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2022年2月14日月曜日

南北朝鮮統一の可能性.....現実を見れば当面不可能と思わざるを得ない理由

  

 

 

韓国大統領選挙で朝鮮半島統一問題が再浮上

 

韓国の大統領選挙では、特に外交政策で左右の選択となる展開が多い。保守系候補が北朝鮮へ先制攻撃を示唆し、波紋を広げている。左派候補者は逆に、南北朝鮮は「事実上」統一されるべきと示唆した。北朝鮮をめぐる韓国内の左右・ハト派の分裂には根深いものがある。

 

北朝鮮への先制攻撃は、同国が明らかに攻撃準備に入った証拠がない限り、ひどい考えだ。平壌の考えるレッドラインは分からない。2017年、ドナルド・トランプ前米大統領が「炎と怒り」と「血まみれ」で北攻撃を口にし、タカ派ですら反対したのは、無制限のエスカレーションに暴走すると容易に想像できたからだ。しかし、朝鮮半島統一は、はるかに興味深い政策構想だ。

 

南北が近づかなければ統一できない

 

朝鮮半島が分断されたままになっている最大理由は、両国の統治方式があまりにもかけ離れていることである。韓国は(ほぼ)自由民主主義国家であり、別の自由民主主義国家(米国)と同盟を結び、その他多くの国とも提携している。北朝鮮は正反対である。オーウェル的で、専制的で、カルト的で、残忍だ。さらに北朝鮮も類似の独裁国家である中国と同盟を結んでいる。

 

両者が政治的にあまりにも異質なため、両国間の協力や交流が日常的に困難になっている。ドイツとの対比が示唆に富む。韓国と同様、ドイツも冷戦で分断された。しかし、東ドイツは、北朝鮮のような1984年風の恐ろしい世界に陥らなかった。そのため、両ドイツ間の交流はある程度可能だった。これに対し北朝鮮は、間違いなく史上最悪で最も奇妙な全体主義カルト国家になった。北朝鮮との交流は、そのパラノイア、極端な政治、蔓延する汚職や犯罪などのため、日常レベルで進まない。

 

韓国の政治家(通常は左派)が迅速な統一を求めるのは実に奇妙だ。現状のまま南北統一すれば、茶番劇になるか、あるいは韓国の自由民主主義を侵し、韓国の保守派から大反発を招くのはもちろん、韓国憲法にも違反する可能性が高い、実効性が皆無に近い上辺だけの連合となるだろう。

 

統一のあるべき形とは

 

このため、統一のためには、南北が近づく必要がある。ドイツ統一がこの方法を用い、東ドイツが西ドイツに近づいた。1989年にベルリンの壁が開くと、翌年、東ドイツは自由化され、自由選挙で自由化と統一を支持する結果が出た。共産主義と国家分裂は敗退した。東ドイツは自由主義と統一を選択し、東西ドイツは統一可能な水準になった。そして、実現した。

 

南北の平和的統一にも、同じことが言える。南北朝鮮では、北朝鮮が極端なため、体制格差が大きく、南北を近づけるのは困難だ。もちろん形式的には、韓国が北朝鮮に似てくることはあり得るが、その可能性は極めて低い。韓国の有権者は、自由民主主義を広く支持している。

 

となると、真の統一とは、北朝鮮が韓国のようになること、つまり、北朝鮮の自由化、少なくとも穏健化を意味する。その第一歩は、支配者である金一族の退陣であり、北朝鮮が極端な全体主義専制政治から穏健な権威主義独裁政治へ「卒業」することだろう。これは極めて重要なポイントである。権威主義的な北朝鮮は、おそらくミャンマーのように将軍連が統治し、独裁政権や軍閥でありながら、道徳的・政治的に大きく改善されることになるであろう。世界には劣悪な独裁者が多数いる。それでも、北朝鮮の過激さよりは道徳的に好ましい。

 

どうすれば統一できるか

 

北朝鮮を全体主義から権威主義に「改善」する方法がわかる人はいない。金正恩の北朝鮮支配は確実で安定している観がある。就任10周年を迎えたが、外部コメントのほとんどすべてが、金正恩の統治は安定し、父親や祖父と同じ全体主義的性格という点で一致している。金正恩は体制内の反対勢力を慎重に買収、または清算してきた。

 

