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2022年3月20日日曜日

厳寒のノルウェーで演習中の海兵隊MV-22オスプレイが墜落。搭乗員4名が死亡。

 MV-22 Ospreys Takeoff

II MARINE EXPEDITIONARY FORCE—PUBLIC DOMAIN

 

海兵隊のMV-22Bオスプレイのティルトローターがノルウェー北部で消息を絶ち、搭乗員4名が行方不明になった。同機は、ノルウェーの厳寒の中で戦闘技術を訓練するNATOの「コールド・レスポンス」演習でノルウェーに展開していた。その後同機搭乗員の海兵隊員4名の死亡が確認された。

 

 

 ノルウェー救助機関 Hovedredningssentralen (HRS) Northern Norwayは、同機が現地時間午後6時頃、訓練後にノールランド地方のボーデ空軍基地に着陸していないと確認したと発表した。MV-22は午後6時26分に行方不明と報告された。最後の確認位置は、ボーデ南方で、北極圏と重なるノルウェー最大の山脈Saltfjellet上だった。

 

U.S. MARINE CORPS/CAPT. KATRINA HERRERA

米海兵隊第二海兵航空団所属のMV-22オスプレイがノルウェー・ハースタッドでコールドレスポンス演習に先立ち、飛行準備に入った。Feb. 19, 2022

 

 現地時間午後9時17分、ノールランドのベイアーン自治体のグロトーダレン渓谷が墜落現場らしいとわかった。しかし、悪天候のため、救助隊は現場に移動できなかった。

 

GOOGLE EARTH

事故現場付近の地形

 

 HRSは「現地気象条件は厳しく、さらなる悪化が予想される」と述べた。

 オスプレイ捜索には、ボーデから発進した救助ヘリコプターに加えノルウェー空軍(RNoAF)のP-3オライオン哨戒機も参加した。ボーデとオーランドの両空軍基地には、シーキングMk43Bと最新のAW101 Mk612救難ヘリコプター分遣隊が配備されている。

 墜落現場が特定され、地元警察と連携した地上捜索活動も行われてる。

 国防総省が公開した画像では、海兵隊中型ティルトローター飛行隊261(VMM-261)「レイジング・ブルズ」が2022年寒冷地対応演習に参加しており、同隊所属のオスプレイが事故にあった可能性を示唆している。

 演習には、NATO以外に地域パートナーのフィンランドやスウェーデン含む27カ国から、約3万人の部隊、220機の航空機、50隻の艦船が参加している。訓練は3月14日から4月1日まで行われる。

 今年は、ロシアのウクライナ侵攻に加えNATOとクレムリン間の緊張の高まりにより、コールドレスポンス演習の意味が重要になっている。

 バーバラ・バレット空軍長官(当時)は、空軍が2020年に北極圏戦略を発表した際、「北極圏は今日、世界で最も戦略的重要な地域の一つで、米空軍と宇宙軍が警戒を行う要だ」と述べていた。これは、ロシアの脅威に対抗するために、同地域でのプレゼンスを高めることが求められている。

 コールドレスポンス演習では、北極圏含む寒冷地での作戦を経験させるだけでなく、北欧でNATOとロシアが対立する際に重要な作戦地域となるノルウェーへの援軍展開も試されている。

 このような背景から、コールドレスポンス演習は陸・海・空で構成されるマルチドメイン演習として実施されている。今年は、大西洋での海上フェーズに始まり、航空作戦に焦点を当てた第2フェーズ、最後に水陸両用上陸と陸上戦闘の訓練が行われる。

 

Update 3/19/2022:

 

 悪天候の中、ノルウェー当局はボーデの南、ベイアーンのグラエタエダレンの墜落現場に今朝早く、たどり着けた。到着後、搭乗員4人全員の死亡を確認した。事故原因は引き続き調査中。遺体回収の発表はまだない。

 ノルウェーのヨナス・ガール・ストーレJonas Gahr Støre首相はツイートで、「昨夜の飛行機事故で4人の米軍隊員が死亡したとのメッセージを受け取り、大変悲しく思っている」と述べた。「家族、親族、部隊の同僚に深い哀悼の意を表する」。 ■

 

Four Marines Killed In MV-22 Osprey Crash In Norway | The Drive

 

The deadly crash occurred while the Marine MV-22 was supporting Exercise Cold Response in Norway.

