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2024年11月3日日曜日

中国製H-6K爆撃機に空対地YJ-21極超音速ミサイルを搭載(Warropr Maven)―中国が夜間の奇襲で予想より早く台湾を武力制圧する可能性へ注意が必要だ

 


https://www.fie.undef.edu.ar/ceptm/?p=15680




H-6K爆撃機は、KD-20陸上攻撃ミサイル、YJ-12超音速対艦ミサイル、YJ-21極超音速ミサイルなど、多種多様な兵器を搭載可能


国によるH-6K爆撃機の台湾周辺での「包囲」パトロールは、台湾に対する追加的で、ある程度予想されていた強圧的な圧力をかけるための明確な取り組みである。しかし、それにはH-6K爆撃機に統合された特定の技術的アップグレードと兵器の強化も含まれているようだ。

 環球時報は、「H-6K爆撃機は、KD-20陸上攻撃ミサイル、YJ-12超音速対艦ミサイル、YJ-21極超音速ミサイルなど、さまざまな種類の弾薬を搭載できる」と報じている。

 YJ-12は超音速巡航ミサイルとして、KD-20も同様に、確かに既知の兵器だが、H-6Kに搭載されているということは、台湾の陸上目標に対する爆撃機のスタンドオフ攻撃の射程と精度を向上させることを目的とした、新しい種類の射撃統制および兵器誘導技術の存在を示しているのかもしれない。

 しかし、環球時報の2023年6月19日付の報道で最も注目すべきは、H-6KがYJ-21「極超音速ミサイル」を搭載しているという主張で、YJ-21空対空発射型極超音速ミサイルは、マッハ6に達する可能性があると言われている。

 H-6Kがこのミサイルを装備している、あるいは搭載可能であるからといって、台湾上空のパトロールに必ずしも極超音速ミサイルが配備されているというわけではない。

 しかし、空中発射型の存在の可能性は極めて重要で、事実であれば、中国人民解放軍の空軍と海軍は米軍の先を行くことになる。空軍は最近、極超音速空対地迅速対応兵器の開発を「一時停止」し、海軍は2025年まで通常即応打撃極超音速兵器を駆逐艦に装備する計画はない。

 Military WatchとNaval NewsはともにYJ-21の存在を引用しているが、その用途は水上艦発射のみだ。両方の報告書は、YJ-21「極超音速ミサイル」を、ほぼステルス性の新型055型駆逐艦から発射するテスト射撃の様子を映した中国人民解放軍海軍のビデオを引用している。しかし、2022年のいずれの報告書にも「空中発射」型のYJ-12極超音速ミサイルの派生型については言及されていないため、中国紙で言及されているH-6K用の派生型は、ごく最近開発したものである可能性がある。2022年のNaval Newsでは、YJ-21について「未知」の部分がまだ多く残されていることを明確に指摘しているが、同誌はNaval Newsのアナリスト、H・I・サットンの「JY-21はCM-401の設計をベースにしているようだ」というコメントを引用していた。

 「この新型ミサイルは、CM-40に似ており、大型ブースターが追加されています。CM-401は、直径がわずか600mmだが、イスカンデル・ミサイルとほぼ同様だ。新型ミサイルは、旧型CM-401ファミリーに関連している可能性もあるが、偶然の類似の可能性もある。また、直径が小さい可能性もあります」と、サットンはNaval newsに書いていた。

 空対艦ミサイルYJ-21の派生型の存在は、その成熟度、試験、潜在的な生産能力について重大な疑問を提起している。同様に重要なのは、射程と誘導技術だ。これらは、国防総省の注目を集める可能性が高い問題である。


台湾を包囲する夜間作戦用H6K爆撃機

H-6Kが搭載する可能性のある極超音速および超音速の空対地巡航ミサイルは、台湾にとって複雑な脅威となる。なぜなら、こうしたミサイルは、より安全な距離から重要な陸上目標を奇襲攻撃できるからだ。接近型攻撃は、台湾の防空システムに対しH-6Kを脆弱にし、また米海軍や台湾の監視技術にも容易に発見される。しかし、「包囲」作戦が継続的に実施されているため、中国爆撃機はいつでも台湾の迅速攻撃圏内に位置することになる。中国紙は、このことをためらわず指摘している。

 同紙が「分離主義者」と呼ぶ勢力による「挑発行為」を引き合いに出し、中国軍事専門家が環球時報で「外部からの干渉は夜間にも起こり得る」と語ったと報じている。これに関連して、同紙は2022年8月のナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問にも言及している。

