海兵隊はオスプレイの最大のユーザーですが、独自に発展を考えているようです。C型というのは海軍仕様のCODにつく名称だと思っていましたが、先に海兵隊が取ってしまったのでしょうか。今後変更もあるかもしれませんね。
The U.S. Marines Want to Turn the MV-22 Osprey into a Lethal Flying Tank
June 13, 2016
米海兵隊はMV-22オスプレイにレーザー誘導方式2.75インチロケット弾、ミサイル、重機関銃を搭載する武装案を検討中だ。実現すれば同機のミッションは従来の補給・輸送に戦闘任務も追加される。
MV-22の武装化
- 「NSWC(海軍水上戦センター)のダルグレン施設で前方発射式ロケット弾、ミサイル、固定機関銃、機首装着銃に加え30mm砲、投下式ロケット弾、誘導爆弾をV-22で運用する可能性を探っています。この結果から海兵隊はMV-22Bオスプレイの武装化の決断を下します」とサラ・バーンズ大尉がScout Warrior へ書面で連絡してくれた。
- オスプレイ武装化で小火器、ミサイル、ロケット弾から防御性が高まり、輸送任務中のリスクが減る。さらに精密誘導兵器は海兵隊の兵力展開時に敵制圧能力となる。
- 武装オスプレイの登場でティルトローター機中心の戦術案の効果が上がる。同機のスピードとホバリング能力を活用し移動式迫撃砲や軽車両を運搬し、前線の海兵隊員を支援する構想で、奇襲攻撃も想定する。
- V-22武装化の第一歩は目標捕捉FLIR装備の選択、デジタル相互運用性、機体生存装備の選択だ。新型兵装の搭載は早ければ2019年からとバーンズ大尉は述べた。
- またバーンズ大尉は「強襲支援」はMV-22の主要任務として変更はないと述べている。「地上及び空中ミッションの指揮官の選択肢を広げ、即座に効果が出る防御手段となります。兵装の選択次第ですが、将来のティルトローター機は防御からガンシップ、警戒監視まで各種の能力を発揮するでしょう」
- レーザー誘導式ハイラ2.75インチロケット弾はフィン折り畳み式でアパッチ攻撃ヘリコプターに導入済みだがオスプレイで精密攻撃能力が実現する。レーザーを利用した2.75インチロケット弾発射方式は高性能精密破壊兵器システムAPKWSと呼ばれる。
- ベル=ボーイングは機体横にパイロンを付け各種兵器共通運用を図る。 「当社はベル社と共同でロケット弾をAPKWS構想の一部として機体に装着してみました。2.75インチロケット弾、レーザー誘導兵器やグリフィンミサイルです。レーザー照準の実験で効果を確認しています」とベル=ボーイングの業務開発部長リック・レマスターがScout Warriorに語ってくれた。また海兵隊はMV-22に50口径あるいは7.62mm 銃の搭載も考えているという。
新型オスプレイが2030年に登場
- 海兵隊ではさらに新型オスプレイMV-22Cを2030年代中頃の稼働開始想定で現在企画段階にある。海兵隊は新型オスプレイの構想としてティルトローター技術を元に性能をさらに引き上げると説明している。詳細はまだ不明だが、おそらく改良型センサーやデジタル航法で他機との接続を実現し、飛行速度やホバリング性能はさらに引き上げ、ペイロードが増え、次世代エイビオニクスを搭載し、機体防御装備としてミサイルや小火器対応をするだろう。
- 詳細はまだ不明だが、海兵隊関係者からScout WarriorにC型はこれから登場する次世代航空技術を搭載するとわかった。
- 「性能向上策で海兵隊に高性能中型強襲支援機が手に入ります」と海兵隊広報官ポール・グリーンバーグ少佐がScout Warriorに伝えている。
- オスプレイは水平飛行で280ノットが出せ、通常の回転翼機より戦闘半径が大きいことがまず特徴としてあげられる。
- ティルトローターの特徴でヘリコプターモードのホバリングで接近偵察をし、垂直着陸で兵員、装備、物資の輸送した後で航空機モードで固定翼機並みのスピードで飛行できる。一回の燃料補給で飛行できる半径は450カイリと海兵隊は説明している。