BY THOMAS NEWDICK MARCH 18, 2022

 


2018年5月5日土曜日

2060年までの供用を目指す米海兵隊のオスプレイ改修策とは。米海軍向けCOD用オスプレイの開発状況

真っ先に導入した海兵隊でもオスプレイの稼働率が低いのは驚きですね。整備、補給体制含め運用に違いがあるのでしょう。それだけに後から導入する米海軍は有利かも知れません。日本も陸自が少数機導入するのは運用に習熟する意味があるはずで後年度に導入規模を増やす布石なのでしょう。オスプレイの性能が今後どこまで拡大できるのかが見ものですが、ベルは新型ティルトローターも開発中です。


Marine Corps to Fly Osprey to 2060 - Preps Aircraft for Future Wars 

米海兵隊はオスプレイを2060年まで供用すべく機体改良で将来の戦場に備える

By Kris Osborn - Warrior Maven
海兵隊はMV-22オスプレイでセンサー改修と兵装追加の大規模改修と稼働率向上で機材の運用範囲を広げつつ稼働供用期間を2060年まで延長する。
「MV-22Bオスプレイは少なくとも今後40年使い続ける予定」と海兵隊航空部門広報官サラ・バーンズ大尉がWarior Mavenに語ってくれた。
原型機登場から20年経過したオスプレイは前例のない形で実戦配備、ミッション範囲や作戦投入が拡大している。
海兵隊も同機の改修と稼働率向上で苦労してきたことを認めている。この課題に輪をかけたのが2007年以来強まっている戦闘部隊司令からの同機への要請だと海兵隊関係者は指摘。
「整備訓練課程の内容、習熟化、標準化のペースが要求水準に見合っていなかった。現時点の整備要員の充足度では要求通りの作業ができない。現在のV-22稼働維持の仕組みでは機体の稼働率の維持向上が不可能だ。大幅に手直しが必要だ」と海兵隊は2018年度航空戦力運用案で述べている。「補給処での整備では要望に応えられない」
シナリオでは海兵隊は共通仕様即応率近代化Common Configuration, Readiness and Modernization (CC-RAM)構想を実施するとあり、バーンズ大尉によれば「全体でのミッション実行率を最低75パーセントにするのが目的」という。
海兵隊によればオスプレイ近代化改修構想は輸送力、速力、多様な運用能力を生かしながら性能を向上させることだという。ロケット弾、ミサイル他の武装でエスコートミッションを敵地内や高度脅威環境で実施可能にすることも含まれる。
その他センサーの高性能化、ナビゲーション、接続のデジタル化、高速化、ホバリング能力の強化、貨物取扱ではペイロード強化、次世代エイビオニクス、ミサイル小火器への防御力強化が改修内容だ。
2018年版の航空戦力運用案ではCC-RAMの対象にV-22の75機を想定し、マルチスペクトラムセンサー、コンピューター、赤外線運用技術、発電機、降着装置制御の改良をめざす。
オスプレイ近代化改修で海兵隊は戦闘統制システムとしてデジタル相互運用(DI)の搭載を進めている。ここにデータリンク、相互無線交信、イリジウム用アンテナを含み戦闘関連情報やC4ISR情報をリアルタイムで海兵隊部隊間で飛行中、ミッション中に共有する。
さらにオスプレイは給油機ミッションでも開発が進んでいる。海兵隊は主力機F/A-18やF-35Cへの給油を狙う。またCH-53E/KやAV-8B、他のV-22への空中給油も可能となる。
「空中給油能力は2019年にシステムとして利用可能となる。海兵隊の運用する機材すべてに給油可能でおよそ1万ポンドを移送可能」と2018年度の海兵隊航空戦力運用案が述べている。
オスプレイはティルトローター構造のためヘリコプター同様にホバリングモードで接近偵察したり、部隊や装備を垂直着陸で移動できる。航空機モードに切り替えれば固定翼機並みの速度で飛行できる。燃料満載で450カイリ飛行可能と海兵隊は説明。最大速度は280ノットで海兵隊員数名と機内搭載車両一両を輸送できる。
オスプレイが搭載可能な海兵隊機内搭載車両
Marine Corps Photo By: Pfc. Alvin Pujols