したがって、韓国の政治家がそのような国との統一を語るとき、政治的に空虚なレトリックか、有権者を集めるため民族主義者の同情心を利用しているか、あるいはどうしようもなく非現実的かのいずれかである。両朝鮮の連邦制を想定すれば著しい困難さが思い浮かぶ。対北朝鮮国連制裁はどうなるのか、南北のまったくちがう政治体制がどう相互作用するのか、などである。

 

連邦制となれば、機能不全に陥った北朝鮮経済に韓国が補助金を出し、他はほとんど変わらない事態に陥る可能性が高い。事実上、韓国納税者が北朝鮮を援助することになり、韓国で誰も支持しない不条理な結果となる。統一は、戦争や北朝鮮崩壊がない限り、まだ遠い先の話だ。■

 

Korean Unification: What Would It Actually Take? - 19FortyFive

ByRobert KellyPublishedJanuary 31, 2022

 

Dr. Robert E. Kelly (@Robert_E_Kelly; website) is a professor of international relations in the Department of Political Science at Pusan National University. Dr. Kelly is now a 1945 Contributing Editor as well. 

In this article:2022 South Korean Presidental Election, Kim Jong-un, Korea, Korean Reunification, Korean Unification, North Korea, South Korea

 


2017年9月30日土曜日

実はこちらの方が怖い:崩壊後の北朝鮮をどうするか



北朝鮮の現体制が永続するはずなく、考えられる事態を想定してあらかじめ対処方法を考えておくということですか。日本ではミサイルが飛翔するだけでもうてんやわんやでとても先を見通せない反応が出ていますが、冷静な思考(反射反応ではありません)が必要ですね。しかしどっちに転んでも大変な負担が必要となる北朝鮮はガンのようなもので迅速に対処したほうがいいのでしょうね。体制崩壊には軟着陸はないとすれば、強硬策が必要なのではないでしょうか。洗脳されている国民を解放する方法がないとISIS以上に危険な戦闘員になりそうです。また核武装した韓国を出現させないためにも北朝鮮の核兵器、製造能力はすべて撤去しなければなりません。

 

What is Worse Than a War with North Korea? A Sudden Collapse

北朝鮮との開戦より怖いのは同国が突如崩壊することだ
September 29, 2017


北朝鮮で言及されていない恐怖がある。民主人民共和国(DPRK)と自称する同国は究極のパンドラの箱であり、歴代の米大統領の悪夢でもある。核兵器、化学兵器、生物兵器にさらに米本土まで狙うミサイルが加わった。平壌は毎回新しい段階に入ることを心得ているようでおかげで北東アジアでは緊張が高まっている。

だが北朝鮮が核兵器で威嚇する中、もっと大きな話題を世界は見逃している。北朝鮮が民衆蜂起、経済崩壊あるいは戦闘で解体されたらどうなるのか。肥満不良少年ともいうべき金正恩が首脳となる同国が崩壊すれば数兆ドル単位が正常復帰に必要となるが、洗脳、飢餓、奴隷扱いを受けた数百万名はここに入っていない。
RANDコーポレーションが2013年に優れた研究成果を発表されており、図書並みのボリュームでこの問題に取り組んでおり、上記が現実となった場合の背筋の凍る内容を紹介している。バラバラになったピースを元通りにできるのか、ワシントンはじめ同盟諸国はどんな準備をすべきなのかを展開している。この報告書から論点五つを抽出し、北朝鮮問題の本質に触れたい。

1.「崩壊の種類」とは

「金正恩体制はどんな状況で崩壊するのか。以下の二つのいずれかだろう。政権が崩壊すると金一族はその座を追われ、新たな指導者が北朝鮮の統治者となる。おそらく軍部出身者だろう。この場合は全国統治組織はほとんど無傷だが、金正恩放逐で一時的に機能が停止するはずだ。新指導者は旧政府の上層部大部分を粛清し、忠実な部下を登用する」

次のシナリオはもっと怖い。
「別の形の崩壊は政府の崩壊だ。この場合は金一族の支配が機能を失しなうか放逐され、その後を引き継ぐ人物あるいは集団があらわれない。可能性が一番高いのは派閥が生まれ、それぞれ支配権獲得を目指すが、成功しても全国統治には及ばず、中央政府機能は失われる。
「政権崩壊は政府機能崩壊につながることに注意が必要だ。崩壊は過程であり結果でもある。北朝鮮は政権崩壊を経験していないが、崩壊過程はすでにはじまっている。金正恩体制は『専制統治の失敗例』として記憶されることになろう」