- 「2007年の供用開始以降MV-22は過酷環境で運用中です。イラクやリビアの砂漠からアフガニスタンやネパールの山地、揚陸強襲艦にも搭載されています。2007年1月から2015年8月まで海兵隊MV-22の総飛行時間は178千時間に上り各種戦闘作戦を支援してきました」(グリーンバーグ少佐)
- MV-22はこれまで290機がメーカーのベル=ボーイングから引き渡されており、最終的に360機になる。
FVL新技術をオスプレイに流用
- グリーンバーグ少佐はさらにMV-22Cで陸軍が推進中の次世代垂直離着陸機FVLで開発する技術も導入すると述べた。
- 「MV-22Cは進行中の各軍共用多任務次世代垂直離着陸機で導入する新技術も利用するほか、開発中の技術開発成果も使うでしょう」
- 米陸軍は2030年までの供用開始をめざし高性能高速かつ高効率の中型ヘリコプターの実証機で二社に開発製造契約を交付している。狙いは航空機同様の高速飛行とヘリコプターのホバリング性能を同時に実現することだ。
- このため各種技術の応用が想定され、軽量機体構造で抗力を下げ、各種推進方式、燃料効率が高いエンジン、複合材料や新型センサー技術の採用、航法、目標捕捉能力の改良、デジタルコックピットまで幅広い。
- 要求内容には「高度高温」環境での運用能力もあり、華氏95度高度6,000ft.という通常型ヘリコプターでは運用が難しい環境での運用を求めている。大気密度が薄く、気圧が低くなるためヘリコプターの操縦と運用は困難になる。
- 陸軍の共用多用途技術実証事業はJMR TDと呼ばれ、ベルヘリコプター=テキストロン、シコルスキー=ボーイングの各チームが契約を交付され、2017年までに実証機を生産し、次の中型ヘリコプター開発につなげる。
- テキストロン傘下のベルヘリコプターはティルトローターのベルV-280ヴァラー、シコスルキー=ボーイングチームはSB>1ディファイアント同軸ローターブレイド機をそれぞれ製造中だ。同軸ローターブレイドは反対回転するブレイド二組と機体後部に取り付けた推進器を組み合わせ安定した高速飛行、ホバリング性能、操縦安定性を同時に実現する。ベルのV-280はティルトローター式でオスプレイとの共通点が見られる。
- 次世代垂直離着陸機で想定する任務には輸送、武装偵察、攻撃、人道援助、MEDEVAC(救急搬送)、対潜戦、対水上艦戦、陸上海上での捜索救難、特殊作戦支援、機雷掃海があると陸軍は説明している。
- 今後登場する技術分野には次世代センサー、航法技術、自律飛行、雲中透視、埃や異物が散乱する「低視認度環境」での飛行がある。
空中給油能力など既存型の改良進む
- 陸軍主導で開発する技術要素を海兵隊は新型オスプレイにも搭載する一方で既存MV-22でも技術改良を続ける。
- V-22空中給油システムVARSがその一つで、2018年供用開始とグリーンバーグ少佐は説明。
- 「VARSでF-35BライトニングII戦闘機におよそ4,000ポンドの給油が初期作戦能力として可能になります。2019年までに1万ポンドに拡大します。F-35Bの行動半径が延びるとともに目標上空で滞空時間を延長できます」
- またオスプレイからヘリコプターへ速度110ノットで、固定翼機には220ノットで空中給油できるようになるとレマスターは述べている。
- VARSの対象はCH-53E/K、F-18,AV-8Bハリヤーに加えV-22も含むとグリーンバーグ少佐は解説してくれた。
- 海兵隊ではオスプレイに高度ネットワーク技術の搭載も狙い、「デジタル相互運用性」“Digital Interoperability”略してDIと呼ぶ。このネットワークでオスプレイ乗員は後部に乗る海兵隊員含め戦術戦略情報を機内で入手できる。DIは第十五海兵遠征部隊が試用中で2017年中に供用開始する。■
本記事の著者クリス・オズボーンはScout Warriorの編集主幹。Scout.comで独自取材源で記事を執筆好ている。Scout Warrior は軍事関連記事を幅広く提供しており、兵装から次世代技術まで扱い、その他軍関連情報を公開している。オズボーンは現職の前にMilitary.comで服編集人をつとめていた。本記事はScout Warriorからの転載である。
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