海兵隊はV-22近代化では進行中の次世代垂直輸送機事業で開発された新技術も導入すると明かしている。おそらく新型軽量複合材他化各種兵装、C4ISR装備や標的技術が含まれるのだろう。
また急速に進む人口知能技術もV-22改修で採用されるだろう。アルゴリズム改良でセンサーのデータや標的情報、航法情報を飛行中に活用することになるだろう。
こうした改良でオスプレイの実効力が今後も維持できる見込みだが、課題がないわけではない。海兵隊では補給処へのサプライチェーンが必要時に機能できるか、さらに今後長きにわたり維持できるのかが懸念されている。また新型機導入の前に既存機種の改修がどこまで可能かも問題だ。
そこで興味を引くのが空軍のB-52と陸軍のチヌークの事例で、大規模改修で機体はともにこれまで数十年間にわたり戦力を維持してきた。空軍はB-52を2050年代まで、陸軍はチヌークを2060年代まで100年間飛ばす予定になっている。
共通するのは機体の補強で長期供用を可能としていることだ。オスプレイはB-52やチヌークより新しい機体だが同様の対応が必要だろう。ここにバーンズ大尉がCC-RAMで「共通仕様」を強調する理由があり、既存機体でも新技術を都度導入できるようにする。この方法はDoDの調達事業全体で実行されており、システムを共通標準で設計し近代化が効率よく進むよう考慮している。
だが既存機体の近代化にも限界があることは広く知られており、どうしても新型機が必要となる。このため陸軍は将来型垂直輸送機事業を強く進めているのであり、ティルトローターも新世代に進化しようとしている。さらに新型機は新装備やC4ISR技術、センサー、自衛システム、エイビオニクスの搭載で有利だ。機体そのものがレーダー反射を減らす特性を発揮することが期待されている。
海軍のオスプレイ
並行して米海軍はCVM-22Bオスプレイの実現を急いでおり、数年内に姿を現す。重要な空母輸送任務 (COD) に供用中のC-2の退役が迫ってきたことからオスプレイの重要性が一段と増している。
海軍仕様のオスプレイは追加燃料タンクにより航続距離を1,150マイルへ増やす。これ以外に無線装備を一新し水平線越し通信が可能となり、機内案内放送も追加される。
海軍版オスプレイの供用開始は2020年代初頭の見込みでVIP輸送や人道救難ミッション含む現在C-2が行うミッションすべてを引き継ぎ、空母へ糧食、交換部品、装備を補給する。

海軍版オスプレイはC-2以上のミッションをこなす。ヘリコプターとしてあるいはティルトローターとして空母着艦すればC-2の着艦手順より簡単だ。発艦にカタパルトは不要でティルトローター機の性能余裕は大きくなる。■

2017年8月7日月曜日

海兵隊MV-22Bオスプレイのオーストラリア沖事故について





事実関係を見ると事故は着艦失敗のようです。これで日本がオスプレイ運用の自粛を求めましたが、米軍は安全を確認して運行上必要なのでと無視しています。当然と言えば当然なのですが、これを米軍の不遜な態度と「印象操作」する勢力が現れるでしょうね。


3 Marines Missing Off Australia Following MV-22 Mishap; 31st MEU, Bonhomme Richard Leading Search

オーストラリア沖でMV-22が墜落し海兵隊員3名が行方不明、第31MEUとボンノムリチャードが捜索中

 By: Sam LaGrone
August 5, 2017 9:30 AM • Updated: August 5, 2017 10:01 PM


MV-22Bオスプレイ(海兵隊中型ティルトローター飛行隊VMM-265所属が揚陸強襲艦USSボンノムリチャード(LHD-6)への着艦に備え接近中。 Aug. 3, 2017. US Navy Photo.


