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★もし戦わば ④  F-35対 中国J-31、ロシアSu-35、そしてイーグル最強のF-15SAの勝利の行方は?



F-35を前面にたてた作戦ではこれまでの機材の場合と相当異なる様相になることが想像されます。しかし問題は何でもかんでも戦闘任務をこなさなければならない同機がどれをとっても中途半端な戦力になりそうなことで、今後数十年に渡り西側防衛体制で頭痛のたねとなるでしょう。

The National Interest


America's F-35 Joint Strike Fighter vs. China's J-31, F-15SA and Russia's Su-35: Who Wins?

September 20, 2016


ここ数十年で最も議論の対象になった兵器体系が米F-35共用打撃戦闘機で論議の種となっている。理由は明確だ。供用期間通じ1兆ドル超の事業経費、戦闘のあり方を根本から変える技術革新、ゆくゆく第四世代機に取って代わる期待も大きい。
F-35が戦闘に投入されたらどんな活躍をするのだろうか。たとえばF-15最新型にどこまで優勢なのか。中国の新型ステルス戦闘機に対してはどうか。また、ロシアの最新第四世代機Su-35が相手なら?
そこでデイヴ・マジュンダー(TNI防衛デスク)にそれぞれの予想を尋ねてみた。以下の記事を楽しんでもらいたい。執筆は数ヶ月前であると申し添えておく。

1) J-31対F-35
瀋陽J-31戦闘機の詳細情報が最近入手できたが、ロッキード・マーティンF-35に類似しているのは外観だけでなく空力学的性能も同等だとわかった。だが真の問題は中国がレーダーやエンジンのようなサブシステムをどこまで完成させているかだ。また中国が各種技術内容を機体と統合できているのかも疑問だ。

外観上はJ-31は双発にしたF-35クローンと言っても通用する。中国がJSF技術を盗んで同機を開発したと見ていい理由がある。ゆくゆくは米側戦闘機と互角の実力になるのか。「最終的には中国は米第五世代戦闘機と同等の性能を手に入れるでしょう。産業スパイ活動は今でも活発です」と米軍航空関係者が昨年記者に語っていた。

だが一対一では中国機はF-35と同等の性能を得る必要はない。中国の狙いは米側に打撃を与えて同機投入の代償を高くすることだ。あくまでも仮説だがF-22が中国J-11フランカーを相手にすれば撃墜30対1で優勢になる。だが戦闘投入可能なラプターはわずか120機。F-22もJ-31あるいはJ-20が相手なら優勢は3対1にまで低下する。つまり米軍は損耗率を意識せざるを得なくなる。「J-31やJ-20が出てくれば、3対1の撃墜率でも米側には高い代償になる」と米空軍高官がやはり昨年記者に語っている。

J-31の弱点がエイビオニクスであり、レーダー、赤外線探追尾装置、データリンクやデータ融合の分野である。同機は単独行動を前提とした機体であるが、各種センサーで集めた情報を融合することは極めて困難だろう。F-22でさえLink-16のデータを機内センサーに融合させるのはインクリメント3.2Aソフトウェア更新まで待っている。ここにF-35開発日程でロッキードが大きく遅れた理由があり、空軍がソフトウェア問題を一貫して懸念している理由でもある。

中国産業界がJ-31生産に成功できるかとの疑問が残る。ステルス機の製造では公差が低いのが特徴でF-22の場合は1インチの一万分の一の誤差しか許容されていない。F-35は更に厳しいといわれる。中国がここまでの誤差の精密仕上げをした実例がないこと、中国が国産ジェットエンジンで信頼性の高い製品を完成させていないことから、中国が米第五世代機の水準に追いつくまでにはまだ時間がかかるだろう。

J-31が技術面でF-35の水準に到達していないとしても中国が力を入れている分野がある。長距離ミサイルでPL-15の存在が確認されており、ヨーロッパのメテオ視野外攻撃ミサイルと類似している。ただし中国版はラムジェット推進方式で極めて長距離の有効射程と最終段階での目標捕捉能力を引き上げており、AIM-120 AMRAAMを凌ぐ水準にしている。AMRAAMのロケットエンジンは数秒間しか作動せず、目標捕捉方法は通常のミサイルと同じだし、AMRAAMはデジタル無線周波数メモリーによるジャミングの妨害を受けやすいという弱点を抱え,後継機種が必要とされている。

