2016年6月6日月曜日

★米中もし戦わば 中国空母をどう攻撃すべきか




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How The US Navy Would Attack Chinese Carriers

JAMES HOLMES
12:24 AM


海軍大学校教授が中国空母を撃破する必要が生れたら攻撃潜水艦、空母搭載戦闘爆撃機、ミサイル他をどう投入するべきかを説明している。

  1. 中国は「空母キラー」誘導ミサイル各種で米海軍の原子力空母を猛攻撃すると喧伝をやめる兆候はないが、なかでもDF-21DとDF-26対艦弾道ミサイル(ASBM)は人民解放軍(PLA)が接近阻止領域拒否 (A2/AD) の要と期待する装備だ。
  2. 中国は自国の装備の威力を各方面に信じ込ませることに成功し、ペンタゴン取材の報道関係者も例外ではない。ペンタゴンはDF-21Dで「空母含む艦船攻撃」がPLAに可能で中国沿岸から900マイル離れても可能とあたかも事実のごとく記載した中国軍事力分析報告書を刊行している。
  3. 恐ろしく聞こえる。だが米海軍にも空母キラーがある。正確に言えば艦船キラーか。空母を機能不全にし沈没させのが可能なら小型艦にも同じ効果が生まれる。対艦兵器は数の威力で効果が増大し、有効射程距離、破壊力でも同様で米海軍は冷戦後の休日状態から目覚めている。どちらの陣営の空母キラーが勝利するかは海戦の発生場所で変わる。
  4. 空母キラーのイメージに西側はもう慣れっこになっており、中国のロケットが米海軍の誇りを海底に沈め、同時にアジア域内の同盟国への米支援も葬るというものだ。もっと悪いのはPLA指導部はわざわざ艦船や航空機をはるか沖合に送らずに世界の歴史に残る戦績をあげることが可能なことだ。ASBMの発射キーを回せばいいのだ。
  5. その可能性はある。有効射程など技術面になぜ執着するのか。DF-21Dは900マイルの射程があることになっているが空母艦載機の到達範囲をはるかに超えている。そうなれば空母打撃群はアジアの戦闘区域に到達したら大打撃を受けてしまう。さらに射程距離が食い違うのが恐ろしい。昨年9月の北京軍事パレードではDF-26の最大射程は1,800から2,500マイルだと伝えていた。
  6. 技術開発がうまくいけば、PLAの弾道ミサイルはアジアの第二列島線付近を航行する米海軍、同盟国軍側の艦船にとって脅威となる。DF-26の射程上限はASBMが列島線を超えた地点にも到達することになるからだ。
  7. これを大西洋に例えるとグアム東にいる艦船を中国沿岸から攻撃して沈没させるのはワシントンDCからグリーンランド東にいる艦船を狙うのと同じだ。グアムまで届くミサイルがあればハワイや米本土からかけつける部隊には危険状況を意味するが、グアム、日本、その他西太平洋各地での船舶運航はたえずミサイル攻撃の恐怖がつきまとうことになる
  8. ただしPLAがDF-21Dを供用開始して5年以上たつが洋上に向けたテストを一回も実施していない事実に注目すべきだろう。さらにDF-26では実戦想定テストをほとんど実施していない。平時の未完成技術は有事には失望させる結果しか生まない。