2. 内戦勃発の可能性
「北朝鮮国内の内戦がWMD投入まで進めばROK(韓国)にも深刻な被害が及ぶ。生き残れないと悟れば派閥勢力が意図的に韓国を攻撃する可能性がある。ROK都市への弾道ミサイル攻撃に核弾頭、生物化学兵器を併用すれば韓国全域が被害を受ける。物理的な損害以外ににROKの社会経済が大損害に直面する。ROKの視点から見れば、最悪の可能性は朝鮮半島全域の不安定化で、ROK自体も巻き込まれ、治安が崩壊するとROKも封じ込め対策は実施不可能となる」

3.もっと悪いのは中国の介入
「さらに中国の介入の可能性がある。実施されれば朝鮮統一を中国が否定することになる。韓国軍、米軍、中国軍が前進すると米韓連合軍と中国軍で武力衝突が発生する可能性が生まれる。つまり中国が統一を阻害するだけでなく戦闘を発生させ統一はさらに遠のく」

4. 大規模な飢餓

「北朝鮮は今でさえ国民への食糧供給に苦労しているので、政府崩壊で全国的飢餓に一気に突入するはずだ。崩壊後の国内で資金に余裕ある層は金の力で食料確保に走るが食品価格はうなぎのぼりとなるはずだ。食料品は姿を消し、軍など武力で食料強奪に出る勢力が発生すれば一層食料在庫は厳しくなる。人道援助団体も北朝鮮向け活動を減少せざるを得なくなるほど治安状態は悪化する。崩壊後の食糧供給は飢餓水準をさらに下回る」

5. 南との統一、国土再建費用はとてつもない規模へ
「朝鮮半島統一の費用は高くなるとわかっているが、金融面では数兆ドルとなり、かつ大部分は崩壊から5年以内に必要となるが、その後数十年単位でも費用が発生する」
報告書ではさらに詳細に触れている。
「費用を積算すると韓国政府予算で毎年2,500億ドル必要となる。統一に2兆ドル(うち軍事作戦で5,000億ドル、ROK国内の戦災復興に5,000億ドル、北の経済開発に1兆ドル)かかり、ROK政府の年間予算の8倍に相当する。統一費用を10年間継続負担すると同国政府予算が飛躍的に増えるため税負担率を二倍にしないと対応できず、ROK市民に歓迎されないだろう」
北朝鮮が核兵器以外でも危険であるのは明らかだ。北朝鮮崩壊あるいは南との統合は米国のみならずアジア内の同盟諸国にとり難題だがいずれ避けて通れなくなるのは過去を見れば明らかだ。独裁体制は永遠に続かない。DPRKの核実験に代表されるニュース見出しに踊らされることなく、この報告書に目を通した方がよい。■
This first appeared in early 2016.
Image: Reuters.


2017年4月18日火曜日

危機状態だからこそ朝鮮半島の今後を考える



今回の危機をどう見るかで戦略思考の有無、思考の時間軸の長さが露呈します。いたずらに危機を煽り立てる安っぽいジャーナリズムはごめんですが、50年100年先をデザインする能力が今圧倒的に欠けていることを痛感しています。フィンランド化は中国の思う壺ということですね。

The National Interest

How to Make the Korea Problem Worse: Unification

Worst fears realized: a unification in which neither North or South Korea has a vote.

