スキップしてメイン コンテンツに移動

★★パイロットが語るA-10の威力>供用期間延長は当然だろう




Visit Warrior

Pilot Intv. - Attack Missions in the A-10

KRIS OSBORN
Yesterday at 12:22 AM


Scout WarriorはこのたびA-10パイロットへの取材機会を得た。パイロットによれば同機はこれまで飛ばした機体の中で「一番頑丈」だという。米空軍は同機を2020年代中頃まで稼働させようとしている。
  1. 敵陣地を攻撃し、整備不完全な飛行場に着陸し、再び離陸し敵戦闘員を30mm機関砲で倒し敵を制圧することを難なく繰り返すA-10にはパイロット陣から「空飛ぶ戦車」の異名がある。地上戦の現場に滞空し地上兵員の生命を近接航空支援で守る。
  2. 「ここまで撃たれても耐えられる機体は他にありませんね。頑丈さは有名です」と語るのはライアン・ヘイデン中佐(第二十三戦闘機集団副司令官、ムーディ空軍基地駐留)でScout Warriorが取材を許された。
  3. A-10パイロットの周囲にはチタン装甲板が何層もあり機体は小火器の銃弾に耐える設計で撃たれても攻撃任務を続けることが可能だ。
  4. 「A-10は敏捷性がなく、機敏に素早く動けませんが、計画的に堂々と威力ある攻撃をしっかりと加えます。作りも飛行も危なっかしいところはまったくありませんね」
  5. ウォートホグの愛称がつくA-10サンダーボルトIIは1970年代後半より供用され数々の戦役で近接航空支援を提供してきた。湾岸戦争、不朽の自由作戦、イラクの自由作戦、コソボ連合軍作戦その他だ。
  6. 戦闘任務で飛行させてヘイデン中佐はあらためてA-10が敵の地上砲火を受けても帰れるように設計されていると実感できたという。「あちこちで冗長性があります。油圧系が一つ故障しても別のものが起動します」
  7. 機内の電子装備が全部使えなくなっても、飛行を続け爆弾投下や30mm機関砲を発射できるとヘイデン中佐は説明する。
  8. 「コンピュータが全部ダウンして目標捕捉ポッドやヘッドアップディスプレイが使えなくなっても精度は落ちますが標的捕捉と攻撃は可能です。この想定で実際に訓練しています」
  9. 他機種が速度、操縦性、空対空ドッグファイトを目指す中で、A-10は30mm機関砲を軸に設計された機体だ。砲はGAU-8/Aガトリング砲である。
  10. 「30mm砲は弾倉7つが付いて機体中央に配置され、弾倉は機体中央線にぴったり合います。機体を地上目標に合わせればいいのです。地上攻撃用にうまく設計されている機体です」
  11. 機関砲には合計1,150発がつき、毎秒70発を発射できる。
  12. ヘイデン中佐は砲の向きは機体とまっすぐに調整されており、他機種のような上方への傾きはないと説明。また風防窓は広く、パイロットは広視野で目標を視認できる。


  1. エンジン二基は高い位置に取り付けてあり非整備地着陸も可能という。エンジンはジェネラルエレクトリックTF34-GE-100だ。
  2. 「砂漠の滑走路に着陸する機体を見たことがありますが、主脚は砂に一フィートは埋まっていましたね。それでもそこで離陸していましたよ」
  3. またエンジンの被弾にパイロットが気付かずに帰還した例がたくさんあるという。
  4. 機体の空力特性とエンジン技術でA-10は低速・低空飛行が可能なため陸上部隊や敵標的に接近できる。
  5. 「主翼はまっすぐで幅広になっています。エンジンはターボファンで燃料消費を考慮して選定されており、推力は理由ではありません。大変効率が良いエンジンで上空待機をしても燃料のことを心配しなくて済みます」

近接航空支援の実態

  1. A-10は高度100フィートで飛行できる。このためパイロットは敵標的を直接視認でき、搭載する爆弾、ロケット弾や30mm砲を味方部隊のすぐ横で発射できる。
  2. 「発砲は本当に近距離で、50メートルも離れていない時があります。地上部隊の隊員の手が動くのが見えるほどです。これだけ接近して低空飛行すれば敵味方を目で区別して射撃できます」
  3. 一方で遠方からの攻撃も可能だという。
  4. A-10は赤外線と電子光学センサーの「ライトニング」と「スナイパー」の二種類のポッドを搭載しパイロットの標的探しを助けてくれる。
  5. 「目標捕捉ポッドはF-15EやF-16と同じ種類ですが、戦闘機では二種類のポッドを使い分けできません。A-10ではソフトウェアでこれが可能です」
  6. A-10が搭載する兵装にはGPS誘導方式の共用直接攻撃弾JDAMの他、GBU38、GBU31、GBU54、Mk82、Mk84、AGM-65マーヴェリックミサイル、AIM-9サイドワインダー、ロケット弾、照明フレア、ジャマーポッド他防御装備がある。各種兵装を16,000ポンド搭載可能で主翼下に8発、胴体下に3発をつり下げるパイロンがあると空軍は説明している。