  1. それでもASBM技術を中国が成熟化させれば有効装備になる。米軍は相当する装備を有しておらず、今後も整備に走らないだろう。米国は中距離弾道弾開発を条約で禁じられており、かりに米政府が条約を反故にしても十年とまでいかなくても数年かけないと兵器体系としての開発、試験、配備は実現しないだろう。
  2. だからと言って米海軍に選択肢がないわけではない。米海軍は敵空母にどう対応するだろうか。答えはニューポートの海軍大学校で用いる標準的な内容にある。つまり、時と場合次第だ。
  3. まず交戦場所がある。空母同士の海戦となればはるか遠隔地の海上が舞台となりPLAの不沈空母たる中国本土から離れることになると、沿岸基地のASBM、巡航ミサイル、航空機が到達できない。
  4. これは艦体対艦隊の想定だ。事態はいつも投入する火力により決まるし、将兵の資質、戦術判断力、生への執着も作用する。PLA指揮官は陸上配備の兵器を大量投入してくるだろう。同時に米海軍も日本、韓国、オーストラリアの同盟軍とともに沿海部での戦闘を試みるだろう。そうなると中国同様に同盟各国の陸上配備装備が艦隊の戦闘力を補強することになる
  5. 戦術戦の舞台二つは大きく異なる。後者はより混乱を極め戦争の霧に包まれる可能性が高い。さらに敵が大胆な動きをすれば予測は一層困難だ。
  6. 米海洋戦略と沿海部近くの海戦で共通するのは潜水艦戦の重要性だ。原子力推進攻撃潜水艦(SSNs)には米ヴァージニア級、ロサンジェルス級があるが水上通商路の遮断が可能だ。あるいはA2/AD防衛網を突破して敵船舶を強襲し、敵の領海内で空母でさえも攻撃できる。
  1. つまりSSNsが米海軍の主力戦力だ。だからこそ議会がSSN部隊の規模縮小で現在の53隻を2029年に41隻体制にしたら大きな誤りとなる。これは23パーセントの戦力ダウンになり、一方で中国は2020年に潜水艦78隻を稼働させようとしている。ロシアも静粛化が進んだ潜水艦の復活に入っている。
  2. そうなるとアメリカの空母キラーは潜水艦になる。そこで近未来の対中国空母の戦闘を語るのは未来予測の様相を示してくる。現時点のPLA海軍は空母一隻しかない。ソ連時代に起工したものを完成させた遼寧で同艦は練習艦のままの公算が大きく、遼寧を改良した実戦用の空母数隻が建造中と伝えられる。

  1. 中国が二隻目の空母を完成させたと仮定しよう。初の国産空母となる。ニューポートニューズ造船所がほぼ同寸の初のスーパー空母かつ通常動力のUSSフォレスタルを起工から就役まで三年で完成させている。
  2. さらにPLA海軍が空母任務部隊を洋上で運用する技術を確立したと仮定しよう。そうなると中国は新型空母を切れ目なく就役させ迅速に艦隊に投入することになる。想定する遠洋公海上の衝突は2020年ごろとしている。.
  3. 2020年でも米海軍水上部隊の空母キラーの主役は空母航空隊で今と変わらない。原子力空母は戦術航空機をおよそ85機搭載する。将来登場する中国空母の航空隊規模の予測はばらついているが、固定翼機・ヘリコプター50機とすの上限を採用するとしよう。これだと米海軍の空母搭載機数はPLA海軍空母より70パーセント多くなる。
  4. また米艦載機が中国機より優れていることはほぼ確実だ。次に登場するPLAN空母は遼寧と同様にスキージャンプ式構造のようだ。このため機体重量に制約が生まれ、搭載燃料や兵装量でも中国機には不利に働く。
  5. 米海軍のCVNは蒸気式あるいは電磁式カタパルトで大重量の戦闘攻撃機を発進させる。兵装量が多いということはそれだけ打撃力も多くなり、燃料搭載量が増えればそれだけ長く飛べることになる。
  6. F-18E/Fスーパーホーネット戦闘攻撃機はおよそ400カイリ先の敵を攻撃できるが、武装を投下した後はより長く飛行できる。中国がJ-15が同等の航続距離があると喧伝すしているが、ここでも米軍機が数の上で有利で、一機あたりの攻撃力も上だ。そこで米海軍が優勢と判定できる。

