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★クリントン外交政策の方がトランプ候補より危険という皮肉



なるほどクリントンは守旧派で実はタカ派、トランプは言動が支離滅裂とレッテルを張られていますが実は初の冷戦後思考候補者ということですか。変化や変革には誰しも抵抗するもので同盟国たる日本が慌ててトランプ候補の主張を検討しているのも本当は現状を維持したいと希望しているからでしょう。だが、この新思考がもっと古典的な思考をしているはずのロシアや中国に通用するのかはわかりません。どちらの候補二も期待できないという向きが多いようですが、方向性の違いがはっきりすれば選択の意味が出てくるでしょう。今後の討論会へ期待したいと思います。

The National Interest  Hillary's Foreign Policy Is Scarier Than Trump's

 Image: Flickr/Gage Skidmore.
June 17, 2016

クリントンの好戦的態度は軍事介入を容認し、核戦争含む開戦の可能性が高くなる

49名の命を奪ったフロリダ州オーランドのナイトクラブ殺戮事件の結果、これまで避けられてきた選挙の争点に火がついた。米外交政策の方向性ならびに世界で米国が果たすべき役割である。大統領候補指名の二大政党の党大会が数週間後に迫る中、この議論を始めるのはよいタイミングだろう。
  1. このうちヒラリー・クリントンが重要外交政策演説と銘打ち数週間前に見解を発表しているが、共和党候補とみなすドナルド・トランプを「危険」と決めつけている。トランプ候補の発言に日本、韓国に防衛の全責任を負わせるとの内容があり、核兵器使用まで匂わせたことをクリントンは巧妙に批判し「核のボタンを任せられる人物ではない。ドナルド・トランプでは国が戦争に巻き込まれる」としている。
  2. 1964年大統領選挙のテレビコマーシャルでリンドン・ジョンソンが原爆きのこ雲と花を手にする少女の画像をかぶせ相手候補のバリー・ゴールドウォーターを暗示したのは巧妙な宣伝の典型だ。
  3. クリントンのトランプ批判はメディアで高く評価を受けている。だが皮肉にもトランプの外交観はそこまでの恐怖を煽るものではない。核戦争を言及したとはいえクリントンの考える「世界チャンピオンとしてのアメリカ」に見える好戦的な姿勢よりは穏健と言える。
  4. 核拡散に強く反対する向きでさえ、日本や韓国ではなく、イラン、サウジアラビア、エジプト、パキスタン、北朝鮮のような不安定かつ急進的国家がすでに核兵器を保有あるいは保有しようとしていることに米国が懸念すべきという点では異論がないはずだ。
  5. だがクリントンの目指す方向はそこではない。クリントンはじめ両政党のエリート層、外交部門のエリートもトランプ発言が頭の中から離れないようだ。もし安定した民主国家で善良な世界市民の日本や韓国がと自ら侵略を抑止するべく核兵器を保有したらどうなるか。
  6. 米外交部門は幾重にも張り巡らせた安全保障の同盟関係や協定の幻想という危険から長年にわたり米国民の目をそらせてきた。NATO同盟国や日本、韓国、台湾、イスラエルといった米国安全保障の傘にある国が米国の防衛に呼ばれるシナリオは決して非現実的ではない。だが事態は逆で一方向に米国が各国の安全を守っている。
  7. 米同盟国で核兵器を保有する国はほぼ皆無で仮に中国やロシアといった核大国と対決したり、小規模でも南シナ海を巡る対立が発生した場合、米国は最終的には条約により該当国の防衛に責任を有することになり、最終的に核兵器の投入となれば米国本土が核報復攻撃の対象になりうる。
  8. 合理性を欠くこの政策は冷戦時に始まっており同盟国をソ連の攻撃から防衛するのが目的だった。だがソ連が西欧や日本を占拠する事態と同様に恐ろしい想定として米国が核の荒野になる可能性もあった。
  9. 米国が核兵器で同盟国を守るという暗黙の約束はソ連からの攻撃を抑止を基礎にしていた。だが抑止力が作用しなかった場合の壊滅的な結果の恐怖はほとんど議論されていなかった。.
  10. この政策が冷戦時でも合理性を欠いていたのなら、冷戦が終了した今もそのまま継続していることは合理性が一層足りないことになる。
  11. ドナルド・トランプは時代遅れで柔軟性に欠き多額予算が必要な世界中のたくさんの国を防衛するという米国の約束自体に賢明にも疑義を表明している。各条約や協定により米外交政策は過剰な範囲に拡大され、海外基地数百を維持し永遠に続くように思われる軍事行動を展開している。中にはクリントン自身が支援を惜しまなかったバルカン紛争、イラク、リビアもあり、帝国としてのアメリカを守るためとの説明だった。
  12. 政府債務が19兆ドルになっている米国にはこの政策を維持できる余裕はもはやない。
  13. また米国民および軍を不必要に危険にさらすのは賢明ではない。■

本記事の著者イヴァン・エランドは  Independent Institute (カリフォーニア州オークランド) で平和自由研究センターの主任研究員兼センター長を務めている。著書に歴代の大統領の功績を比較したRecarving Rushmore: Ranking the Presidents on Peace, Prosperity, and Libertyがある。



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