2016年6月21日火曜日

オーランド大量殺人事件後にISIS作戦をどう進めるべきか



 The Global War on ISIS After Orlando

Image: “An Iraqi School of Infantry instructor instructs an Iraqi soldier from 2nd Brigade, 7th Iraqi Army Division on how to fire a Pulemyot Kalashnikov Machine Gun (PKM) in the Iraqi School of Infantry at Al Asad, Iraq, March 19. (U.S. Marine Corps photo by Cpl. Shane S. Keller)”
“An Iraqi School of Infantry instructor instructs an Iraqi soldier from 2nd Brigade, 7th Iraqi Army Division on how to fire a Pulemyot Kalashnikov Machine Gun (PKM) in the Iraqi School of Infantry at Al Asad, Iraq, March 19. (U.S. Marine Corps photo by Cpl. Shane S. Keller)”


今こそ戦いを熾烈かつ賢く進めるべき時だ。

June 16, 2016

フロリダ州オーランドで6月12日発生した悲劇を受けて、米国は全世界でISIS打倒を進める総合戦略の重圧をかけるべきだが、今後発生する攻撃をすべて確実に予防できないのは確かである。ISISは成功事例を新たな戦闘員の勧誘に利用してきた実績があり、英雄的行為と持ち上げ関心を引く傾向でも知られている。アメリカは封じ込め戦略あるいは無視を決め込む戦略ではISISの崩壊は期待できず、今回の事態を受けてこちら側の力を結集して強力な敵の脅威に国家として挑むべきなのである。
ISISが米国で能力以上の成果を上げている、あるいは犯人オマール・マティーンはISIS戦闘員以上に精神を病んでいるという向きがあり、イラクやシリアで米軍はじめ連合軍が着実に成果を示していることからISISが早期に崩壊すると見る向きもある。いずれも説得力はない。マティーン容疑者が米国史上最悪の単独犯だとしても別の犯行が簡単に繰り返されるはずで、射撃訓練を受けAR-15のような武器を入手すればいいだけの話だ。マティーンは精神を病んでいたのだろうが、同時にISISに刺激を受けた勢力に動かされ、憎悪の教えをそのまま受け止め、イスラム教を曲解して大量殺人を正当化したといえる。おそらく同様の事件は再発するだろう。

イラク軍、米および連合国の空軍力、クルド人戦闘部隊、スンニ派部族やシーア派はイラクで40パーセント、シリアでも20パーセントの領土をISISから奪回している。ISISはこの二国での収入源の半分を失っただろう。だがラッカ、モスルの二大都市はまだISISの手にある。また一昨年からISISはシナイ半島からリビアまで活動範囲を広げ、拠点をアゼルバイジャンからアフガニスタンにまで設け、さらに東南アジアも視野に入れ、ナイジェリアではボコハラム運動と連携している。打倒は可能だろうが、簡単ではないし完全に消滅しないだろう。

オバマ大統領の主導で66カ国の有志連合がISIS対抗勢力として生まれ次の五つの戦略方針を2014年以来維持している。
--軍事作戦
-- 外国人戦闘員対策
--財政対策
--逆宣伝活動
--地域内安定の実現

イラクとシリアで成果も生まれており、両国への外国人戦闘員の流入は今年は大幅に減っている。ただし一部がリビアに流れているのは残念だ。だがリビアでも新しく生まれた連立政権がISISをスルトから放逐しつつあるとの朗報がある。
つまり一部作戦で停滞が見られるものの再強化に時間を使っているといえる。国別状況は以下の通りだ。

イラク 政府軍が突破口を開きつつあるが、平和回復には時間がかかり、最大の懸念はモスルをISISから奪還しても有効に統治できるかだ。イラク政府には米国の力を増強して平和と安定を実現できる勢力を作る必要があり、ISISに似た集団の出現は早期に刈り取る必要がある。このため援助を拡大し、米国の支援内容を強化する必要があるが、イラクが石油でどれけ収入を得られるかにかかってくる。ただし原油価格の低下傾向がどこまで続くかも考慮すべき要素だ。

シリア 当地の政治戦略は完璧とは言えない。平和交渉は停滞し、アサド大統領が盛り返しているのはロシアの支援があるからだ。こちら側は政治目標の水準をを下げるべきだ。連合のしくみで少数集団の保護を図るのが成功のめやすとして妥当だろう。クルド人のみならずアラブ中道集団も援助していくべきである。また援助対象の基準を緩和しつつ米軍による訓練や装備提供を増強する。安全地帯を爆撃するシリア政府軍機への報復行動は有効策だろう。

リビア 連立政権がこれから生まれる想定の中、西側は大幅な援助とリビア軍向け訓練の体制を今から準備しておくべきで、ISISが占拠したままの中部沿岸地方を奪還する。

ナイジェリア ムハマドゥ・ブハリ大統領の汚職対策が効果を示しつつある中、今こそ米国の援助を拡大すべきで、ナイジェリアの要請が前提だが、小規模顧問団を送り、同国陸軍のボコハラム戦を手助けすべきだ。

アフガニスタン オバマ大統領は米軍削減をこれ以上行うべきではない。現地指揮官には柔軟に指揮命令権限を与えタリバンへの空爆を進めるべきだ。

米本土 ISISは三つの頭を持つ怪物だ。胴体はイラク・シリアにあり、その周辺各地がある一方で、グローバルネットワークで各地を結んでいる。このネットワーク対策を国内外で強化すべきだ。このネットワークから国内襲撃事件が発生するからだ。このためFBIは疑わしい国内テロリストや武器の所在を的確に捜査すべきだ。海外でもISISのグローバルネットワークを容赦なく遮断する。ここで米国が対ISISグローバル連合でリーダーシップを迅速に発揮する必要ある。スマートフォンの暗号化技術のため捜査が困難になっているが、ネットワーク監視を強化し執拗に捜査すれば司法機能と情報機関の融合につながり、容疑者へ迅速に対応し犯行の未然防止が可能なはずだ。ニューヨーク、ロンドン、また最近パリでこの方法の実施が見られるが、まだ一般化されていない。実施のためには一層強いリーダーシップがアメリカに必要になるだろう。

各対策は大規模にならず、組み合わせて実施しても同様だが、米側は人員数千名規模を追加する必要があり、少なくとも数十億ドルの年間追加予算が必要となる。ISISの三つの頭をそれぞれ攻撃し徹底的に撃つべきだ。これまでのISIS対策はそこそこの成果しか出ていないが、今こそ大幅に活動を強化し次の大惨事を招く攻撃を事前に防止すべき時なのだ。

本記事の著者ジョン・アレンとマイケル・オハンロンはともにブルッキングス研究所の上席研究員。


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