航空戦闘軍団(ACC)はこの問題を深刻に受け止めており、空軍上層部はここ数年内情を訴えてきた。「PL-15の射程を考えるとこちら側には対抗策が必要だ」とACC司令官カーライル大将がFlightglobalに語った。

2)F-15SA対F-35
ボーイングF-15Aの初飛行は1972年7月で、イーグルは究極の航空優勢戦闘機となった。高速で高高度を飛び、機動性が高く、APG-63パルスドップラー・レーダーを搭載した同機に対抗可能な機種がソ連になかった。他方で同機のもともとの製造メーカーのマクダネル・ダグラスは同機を多用途戦闘機に発展させF-15Eストライク・イーグルが生まれた。航空優勢用のF-15Cと攻撃を重視するF-15Eは今後数十年に渡り米空軍装備として残るが、サウジアラビアがイーグルの最新高性能仕様を発注している。この最新型はロッキード・マーティンのF-35と互角にわたりあえるのだろうか。

サウジアラビアは新造F-15SAを84機と現有ストライク・イーグルの性能改修キット70機分を発注した295億ドルの巨大商談は2011年11月に成立し、当時は米史上最大の軍事販売となった。その後ボーイングは性能向上型を開発テストし、ジェネラル・エレクトリックF110エンジン双発とし、プラット&ホイットニーF100を採用しなかった。同社は納入の準備が整い、今年4月にサウジ向けの1号機がセントルイス(ミズーリ州)工場からロールアウトしている。

F-15SAで最大の改良点はフライバイワイヤー操縦システムで、これまでのイーグルはハイブリッドのコンピュータによる機体制御を採用していた。フライバイワイヤーの採用でボーイングはこれまで使えなかった主翼下外側ハードポイント二箇所を再活用できるようになる。一番外側のハードポイント一号、9号に武装を装着すると機体安定度に問題があったのだ。

それ以外にF-15SAは高性能APG-63 V.3アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)を搭載し、今後の顧客にはより高性能のAPG-82も提供する。米空軍のストライク・イーグルが換装中のレーダーだ。F-15SAではBAEの高性能デジタル電子戦システム(DEWS)も搭載し、デジタル無線周波数記憶ジャミング能力が備わる。

このデジタル装備は周波数帯域を連続探査し探知可能性が低い(LPI)電子信号も見つけることができる。(F-22とF-35ではLPI技術で自機の出す電子信号を隠している) さらに干渉型アンテナは現行型より正確な方位測定が可能だ。

DEWSの性能はF-22やF-35の搭載する電子支援手段装置に匹敵するものだろう。元は同じ技術なのだから。米空軍の現有ストライク・イーグルよりはるかに高性能だ。米空軍ではイーグルにパッシブ・アクティブ警告残存装置(EPAWSS)が搭載されるまでは匹敵する性能は存在しない。

F-15SAではロッキード・マーティン製のAN/AAS-42赤外線探知追尾装置もついている。レーダー、赤外線探知追尾装置、電子戦装備がそれぞれ得た情報を融合し、明確な像を示す点でF-22やF-35と匹敵する内容だ。像はF-35同様の大型カラーディスプレイに表示し、前席後席で見ることができる。搭乗員両名は共用ヘルメット装着型指示出し装置をつける。このすべてでF-15SAは極めて強力な多用途戦闘機となり、米国が製造した第四世代戦闘機で最強だろう。

だがこれでF-35と堂々と対抗できるだろうか。長期的に見ればF-35は戦闘機市場で競争相手のない存在となるはずで、西側では特にそうなる。ステルスは大きなセールスポイントで高性能ロシア製中国製地対空ミサイルの普及を見越している。さらにF-35には米国政府の後ろ盾もある。だが短期的に見れば、ボーイングはF-15をお金持ち国に売る商機がある。高性能長距離ジェット機が必要な国は多く、イーグルの高価格に抵抗のない相手だ。そうなると中東とアジアが有望で特にF-35が手に入れられない国が狙い目だ。

