海軍統合火器管制防空(NIFC-CA) 関連の装備にも接続される。
  5. 「配備準備ができた。まずUSSベンフォールド(DDG-65)とUSSバリー(DDG-52)が搭載し横須賀に向け航行中だ」(同少将)
  6. 「横須賀にはUSSチャンセラーズヴィル(CG-62)がすでに展開中で、運用テスト結果にたいへん喜んでいる」と上記駆逐艦二隻が作戦行動に入れるようになったことをさしている。
  7. 同時に「スタンダードミサイル-6の継続作戦能力テスト評価をまとめようとしており、来年春までにベースライン9は完全に稼動開始する」とヒル少将は続けた。
  8. 「艦隊には昨年から導入開始しているが、今回の能力向上は内容から見て大きな一歩だ」
  9. イージスの能力向上を目指すのは米海軍だけではないとヒル少将は述べ、進行中のFMS案件に注意を喚起した。日本のイージス駆逐艦近代改修事業が取り上げられることが多いが、スペインとオーストラリア各海軍の改修も半ばに差しかかっている。
  10. ヒル少将によれば米海軍はオーストラリア・アデレードに米海軍士官を常駐させており、来年春に予定されるオーストラリア初のイージス艦のシステム稼動開始を支援しているという。
  11. またスペイン海軍は時刻イージス艦にBMD能力を付与す改修を検討中だ。ヒル少将はスペイン海軍にはイージス戦闘システムを搭載した艦があり、そのうち一隻に応急改修をして弾道ミサイル追尾の海上公試を行わたという。その結果が良好だったため、スペイン海軍はBMD能力付与に関心を示しているのだという。FMSにより改修を実施するのは「ほぼ確実」とヒル少将は見ている。■