北朝鮮問題よりは統一後が厄介 南北いずれも主導権を発揮できない朝鮮半島統一になりそうだ


April 13, 2017

  1. 朝鮮人は何世紀も大国の陰で暮らしてきた。周辺国に自らの運命が決められるのは恐ろしいことだ。19世紀末に日露中の帝国主義の覇権争いで日本が朝鮮を併合し占領した。第二次大戦が終わると米ソが38度線をはさみ占領地を決定し今日まで朝鮮は分断されたままだ。
  2. 第六回目の核実験のおそれがある中で核問題は米中合同で解決に当たるべきとの提言があり、米韓軍事同盟を終わらせ朝鮮半島を「フィンランド化」するとの内容がロバート・ケリーの主張だ。ケリーの考えは「金一族が大混乱を巻き起こす前に解決の出口をみつけ」る点で今や沸騰寸前の北朝鮮問題を巡るトランプ政権内の外交政策論争にも満足の行く対応策と言えよう。
  3. 北朝鮮問題の解決策は長年答えが見つからない難問だ。1990年の南北合意、1994年の枠組み合意、2005年の合意さらにオバマ政権の2012年合意もあった。平壌は非核化の代償にエネルギーや経済援助を求めて、米朝国交正常化と平和条約締結の保証を求めてきた。毎回のごとく平壌は一度「イエス」と述べてから「ノー」と言える道を見つけてきた。
  4. 先制攻撃が公然と話題になっているが、これも別の出口解決だ。だが攻撃の前に政策決定当事者は一般では考えもしない方法もいとわないはずだ。北朝鮮を攻撃すれば韓国駐留米軍部隊や米国市民が犠牲になるリスクのほうが大きくなる。ソウルは北朝鮮火砲ミサイルの標的であり、実施されれば韓国首都地域は壊滅的被害を被る。
  5. 現在進行中の議論に我慢ができない気持ちは理解できる。北朝鮮は外交上の「忌まわしい問題」であり、現在の複雑な条件では解決は困難であり不可能だからだ。ウォーレン・クリストファー元国務長官はボスニアを「地獄の問題」と述べていたが北朝鮮では選べる選択肢が最悪しかない。現時点では解決策に抵抗もあるが、一部の問題は解決策が完成するまでも制御可能になるものの、こと北朝鮮に関してはその段階に達していない。
  6. そこでケリー提案による外交方針だが、中国が北朝鮮に蓋を閉める想定になっている。その代償はどれくらいになるか。ケリーは「世界最悪の管理独裁政権を一刻も早く終わらせる道義的な責務がある」とし「半島統一で韓国が文句を言っても」耳を塞ぐという。
  7. 米外交政策では道徳が常に重要な要素だが、実際には欠点を露呈している。もし中国が食料、燃料の供給を止めれば、金正恩が黙ったままでいるだろうか。東ドイツと同様にソウル主導の統一が実現するだろうか。北のミサイルはどの方向にも発射できる。北朝鮮は40年かけて大量破壊兵器の実用化を進めて金一族の存続を図ってきた。黙ったままで居るはずがない。
  8. ケリー構想のもう一つの問題は米韓同盟の解体でこれが実現すれば中国が朝鮮半島を我が物顔で支配するだろう。最悪の状況と言える。統一しても北も南も主体性を発揮できない。韓国が同盟国であり強い民主主義態勢を勝ち取った国だからこそ朝鮮半島の将来に意見を反映させる必要があるとの見方は道義道徳からの観点である。
  9. 朝鮮が統一され非同盟国になれば中国が再び三千年の歴史を繰り返し表に躍り出る。韓国の教科書では中国の朝鮮侵攻が900回あったと教えている。もっとわるいのが米韓同盟廃棄により中国支配下の「フィンランド化」が出現することだ。その場合、米国が果たしてきたアジア等の平和の守り手という立場に朝鮮半島から波及効果が出るだろう。アジアでの同盟関係崩壊は中国が長年模索している目標でもある。
  10. 金大中大統領は2000年6月の平壌サミットのあと、朝鮮半島の戦略的位置にふれ、統一後も同盟関係を残すとしていた。理由を尋ねられ、大統領はこう答えた。「北には巨大な大陸国家がありその地理条件は変えられない。東には海洋大国がありやはり動かない。米国は大国で強力だがいかんせん遠すぎる」
  11. ケリーはこのような取り決めが実現した際の日本の反応を見落としている。日本からすれば北朝鮮消滅は安心材料だが、同盟国である日本の頭ごなしで合意が成立すれば不信感を持つはずだ。また日本は覇権主義の中国と共存できないと堅く信じ、米国のアジアでの立場や同盟関係は一気に過去の存在になってしまう。
  12. 北朝鮮が大陸間弾道ミサイル開発に成功すれば抑止態勢が崩れケリーがいうような代償を払わされるのだろうか。平壌の唯一の美点は自殺攻撃は考えていないことだ。北は聖戦主義ではない。ジェイムズ・マティス国防長官も米国に大量破壊兵器を使えb、米国とその同盟国は一緒に「圧倒的かつ効果的な」対応をすると明言している。
  13. 北朝鮮がICBMを保有すると考えると気分が悪くなり、かつ危険な状況だが、(北が本当に実用化するまでには4、5年かかる)それで抑止態勢が劣化するとは認めたくない。平壌はスカッドやノドンミサイルの射程を延長して韓国や日本国内の米軍基地を核攻撃できる実力があることを忘れてはならない。北朝鮮がICBMを持てば「世界の終わり」とヒステリックな反応が出ているが1964年当時の論争を思い起こさせるものがある。当時は毛沢東が常軌を逸し核兵器取得に奔走していたがその後われわれはその態勢のもとで生活を送っている。
  14. では北朝鮮問題でわれわれはどうなるのか。オバマの「戦略的忍耐」政策は失策と言われている。欠点の一つがアメリカが全面的な制裁措置をイランで実施したのに北朝鮮にはとらなかったことがある。そこで意味のある次の策は二次制裁措置を実行に移すことだ。(中国の銀行やフロント企業への制裁を含む)これで北朝鮮の国際金融制度へのアクセスを完全に絶ち、ハードカレンシーを枯渇させる。平壌はインフォーマルな現金経済で生き残っているに過ぎない。金正恩一族は贅沢品を手に入れている。そこで現金がなくなればどうなるか。防衛体制強化を組合せ、プーチン流のサイバー攻撃、フェイクニュース(暗殺準備が進んでいる、金正恩は性的不能者だ、など)をその他有効策と合わせ実施すればトランプ政権の北朝鮮政策としてはかなりのものになると思うがどうだろうか。■
Robert A Manning is a Senior Fellow at the Atlantic Council and its Foresight, Strategy and Risks Initiative. James J. Przystup is a Senior Fellow at the Institute for National Strategic Studies at the National Defense University. The views represented in this article are theirs alone and do not represent the views or policies of the Atlantic Council or the National Defense University.

