ラベル #EU の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル #EU の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年5月13日火曜日

見過ごされてきた貿易戦争:米国のイノベーターに対する欧州のデジタル貿易戦争(The National Interest) —これも米欧対立の一面で、EUのエリートがことごとく米民間企業の活力を削ぐ施策を進めていることに不満が高まっています

 




米国のハイテク企業への欧州のデジタル取り締まりは、大西洋を越えたイノベーションを弱め、中国を助長している。共通の利益を守るためより公正で協調的な規制が必要だ


この記事は政治ネタを中心とする「こもん・せんす」ブログhttps://common-sense-for-right-answers.blogspot.com/と共通記事です。

れまで見過ごされてきたが、ここ数年静かに進行している貿易戦争が、米国のイノベーター企業に対する欧州のデジタル貿易戦争である。 欧州連合(EU)は、アメリカで最も革新的なハイテク企業に対し、何十億もの罰金やコンプライアンス・コスト、包括的な新規則を課しているが、中国やヨーロッパの企業にはほとんど手をつけていない。これらの「デジタル関税」は、アメリカの犠牲の上にヨーロッパのハイテク部門を押し上げることを目的としているが、それどころか大西洋の両岸を弱体化させ、中国の利益となっている。

 西側民主主義諸国が未来への競争に勝つために、欧州の政策立案者は有権者、消費者、企業、政治家の声に耳を傾け、規制を緩和し、法律を公平に適用すべきである。


問題:EUは米国のハイテク企業から数千億ドルを吸い上げている

長年にわたり、欧州の政策立案者たちは、中国や欧州の企業ではなく、意図的に米国企業に焦点を当てた大々的な規制制度を制定してきた。 デジタル市場法、デジタルサービス税、一般データ保護規則、AI法は、世界的な大企業のみを捕捉する人為的な高い基準値、規制当局に実質的な裁量権を与える曖昧な表現、欧州の消費者への危害ではなく世界的な売上高の割合に基づく罰金で米国企業を標的としている。これらの法律を通じて、欧州の規制当局は米国企業に3200億ドル以上の罰金を科し、これはEUの年間予算1860億ユーロを上回るものである。


米国の政策立案者も注目している。 

トランプ政権も議会の多くの議員も、「米国企業や労働者に害を及ぼす方法でデジタル経済を規制しようとするEUの取り組みに継続的な懸念を表明」している。権威主義的な競争相手が台頭する中、イノベーションと経済政策に関する大西洋間の連携はこれまで以上に重要になっている。分断されたルールではなく、競争力を高め、共通の価値を守るために、米国とEUは協力すべきである。


影響 消費者の損害と世界全体での競争力低

欧州の政策は、大西洋の両側で企業と消費者に損害を与えている。欧州の消費者にとっては、こうした政策が商品やサービスの提供を制限し、事業への投資を減らしている。例えば、アップルメタも、その規制の泥沼のせいで、新しい人工知能(AI)製品のヨーロッパへのリリースを遅らせている。欧州企業発のものを含むオープンソースプロジェクトにとって、AI法の恣意的な線引き、広範な範囲、限定的な除外は、欧州と欧州人に対するAIの開発と利用可能性を低下させる可能性が高い。

 米国人にとって、罰金は米国の労働者や株主から欧州の官僚への純粋な富の移転を意味する。さらに悪いことに、欧州の規制当局がどのような行為を問題視するか確信を持って予測できないこの規則は、米国企業に不確実性をもたらす。その結果、米国企業は欧州市場で先進的な製品を発売するインセンティブが低下し、それに応じて技術革新への意欲も低下し、製品改良のために市場からのフィードバックを収集する能力も低下する。


「勝者」はもちろん中国である。 

中国は2兆8,000億ドル近くを費やし、アメリカを世界の技術大国から追い落とすと同時に、年間5,000億ドルものアメリカの技術や企業秘密を盗んでいる。 アメリカ企業のコストとリスクを引き上げる一方で、中国企業にはほとんどフリーパスを与えることで、ヨーロッパの政策立案者は中国の競争力強化に手を貸している。実際、中国は現在、量子センサー、高性能コンピューティング、AIアルゴリズムなど64分野の重要技術のうち57で米国をリードしている。