 環球時報の論説は、技術の進歩により爆撃機がより正確で成功した夜間任務を遂行できるようになったことを踏まえ、H-6Kの夜間パトロールが日常的になる可能性が高いことも明確に示していた。

 「我々は昼夜を問わず、また夜明け前でもいつでも出撃できる能力がある」と、CCTVの報道で引用された環球時報の記事の中で、空軍教官である魏暁剛は語った。

 夜間作戦の提案は、中国人民解放軍空軍が、強化された暗視およびナビゲーション技術を使用して作戦を行っている可能性を示唆している。このような新技術が具体的にどのようなものなのかは不明であるが、2019年に米国防総省がF-35用に開発した「暗視」技術の模倣品である可能性もある。

 現在、F-35のパイロットは「ヘルメット搭載ディスプレイ」を装着して飛行している。これは、バイザーに投影される夜間視覚技術で、精密な夜間標的、ナビゲーション、高度な空間認識のために開発されたものである。米国のB-52のパイロットも、ある種の暗視ゴーグルを装着している。この技術は近年、おそらく改善されていると思われる。

 B-52はH-6Kより大型で、搭載能力もはるかに高いが、速度と1950年代に登場したという点では両者は類似している。

 また、H-6K爆撃機に関する中国紙の記事で「全天候型」という表現が使われていることから、この航空機には現在、新しい種類の「センサー」技術が統合されている可能性がある。例えば、ミリ波技術は米空軍のプラットフォームによるナビゲーションや兵器誘導に用いられる非常に有効な全天候型センサーだ。これもまた、中国の兵器開発者が模倣しようとした技術である可能性がある。

 しかし、中国紙が示唆する全天候型センサーとは、合成開口レーダーと赤外線センサーを指している可能性もある。

 H-6Kが改良された場合、夜間航行技術との最大の違いは、F-35に採用された技術と同様に、夜間パイロットの視認、標的、航法の改良である可能性が高い。

 技術のアップグレードや、このようなものが示唆するような任務範囲の拡大は、A2/ADや中国の急速な近代化に関するより広範で、非常に影響力のある懸念事項に関連している。

 中国空軍は爆撃機部隊の拡張とアップグレードを継続しており、これは国防総省が毎年発表する中国報告書(2021年版)も指摘している。

 「現在、中国空軍の爆撃機部隊は、ソビエト製爆撃機ツポレフTu-16(バジャー)の国産版H-6の派生型で構成されている。爆撃機部隊の相対的な老朽化にもかかわらず、中国空軍はこれらの航空機の運用効率を維持し、向上させる努力をしてきた。近年、中国は、スタンドオフ兵器を統合し、より効率的なターボファンエンジンを搭載することで航続距離を延ばした、H-6の改良型H-6Kの配備数を増やしている」。(国防長官官房による議会への年次報告書:中華人民共和国の軍事および安全保障動向 2021年より)

 中国空軍の爆撃機部隊H-6Kの任務拡大は、2021年の国防総省の年次中国報告書に記載された、国防総省による中国爆撃機の評価と一致する。これは、ケン・アレン(元空軍将校、米国大使館北京の空軍武官代理、ウォリアー・メイヴン・シニア・ロングターム中国軍事アナリスト)による「PLA空軍、爆撃機部隊の編成」という空軍大学のエッセイで引用されている。

 「2019年の中国建国70周年記念パレードにおいて、中国空軍は長距離攻撃に最適化されたH-6Kの派生型であるH-6Nを公開した。H-6Nは機体を改良し、核搭載可能な空対艦弾道ミサイル(ALBM)を機体外に搭載できるようになった。2020年10月には、空中発射弾道ミサイルを搭載したH-6Nが目撃された」とアレンは記している。

 H-6Kの規模拡大、H-6Nの追加、さらにH-6Kの任務範囲の拡大は、中国がもたらす空からの脅威を確実に高める。なぜなら、H-6Kの兵器能力は、米国防総省により広範囲かつ極めて危険であると報告されているからだ。

 「H-6Kは陸上攻撃巡航ミサイル(LACM)を6発搭載でき、中国本土の飛行場から第2列島線上の目標を攻撃できる長距離離脱精密攻撃能力を人民解放軍に与える。」(国防長官事務局による議会への年次報告書:中華人民共和国の軍事および安全保障動向 2021年)