2017年3月21日火曜日

北朝鮮問題で中国軍が進駐する可能性



これはどうなのでしょうか。中国がこの通り動くのかわかりませんし、ティラーソン国務長官が中国に何を伝えのか、(中国が簡単に言うことを聞くとは思えません)、習近平主席の訪米が4月上旬、韓国大統領選挙が5月上旬という中で、北朝鮮への軍事行動があるとすれば4月中旬から5月初めまでの可能性が高いのですが、それまでに人民解放軍が国境を超えるのか、また中国が現状維持を望んでも北朝鮮が自滅の道に向かいつつある中で大きな力が朝鮮半島に働くかもしれません。そうなると待てば待つほど中国には不利な状況となりますからPLAが電撃進駐をし、北朝鮮軍と先に交戦状態に入る可能性も排除できないですね。あるいは自暴自棄の金正恩が北京や上海にミサイルを発射しないとも限りません。(日本が被弾する可能性のほうが高いですが)4月は神経をすり減らす月間になりそうです。

China could potentially stop a US strike on North Korea — without starting World War III 中国は米軍北朝鮮攻撃を発生させないはず、ただし第三次大戦を巻き起こさない形で

By Alex Lockie, Business Insider
Mar 16, 2017 7:18:36 pm
北朝鮮のプロパガンダポスターでは米国を狙うミサイルが描かれている。.| Via Flickr.
北朝鮮が弾道ミサイルを連続発射し、米国・同盟国のミサイル防衛網を突破する狙いを示したのを受け、米軍が北朝鮮で斬首作戦をいつ実施するのに注目が集まっている。
Business InsiderがStartforのシム・タックとともに作戦決行の場合の予想を詳しく述べていたが記事では大事な国を失念していた。中国だ。
米軍が北朝鮮攻撃に踏み切れば中国はどう反応するだろうか。

中国は北朝鮮の現状のまま維持したいはずだが第三次世界大戦の開始は望んまない

北朝鮮が核の恫喝を米、韓国、日本につきつけるのは中国としても認めないとしても、朝鮮半島統一は防ぎたいはずだ。
中国は北朝鮮の隣国であり、米軍は攻撃するとしても中国を警戒させたくないはずだ。だからといって30分なのか30日なのか不明だが事前通知をすれば中国は攻撃を実施させないよう動くはずだ。