A-10のエイビオニクス

  1. 攻撃ミッションで飛ぶパイロットは僚機以外に地上部隊とも無線に加えLINK16データリンクで連絡できる。僚機とは文字メッセージを交換できるという。
  2. コックピットはCASS(共通エイビオニクスアーキテクチャシステム)仕様でデジタル式移動地図表示他各種ディスプレイで高度、上昇角、周辺地形や目標データなど関連情報を示してくれる。


  1. パイロットはハイテクヘルメットを装着して目標画像をヘルメットで見ることができる。「目標捕捉ポッドの画像を目の前に投影してみることができます。地上から射撃を受ければその方向を見るだけで目標に設定できるんです」

アナコンダ作戦

  1. 不朽の自由作戦開始後の数か月たち「アナコンダ作戦」と呼ぶ戦闘でヘイデンのA-10は急変する戦闘状況に巻き込まれた。米軍がアフガニスタン山地でタリバン戦闘員に攻撃を加えていた。2002年3月のことでヘイデン中佐はタリバン対空砲陣地を戦闘員もろとも発見し破壊した。
  2. 「谷間の片方から銃火の軌跡がもう一方に向かうのが見えました。どちらが味方なのか識別できませんでした。近接航空支援の標準方法に従い搭載センサーの助けを借りて戦術状況を理解してから攻撃を加えました」

A-10の将来

  1. 議会メンバー、専門家、退役軍人、現役パイロット含む軍関係者の多くが空軍のA-10対処方針の行方を追っている。予算を理由に空軍上層部は以前はA-10全機を今年中に退役させると発言していた。空軍の一部にはA-10退役後もF-16やこれから登場するF-35ステルス多用途戦闘機ならミッションの穴を埋めて近接航空支援を実施できるはずと主張していた。
  2. ただし、これに疑念の声が議会から続出し、ISIS相手にA-10が非の打ちどころのない実績を示してたため、空軍は供用期間を2020年代まで延長した。他機種で近接航空支援の実施は可能との主張に対しては地上部隊の防御と近接航空支援の実施で同機に匹敵する機体はないとA-10支持派は一貫して主張。
  3. 現時点で空軍はA-10の交代あるいは継続使用で三案を実行中で既存機体の改修・保管を検討し、どの機種が交代可能かを検討する、または近接航空支援機種を新たに調達することをめざす。
  4. 近接航空支援機を機体保管場に送り込めば五年間で42億ドルの予算節約になるというのが空軍の以前の説明だった。この金額にはライフサイクル管理関連、機体維持の予算目標値が含まれているが議会メンバーは案を却下している。
  5. 議会内にはA-10支持派が多数あり、空軍方針に公然と疑義を示していた。中でもケリー・アヨッテ上院議員(共、ニューハンプシャー)とジョン・マケイン上院議員が最右翼のA-10支持派だ。


  1. アヨッテ議員は事あるごとに空軍の同機退役方針に反対してきた。
  2. 「A-10で生命を救われた米軍隊員は数多く、アヨッテ議員は後継機種ないのに空軍がA-10を時期尚早に退役させることを憂慮しています。近接航空支援でギャップが生まれれば危険にさらされるのは兵士の命ですから」とアヨッテ議員のスタッフが説明している。マケイン議員は上院軍事委員会委員長として空軍がA-10の供用期間を延長したことを歓迎している。
  3. 「空軍がA-10を2017年度まで稼働延長する決定をしたことを好意的に受け止める。これでわが軍地上部隊は死活的な近接航空支援を世界各地で受けられる。現時点でA-10部隊はISILとの闘いで不可欠な役割についているほか、ロシアの野望を東ヨーロッパで食い止めるNATOを支援している」とマケイン議員は声明文を発表している。
  4. ISIS相手の攻撃ではA-10は極めて高い成果を示して、同機への需要は高く、これが決定の変更につながったともいわれる。
  5. 「世界各地の情勢が混とんとしている中で最高の近接航空支援機材を後継機の当てがないまま早まって引退させる余裕はない。オバマ政権が2017年度予算要求を数週間以内に提出するが、A-10の継続飛行で米軍部隊の防御に充て危険な状況に放り込まれた兵士が助けられるよう希望する」
  6. A-10は2020年代にも飛行するのは確実だが、後継機種を巡る議論が活発になるのは必至だろう。■


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...