  1. MV-22がオーストラリア沖で5日東部標準時午前2時ごろ墜落し行方不明の海兵隊員3名の捜索が続いている。第三海兵遠征部隊が声明を発表した。
  2. それによるとボンノムリチャード遠征打撃群(ESG)と第31海兵遠征部隊(MEU)が捜索中で救難活動にあたる。事故ではそのほか海兵隊員23名が救難されている。
  3. 「事故機は海兵隊中型ティルトローター飛行隊265所属で第31海兵遠征部隊(MEU)で運用中だった。同機はUSSボンノムリチャード(LHD-6)から発進し、通常の運航中だったが海中に墜落した」と声明文が述べている。
  4. 「艦から小舟艇航空機が直ちに現場に向かい捜索救難活動にあたった。第31MEUはボンノムリチャードESGとインドアジア太平洋地区へ通常の予定で展開中だった」
  5. オーストラリア国防省からは機内にオーストラリア軍隊員は登場していないと発表があった。
  6. 「米海兵隊所属MV-22オスプレイ一機がショールウォーター沖合で事故にあったとの報告を受けた」とマライズ・ペイン国防相が発表。「オーストラリア国防軍関係者は同機に搭乗していない。捜索救難活動は米国主導で行っている」
  7. NBCニューズ報道によれば問題のMV-22はUSSグリーンベイ(LPD-20)に接近中に事故にあった。事故でグリーンベイ飛行甲板が損傷している。
  8. 沖縄に本拠を置く31MEUとボンノムリチャードESGはこの数週間にわたりテイルズマンセイバー演習を珊瑚海で展開中。
  9. 事故調査が続いている。■

2016年7月23日土曜日

★防衛省のMV-22を4機追加発注を確定



なるほど17機購入意向を示した中で、これで9機を確定発注したわけですか。しかしこのニュースは国内では全く報道されていませんね。技術的すぎると判断されたのでしょうか。報道機関には機体名称を正確に記述するようお願いします。MV22ではなくMV-22ですね

Japan orders additional MV-22 tiltrotors

Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
22 July 2016

今回の追加発注で日本は予定導入期数の過半数を確保した。防衛省は「遠隔島しょ部が進行を受けた際の迅速対応」に同機が
不可欠としている。 Source: US Navy

日本はベル-ボーイングMV-22Bオスプレイを四機追加調達する。国防総省DoDが7月20日発表した。日本は5機を発注済み。
  1. 今回の案件は2017年度から21年度にかけての米政府複数年度調達544.7百万ドルの一部で生産ロット17から21が該当する。日本はこれでMV-22Bを9機確保した。契約では17機調達する
  2. 契約内容通告によれば海外軍事装備販売(FMS)制度を使い、総額302.9百万ドルで製造用資材の確保、機体生産、納入まで対象とする。2020年5月までに完了する。
  3. 日本はシミュレーター一式も購入する。価格は9.6百万ドルで2017年10月末までに納入される。
  4. 2015年7月に332.5百万ドルで先行発注した5機は2018年6月までに納入される。17機導入の総額は米国防安全保障協力庁DSCAによれば30億ドル。
  5. 日本のMV-22Bは編成を急ぐ「遠隔島しょ部が侵攻を受けた際に迅速対応する」遠征師団の二個連隊に新設される揚陸部隊に編入される。同機で日本の人道援助災害救難ミッションの実施能力が向上する。■


2016年6月15日水曜日

★★米海兵隊が進めるオスプレイ改良、武装化、空中給油能力、さらにC型の開発



海兵隊はオスプレイの最大のユーザーですが、独自に発展を考えているようです。C型というのは海軍仕様のCODにつく名称だと思っていましたが、先に海兵隊が取ってしまったのでしょうか。今後変更もあるかもしれませんね。

The U.S. Marines Want to Turn the MV-22 Osprey into a Lethal Flying Tank

June 13, 2016

米海兵隊はMV-22オスプレイにレーザー誘導方式2.75インチロケット弾、ミサイル、重機関銃を搭載する武装案を検討中だ。実現すれば同機のミッションは従来の補給・輸送に戦闘任務も追加される。

