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2021年6月6日日曜日

米空軍エアフォースツーC-32A後継機は一気に超音速機になりそう。新興企業による技術ブレイクスルーに期待する米空軍。

 US Air Force Boom VIP

BOOM SUPERSONIC

 

 

空軍は超音速あるいは極超音速人員輸送機の開発で、現行のC-32A特別空輸機(原型は生産終了済みボーイング757-200)と大幅に異なる後継機の実現を目指す。C-32Aは副大統領の搭乗時のコールサイン「エアフォースツー」のほうが有名だ。

 

英仏共同開発のコンコードが2003年に運行停止した以降、高速飛行性能と低水準運行経費の両立が難題になっている。ただし、ユナイテッドエアラインズがマッハ1.7で飛行可能なオーヴァーチュア旅客機をブーム・スーパーソニック社から15機導入する基本合意ができたと本を発表したことで、空軍が目指す技術が現実に近づいてきた観がある。

 

TYLER ROGOWAY

米空軍はC-32A特別空輸機を4機運用中だ。

 

 

空軍の2022年度予算案ではC-32高官輸送機再生事業が消えており、2021年度に同事業に計上されていた6.2百万ドルが浮く。

 

C-32A再整備事業の削除で特に関心を呼ぶのは空軍がその分の予算を高速輸送機の研究にす流用していると明らかにしている点だ。空軍の供用中VIP機材は既存型の旅客機やビズジェットを大幅に改装したものだ。

 

「2020年以降の予算は高性能高速輸送機材の評価、技術成熟化に投じられており、C-32A後継機を適切な時期に実現するべく国防産業基盤の強化に充てている」と空軍の予算文書にある。

 

空軍はC-32A(現有4機)と同水準の機材を後継機にすることに関心をなくし、かわりに高速高官輸送機材に焦点をあてている。

 

実際に作業は小規模ながら進んでいる。空軍は新興企業三社に契約を昨年交付し、高速高官輸送機材への応用を検討している。そのうち、前述のブーム・スーパーソニックはXB-1「ベイビーブーム」超音速実証機を昨年10月にロールアウトさせた。XB-1テストからオーヴァーチュア旅客機を誕生させる狙いがある。100%再生可能燃料を使い、乗客65-88名のオーヴァーチュアは2026年に路線就航する予定だ。

 

 

残る二社は同じく超音速機開発をめざすエグソソニックExosonicと極超音速機の実現にとりかかるハーミウスHermeus Corporationだ。

 

C-32Aは後継機種がないまま、航空機動軍団で2040年まで供用されると予算資料にあり、平均18年の耐用年数が残っている。C-32Aの就役開始は1998年で第89航空輸送団の第一空輸飛行隊がアンドリュース共用基地(メリーランド州)で運用している。

 

C-32Aでは改修作業も予定されており、2022年度には1.9百万ドルが計上されているが、2021年度の2.9百万ドルより減っている。予算資料では「プログラム管理装備(PMA)、助言支援機能(A&AS)、システム統合作業、訓練機器、その他政府関連費用に加え、高官用通信装備の更新を行う」とある。

 

さらにC-32A改装では機内意匠を「エアフォースワン」VC-25Aの大統領搭乗区画に近づける「内装リフレッシュ」作業も続いている。うち一機の内装改装が2018年に16百万ドルで発注されている。

 

 

その他の改装作業にコックピットのエイビオニクス改修、機体防御装備、通信機能の大幅向上がある。

 

これまで空軍は海軍とC-32A高官空輸機(EA)のみならず、E-4B国家空中作戦センター(NAOC)通称「審判の日」機、E-6B空中指揮命令所(ABNCP)、通信中継機(TACAMO)まですべて単一機材に更新する大胆な構想を進めてきた。空軍は現有の各機材は「老朽化し運用がどんどん難しくなっている」としている。

 

構想は各機の頭文字をとりNEATと呼ばれてきたが、昨年9月に中止となった。そこで空軍はE-4B後継機の検討を始め、海軍はC-130Jを次のTACAMO機候補としている。

 

となると、空軍が模索する高速高官空輸機はどうなるのか。新興企業三社向けの進展は予測不能だ。ただし、これまでの契約実績は研究中心で規模も少額であることに留意すべきだ。たとえば、ハーミウスには2百万ドル未満しか交付されていない。

 

HERMEUS CORPORATION

極超音速旅客機を空軍仕様にした想像図

 

 

そこで要求性能水準と実用性が問題となる。高官を乗せ世界各地を高速移動しつつ運航効率が高い、長距離を短期予定で移動できる性能は歓迎されるだろうが、単一機種として調達すれば非常に高額な装備になりそうだ。また、運行面では大陸上空の超音速飛行は米国、欧州で依然として禁止されたままであり、機体性能を活用できない。これは軍用、民生用共通だ。

 

一方で、超音速機がこの機体サイズで実現すればその他任務にも投入できる。例として情報収集監視偵察(ISR) 、さらに攻撃任務も想定できる。ごく少数の人員や機材を長距離かつ高速に移動させられる。高速輸送機は搭載力が限られるとしても魅力ある選択肢に残る。 


うまく調整すればその他予算項目からの流用も可能になるのではないか。であればC-32A近代化改修は終了となりそうだ。

 

そうなると、C-32Aの後継機種がないまま、将来の「エアフォースツー」に高官が乗り超音速、あるいはそれ以上のスピードで移動する日が来るかもしれない。大手エアラインが信頼を示したことで空軍にもVIP高速輸送の夢が近づいたのではないか。■

 

次期大統領専用機VC-25Bの供用開始が遅れ気味になっています。一方で、超音速VIP機が空軍に納入されれば、副大統領が高スピードで移動し、大統領はゆっくり移動することになるのでしょうか。大統領の移動となると随行員や装備の関係で小型機では対応できないので、やはりこのままなのでしょうかねユナイテッドのブーム機材購入の話題はT1でお伝え済みです。

https://aviationspacet1.blogspot.com/



 

 

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'Air Force Two' Replacement Dropped With Funds Redirected To Supersonic Transport Research

BY THOMAS NEWDICK JUNE 3, 2021