南北朝鮮統一は中国にとって脅威

「統一となれば強力な国家が中国国境の隣に出現」し、民主体制が機能し、技術力を誇示するのは「中国が出現してほしくない事態」とタックは言う。
米軍25千名が現在韓国に常駐するが、数十年に渡り38度線から北に入っていない。中国としてはこのままにしておきたいと考えているはずだ。

北朝鮮が消滅すれば中国はむき出しになったと感じる

中国にとって北朝鮮とは「米軍同盟軍への物理的緩衝」だとタックは指摘する。
米軍が北朝鮮国内に基地を設営すれば、中国国境に近く、中国封じ込めの手段となる。
タックは米軍により朝鮮統一が生まれることは中国として「なんとしても防ぎたい」とし、中国軍が国境を渡り西側諸国と戦火を交える「可能性はまったくない」と言い切る。

北朝鮮を過度に支援し西側に対抗させれば中国の自殺行為

緩衝だからといって強制収容所と米核攻撃を公然と狙う国際的孤立国家を中国が援助にかけつければ「第三次世界大戦を開始することになる」とタックは言う。
そこで中国は北朝鮮滅亡を遅らせようとしても、西側に対抗する部隊を派兵するまでに至らないのではないか。朝鮮戦争の状況とは違う。

中国の対応はまず外交

現在、米国は空母打撃群一個、原子力潜水艦、F-22、F-35を太平洋に展開中だ。米軍の主要装備がフォールイーグル演習に参加中だ。
だがタックによれば北朝鮮の運命は軍事作戦計画よりも国務長官レックス・ティラーソンが会談する中国外交筋にかかっているという。

外交努力は失敗しても非軍事解決策に希望は残る

「利用できる外交手段は残っており、軍事オプションしか残っていないのではない」とタックは述べ、「仮に軍事オプションしかないと実施を決定すれば高い代償につく。軽く流せるような規模ではない」という。
両陣営とも軍事行動をいきなり取るのではなく考えられるすべての外交手段を試すとしても迅速をめざすはずだ。
タックは米国が北朝鮮攻撃が迫っていると中国が見れば、平壌に圧力をかけ交渉の座につかせるはずだという。西側主導の秩序で朝鮮半島統一の日が来るのは避けたいはずだという。

「中国は軍の北朝鮮進駐で罠をしかける」(タック)

「中国軍部隊が公然と現れれば米軍も北朝鮮への進軍を考え直すのではないか。なぜなら大規模交戦のリスクになるからだ。
中国軍が平壌や北朝鮮国内核施設付近に現れれば、米軍は爆撃を簡単に実施できなくなる。

中国が「完全無欠の」指導者に事態解決を求めるのは確実

国際社会の意見に無関心で国内で自由な意見を認めない中国でさえ人命を軽く扱う金正恩を公然と支援したいとは思わないはずだ。
北朝鮮内に入る中国軍は「政変を迫り、金正恩に」武装解除を求めるはずだとタックは見る。
「北朝鮮の存続を図り、中国の利益に沿って動かせても米軍の格好の目標にさせないはず」(タック)
これが中国に一番理想的であり、米軍攻撃も実現できなくできる。

中国の勝利になっても、中国は悪漢と見られるはず

中国指導部としては強力な統一朝鮮が米国主導で国境の向こうに出現するのは避けたい。また北朝鮮崩壊で大量の難民が流入するのも防ぎたいところだ。一方で朝鮮半島の核による緊張は緩和したいはずだが、これを実行すると中国が醜い一面をさらけ出す。

米軍攻撃を避けるべく、北朝鮮の核兵器解除を中国が一方的に進めたとしよう。その場合、中国が北朝鮮の核開発をこれまでなぜ黙認し、技術拡散をなぜ止めなかったのか、深刻な人権侵害に黙っていたのはなぜかとの非難を呼ぶことだろう。

で結局どうなるのか

中国の関心は北朝鮮国民25百万人を独裁圧政から「救い出すことではなく」緩衝国家として残すことだとタックは指摘する。
中国としては金正恩に代わる政権を立ち上げる可能性を希求し、新政権はやはり西側に対抗し米国と協調路線を取らないことが大切だ。
中国が望む北朝鮮とは「西側に反旗を翻し、自国路線を主張する」国家だとタックはいう。
中国が影響力の行使を怠れば時の利は逃げるだろう。■