MV-22の武装化

  1. 「NSWC(海軍水上戦センター)のダルグレン施設で前方発射式ロケット弾、ミサイル、固定機関銃、機首装着銃に加え30mm砲、投下式ロケット弾、誘導爆弾をV-22で運用する可能性を探っています。この結果から海兵隊はMV-22Bオスプレイの武装化の決断を下します」とサラ・バーンズ大尉がScout Warrior へ書面で連絡してくれた。
  2. オスプレイ武装化で小火器、ミサイル、ロケット弾から防御性が高まり、輸送任務中のリスクが減る。さらに精密誘導兵器は海兵隊の兵力展開時に敵制圧能力となる。
  3. 武装オスプレイの登場でティルトローター機中心の戦術案の効果が上がる。同機のスピードとホバリング能力を活用し移動式迫撃砲や軽車両を運搬し、前線の海兵隊員を支援する構想で、奇襲攻撃も想定する。
  4. V-22武装化の第一歩は目標捕捉FLIR装備の選択、デジタル相互運用性、機体生存装備の選択だ。新型兵装の搭載は早ければ2019年からとバーンズ大尉は述べた。
  5. またバーンズ大尉は「強襲支援」はMV-22の主要任務として変更はないと述べている。「地上及び空中ミッションの指揮官の選択肢を広げ、即座に効果が出る防御手段となります。兵装の選択次第ですが、将来のティルトローター機は防御からガンシップ、警戒監視まで各種の能力を発揮するでしょう」
  6. レーザー誘導式ハイラ2.75インチロケット弾はフィン折り畳み式でアパッチ攻撃ヘリコプターに導入済みだがオスプレイで精密攻撃能力が実現する。レーザーを利用した2.75インチロケット弾発射方式は高性能精密破壊兵器システムAPKWSと呼ばれる。
  7. ベル=ボーイングは機体横にパイロンを付け各種兵器共通運用を図る。 「当社はベル社と共同でロケット弾をAPKWS構想の一部として機体に装着してみました。2.75インチロケット弾、レーザー誘導兵器やグリフィンミサイルです。レーザー照準の実験で効果を確認しています」とベル=ボーイングの業務開発部長リック・レマスターがScout Warriorに語ってくれた。また海兵隊はMV-22に50口径あるいは7.62mm 銃の搭載も考えているという。

新型オスプレイが2030年に登場

  1. 海兵隊ではさらに新型オスプレイMV-22Cを2030年代中頃の稼働開始想定で現在企画段階にある。海兵隊は新型オスプレイの構想としてティルトローター技術を元に性能をさらに引き上げると説明している。詳細はまだ不明だが、おそらく改良型センサーやデジタル航法で他機との接続を実現し、飛行速度やホバリング性能はさらに引き上げ、ペイロードが増え、次世代エイビオニクスを搭載し、機体防御装備としてミサイルや小火器対応をするだろう。
  2. 詳細はまだ不明だが、海兵隊関係者からScout WarriorにC型はこれから登場する次世代航空技術を搭載するとわかった。
  3. 「性能向上策で海兵隊に高性能中型強襲支援機が手に入ります」と海兵隊広報官ポール・グリーンバーグ少佐がScout Warriorに伝えている。
  4. オスプレイは水平飛行で280ノットが出せ、通常の回転翼機より戦闘半径が大きいことがまず特徴としてあげられる。
  5. ティルトローターの特徴でヘリコプターモードのホバリングで接近偵察をし、垂直着陸で兵員、装備、物資の輸送した後で航空機モードで固定翼機並みのスピードで飛行できる。一回の燃料補給で飛行できる半径は450カイリと海兵隊は説明している。
  6. 「2007年の供用開始以降MV-22は過酷環境で運用中です。イラクやリビアの砂漠からアフガニスタンやネパールの山地、揚陸強襲艦にも搭載されています。2007年1月から2015年8月まで海兵隊MV-22の総飛行時間は178千時間に上り各種戦闘作戦を支援してきました」(グリーンバーグ少佐)
  7. MV-22はこれまで290機がメーカーのベル=ボーイングから引き渡されており、最終的に360機になる。