だが忘れてはいけなのは戦闘機導入では機体性能や軍事要求を満たすことよりも地政学が重要となることだ。ある機種を導入することで他国と戦略的同盟関係が生まれる。たくさんの国がペンタゴンの装備とつながろうとすると高級店のように高価格な機体とともに高額の整備費用を負担することにつながる。

3)Su-35対F-35

ロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機はゆくゆくペンタゴンの戦術戦闘機部隊の主力の座につくはずだが、高価な第五世代戦闘機を難なく運用できる国ばかりではない。

ロシアや中国でさえ第五世代戦闘機のみで編成するつもりはないようだ。かわりに当面はスホイSu-27フランカー航空優勢戦闘機の改良型があちら側の戦術航空機材の中心となるだろう。極めて高性能なフランカ-派生型がSu-35で、エイビオニクスが大幅に改良され、エンジン、機体構造も同様だ。今後数年間で最新のフランカーEが世界各地に広がりそうだ。

フランカー各型が世界各地に拡散することに対抗して米空軍、海兵隊ならびに限定的ながら海軍はF-35各型を頼りにせざるを得ない。もともとF-35が航空優勢の確保を念頭に作られた機体ではないこともあるのだが。F-35は空対空戦でも十分な実力を持っているとは言え、攻撃機の性格が強い。もっともペンタゴンは同機は万能機だと主張しているが。

ではF-35の4機編隊がやはり4機のSu-35と対決したらどうなるか。一番考えやすいのはF-35編隊は針路を変更し、F-22ラプターやF-15Cの助けを求めるだろう。そうしながらF-35編隊は本来の標的探しに戻るはずだ。

だが歴史で明らかなように、戦争では多くの場合、最適な解決手段が選択可能なわけではない。もしF-35だけで対応することになれば、Su-35とは互角の戦いになるだろう。ただしうまく装備を活用出来ればだ。F-35のパイロットはステルス、各種センサー、さらに巧妙な戦術を駆使し、F-35の強みを活かしつつ弱点をつかれないようにするだろう。つまりステルスとセンサー能力で視界外から的編隊と交戦し、視界内での戦闘は避けるはずだ。F-35が弱点を露呈するからだ。

ラプターは最初から空対空での勝者を目指し高性能となっているが、F-35は事情が違う。ラプターはステルスと高硬度超音速巡航飛行(マッハ1.8超)が可能だ。これに対しF-35はアフターバーナーまで使ってマッハ1.6が精一杯である。またF-22には近接有視界内ドッグファイトでの機体制御が極めて優秀で旋回率、旋回半径、迎え角、高エネルギー性能を全高度帯で発揮する。

ラプター四機編隊は超音速巡航飛行を高度50千フィートで行い、空戦の主導権を自由に発揮できるが、F-35は低速低空飛行でうっかりすれば高性能敵機への対応を迫られる事態にもなりかねない。

さらにF-35ではAIM120空対空ミサイルに十分な発射エネルギーを与える高度速度が確保できない。ラプターはこれが可能で、JSFが発射するとミサイルは有効射程が短くなる。またF-35が搭載できるミサイルの本数は少ない。これは敵のデジタル無線周波数記憶型ジャマーによるAMRAAMへの妨害を考えると困った問題だ。

接近戦になるとJSFにはラプター同様の機体制御は期待できない。F-16やF/A-18にも劣る。どうしてもドッグファイトになれば、米F-35パイロットの技量と経験を使い撃墜を免れるしかない。F-35のステルス性は兵装を機内装備した場合のみ有効だ。AIM-9X視程外ミサイルは搭載できない。これが将来搭載可能となればそれだけの価値はある。F-35パイロットはどんなことをしても接近戦を避ける必要がある。

そうなると米側の統合航空部隊指揮官(JFACC)がF-35部隊に航空優勢ミッションを割り当てる可能性は極めて低い。他の機材が使える前提でだ。だがラプターが少数機しかなく、F-15Cも減耗していくことを考えるとJFACCとしてもF-35に航空優勢確保を命じざるを得ない事態が生まれるだろう。ただし、アメリカの空軍力が世界各地で直面する本当の脅威は敵航空機材ではなく敵の高性能統合防空装備となるはずだ。■



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