エンジンの裏付けがないままの新型機開発、ここにも中国の技術体系のいびつさ、ものづくりへの熱意の不足が見えてきますね。
China Is Building a New Long-Range Bomber
September 3, 2016
- 中国人民解放軍空軍(PLAAF)が新型長距離戦略爆撃機を開発中だが、詳細はほとんど不明だ。現行主力爆撃機は巡航ミサイルを搭載する西安H-6Kで1950年代のソ連Tu-16バジャーを大幅改造している。だが、同機には敵防空網侵入も米本土攻撃の航続距離もない。
- 「新世代長距離爆撃機を開発中で将来その姿をあらわす」とPLAAF参謀総長Ma Xiaotian馬騎天が9月1日にPLAAF航空大学(吉林省長春)で述べたと環球時報が伝えた。ただし馬上将は新型爆撃機の詳細に触れていない。
- 中国による新型爆撃機の開発自体は驚くべき話ではない。太平洋の広大さを考えれば大ペイロードを搭載し長距離飛行する能力は有益だ。中国本土を離れれば航空兵力投射用に使えるのは人工島上の脆弱な施設しかない。大型長距離爆撃機があれば米軍を長距離攻撃可能となる。
- 新型爆撃機編隊が巡航ミサイルを搭載すれば、米空母打撃群を洋上攻撃する能力がH-6Kより向上する。これは冷戦時にソ連がツボレフTu-22M3バックファイヤーで狙っていた攻撃に類似する。また米軍活動に不可欠なハワイのような拠点を遠距離攻撃できる。
- また、十分な航続距離、ペイロード運用能力、対地攻撃巡航ミサイルの組み合わせで米大陸部も次世代中国爆撃機の攻撃範囲に入る。その反面、開戦となれば米国には中国本土攻撃をためらう理由はない。
- 中国の新型長距離爆撃機がボーイングB-52やTu-95のような巡航ミサイル母機、あるいは超音速機としてツボレフTu-160ブラックジャックに似た機体になるのか、それともステルス機ノースロップ・グラマンB-2スピリット同様になるのか不明だ。ステルス機の成都J-20、瀋陽J-31の開発で実力を示していることから、低視認性機体になる可能性は充分ある。
- ただし中国の課題はジェットエンジンで信頼度の高いエンジンの国産開発に成功していない。これがアキレス腱だと北京政府も認識しているようで、是正に乗り出している。習近平はAero Engine Corporation of China (AECC)を先月発足させ、ガスタービンエンジン技術で先進国水準に追いつくのを目指している。環球時報は李克強首相自らが高性能エンジン開発は民生、軍事両面で優先事項だと指示していると伝えた。
- 高性能エンジン開発で革新性を発揮していない中国が信頼性の高い生産可能なエンジンの技術をマスターするのは時間の問題だろう。この点さえ克服すれば、中国の航空工業、空軍力は一気に発展するはずだ。
Dave Majumdar is the defense editor for the National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。