 中国の軍事的思考と進歩に関する興味深い2011年の海軍大学校紀要の論文「ボトルロケットから稲妻へ…中国のミサイル革命と米軍介入に対する人民解放軍の戦略」では、中国の空対地巡航ミサイルに関する議論が、接近阻止・領域拒否戦略の文脈で取り上げられている。

 よく知られているA2/AD戦略は、米軍が有効射程距離内で活動することを妨げることを目的としており、中国の軍事近代化の急速な進展に伴い、この論文が予想しているように進化し続けている。

 2011年の論文であるが、環球時報で言及された「極超音速」の可能性があるYJ-21には言及していないものの、YJ-12超音速巡航ミサイルは400kmの範囲を攻撃できると述べている。この射程距離であれば、誘導装置や精密照準技術によっては、台湾や米海軍の水上戦闘艦の領域が確実に危険にさらされることになる。

 2011年の論文では、中国が新たに開発した一連の兵器のひとつとして「ミサイル」を挙げ、それらは、アメリカ軍の戦力を直接的に攻撃するのではなく、作戦地域への展開を「阻止」、「遅延」、「混乱」、「複雑化」させることを目的としていると述べている。

 より具体的には、海軍大学校のレビューは、中国のミサイル部隊と航空部隊の間に生じている「相乗効果」の増大を予測しているように思われる。これはまさに、現在H-6Kに見られる兵器統合の一種である。これはまた、論文が示唆しているように、中国が拡大する海軍と同期させようとしていることでもある。空対地発射の極超音速ミサイルYJ-21の追加は、中国のA2/AD戦略に対抗しようとする米海軍の戦力にとって、脅威の度合いを確実に高め、複雑化させる。

 「新海軍の重要な側面と、ミサイルおよび航空部隊との間に生じる可能性のある相乗効果は、十分に注目に値する。なぜなら、それらは特に、米国の迅速かつ効果的なアクセスおよび介入を阻止、遅延、または複雑化することを目的としているからだ」と、海軍大学校の論文は、よく引用される退役米海軍大将の言葉を引用している。

 海軍大学校の論文の分析で最も重要な点は、おそらくタイミングに関するものだろう。なぜなら、論文は2011年に書かれたものだからだ。当時、米軍と直接「交戦」せず米軍を遠ざける「間接的」戦略であったものが、中国の海軍力および航空戦力の増強に伴い、より現代的になったと推測できる。おそらく今、そして今後数年間は、2011年とは異なり、中国は実際に米軍と「交戦」できる立場にあると感じているだろう。

 このことから考えられるのは、中国は台湾を占領し併合する好機が訪れる「窓」が、米国防総省の予測よりも早く訪れると見ている可能性があるということだ。国防総省は、中国が2027年までに台湾を支配するつもりであると推定している。技術の進歩と海軍力の大幅な増強、無人機や空対地巡航ミサイルの登場により、中国の意思決定者は、米軍を「十分に遠く」に配置させることで、米国が対応できない迅速さで台湾を急速に併合する「既成事実化」を成功させることができるかもしれないと考えるようになったのだろうか。

 この「既成事実化」の見通しの大部分は、特に中国に関する国防総省の報告書多数で言及されているが、台湾に深く入り込んだ中国軍を攻撃し「排除」するため、米国がどのような同盟関係を結んでも、あまりにも大きな犠牲を払うことになるだろう。

 台湾近隣の上空から夜間の「包囲」作戦で極超音速ミサイルを発射し、反撃や反撃の可能性が生まれる前に台湾を占領する高速攻撃を中国が試みる可能性がある。■



Kris Osborn is President of Warrior Maven – Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University


China Arms H-6K Bomber With Air-Launched YJ-21 Hypersonic Missile

The H-6K bomber is capable of carrying a wide variety of munitions including the KD-20 land attack missile, the YJ-12 supersonic anti-ship missile and the YJ-21 hypersonic missile

October 11, 2024

By Kris Osborn, President, Warrior


October 11, 2024



https://warriormaven.com/china/china-arms-h-6k-bomber-with-air-launched-yj-21-hypersonic-missile


2018年8月21日火曜日

中国爆撃機の行動に神経をとがらす米国防総省の懸念は沖縄県民に共感されないのか

エンジン他装備は近代化したといはいえ原設計が1950年代のこんな旧式機にふりまわされるのであれば、中国としてもこんな安上がりな装備はないわけで、我々には大迷惑な話です。スタンドオフ攻撃の標的がグアムと並んで沖縄というのは公然たる事実で、いまだに平和を叫んで現実に目を向けない沖縄県民はこの事実をどう受け止めるのでしょうかね。ペンタゴン報告書はそのうち一部でもご紹介しないといけませんね