FVL新技術をオスプレイに流用

  1. グリーンバーグ少佐はさらにMV-22Cで陸軍が推進中の次世代垂直離着陸機FVLで開発する技術も導入すると述べた。
  2. 「MV-22Cは進行中の各軍共用多任務次世代垂直離着陸機で導入する新技術も利用するほか、開発中の技術開発成果も使うでしょう」
  3. 米陸軍は2030年までの供用開始をめざし高性能高速かつ高効率の中型ヘリコプターの実証機で二社に開発製造契約を交付している。狙いは航空機同様の高速飛行とヘリコプターのホバリング性能を同時に実現することだ。
  4. このため各種技術の応用が想定され、軽量機体構造で抗力を下げ、各種推進方式、燃料効率が高いエンジン、複合材料や新型センサー技術の採用、航法、目標捕捉能力の改良、デジタルコックピットまで幅広い。
  5. 要求内容には「高度高温」環境での運用能力もあり、華氏95度高度6,000ft.という通常型ヘリコプターでは運用が難しい環境での運用を求めている。大気密度が薄く、気圧が低くなるためヘリコプターの操縦と運用は困難になる。
  6. 陸軍の共用多用途技術実証事業はJMR TDと呼ばれ、ベルヘリコプター=テキストロン、シコルスキー=ボーイングの各チームが契約を交付され、2017年までに実証機を生産し、次の中型ヘリコプター開発につなげる。
  7. テキストロン傘下のベルヘリコプターはティルトローターのベルV-280ヴァラー、シコスルキー=ボーイングチームはSB>1ディファイアント同軸ローターブレイド機をそれぞれ製造中だ。同軸ローターブレイドは反対回転するブレイド二組と機体後部に取り付けた推進器を組み合わせ安定した高速飛行、ホバリング性能、操縦安定性を同時に実現する。ベルのV-280はティルトローター式でオスプレイとの共通点が見られる。
  8. 次世代垂直離着陸機で想定する任務には輸送、武装偵察、攻撃、人道援助、MEDEVAC(救急搬送)、対潜戦、対水上艦戦、陸上海上での捜索救難、特殊作戦支援、機雷掃海があると陸軍は説明している。
  9. 今後登場する技術分野には次世代センサー、航法技術、自律飛行、雲中透視、埃や異物が散乱する「低視認度環境」での飛行がある。

空中給油能力など既存型の改良進む

  1. 陸軍主導で開発する技術要素を海兵隊は新型オスプレイにも搭載する一方で既存MV-22でも技術改良を続ける。
  2. V-22空中給油システムVARSがその一つで、2018年供用開始とグリーンバーグ少佐は説明。
  3. 「VARSでF-35BライトニングII戦闘機におよそ4,000ポンドの給油が初期作戦能力として可能になります。2019年までに1万ポンドに拡大します。F-35Bの行動半径が延びるとともに目標上空で滞空時間を延長できます」
  4. またオスプレイからヘリコプターへ速度110ノットで、固定翼機には220ノットで空中給油できるようになるとレマスターは述べている。
  5. VARSの対象はCH-53E/K、F-18,AV-8Bハリヤーに加えV-22も含むとグリーンバーグ少佐は解説してくれた。
  6. 海兵隊ではオスプレイに高度ネットワーク技術の搭載も狙い、「デジタル相互運用性」“Digital Interoperability”略してDIと呼ぶ。このネットワークでオスプレイ乗員は後部に乗る海兵隊員含め戦術戦略情報を機内で入手できる。DIは第十五海兵遠征部隊が試用中で2017年中に供用開始する。■


本記事の著者クリス・オズボーンはScout Warriorの編集主幹。Scout.comで独自取材源で記事を執筆好ている。Scout Warrior は軍事関連記事を幅広く提供しており、兵装から次世代技術まで扱い、その他軍関連情報を公開している。オズボーンは現職の前にMilitary.comで服編集人をつとめていた。本記事はScout Warriorからの転載である。