  1. さらに2020年には対艦兵器が性能を向上させているはずで搭載も始まっているだろう。現在の水上部隊の主力対艦兵器はハープーンミサイルで1970年代の産物で射程は60マイルを超える程度だが、PLA海軍の最新装備YJ-18は290カイリといい、影が薄くなる。
  2. そこで米兵装開発部門は射程距離の不足を大急ぎで解消しようとしている。ハープーンのメーカー、ボーイングは射程距離を二倍にしようとしている。ペンタゴンの戦略能力整備室はSM-6対空ミサイルを対艦攻撃用に転用し、水上部隊の攻撃範囲は一気に三倍になる。その他にトマホーク巡航ミサイルを対艦型に改装したものを昨年にテストしており、冷戦時代並みの超長距離攻撃能力が復活する。別に新型長距離対艦ミサイルが開発段階にある。
  3. 海軍にとって新型兵器の投入配備には重要な意味がある。「分散攻撃力」構想の下で海軍は各艦に火力を確保しつつ目標に集中させようとする。つまりこれまでより多くの艦船に対艦ミサイルを搭載し、補強策として電磁レイルガンや艦載レーザー兵器を投入して目的を実現する構想だ。
  4. だが米海軍には空母キラー専用の兵装は多数ある。潜水艦、艦載機、新装備の投入で米海軍は2020年でも大洋海軍力を十分確保しているだろう。問題は公海での交戦は対中戦で最も可能性の低いシナリオなことだ。たとえば太平洋中央部分で中国が沿岸火力支援が届かない状態で戦闘を挑んでくるとは考えにくい。
  5. 可能性が高いのはPLAの接近阻止兵器の有効範囲内での交戦だ。中国は自国領土に近い列島線付近の海域を一番心配する。同海域はアジア同盟各国の安全を守り航行の自由を保障し、海上パワーを確保する米国にも重要だ。そのため米中の対立が熱くなればこの海域や上空で交戦が始まる可能性が高くなる。
  6. 交戦が始まれば究極の面倒事になるかもしれいない。米軍がアジア本土に近づけばA2/AD防衛網に高い代償を払うことになる。空母キラーのASBMが西太平洋各地で発射されれば交戦一日目で西太平洋へ向かう艦船にミサイルの雨が浴びせられる。ミサイル搭載の小艦艇やディーゼル潜水艦が歩哨の役割となり、対艦巡航ミサイルを発射してくるだろう。
  7. 沖合警戒ラインでは不十分とばかりに沿岸から対艦兵器が発射される。ASBMだけでなく巡航ミサイルやミサイル搭載航空機が投入されるはずだ。原子力空母は浮かぶ飛行場だが各地の陸上航空基地や各種ミサイルと対決になる。総じてA2/ADは米側の艦艇指揮官にとって面倒な戦術作戦上の問題になるだろう。
  8. PLA海軍艦艇は西太平洋を航行する限りは太平洋の真ん中やインド洋他遠隔地より威力を発揮するはずだ。要するにPLA海軍とは砦防御を固める兵力なのだ。危険になれば容易に陸上防御網の有効範囲内に逃げ戻ることができ、自艦火力に陸上防御網を追加して強力な敵に対抗する
  9. 要塞艦隊には暗い運命が洋上はるか沖合で待っている。防御の傘は使えないからだ。母国近くでは沿岸火砲支援の元でうまく機能する。中国はここに期待している。

  1. 歴史の教訓を見てみよう。要塞艦隊構想は前からあり、海上権力の主導者アルフレッド・セイヤー・マハンがこの用語を生み出したと思うが、帝政ロシア海軍の例がある。ロシア艦隊は要塞砲の有効射程範囲内に残る傾向があり、火力で勝る敵に対抗していた。こうして艦隊は要塞の前方防御網となったが、艦隊は要塞砲を防御網に使っていたことになる。
  2. 要塞艦隊の背景としてマハンには旅順口の火砲が念頭にあったのだろう。渤海への入り口であり首都への侵攻経路にあたる旅順は日露戦争1904-1905年では東郷平八郎が指揮する日本帝国海軍連合艦隊が一貫して砲撃を加えていた。
  3. 旅順港のロシア分遣隊は要塞砲の射程内にいる限りは安全だったが、成果はほとんどあげていない。東郷長官以下の日本部隊はロシアと1904年に公海上で短い交戦をしている。1905年5月にも再び対決の場面が生まれ連合艦隊は対馬海峡でロシアバルチック艦隊と海戦をした。
  4. ロシア艦隊は簡単に日本海軍に圧倒された。だがもし旅順港の要塞砲が日本艦隊に正確な砲撃を加えていたらどうなっていただろうか。マハンの要塞艦隊構の有効範囲が拡大されていることがわかる。長距離かつ有効な火力支援があればロシアは逆に勝利をおさめていたかもしれない。劣勢な側が勝ちを収める場合もある。
  5. この例が現在でも通用するかは疑問だ。要塞としての中国は飛行基地や移動対艦兵器多数で数百マイル沖合の敵艦隊を標的にする。確かに大洋の真ん中では米海軍はPLA海軍に対してはるかに強力だ。艦隊対艦隊の対決で陸地か支援がなければアメリカの優位に動くだろう。だが仮説上ではアジア本土に近い場面での交戦では一方的な米優位は難しい。
  6. 米海軍が想定する大青原での交戦は発生の可能性が低いにもかかわらず装備作戦面がこれに特化しているようだ。一番脅威度が高く、発生可能性も高いシナリオはどちらなのか疑問は残る。空母攻撃兵器により要塞艦隊がマハンの死後何十年もたって懸念対象として復活している。中国にとっては優位な状況だ。

----本稿はNational Interestが最初に掲載した。
著者ジェイムズ・ホームズは海軍大学校で戦略論を教え、Red Star over the Pacificを共同執筆している。見解は本人のものである。

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