Chinese bombers are extremely active, and the Pentagon thinks they're training for strikes against US targets 中国爆撃機の動きが活発化しており、ペンタゴンは米軍攻撃を想定した訓練と理解

H-6 bomber China中国軍H-6爆撃機が沖縄本島と宮古島間の上空から太平洋に抜けようとした。2013年10月27日航空自衛隊が撮影し防衛省統合幕僚監部が公表。
  • 中国爆撃機の動きが急増し中国沿岸から遠隔地へ向け飛行中との国防総省報告が16日公表された。
  • ペンタゴンは中国が米軍を標的にした攻撃訓練を重ねていると見ており、同時に中国の軍事力を域内各国に誇示する狙いもある
  • 米国は中国の動きを注視し、中国軍の能力向上は新たな「大国間競争」の時代の表れとペンタゴンは主張


国爆撃機部隊の動きが活発になっており中国沿岸から遠く離れた地点まで飛行することが多くなっているのは米軍標的への攻撃を想定した訓練の一環とペンタゴンが考えていることが2018年版中国の軍事力報告書から明らかになった。
「(人民解放軍)は急速に洋上飛行爆撃機の活動範囲を広げており、重要な海洋地点での知見を獲得しつつ米軍や同盟国の各種標的への攻撃に備えている」と国防総省が議会に毎年提出する報告書で述べている。「PLAは今後も第一列島線以遠で作戦行動を増やし、グアム含む米国や同盟国側の軍事基地を西太平洋で攻撃するする能力を誇示している」
報告書ではこうした飛行は「戦略的な意図があることを近隣国に示すため」であるが、PLAは「こうしたフライトで軍事能力が伸びていることを示す」以外の意義をまだ明確に理解していないとする。
PLA爆撃機部隊は昨年十数回にわたり日本海を通過し西太平洋に進出しており、台湾を一周したり、東・南シナ海上空を飛行している。すべて発火点になりうる地点だ。2015年2016年ともに年間4回のフライトしかなく、2013年から2014年は二回のみだった。
ペンタゴン報告書では2017年8月に人民解放軍空軍(PLAAF)がはじめて沖縄以遠にH-6K爆撃機6機を派遣し活動範囲を広げたことを特記している。編隊は沖縄本島の東海岸沿いに飛んだが同地には米軍人員5万名が駐留している。
西太平洋上空への爆撃機フライトも心配を生む要因だ。「遠距離飛行型の(H-6K)機材は対地攻撃巡航ミサイル(LACM)を6発搭載し、長距離スタンドオフ精密攻撃能力をPLAに与え、グアムも射程に収めている」からだという。
台湾周辺や東・南シナ海での活動にも警戒が必要だ。中国は各地域で権益をめぐり各国と対立しているからだ。
Overwater Bomber Capabilities国防総省の2018年版中国の軍事力報告書に掲載された爆撃機の飛行範囲

中国は習近平主席がめざす世界第一級の軍事力実現の夢を実現すべく軍事力で近代化を進めており、今世紀中頃まで世界のいかなる国との交戦に勝利できることを目標とする。そのため兵力投射の手段を整備中で空母や長距離戦略爆撃機で通常・核両用の攻撃兵器を運用することを狙う。.
米国はそうした動きを逐一注視しており、ペンタゴンは「テロリズムではなく『大国間競争』が今や米国の安全保障の中心課題である」とジム・マティス国防長官も今年初めに発言していた。■

ペンタゴンの中国軍事力の現況2018年版は次のリンクでご覧になれます。

2017年10月27日金曜日

中国の戦略爆撃機H-6の過去と現在


日本周辺にも姿を現しているのがH-6の最新K型ですが以外に機数が少ないようですね。これでは継続した作戦はできないはずですが、旧式機も投入してくるつもりなのでしょうか。いずれにせよ日本としては同機よりも搭載するミサイルに軽快すべきなのはいうまでもありません。勿論発車前に母機を撃墜すればそれが一番いいのですがスタンドオフ攻撃だとそうはいかないでしょう。

Fact You May Not Know: China Has Its Very Own 'B-52' Bomber
中国にも「B-52 」があることをご存知でしょうか