解決策 米欧における規制緩和と公平な執行

大西洋の両岸で政策立案者が協力して、透明性が高く、予測可能で、公平な方法で法律が設計され、施行されるようにすべきである。米国では、ホワイトハウスが米国通商代表部に対し、外国政府が米国企業に不適切なデジタルサービス税を課すことを阻止するよう指示した。

 欧州では、政策立案者は法律の透明性と予測可能性を向上させ、米国、欧州、中国を問わず、すべての企業に対して公平な方法で執行すべきである。さらに欧州は、罰金や罰則を世界的な売上高ではなく、欧州の消費者に対する実際の損害に基づいて決定すべきである。このような変更は法の支配の基本原則に合致し、欧州への継続的な投資を促進するだろう。

 多くの欧州人がそのような変更を支持するだろう。世論調査によれば、欧米の有権者は、西側民主主義諸国間の協力の必要性、権威主義政権による民主主義への脅威、検閲のない開かれたインターネットの利点といった共通の価値観など、多くの点で意見が一致している。 同様に、最近の書簡では、150人の欧州のビジネスリーダーが、EUのAI法が長期的な競争力を損なう可能性について懸念を表明している。最後に、欧州の政治家の一人であるマリオ・ドラギが最近の分析で説明したように、欧州はイノベーションを優先しなければ、国際競争力の低下という「緩やかな苦悩」に苦しむことになる。ドラギ・レポートは、お役所仕事を削減し、研究開発(R&D)投資を促進し、民間セクターと提携して成長を促進するよう求めている。

 これらを実行に移せば、米国と欧州の消費者と企業に利益をもたらすと同時に、中国の世界的なハイテクへの野心を牽制するだろう。 世界中の自由と繁栄のために、米欧は協力し共通の利益を増進すべきだ。■


An Overlooked Trade War: Europe’s Digital Trade War Against American Innovators

May 7, 2025

By: Saxby Chambliss, and Kent Conrad

https://nationalinterest.org/blog/techland/an-overlooked-trade-war-europes-digital-trade-war-against-american-innovators


著者について 

サックスビー・シャンブリス、ケント・コンラッド

ジョージア州上院議員(2003~2015年)、下院議員(1995~2003年)を歴任。下院議員時代には、テロと国土安全保障に関する情報小委員会の委員長を務め、9.11後の極めて重要な調査を指揮した。 上院では農業委員会の委員長、情報委員会の委員長を務めた。2011年にはワシントン・ポスト紙から赤字削減のリーダーシップで表彰された。2015年に引退し、パートナーとしてDLA Piperに入社、アメリカン・エッジ・プロジェクトのアドバイザーを務める。

ケント・コンラッドはノースダコタ州の元上院議員(1986~2013年)で、財政政策における民主党の代表的発言者。 予算問題の専門家として知られ、上院予算委員会の委員長または委員を12年間務め、赤字削減とシンプソン=ボウルズ計画の著名な提唱者であった。 自称「赤字タカ派」のコンラッドは、その財政問題への深い理解で超党派の尊敬を集め、2006年にはタイム誌から「アメリカのベスト上院議員10人」の一人に選ばれた。引退後も、超党派政策センターの退職保障委員会の共同議長、責任ある連邦予算委員会の理事、アメリカン・エッジ・プロジェクトの顧問を務めるなど、公共政策に積極的に取り組んでいる。

画像 Shutterstock



2020年5月11日月曜日

コロナウィルス後のPRC②(正)中国の目指す世界にさせないため西側が何をすべきか

武漢ウィルス後の世界は中国に厳しい態度をとる② (こちらが②の記事でした。おわびします)
「パンデミックが世界規模でひろがり、中国を野放しにすると破滅的な結果が生まれる実証になった。COVID-19にワクチンが必要なように、敵意を隠さず協調の意思を示さない中国共産党には予防薬が必要だ」