October 22, 2017

  1. 長距離戦略爆撃機をある程度の機数で運用中なのは中国、ロシア、米国のみだ。米B-52 やロシアTu-95と並び中国は原型は1950年代のH-6を人民解放軍空軍PLAAFおよび海軍航空隊が運用する。巡航ミサイルを搭載し同機は実戦にも投入された。
  2. H-6は中国がツポレフTu-16バジャーをコピーした機体で1958年から59年に当時のソ連から中国が数機受領し、ライセンス生産を始めた。直後発生したソ連との関係悪化前にTu-16生産キットを中国が受領でき幸運だった。Tu-16は中国初の原子爆弾を1965年に投下している。
  3. H-6初号機の完成は1968年で西安航空工業が行った。WP8ターボファンエンジンもロシアAM-30 のコピーで音速にわずかに足りない656マイル時で飛行し、爆弾搭載量は60千から80千ポンドだった。戦闘行動半径は1,100マイルで乗員4名から6名で最高高度42千フィートを飛行した。
  4. 基本形は通常型爆撃機だったが、核爆弾運用型のH-6Aが1970年代の核実験で多用された。最近では通常爆弾で黄河の氷塊を破壊する用途にも使われている。.
  5. Tu-16原設計は1950年代で戦略爆撃機は攻撃対象地の上空飛行で核兵器通常兵器を重力投下するものだった。このコンセプトは第二次大戦の延長で、H-6にも23㍉自動機関砲が6門搭載され敵機撃退を狙った。ただし1960年代に地対空ミサイルや超音速ジェット戦闘機が登場してこの発想は時代遅れになった。
  6. 1970年代にPLAAFも戦略爆撃機で敵地侵入し上空から爆弾投下はできないと悟り、H-6の航続距離延長策を模索し始めた。H-6Dは新型レーターにより敵艦船を主翼下搭載のC-601シルクウォーム対艦ミサイル二発で狙った。C-601は全長6.5メートルでYJ-6あるいはCAS-1クラーケンのNATO名があり、有効射程150キロで1,130ポンド弾頭を運ぶ。.
  7. H-6Dは4機が1987年にイラクへ輸出され、C-60150発と引き渡され、1988年にイラン・イラク戦の死闘に投入された。
  8. C-601初の戦果はイランばら積み貨物船Entekhabで1988年2月5日のことで、さらに少なくとも14隻の石油タンカー、貨物船がイラクのC-601 によると思われる攻撃を受けたが、はっきりしない。大型石油タンカーは対艦ミサイルの攻撃を受けても簡単には沈んでいない。
  9. イランはF-14トムキャットでH-6D一機を撃墜したと主張している。1991年の湾岸戦争では残存するH-6三機は米軍がアルタカドゥム航空基地で破壊した。エジプト空軍がその後H-6を唯一運用していたが、2000年に用途廃止している。
  10. 他方でPLAAFはH-6を近代戦に合わせる努力を続け80年代にH-6EおよびF型でエイビオニクスや対抗装備を改良している。
  11. PLAAFはH-6を非戦闘任務用に改装しHY-6がPLAAF初の空中給油機になった。同機は85千ポンドまでの燃料補給能力があると見るアナリストがあり、米KC-135Eの半分程度で長距離任務につく戦闘機2機の支援が可能だ。その他特殊任務用のH-6にはH-6B偵察機、HD-6電子戦機がある。
  12. その後もH-6のか医療は続き巡航ミサイル運用に中心をおいたH-6Hが1990年代に登場し、対地攻撃ミサイル2発を運用した。H-6Gは地上発射巡航ミサイル用に標的情報を提供するのが任務で、H-6Mミサイル母機はYJ-31(KD-88)巡航ミサイル4発を搭載する。
  13. 最後に中国はH-6Kを2007年発表し、エンジンをロシア製D-30KPに換装し出力が25%増え、射出脱出シートやグラスコックピットがついた。陳腐化したガラス張りの機首や後部機銃手は廃止され、改良型レーダーと防御装備が導入された。その他にも赤外線方式と電子光学指揮センサーやネットワーク用のデータリンクがつく。
  14. さらにH-6Kは主翼下に大量装備搭載が可能となり、CJ-10またはCJ-20巡航ミサイル6発を搭載し900マイルから1,500マイルを射程とする。またはYJ-12対艦ミサイルを搭載する。飛行距離は2千マイルから空中給油で3,500マイルまで伸びる。H-6Kはこれまで16機が製造されており、国産エンジンWS18ターボファンに換装した型も開発中と言われる。.
  15. H-6Kの搭載能力や航続距離は米B-52には匹敵しないが中国にそこまでの性能は必要ない。中国にとって同機の性能で十分で大型巡航ミサイルを標的に発射できる。飛行速度は低くステルス性もないH-6は敵防空網の近くに接近せず長距離ミサイルを数千マイル先から発射すればよいのだ。基地からの最大攻撃範囲は空中給油を前提で4,500マイルになる。
  16. 興味深いことにH-6は理論上は核兵器運用できるが、PLAAFには核弾頭付き空中発射巡航ミサイルは配備されていないと見られる。この理由として中国は核兵器を防御用に使う思想があり、敵の第一撃攻撃を想定し装備の残存を最優先しているためといわれる。
  17. かわりにH-6は通常兵器攻撃能力の有効距離を伸ばし、対艦攻撃に投入するのだろう。近代化H-6Kはあらゆる面で海上攻撃機の機能を有しているが中国には有効な長距離監視偵察手段が欠落しているとの指摘があり、H-6で攻撃したくても敵艦位置を把握できない。
  18. それでもH-6の実戦投入事例(1988年)から巡航ミサイル搭載により大規模な損害を与えることは高性能情報収集能力がなくても十分可能とも言える。
  19. 昨年9月3日、PLAAFのMa Xiaotian大将から中国が新型戦略爆撃機を開発中と発表したがこれはH-6改良型なのか全くの新型機なのか不明だ。
  20. 中国が太平洋でのプレゼンスを強める中で長距離兵力投射能力が問われており、長年供用されているH-6がこの実現に有益な存在であるのは確かだ。■
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
Image: Creative Commons.

2016年9月4日日曜日

★中国の国産新型爆撃機開発が成功する可能性は



エンジンの裏付けがないままの新型機開発、ここにも中国の技術体系のいびつさ、ものづくりへの熱意の不足が見えてきますね。

The National Interest


China Is Building a New Long-Range Bomber


September 3, 2016


  1. 中国人民解放軍空軍(PLAAF)が新型長距離戦略爆撃機を開発中だが、詳細はほとんど不明だ。現行主力爆撃機は巡航ミサイルを搭載する西安H-6Kで1950年代のソ連Tu-16バジャーを大幅改造している。だが、同機には敵防空網侵入も米本土攻撃の航続距離もない。
  2. 「新世代長距離爆撃機を開発中で将来その姿をあらわす」とPLAAF参謀総長Ma Xiaotian馬騎天が9月1日にPLAAF航空大学(吉林省長春)で述べたと環球時報が伝えた。ただし馬上将は新型爆撃機の詳細に触れていない。
  3. 中国による新型爆撃機の開発自体は驚くべき話ではない。太平洋の広大さを考えれば大ペイロードを搭載し長距離飛行する能力は有益だ。中国本土を離れれば航空兵力投射用に使えるのは人工島上の脆弱な施設しかない。大型長距離爆撃機があれば米軍を長距離攻撃可能となる。
  4. 新型爆撃機編隊が巡航ミサイルを搭載すれば、米空母打撃群を洋上攻撃する能力がH-6Kより向上する。これは冷戦時にソ連がツボレフTu-22M3バックファイヤーで狙っていた攻撃に類似する。また米軍活動に不可欠なハワイのような拠点を遠距離攻撃できる。
  5. また、十分な航続距離、ペイロード運用能力、対地攻撃巡航ミサイルの組み合わせで米大陸部も次世代中国爆撃機の攻撃範囲に入る。その反面、開戦となれば米国には中国本土攻撃をためらう理由はない。
  6. 中国の新型長距離爆撃機がボーイングB-52やTu-95のような巡航ミサイル母機、あるいは超音速機としてツボレフTu-160ブラックジャックに似た機体になるのか、それともステルス機ノースロップ・グラマンB-2スピリット同様になるのか不明だ。ステルス機の成都J-20、瀋陽J-31の開発で実力を示していることから、低視認性機体になる可能性は充分ある。
  7. ただし中国の課題はジェットエンジンで信頼度の高いエンジンの国産開発に成功していない。これがアキレス腱だと北京政府も認識しているようで、是正に乗り出している。習近平はAero Engine Corporation of China (AECC)を先月発足させ、ガスタービンエンジン技術で先進国水準に追いつくのを目指している。環球時報は李克強首相自らが高性能エンジン開発は民生、軍事両面で優先事項だと指示していると伝えた。
  8. 高性能エンジン開発で革新性を発揮していない中国が信頼性の高い生産可能なエンジンの技術をマスターするのは時間の問題だろう。この点さえ克服すれば、中国の航空工業、空軍力は一気に発展するはずだ。
Dave Majumdar is the defense editor for the National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.