実的になろう。中国と西側世界の関係は変化しつつある。

以前は北京を利益を生む「小切手帳」と見る向きが多数だった。だがこれは少数派だ。中国との協調を重視する勢力でさえ困難な事態の到来を覚悟している。

中国共産党の支配下にある中国の影響力は西側社会の自由、繁栄、安全に脅威だ。米国、カナダ、欧州の協力があってこそ自由主義国家群は繁栄できる。

新冷戦時代に突入するとの見方も現実的ではない。我々は相互につながった世界、独立国家が24時間ビジネス展開する世界に生きているのであり、そこでは「自由の共通観念」として海や空の自由移動を権利として認めている。


打開策として大西洋をはさむ自由主義国家は団結して中国の役割、世界問題に中立の立場を取らないことだ。国民主権、人権、自由な企業活動を共通価値とする我々と違い、中国共産党は全て否定する。我々がこうした価値観を守らなければ、大切な世界を失う。

欧米の指導層は従来と同じ形で中国に対処すれば危険だと認識しつつある。では何をすべきか。

中国問題が全面に出てきた理由のひとつに武漢で発生したCOVID-19の大流行に中国共産党がとった驚くべき対応がある。中国政府は高い伝染性を承知しながら、自国民の海外渡航を制限しなかった。

さらに国際保健基準で定めた報告を遅らせ、ウィルスの生体標本を他国に提供せず、研究やワクチン開発をさせなかった。もっともこの逸脱は今回がはじめてではなく、中国には悪い見本の歴史がある。


世界規模のパンデミックが発生し、中国を野放しにすると大変な事態になると実証された。COVID-19にワクチンが必要なように、敵意を隠さず協調の意思がない中国共産党には予防薬が必要だ。行動を開始しよう。

NATOは中国の脅威を真剣に受け止める必要がある。中国の行動や国力はNATOの防衛能力を減少させかねない。

通信から産業制御まで、宇宙からサイバー空間まで、鉄道、橋梁、港湾まで中国は大西洋の両岸で足場を築いている。NATOが抑止力・防衛機能を発揮するために各インフラは必要だ。

中国によりスイッチを制御されたり悪意ある影響が出れば、NATO防衛体制が大きく損なわれる。NATOの抑止力維持に中国の干渉を許してはならず、外部脅威への自衛力を今後も維持する必要がある。

米国はグローバル大国であり、その権益・責任は世界規模にひろがる。その米国はインド太平洋で中国に対抗しつつ中東の安定化へも責務がある。米国が各方面で成功するためNATOに責任を果たしてもらいたい。特に欧州の安全を脅かす外部勢力への対応が必要だ。

NATOの最上位課題がロシアによる不安定工作への対抗なのは間違いない。その次に深刻な脅威が中東なのは欧州の平和安定に影響を与えるからだ。こうした現実脅威に対応すべくNATOは準備が必要だ。

強いNATOがあってこそ世界各地で中国に対応する余裕が米国に生まれる。

欧州の不安定化を狙う中国に対応すべく、EUが米国に不可欠な相手となる。


EUは中国の強奪的な振る舞いを制約してきた。特に貿易、金融、投資の各分野で顕著だ。

EUはアフリカでも米国と協力できる。アフリカは人権、経済、テロ活動、環境、公衆衛生と幅広い難題に直面し、統治機構と治安の不足が問題を悪化させている。

中国のアフリカ進出で問題は全て悪化している。中国は汚職を促進し、望ましくない貸付慣行を許し、誤った情報を拡散している。EUは米国とこうした課題の解決に加われるはずだ。

欧米の共同対応で国際機関の透明性、責任性を高めることができる。

中国共産党は積極的に自国民や関係者を各種国際機関に送り込み中国政府に従属する運営をめざしてきた。世界保健機関は氷山の一角にすぎない。この面での脅威に対応する協力相手が米国に必要だ。

中国問題への対処には強い欧米経済が不可欠だ。大西洋両岸の経済回復には相互の社会がからみあっている。

欧米の経済回復を共同作業とし、経済援助でなく投資活動と民間部門での共同事業を中心とすべきだ。

米国と欧州各国がここまでお互いを必要とする事態は今までなかった。大西洋両岸の指導層は世界で最重要な関係の強化を約束する支出を躊躇すべきではない。■

この記事は以下を再構成したものです。